異世界宿屋の住み込み従業員

熊ごろう

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136話 「ちょっとしたお祭り」

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「あ、じゃーなんとかなったんですね。良かったー」

「ええ、後は彼らにまかせて平気でしょ」

屋台の料理が全て売り切れとなった為、撤収の準備を始める3人。
加賀は説得が無事に終わったと聞いて安堵した表情を見せる。

「それじゃ、戻って昼食作りましょうか。そろそろ八木も起きてきてそうだしちょっと多め……あ、でも食欲ないかな」

「そうかも。でも余ったらデーモンに食べさせれ良いし、多めに作りましょうか」

「ん、そだね」

話している間にも撤収の準備は完了する、3人は小躍りするデーモンを引き連れ宿へと戻った。

「あ、おきてた。わりと平気そーだね?」

どうやら八木は既に起きてきていたようだ。
食堂で椅子に腰掛けコップ片手に暇そうにしている。

「おー、加賀。もう納まったぜ。飯食ったら仕事いかんとなー」

「ん、がんばって。お昼はこれから用意するかちょっと待っててねー」

頼むわと言って手を振る八木に見送られ厨房へと入る3人。
入ってほどなくして厨房から食欲を誘う匂いが漂ってくる、八木は待ち遠しそうにコップを傾け待つのであった。


「うめぇ」

「胃が荒れてるだろうし、あまりがっつかないようにね」

分かってると答えるも食べる勢いを落とさない八木をみてはぁとため息を吐く加賀。
お腹を壊してもしらないよと言い、話を変える様にそう言えばと呟く。

「最近そっちの仕事はどう? 大分街出来てきてるみたいだけど」

「ん、とりあえずメインの通りは出来たぽい。職人総出で作ってるみたいで異常に早いよ。……そうそう、今度記念にちょっとしたお祝いの祭り? 開催するらしいぞ」

「っへー」

祭りと聞いて加賀の頭に思い浮かぶの収穫祭のお祭りだ。
今回はちょっとしたと言う事からそこまで大規模ではないだろうが、それでも露店が出す余地はあるだろう。

「……チョコ普及しなきゃ。アイネさん今回は甘味でどーです?」

「いいと思う」

「や、まだ先の話だし……寒くなってくるだろうから露店はどうだろなあ。あ、でも温かいのだせばいいのか」

温かい甘味と聞いて思案に入るアイネ。
先の話と言う事であるがやる気は十分のようだ。

う(りんごでもええのよ)

「りんご好きだねー……焼きリンゴとかあるんだけど、屋台だと難しいかな。……ん、今度つくったげるから、服ひっぱらないの」

そしてうーちゃんは相変わらずりんご押しのようだ。
服をぐいぐいひっぱり加賀にアピールするのを忘れない。

「まーまだ先みたいですし。色々試しに作ってどれいいか決めましょか」

「それが良いんでない? 雪が降る前つってたけどまだ先よ」

うーちゃんの頬を揉みつつそう締め括る加賀。
八木もそれ以上は情報を持っていないようなのでその話は一旦終わりとなる。


「んじゃ、言ってくらー」

「おー、がんばー」

昼食を終えた八木は加賀に見送られ仕事へと向かう。
とは言ってもすぐそばの事務所に行くだけであるが。

「うぃっす。午前中はすまんかった」

事務所ではオルソンをはじめとしたモヒカン達が製図台に向かい図面を作成していた。
八木は午前中休みであったは彼らはそうでなかったようだ。

「いえ……聞きましたよ、ドワーフと同じペースで飲むとか危ないですよ? 彼らの内臓は人間とは別物です」

「いやあ……本当そうだったわ、次は自分のペースで飲むよ……それで、この机の上の紙束は何なんでしょうか。私とても嫌な予感がするのです」

「急に変な口調ならんでください、き……例のお祭り関係の仕事だそうですよ、エルザさんが午前中来ておいていきました。今日でも明日でも良いのでざっと目を通したら来てください、だそうです」

一瞬何か失礼な事を言いかけたオルソンであるが、特に表情を変える事もなく淡々とエルザからの言付けを八木に伝えて行く。

「あら、予感が外れるだなんて……すまん、普通に話すからその目やめてっ」

ごみを見るかの様な目を向けるオルソンに謝る八木、とりあえず誤魔化すように紙束へざっと目を通しはじめる。

「んー」

「どうですか?」

紙束にざっと目を通しぽりぽりと頬を掻く八木であるが、その顔には何とも言えない表情が浮かんでいる。
それを見て気になったのかオルソンが八木に言葉を投げかける。

「思ったよりは普通の仕事だな、ちょっと凝った会場にしたいらしくて案だしてだってさ」

「案ですか……会場となるとあまり経験は無いのですが」

「ああ、色んなとこに応募かけて一番良さそうなのにするらしいよ、だからまあ気楽にね? 太っ腹な事に案だすだけでも報酬でるそうだからやって損はないね」

ダンジョンが出来、人と金が大量に入ってきたフォルセイリアでは溜め込みすぎないようにこう言った細かいところでもお金を回すようにしているようだ。
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