9 / 332
8話 「丘向こうの城壁」
しおりを挟む
「おい、加賀起きろ……起きろってば、おい……」
すやすやと気持ちよさそうに寝続ける加賀。
八木は起こそうと加賀の体をゆするが一向に目を覚まさない。
そんな加賀をみて八木はため息をひとつ付くと加賀の頬つまみ軽くひねる。
「っ!? いだだだだっ!?」
「おう、おきたか」
「ちょっ、八木なにす……んの? ってそちらはドナタ!?」
揺すられてもおきない加賀であったが、さすがに頬をつねられては起きるほかなかったようだ。
頬をさすりながら八木に文句を言おうとするが、その隣に知らない人物が立っていることに気づき驚きの声を上げる。
「俺はバクス、通りすがりの宿屋の主人だ」
「えっ宿屋の主人……? そんなムキムキなのに?」
「元探索者だそうだ、てか俺らを助けてくれたんだぞ、礼いっとけよー」
とても宿屋の主人には見えないバクスを前に惚けた表情をしていた加賀だが、八木の言葉にはっとした表情をすると姿勢をただしバクスへと向き合うと地面に手を付き、頭を下げ礼の述べた。
いわゆる土下座スタイルという奴である。
「この度は危ない所を助けて頂き……」
「いや、そういうのは良いから、なんかもう申し訳ない気持ちでいっぱいになるから、そんな格好で礼をいうのはやめてくれ……」
加賀の土下座スタイルをみてバクスは泣きそうな顔でそう言った。
「おし、それじゃーバクスさん。加賀も目をさました事だしこいつ運んじまいましょう」
「お、おう そうだな……」
バクスはいまだ先ほどのダメージから立ち直っていないようだが、八木はバクスに声をかけると背負子のほうへと向かう。
「はっ そういえばさっきの猪どうなったの?───ほぎゃあ!?」
八木の言葉に反応した加賀があたりを見回す。
……そして視界にはいったのはごろんと地面に転がる猪の頭と背負子に乗せられた猪肉の姿であった。
切断された生き物の頭部を不意に目にしたのだから加賀が思わず悲鳴をあげてしまったのは無理もない事だろう。
「え、何これさっきの猪? これをバクスさんが?」
「そうよ! すごかったぜーあのぶっとい首を一撃よ、一撃」
「……なに、どうってことないさ。ほら日が暮れる前にさっさと運んじまうぞ」
加賀のキラキラした尊敬の眼差しを受け、ややぶっきら棒にそう言うバクス。
バクスの頬がひくついて見えるのは思わず顔がにやけてしまうのを耐える為だろうか。
加賀のように若い子(実年齢は別として)にそういった眼差しで見られるのに慣れてないのかも知れない。
「よし、運ぶか。八木はこれを肩当て代わりにしとけ、皮がずる剥けになっちまうぞ」
「ありがてえ、ありがてえ……おし、それじゃ行きますか」
八木はバクスから受け取った厚手の布を肩にあて背負子を背負う。
軽い掛け声と共に背負子を背負う八木、ふらつく事もなくしっかりと立っている。
身体能力向上が多いに役立っているのだろう。
「大丈夫そうか?」
「んん、街までの距離によるけど…このぐらいの重さなら行けると思う。」
バクス曰わく、このペースで歩き続ければ街まで1時間ほどで着くとの事。
イリアが言ってたとおり森の近くに街があるようだ。
「そういや、さっき道具があれば色々作れるって言ってたが八木は木工職人か何かなのか?」
「いや、これでも建築家なんだ。木工もやるけどそっちは半分趣味みたいなもんかな…家具とかそのへんも自分で作りたくなってちょこちょこ作っててそれなりには作れるよ。もちろん本職にはかなわないけど」
「そいつあすごいな」
「お礼といっちゃなんだけど、良ければ何か作りますぜ……宿屋なら家具とか?」
「ははっ。そうかそいつは楽しみにしとくよ。つっても今宿は改築中だがな」
街に着くまでの間は特に何事もなく、八木たちは世間話がてら街とバクスについて情報を集めていた。
まずバクスだが、なんと元はSランク……つまりはトップレベルの探索者だったらしい。
現役から離れてしばらくたつが日々のトレーニングはかかしてなく、さきほど猪を狩ったように暇をみては狩りに出てるそうだ。
ちなみに猪の正式名称はウォーボアーといい。ランクCの魔獣だと言う。
安全な場所とはなんだったのだろうか。
街の名前はフォルセイリア、今から80年ほど前に街のすぐそばにダンジョンの入り口が現れ、ダンジョン目当ての探索者や商人で賑わっていたとの事。
だが15年ほど前にダンジョンが攻略されてからは人が徐々に離れていき、人口20000人以上だったのが今では人口10000人程まで落ち込んでる。
それでも結構な人数が残ってるのには理由があり。
ダンジョンが攻略されても数は少ないがモンスターは湧き続ける、ダンジョン内のモンスターからは外にいるモンスターよりも高確率で魔石がとれる為これ目当ての探索者や商人がそれなりにいる。
さらには土地が肥沃であり農業が盛ん、広大な土地を利用しての酪農も盛ん、港町と王都を結ぶ経路に街が位置するため商人の出入りが多い……要は仕事がたくさんあるので自然と人が集まると言うことらしい。
そんなこんなで話しながら道を進んでいると彼等の前方に、小さな丘が見えてくる。
「あれを超えると街が見える。もうすぐつくぞ」
残りあと少し、そう言い聞かせて坂を上る八木。
登り切ったところで顔を上げ思わず感嘆の声を上げる……八木の視線の先には城壁に囲まれた街が姿を現していた。
すやすやと気持ちよさそうに寝続ける加賀。
八木は起こそうと加賀の体をゆするが一向に目を覚まさない。
そんな加賀をみて八木はため息をひとつ付くと加賀の頬つまみ軽くひねる。
「っ!? いだだだだっ!?」
「おう、おきたか」
「ちょっ、八木なにす……んの? ってそちらはドナタ!?」
揺すられてもおきない加賀であったが、さすがに頬をつねられては起きるほかなかったようだ。
頬をさすりながら八木に文句を言おうとするが、その隣に知らない人物が立っていることに気づき驚きの声を上げる。
「俺はバクス、通りすがりの宿屋の主人だ」
「えっ宿屋の主人……? そんなムキムキなのに?」
「元探索者だそうだ、てか俺らを助けてくれたんだぞ、礼いっとけよー」
とても宿屋の主人には見えないバクスを前に惚けた表情をしていた加賀だが、八木の言葉にはっとした表情をすると姿勢をただしバクスへと向き合うと地面に手を付き、頭を下げ礼の述べた。
いわゆる土下座スタイルという奴である。
「この度は危ない所を助けて頂き……」
「いや、そういうのは良いから、なんかもう申し訳ない気持ちでいっぱいになるから、そんな格好で礼をいうのはやめてくれ……」
加賀の土下座スタイルをみてバクスは泣きそうな顔でそう言った。
「おし、それじゃーバクスさん。加賀も目をさました事だしこいつ運んじまいましょう」
「お、おう そうだな……」
バクスはいまだ先ほどのダメージから立ち直っていないようだが、八木はバクスに声をかけると背負子のほうへと向かう。
「はっ そういえばさっきの猪どうなったの?───ほぎゃあ!?」
八木の言葉に反応した加賀があたりを見回す。
……そして視界にはいったのはごろんと地面に転がる猪の頭と背負子に乗せられた猪肉の姿であった。
切断された生き物の頭部を不意に目にしたのだから加賀が思わず悲鳴をあげてしまったのは無理もない事だろう。
「え、何これさっきの猪? これをバクスさんが?」
「そうよ! すごかったぜーあのぶっとい首を一撃よ、一撃」
「……なに、どうってことないさ。ほら日が暮れる前にさっさと運んじまうぞ」
加賀のキラキラした尊敬の眼差しを受け、ややぶっきら棒にそう言うバクス。
バクスの頬がひくついて見えるのは思わず顔がにやけてしまうのを耐える為だろうか。
加賀のように若い子(実年齢は別として)にそういった眼差しで見られるのに慣れてないのかも知れない。
「よし、運ぶか。八木はこれを肩当て代わりにしとけ、皮がずる剥けになっちまうぞ」
「ありがてえ、ありがてえ……おし、それじゃ行きますか」
八木はバクスから受け取った厚手の布を肩にあて背負子を背負う。
軽い掛け声と共に背負子を背負う八木、ふらつく事もなくしっかりと立っている。
身体能力向上が多いに役立っているのだろう。
「大丈夫そうか?」
「んん、街までの距離によるけど…このぐらいの重さなら行けると思う。」
バクス曰わく、このペースで歩き続ければ街まで1時間ほどで着くとの事。
イリアが言ってたとおり森の近くに街があるようだ。
「そういや、さっき道具があれば色々作れるって言ってたが八木は木工職人か何かなのか?」
「いや、これでも建築家なんだ。木工もやるけどそっちは半分趣味みたいなもんかな…家具とかそのへんも自分で作りたくなってちょこちょこ作っててそれなりには作れるよ。もちろん本職にはかなわないけど」
「そいつあすごいな」
「お礼といっちゃなんだけど、良ければ何か作りますぜ……宿屋なら家具とか?」
「ははっ。そうかそいつは楽しみにしとくよ。つっても今宿は改築中だがな」
街に着くまでの間は特に何事もなく、八木たちは世間話がてら街とバクスについて情報を集めていた。
まずバクスだが、なんと元はSランク……つまりはトップレベルの探索者だったらしい。
現役から離れてしばらくたつが日々のトレーニングはかかしてなく、さきほど猪を狩ったように暇をみては狩りに出てるそうだ。
ちなみに猪の正式名称はウォーボアーといい。ランクCの魔獣だと言う。
安全な場所とはなんだったのだろうか。
街の名前はフォルセイリア、今から80年ほど前に街のすぐそばにダンジョンの入り口が現れ、ダンジョン目当ての探索者や商人で賑わっていたとの事。
だが15年ほど前にダンジョンが攻略されてからは人が徐々に離れていき、人口20000人以上だったのが今では人口10000人程まで落ち込んでる。
それでも結構な人数が残ってるのには理由があり。
ダンジョンが攻略されても数は少ないがモンスターは湧き続ける、ダンジョン内のモンスターからは外にいるモンスターよりも高確率で魔石がとれる為これ目当ての探索者や商人がそれなりにいる。
さらには土地が肥沃であり農業が盛ん、広大な土地を利用しての酪農も盛ん、港町と王都を結ぶ経路に街が位置するため商人の出入りが多い……要は仕事がたくさんあるので自然と人が集まると言うことらしい。
そんなこんなで話しながら道を進んでいると彼等の前方に、小さな丘が見えてくる。
「あれを超えると街が見える。もうすぐつくぞ」
残りあと少し、そう言い聞かせて坂を上る八木。
登り切ったところで顔を上げ思わず感嘆の声を上げる……八木の視線の先には城壁に囲まれた街が姿を現していた。
22
あなたにおすすめの小説
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
転生小説家の華麗なる円満離婚計画
鈴木かなえ
ファンタジー
キルステン伯爵家の令嬢として生を受けたクラリッサには、日本人だった前世の記憶がある。
両親と弟には疎まれているクラリッサだが、異母妹マリアンネとその兄エルヴィンと三人で仲良く育ち、前世の記憶を利用して小説家として密かに活躍していた。
ある時、夜会に連れ出されたクラリッサは、弟にハメられて見知らぬ男に襲われそうになる。
その男を返り討ちにして、逃げ出そうとしたところで美貌の貴公子ヘンリックと出会った。
逞しく想像力豊かなクラリッサと、その家族三人の物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる