55 / 332
54話 「まだまだ来るようで」
しおりを挟む
バクスと共に扉をくぐり入ってきた人物、ガイに三人の視線が集まる。
なお、うーちゃんは入ってきた人物を特に気にすることなくビーフシチューを食いまくっている。
視線を受け、さらには皆が食事中だったことに気が付いたガイは気まずそうに口を開く。
「すいやせん。食事中だったんすね……えっと、出直して来ますんで……」
「まあ待て、お前その様子じゃ街についたばかりで宿もとってないだろ。いまからじゃどこも満員で入れんぞ、俺のとこに来たのはその相談のためじゃないのか? とりあえず飯でも食ってけ、どうせ能力使って走ってきたんだろうし腹減ってるだろ」
とりあえず手でも洗ってこいと言われ一度食堂を出て洗面所に向かうガイ。
それを見送った後バクスは皆の方を見て口を開く。
「すまんな、勝手に話進めて……昔からの知り合いでな、弟子みたいなもんなんだ」
「なるほどお弟子さんでしたか……あぁ、彼にお客さんになって貰おうと?」
「ああ、あいつ自身ちょっと軽いところがあるが悪いやつじゃない。それに5人ぐらいでPT組んでてな試しに止まって貰うには悪くない人数だ。それに皆そう悪いやつでもないしな」
そう言ってコップの中身を一口飲むバクス。少し長く話して喉が渇いていたのだろう満足そうにふぅと軽く息を吐く。
「他の宿とってしまってからだと奴にも手間を掛けさせてしまうからな……つい招いちまった」
「なるほど、そういうことでしたか。……ところで話は変わるんすけど、能力ってなんです?」
「ん? ああ……話しても好いんだが一応あいつに聞いてからでいいか? そろそろ戻ってくるだろうし。っと加賀、すまないが追加で食事用意して貰っても良いだろうか?」
加賀はその言葉にはーいと返事をし厨房へと向かう。
それから少しして再び食堂の扉がガチャリと開かれる。
手を洗う次いでに顔も洗ったのだろう、大分さっぱりした表情でガイが食堂に入ってきた。
「……うまそうな匂いが」
さっぱりして落ち着いたのか食堂にはいるなりくんくんと匂いをかぐガイ。
「おう、戻ったか。いま用意して貰ってるから座って待っとけ」
「あざっす!」
そわそわした様子で厨房の方をちらちらと伺うガイ。
おこにお皿を持った加賀が出てくるとその視線はさらに釘付けとなる。
「はい、お待たせしましたー」
テーブルにの上にことりと置かれた湯気を立てる皿を前にして、世話しなく視線をバクスと皿に行ったり来たりさせるガイを見て苦笑しつつ口を開くバクス。
「俺らのことは気にせず食っていいぞ。お代わりまってるだけだからな」
「っいただきまっす!」
バクスが言うや否やすぐさまシチューをかっこむガイ。
よほどお腹が空いていたのだろう、加賀がお代わりを注ぎやすいようにと厨房から寸胴鍋をストーブの移動したそのわずかの間にシチューの皿はもう空になっていた。
「相変わらず食うのはええな、おい……加賀、俺は後回しでいいから先に注いでやってくれ」
「はーい。食べるのはやいですね、お口に合いましたかー?」
加賀の言葉にぶんぶんと肯くガイ。その視線は注がれるシチューに釘付けである。
「はい! 食べたことない味だけど、むっちゃおいしいです!」
「ん、ありがとね。たくさん作ったからいっぱい食べてねー」
「はい!」
皆のおかわりを注ぎようやく落ち着けた加賀。
出来栄えを確かめるようにシチューを口に含む。
「うん、いけるいける。すじ肉もだいぶ良い感じだね」
「ほう……確かに、すじ肉がここまで柔くなるとはな」
「へーこれすじ肉なんすね…………えっすじ肉!?」
すじ肉と聞いて一瞬固まるガイだが、そんな事よりも食欲が勝ったのか再び何事のなかったかのようにシチューを次々と胃に納めていく。
「もう食えないっす」
「さっすがに食いすぎたな……」
「はい、デザートのプリンだよー」
プリンを見て小躍りするうーちゃんと対照的にプリンを見て固まる男衆。
咲耶はデザートが出ることを予想していたのだろうにこにことプリンを口に運んでいる。
「やっぱりデザート分は開けておかないとねえ」
「……デザートはゆっくり食うとして。ガイ、そろそろ事情聞いてもいいか? 宿探してるってことは分かるんだがな」
「あっはい!」
デザートを食べつつガイの話に耳を傾ける一同。
ガイの話が一通り終わったところでちょうど食べ終わったプリンの器を起き、バクスがふむと頷く。
「なるほどね、隣国のダンジョン攻略した直後にここのダンジョンの噂を聞いたと」
「そうなんすよ、酷いんですよみんな! ダンジョン攻略していざ凱旋! と思ったら冒険者みんな居なくなってるんですもん。出むかえてくれたの宝目当ての商人だけっすよ!」
なるほどねえと言って茶をすするバクス。
ほうっと一息つき、ひどいっすと憤慨するガイをみて思わず苦笑い。
「それで宝のオークションやら何やらあるんで、身軽な連中だけ先行でこっちきたと……まて」
「はい、なんでしょう!」
「全部で何人くるんだ? お前のとこのPTだけじゃないのか」
バクスの言葉に腕を組み考え込むガイ。
「たしか……合計で30人はいたっす。先行で来てるのは各PTから1人なんで……全部で5人す」
「部屋の大半がそいつらだけで埋まるじゃねえか……救いなのは来るのは当分先ってことか」
「まあまあバクスさん、人がこないより良いんじゃないですか? それにある程度の期間一緒に過ごして人達なんでしょ? トラブルとかも少なくなるんじゃないすかね」
八木の言葉にまあ、そうかも知れんが……としばらく考えていたがふと顔を上げたときにはすっきりした表情をしているバクス。
「なるようになるか」
そう言って2個目のプリンに手をつけるバクス。
吹っ切れたのか考える事を放棄したのか。果たしてどちらだろうか。
なお、うーちゃんは入ってきた人物を特に気にすることなくビーフシチューを食いまくっている。
視線を受け、さらには皆が食事中だったことに気が付いたガイは気まずそうに口を開く。
「すいやせん。食事中だったんすね……えっと、出直して来ますんで……」
「まあ待て、お前その様子じゃ街についたばかりで宿もとってないだろ。いまからじゃどこも満員で入れんぞ、俺のとこに来たのはその相談のためじゃないのか? とりあえず飯でも食ってけ、どうせ能力使って走ってきたんだろうし腹減ってるだろ」
とりあえず手でも洗ってこいと言われ一度食堂を出て洗面所に向かうガイ。
それを見送った後バクスは皆の方を見て口を開く。
「すまんな、勝手に話進めて……昔からの知り合いでな、弟子みたいなもんなんだ」
「なるほどお弟子さんでしたか……あぁ、彼にお客さんになって貰おうと?」
「ああ、あいつ自身ちょっと軽いところがあるが悪いやつじゃない。それに5人ぐらいでPT組んでてな試しに止まって貰うには悪くない人数だ。それに皆そう悪いやつでもないしな」
そう言ってコップの中身を一口飲むバクス。少し長く話して喉が渇いていたのだろう満足そうにふぅと軽く息を吐く。
「他の宿とってしまってからだと奴にも手間を掛けさせてしまうからな……つい招いちまった」
「なるほど、そういうことでしたか。……ところで話は変わるんすけど、能力ってなんです?」
「ん? ああ……話しても好いんだが一応あいつに聞いてからでいいか? そろそろ戻ってくるだろうし。っと加賀、すまないが追加で食事用意して貰っても良いだろうか?」
加賀はその言葉にはーいと返事をし厨房へと向かう。
それから少しして再び食堂の扉がガチャリと開かれる。
手を洗う次いでに顔も洗ったのだろう、大分さっぱりした表情でガイが食堂に入ってきた。
「……うまそうな匂いが」
さっぱりして落ち着いたのか食堂にはいるなりくんくんと匂いをかぐガイ。
「おう、戻ったか。いま用意して貰ってるから座って待っとけ」
「あざっす!」
そわそわした様子で厨房の方をちらちらと伺うガイ。
おこにお皿を持った加賀が出てくるとその視線はさらに釘付けとなる。
「はい、お待たせしましたー」
テーブルにの上にことりと置かれた湯気を立てる皿を前にして、世話しなく視線をバクスと皿に行ったり来たりさせるガイを見て苦笑しつつ口を開くバクス。
「俺らのことは気にせず食っていいぞ。お代わりまってるだけだからな」
「っいただきまっす!」
バクスが言うや否やすぐさまシチューをかっこむガイ。
よほどお腹が空いていたのだろう、加賀がお代わりを注ぎやすいようにと厨房から寸胴鍋をストーブの移動したそのわずかの間にシチューの皿はもう空になっていた。
「相変わらず食うのはええな、おい……加賀、俺は後回しでいいから先に注いでやってくれ」
「はーい。食べるのはやいですね、お口に合いましたかー?」
加賀の言葉にぶんぶんと肯くガイ。その視線は注がれるシチューに釘付けである。
「はい! 食べたことない味だけど、むっちゃおいしいです!」
「ん、ありがとね。たくさん作ったからいっぱい食べてねー」
「はい!」
皆のおかわりを注ぎようやく落ち着けた加賀。
出来栄えを確かめるようにシチューを口に含む。
「うん、いけるいける。すじ肉もだいぶ良い感じだね」
「ほう……確かに、すじ肉がここまで柔くなるとはな」
「へーこれすじ肉なんすね…………えっすじ肉!?」
すじ肉と聞いて一瞬固まるガイだが、そんな事よりも食欲が勝ったのか再び何事のなかったかのようにシチューを次々と胃に納めていく。
「もう食えないっす」
「さっすがに食いすぎたな……」
「はい、デザートのプリンだよー」
プリンを見て小躍りするうーちゃんと対照的にプリンを見て固まる男衆。
咲耶はデザートが出ることを予想していたのだろうにこにことプリンを口に運んでいる。
「やっぱりデザート分は開けておかないとねえ」
「……デザートはゆっくり食うとして。ガイ、そろそろ事情聞いてもいいか? 宿探してるってことは分かるんだがな」
「あっはい!」
デザートを食べつつガイの話に耳を傾ける一同。
ガイの話が一通り終わったところでちょうど食べ終わったプリンの器を起き、バクスがふむと頷く。
「なるほどね、隣国のダンジョン攻略した直後にここのダンジョンの噂を聞いたと」
「そうなんすよ、酷いんですよみんな! ダンジョン攻略していざ凱旋! と思ったら冒険者みんな居なくなってるんですもん。出むかえてくれたの宝目当ての商人だけっすよ!」
なるほどねえと言って茶をすするバクス。
ほうっと一息つき、ひどいっすと憤慨するガイをみて思わず苦笑い。
「それで宝のオークションやら何やらあるんで、身軽な連中だけ先行でこっちきたと……まて」
「はい、なんでしょう!」
「全部で何人くるんだ? お前のとこのPTだけじゃないのか」
バクスの言葉に腕を組み考え込むガイ。
「たしか……合計で30人はいたっす。先行で来てるのは各PTから1人なんで……全部で5人す」
「部屋の大半がそいつらだけで埋まるじゃねえか……救いなのは来るのは当分先ってことか」
「まあまあバクスさん、人がこないより良いんじゃないですか? それにある程度の期間一緒に過ごして人達なんでしょ? トラブルとかも少なくなるんじゃないすかね」
八木の言葉にまあ、そうかも知れんが……としばらく考えていたがふと顔を上げたときにはすっきりした表情をしているバクス。
「なるようになるか」
そう言って2個目のプリンに手をつけるバクス。
吹っ切れたのか考える事を放棄したのか。果たしてどちらだろうか。
12
あなたにおすすめの小説
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
転生小説家の華麗なる円満離婚計画
鈴木かなえ
ファンタジー
キルステン伯爵家の令嬢として生を受けたクラリッサには、日本人だった前世の記憶がある。
両親と弟には疎まれているクラリッサだが、異母妹マリアンネとその兄エルヴィンと三人で仲良く育ち、前世の記憶を利用して小説家として密かに活躍していた。
ある時、夜会に連れ出されたクラリッサは、弟にハメられて見知らぬ男に襲われそうになる。
その男を返り討ちにして、逃げ出そうとしたところで美貌の貴公子ヘンリックと出会った。
逞しく想像力豊かなクラリッサと、その家族三人の物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる