59 / 332
58話 「原因が分かったらしい」
しおりを挟む
「ずるいっす! 俺にもくださいっ!」
「おう、ずいぶん美味そうに食ってるなおい」
「ええ、美味しいですよ?」
風呂を上がり食堂に来てみれば、アルヴィンは先ほどの風呂場での出来事など何もなかったかのように一人デザートを堪能していた。
胡乱げな視線を向けつつ対面に座るヒューゴ、それを見計らったかのようにコトリとテーブルの上にデザートのプリンが置かれる。
ただし、置いたのは加賀ではなく咲耶であった。
「お、ありがとさん……どちらさまでしょう」
「咲耶と申します。皆さんの分もこちらに置いておきますね」
見知らぬ人物の登場に思わず敬語になってしまうヒューゴ。
それを見て咲耶は軽く微笑みつつ残りのプリンをテーブルに並べていく。
「かたじけない、有り難く頂きます」
「やあ、こいつは美味そうだ……カスタードプディングというやつかな? ここでも食べられるとは思わなかったなあ」
プリンを見てありがたそうに受け取るイクセル。チェスターは過去に食べたことがあるのだろう、懐かしむようにプリンを眺めている。
ただアントンだけはプリンをみて微妙な表情を浮かべていた。それを見た咲耶が心配げに声を掛ける。
「あの……もしかして甘いものは苦手でしたか?」
「ぬ? ……すまんな、甘いものはあまり得意ではなくてのお」
「そうでしたか……では、お酒を用意しましょうか? つまみになるものも一緒に」
提案を受け嬉しそうに承諾するアントン。
咲耶は余ったプリンを手に厨房へと戻っていく。
なお、余ったプリンはうーちゃんのお腹に収まることになる。うーちゃんの中で少しだけアントンの株が上がるのであった。
厨房へと向かう咲耶を見送るヒューゴ、姿が見えなくなったところでプリンを手に取り口へと運ぶ。
「お、いけるじゃん……さっきのがもう一人の神の落とし子ねえ……そういや加賀ちゃんはどうしたんよ、話は聞けたのか?」
「ええ、聞けましたよ……先ほどの話、他の者にも伝えて問題ないですか?加賀」
アルヴィンが話しかけた方向、そちらにヒューゴが視線を向ける。そこには少しだるそうに椅子に腰掛ける加賀の姿があった。
「んあ……どーぞどーぞ」
「ありがとうございます、加賀」
加賀に礼を述べ、改めてヒューゴと向かい合うアルヴィン。まわりではガイを除いた残りの3人もいつの間にかそばに集まっていた。
「まず、異常な精霊の力ですが原因は彼女の加護にありました……加護の内容は彼女が作った料理は誰でも人と同じように食べれるといったものです」
「んんん? それと精霊の力の何が関係すんだ?」
「単純な話です。単に食事目当てで精霊が集まっていたのです」
ここで一度ちらりと加賀をみて、再びヒューゴのほうへ顔を向ける。
食事目当てときいて怪訝な顔をする皆をみて、少し苦笑しながら口を開く。
「元々は種族特有の食中毒対策だったそうです。試しに精霊に上げて見たところ食べれたそうで……」
「なるほどのお。そうやって精霊を集めれるってことはあの子はかなり精霊魔法を扱えると言うことかのお」
「いえ、そうではないようです。ただ単に精霊を集める事が出来ると言うだけで……精霊に何かをして貰うには魔力を渡すしかありません、実際試しに魔力が尽きる直前までという条件で精霊魔法を使ってみてもらいましたがすぐに打ち止めになりました、一般的な魔法使いと比べて魔力が多いと言ったこともないです」
だるそうにしている加賀をみてなるほどねと納得する一同。
「つまりは勘違いだったと言うことですか」
「勘違い……ええ、まあそうですね。あそこまで精霊が集まってると勘違いする人はでるでしょう……加賀には精霊石がついたアクセサリーを買うことを進めておきました」
チェスターの言葉に頷くアルヴィン。
加賀に進めたという精霊石つきのアクセサリーは、中に精霊を入れておく事が出来る魔道具の一種であり。
ダンジョンの宝箱からまれに産出する。
中にいる間は精霊の力が漏れることもない、食事の間だけは精霊石から出る必要があるが……それでも今の状態よりずっとましとの事である。
「ま、難にせよ懸念が消えてよかったじゃねーか」
「うむ、そうであるな……ところでさっきから良い匂いが……む?」
「お待たせしました、お酒とおつまみセットになります」
「おお! きたか待っておったぞい」
お酒がなみなみ注がれたジョッキとバクス特性の燻製セット、さらには加賀が昼間作っておいたコンビーフを使ったパテに焼き立てガーリックトーストとおつまみにしてはかなり豪勢な料理が盛られた皿がテーブルに置かれる。
「うむ、美味い。かなり上等な腸詰だの……」
「あの…食中毒対策ということでしたが、もしかしたら彼にも効果があるのでしょうか」
「ぬん? ……ああ、そうかもしれんの」
食べ終わった容器をテーブルに置き、期待のこもった眼差しで加賀を見つめるイクセル。
アントンもつられたように加賀へちらりと視線を向ける。
「? な、なんでしょー……」
「加賀殿、少々お聞きしたい事があります」
「は、はいどうぞー」
その視線に気づいた加賀は慌てた様子でもたれ掛っていた体制を整える。
「実は我々のPTメンバーの一人がですね、卵を食べると嘔吐したり呼吸が苦しくなったりと様々な症状がでるようなのです。彼曰く昔は平気だったそうなのですが……食中毒とは違うかと思います。でも効果が少しでもあるのなら試してみたいのです。彼自身卵が大好物だったようで、ほかの人が食べてるのを辛そうに眺めているのを目撃すると……」
「あ、はい……たぶんアレルギーですね。それならボクが作った料理であれば平気だと思います。確証はないですけど……」
「おお! そうでしたか、おそらくあと一月もすれば彼もこちらに来ると思います。その時にはぜひとも頼みます」
可能性があるとわかり一気にテンショを上げるイクセル。
その勢いに若干引きつつも笑顔で応じる加賀。本来の目的で加護を使う機会がようやく訪れるようである。
「おう、ずいぶん美味そうに食ってるなおい」
「ええ、美味しいですよ?」
風呂を上がり食堂に来てみれば、アルヴィンは先ほどの風呂場での出来事など何もなかったかのように一人デザートを堪能していた。
胡乱げな視線を向けつつ対面に座るヒューゴ、それを見計らったかのようにコトリとテーブルの上にデザートのプリンが置かれる。
ただし、置いたのは加賀ではなく咲耶であった。
「お、ありがとさん……どちらさまでしょう」
「咲耶と申します。皆さんの分もこちらに置いておきますね」
見知らぬ人物の登場に思わず敬語になってしまうヒューゴ。
それを見て咲耶は軽く微笑みつつ残りのプリンをテーブルに並べていく。
「かたじけない、有り難く頂きます」
「やあ、こいつは美味そうだ……カスタードプディングというやつかな? ここでも食べられるとは思わなかったなあ」
プリンを見てありがたそうに受け取るイクセル。チェスターは過去に食べたことがあるのだろう、懐かしむようにプリンを眺めている。
ただアントンだけはプリンをみて微妙な表情を浮かべていた。それを見た咲耶が心配げに声を掛ける。
「あの……もしかして甘いものは苦手でしたか?」
「ぬ? ……すまんな、甘いものはあまり得意ではなくてのお」
「そうでしたか……では、お酒を用意しましょうか? つまみになるものも一緒に」
提案を受け嬉しそうに承諾するアントン。
咲耶は余ったプリンを手に厨房へと戻っていく。
なお、余ったプリンはうーちゃんのお腹に収まることになる。うーちゃんの中で少しだけアントンの株が上がるのであった。
厨房へと向かう咲耶を見送るヒューゴ、姿が見えなくなったところでプリンを手に取り口へと運ぶ。
「お、いけるじゃん……さっきのがもう一人の神の落とし子ねえ……そういや加賀ちゃんはどうしたんよ、話は聞けたのか?」
「ええ、聞けましたよ……先ほどの話、他の者にも伝えて問題ないですか?加賀」
アルヴィンが話しかけた方向、そちらにヒューゴが視線を向ける。そこには少しだるそうに椅子に腰掛ける加賀の姿があった。
「んあ……どーぞどーぞ」
「ありがとうございます、加賀」
加賀に礼を述べ、改めてヒューゴと向かい合うアルヴィン。まわりではガイを除いた残りの3人もいつの間にかそばに集まっていた。
「まず、異常な精霊の力ですが原因は彼女の加護にありました……加護の内容は彼女が作った料理は誰でも人と同じように食べれるといったものです」
「んんん? それと精霊の力の何が関係すんだ?」
「単純な話です。単に食事目当てで精霊が集まっていたのです」
ここで一度ちらりと加賀をみて、再びヒューゴのほうへ顔を向ける。
食事目当てときいて怪訝な顔をする皆をみて、少し苦笑しながら口を開く。
「元々は種族特有の食中毒対策だったそうです。試しに精霊に上げて見たところ食べれたそうで……」
「なるほどのお。そうやって精霊を集めれるってことはあの子はかなり精霊魔法を扱えると言うことかのお」
「いえ、そうではないようです。ただ単に精霊を集める事が出来ると言うだけで……精霊に何かをして貰うには魔力を渡すしかありません、実際試しに魔力が尽きる直前までという条件で精霊魔法を使ってみてもらいましたがすぐに打ち止めになりました、一般的な魔法使いと比べて魔力が多いと言ったこともないです」
だるそうにしている加賀をみてなるほどねと納得する一同。
「つまりは勘違いだったと言うことですか」
「勘違い……ええ、まあそうですね。あそこまで精霊が集まってると勘違いする人はでるでしょう……加賀には精霊石がついたアクセサリーを買うことを進めておきました」
チェスターの言葉に頷くアルヴィン。
加賀に進めたという精霊石つきのアクセサリーは、中に精霊を入れておく事が出来る魔道具の一種であり。
ダンジョンの宝箱からまれに産出する。
中にいる間は精霊の力が漏れることもない、食事の間だけは精霊石から出る必要があるが……それでも今の状態よりずっとましとの事である。
「ま、難にせよ懸念が消えてよかったじゃねーか」
「うむ、そうであるな……ところでさっきから良い匂いが……む?」
「お待たせしました、お酒とおつまみセットになります」
「おお! きたか待っておったぞい」
お酒がなみなみ注がれたジョッキとバクス特性の燻製セット、さらには加賀が昼間作っておいたコンビーフを使ったパテに焼き立てガーリックトーストとおつまみにしてはかなり豪勢な料理が盛られた皿がテーブルに置かれる。
「うむ、美味い。かなり上等な腸詰だの……」
「あの…食中毒対策ということでしたが、もしかしたら彼にも効果があるのでしょうか」
「ぬん? ……ああ、そうかもしれんの」
食べ終わった容器をテーブルに置き、期待のこもった眼差しで加賀を見つめるイクセル。
アントンもつられたように加賀へちらりと視線を向ける。
「? な、なんでしょー……」
「加賀殿、少々お聞きしたい事があります」
「は、はいどうぞー」
その視線に気づいた加賀は慌てた様子でもたれ掛っていた体制を整える。
「実は我々のPTメンバーの一人がですね、卵を食べると嘔吐したり呼吸が苦しくなったりと様々な症状がでるようなのです。彼曰く昔は平気だったそうなのですが……食中毒とは違うかと思います。でも効果が少しでもあるのなら試してみたいのです。彼自身卵が大好物だったようで、ほかの人が食べてるのを辛そうに眺めているのを目撃すると……」
「あ、はい……たぶんアレルギーですね。それならボクが作った料理であれば平気だと思います。確証はないですけど……」
「おお! そうでしたか、おそらくあと一月もすれば彼もこちらに来ると思います。その時にはぜひとも頼みます」
可能性があるとわかり一気にテンショを上げるイクセル。
その勢いに若干引きつつも笑顔で応じる加賀。本来の目的で加護を使う機会がようやく訪れるようである。
11
あなたにおすすめの小説
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
転生小説家の華麗なる円満離婚計画
鈴木かなえ
ファンタジー
キルステン伯爵家の令嬢として生を受けたクラリッサには、日本人だった前世の記憶がある。
両親と弟には疎まれているクラリッサだが、異母妹マリアンネとその兄エルヴィンと三人で仲良く育ち、前世の記憶を利用して小説家として密かに活躍していた。
ある時、夜会に連れ出されたクラリッサは、弟にハメられて見知らぬ男に襲われそうになる。
その男を返り討ちにして、逃げ出そうとしたところで美貌の貴公子ヘンリックと出会った。
逞しく想像力豊かなクラリッサと、その家族三人の物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる