63 / 332
62話 「胃に孔があきそう?」
しおりを挟む
街を一回りしもうすぐ宿に着くと行ったところで二人の視線が一人の人物をとらえる
「……あれ、八木かな? なんかとぼとぼ歩いてる」
「哀愁漂ってますねえ」
建築ギルドからの帰りだろう、八木がとぼとぼと歩いていた。
二人は八木と合流し……と言うよりは八木の歩みが遅かったため追いついただけであるが、後ろから声を掛ける。
「おーい、八木ー。どしたん?」
「えらく落ち込んでますねえ」
「ん……加賀とチェスターさん……」
元気の八木を引っ張りとりあえず宿へと入る一行。
「はい、どうぞー」
「あ、どうもどうも」
「ありがと、加賀」
全員分のコップをテーブルおき自分も椅子に腰掛ける加賀。
一口コップの中身を飲むと八木に向かいそれで、どうしたの?と問いかける。
「それがさ……次の依頼ここの領主さんからでさ、明日領主の館に行くことになって……むっちゃ気が重い」
「なるほどなるほど……」
「それはまた大変ですねえ」
八木の話を聞いて考え込むそぶりを見せる加賀と、相づちを打ちつつ茶をすするチェスター。
それを見て自分ものどが渇いていたのか同じく茶をすすりほっと一息つく八木。
「しかも仕事の内容がこの街の再開発の草案つくれときたもんだ……さすがに荷が重い」
「っほー……悪い話ではないんだろうけど。プレッシャーすごそうね」
「実際やばい」
ことりとコップをテーブルに置きしかし、と呟くチェスター。
八木の方を見て言葉を続ける。
「領主の依頼と言うことは断るわけにはいかないのでしょう?」
「そうなんすよね」
「でしたらチャンスと捕らえては如何です? あなた方の目的にも沿っていると思いますよ。街そのものを変えるんです、相当な人数が関わるでしょうし、宣伝にもなる。まねしようとする者や、教えを請う者も出てくるのでは?」
「うん、まあそうなんすよね……」
八木としても良い機会ではあると思っているのだろう、だが領主の依頼と聞いてどうしても尻込みしてしまうのだ。
「何の話だ?」
「あ、バクスさん」
「おう、どうした?」
話し込んでいるのを見て会話に参加してきたバクス。
椅子に腰掛けたバクスに対し加賀がざっと今までの経緯を説明する。
「ほーなるほどね、街丸ごととは大きく出たなあいつも」
「バクスさんそう言えば知り合いなんでしたっけ」
「おう、元PTメンバーだぞ。ま、変なこと言い出す奴じゃない、気軽に受けとけ。この宿自慢してやったからな大方自分も欲しくなったんだろうさ」
バクスの知り合いと言うことを思い出し、それならば……と先ほどまでに落ちこんだ雰囲気が無くなる八木。
その後は茶とお菓子をつまみつつ雑談となり、やがて話題が宿の話へと移る。
「ガイに言われて来てみたんですけどね、泊まってみるとこの宿本当に良いですよ」
「そいつは嬉しいこと言ってくれるじゃないの。参考にどのあたりが特に良かったか聞いてもいいか?」
「そうですね……飯も美味いし、布団も綺麗でふかふか……あと風呂もいいですね」
バクスに宿の良かった部分を聞かれ堪えるチェスター。風呂に言及したところで一旦言葉を句切る。
「でも、自分が一番良かったと思うのは洗濯サービスですね」
「ああ……だろうなあ」
チェスターの言葉に大いに同意するバクス。
「洗濯ものって結構な手間じゃないですか、量が多いと時間かかるし、かといって量少なくすると洗う回数増えますし……」
「洗濯は普段は自分でやってるんですかー?」
「ええ、そうですね。まあ今はこっちに来る際に不要な服をあらかた処分してきたのであまり洗うものないんですけどね」
チェスターがそう言った瞬間あらあらと声が聞こえ、ひょいと扉から咲耶が顔をのぞかせる。
「なら今持ってる服はあまりないのかしら?」
「……ええ、今着ているのともう一着ぐらいですね。せっかくなので新品を買ってしまおうかと」
「なるほど……ねえチェスターさん良ければ何ですけど、あなた向けに服を作ってみたいのだけど……一着目は無料でいいからどうかしら?」
急に現れた咲耶の提案にちらりとうーちゃんの服を見るチェスター。
振り返ると軽く笑みを浮かべる。
「ええ、ぜひお願いします」
うーちゃんの服が咲耶製であることを知っているチェスター。
その出来栄えから受けても問題ないと判断したようだ。
「ありがとう! それじゃあ早速採寸してもいいかしらー」
「へ? え、あはい。今からですか?」
「ええ、いつまでも同じ服って訳にはいかないでしょう? なるべく早く作った方がいいじゃないの」
そう言うや否や服から採寸道具を取り出し、立たせたチェスターの採寸を始める咲耶。
その後、採寸中の場面を戻ってきたヒューゴらに見つかり笑われるといったハプニングがあったものの無事採寸も終わり、上機嫌で自室へと戻る。
早速制作に取りかかるつもりなのだろう。
「おつかれさまー」
「なかなかこの手のには慣れませんねえ……はてさてどんな服が出来るのか楽しみですね」
「あまり派手なのにはしないようにって言ってあるのでー……そこまで奇抜にはならないと思いますよー」
「まあ、楽しみに待っておきましょうかね」
その後は加賀とバクスは厨房に戻り、八木は明日の準備をするため部屋へと戻り。
チェスターはヒューゴらと合流し明日以降の予定のすりあわせを行うようだ。
その後は皆で食事をし寝るだけとなり、今日も平穏な一日を終えるのであった。
「……あれ、八木かな? なんかとぼとぼ歩いてる」
「哀愁漂ってますねえ」
建築ギルドからの帰りだろう、八木がとぼとぼと歩いていた。
二人は八木と合流し……と言うよりは八木の歩みが遅かったため追いついただけであるが、後ろから声を掛ける。
「おーい、八木ー。どしたん?」
「えらく落ち込んでますねえ」
「ん……加賀とチェスターさん……」
元気の八木を引っ張りとりあえず宿へと入る一行。
「はい、どうぞー」
「あ、どうもどうも」
「ありがと、加賀」
全員分のコップをテーブルおき自分も椅子に腰掛ける加賀。
一口コップの中身を飲むと八木に向かいそれで、どうしたの?と問いかける。
「それがさ……次の依頼ここの領主さんからでさ、明日領主の館に行くことになって……むっちゃ気が重い」
「なるほどなるほど……」
「それはまた大変ですねえ」
八木の話を聞いて考え込むそぶりを見せる加賀と、相づちを打ちつつ茶をすするチェスター。
それを見て自分ものどが渇いていたのか同じく茶をすすりほっと一息つく八木。
「しかも仕事の内容がこの街の再開発の草案つくれときたもんだ……さすがに荷が重い」
「っほー……悪い話ではないんだろうけど。プレッシャーすごそうね」
「実際やばい」
ことりとコップをテーブルに置きしかし、と呟くチェスター。
八木の方を見て言葉を続ける。
「領主の依頼と言うことは断るわけにはいかないのでしょう?」
「そうなんすよね」
「でしたらチャンスと捕らえては如何です? あなた方の目的にも沿っていると思いますよ。街そのものを変えるんです、相当な人数が関わるでしょうし、宣伝にもなる。まねしようとする者や、教えを請う者も出てくるのでは?」
「うん、まあそうなんすよね……」
八木としても良い機会ではあると思っているのだろう、だが領主の依頼と聞いてどうしても尻込みしてしまうのだ。
「何の話だ?」
「あ、バクスさん」
「おう、どうした?」
話し込んでいるのを見て会話に参加してきたバクス。
椅子に腰掛けたバクスに対し加賀がざっと今までの経緯を説明する。
「ほーなるほどね、街丸ごととは大きく出たなあいつも」
「バクスさんそう言えば知り合いなんでしたっけ」
「おう、元PTメンバーだぞ。ま、変なこと言い出す奴じゃない、気軽に受けとけ。この宿自慢してやったからな大方自分も欲しくなったんだろうさ」
バクスの知り合いと言うことを思い出し、それならば……と先ほどまでに落ちこんだ雰囲気が無くなる八木。
その後は茶とお菓子をつまみつつ雑談となり、やがて話題が宿の話へと移る。
「ガイに言われて来てみたんですけどね、泊まってみるとこの宿本当に良いですよ」
「そいつは嬉しいこと言ってくれるじゃないの。参考にどのあたりが特に良かったか聞いてもいいか?」
「そうですね……飯も美味いし、布団も綺麗でふかふか……あと風呂もいいですね」
バクスに宿の良かった部分を聞かれ堪えるチェスター。風呂に言及したところで一旦言葉を句切る。
「でも、自分が一番良かったと思うのは洗濯サービスですね」
「ああ……だろうなあ」
チェスターの言葉に大いに同意するバクス。
「洗濯ものって結構な手間じゃないですか、量が多いと時間かかるし、かといって量少なくすると洗う回数増えますし……」
「洗濯は普段は自分でやってるんですかー?」
「ええ、そうですね。まあ今はこっちに来る際に不要な服をあらかた処分してきたのであまり洗うものないんですけどね」
チェスターがそう言った瞬間あらあらと声が聞こえ、ひょいと扉から咲耶が顔をのぞかせる。
「なら今持ってる服はあまりないのかしら?」
「……ええ、今着ているのともう一着ぐらいですね。せっかくなので新品を買ってしまおうかと」
「なるほど……ねえチェスターさん良ければ何ですけど、あなた向けに服を作ってみたいのだけど……一着目は無料でいいからどうかしら?」
急に現れた咲耶の提案にちらりとうーちゃんの服を見るチェスター。
振り返ると軽く笑みを浮かべる。
「ええ、ぜひお願いします」
うーちゃんの服が咲耶製であることを知っているチェスター。
その出来栄えから受けても問題ないと判断したようだ。
「ありがとう! それじゃあ早速採寸してもいいかしらー」
「へ? え、あはい。今からですか?」
「ええ、いつまでも同じ服って訳にはいかないでしょう? なるべく早く作った方がいいじゃないの」
そう言うや否や服から採寸道具を取り出し、立たせたチェスターの採寸を始める咲耶。
その後、採寸中の場面を戻ってきたヒューゴらに見つかり笑われるといったハプニングがあったものの無事採寸も終わり、上機嫌で自室へと戻る。
早速制作に取りかかるつもりなのだろう。
「おつかれさまー」
「なかなかこの手のには慣れませんねえ……はてさてどんな服が出来るのか楽しみですね」
「あまり派手なのにはしないようにって言ってあるのでー……そこまで奇抜にはならないと思いますよー」
「まあ、楽しみに待っておきましょうかね」
その後は加賀とバクスは厨房に戻り、八木は明日の準備をするため部屋へと戻り。
チェスターはヒューゴらと合流し明日以降の予定のすりあわせを行うようだ。
その後は皆で食事をし寝るだけとなり、今日も平穏な一日を終えるのであった。
11
あなたにおすすめの小説
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
転生小説家の華麗なる円満離婚計画
鈴木かなえ
ファンタジー
キルステン伯爵家の令嬢として生を受けたクラリッサには、日本人だった前世の記憶がある。
両親と弟には疎まれているクラリッサだが、異母妹マリアンネとその兄エルヴィンと三人で仲良く育ち、前世の記憶を利用して小説家として密かに活躍していた。
ある時、夜会に連れ出されたクラリッサは、弟にハメられて見知らぬ男に襲われそうになる。
その男を返り討ちにして、逃げ出そうとしたところで美貌の貴公子ヘンリックと出会った。
逞しく想像力豊かなクラリッサと、その家族三人の物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる