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72話 「打ち上げ」
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「かんぱ~い!」
掛け声と共に歓声が沸き上がり、次いで大きく息を吐く音がひびく。
ダンジョンでの活動を終えたアルヴィンらのチームが打ち上げを行っているのだ。
「はい、皆さんお疲れさまでした~、これ、追加のお酒です」
「あ! 咲耶さんありがとうございます! あと料理の追加とお酒のお代わりもまたお願いしまっす!」
「ええ、かしこまりました~……」
運んだそばから次々と平らげられていく料理とお酒。
まだまだ足りないとばかりにガイが追加で注文を行い、笑顔をで注文を受けた咲耶だが気になることがあるのか、ちらりと彼らの様子を伺う。
「どうしました? 咲耶さん」
そんなさくやの様子に気がついたチェスターがフォーク片手に声をかける。
彼はお酒はほどほどにし料理を楽しむことにしているようで、先ほどから香草を使ったパスタをもくもくと食べている。
「……明日二日酔いにならなければいいんだけど」
「ああ」
パスタを飲み込みそう呟くと、布巾で軽く口を拭う。
名残惜しそうに空になった皿を眺めつつチェスターは言葉を続けた。
「明日は休みなので大丈夫ですよ。二日酔いになれば多少苦しむでしょうが、そんなのは自業自得ですので……あ、パスタお代わり頂けますか?」
「そういう事でしたか……厨房の方に伝えておきますね、少々お待ちくださいな」
チェスターの言葉を聞いて納得した様子の咲耶。皿を回収すると厨房へと向かっていく。
「ちわー……なんか盛り上がってるね」
皆良い感じに酒がまわり食堂がより賑やかになった頃、一人の人物が食堂の扉をあけ入ってきた。
良い感じで目が死んでいる仕事帰りの八木である。
「お、八木じゃん! おつかれえ!」
「こんばんはシェイラさん……何かあったんすか」
八木をみて何かがつぼにはいったのかけらけらと笑うシェイラ。
良い感じに酔っぱらっているようで笑ったまま八木の問いに答える様子はない
「お? 八木じゃねえか。今日も生気のねー目してんなあ……まあ、ちょっとここ座れよ、空いてっから。加賀ちゃん忙しいらしいから代わりに聞かせてやんよ」
「えぇぇ……了解っす」
素面で酔っ払いに相手をするのはめんどくさい。が断ったらそれはそれでもっとめんどくさそう、そう考えた八木はしぶしぶヒューゴの隣へと座るのであった。
「へー! これがそうなんで? 3つも出たのかあ……これ、どんな効果あるんです?」
ダンジョンでの出来事を語るヒューゴ達。話はダンジョンで手に入れた魔道具へとうつっていた。
魔道具と聞いて先ほどまで死んでいた八木の目は打って変わって輝きだす。
興味津々なその様子をみてヒューゴも気分よさげに語りだす。
「おう、こっちは守護の首飾りつって魔法を軽減する効果があるんだ。んでこれが火鼠の衣つって……まあ衣ってわりにはちっさいけどな、火にむっちゃ強くなる。こうやって……腕に巻いたり、盾に張ったりして使うんだ、結構重宝するんだぜ? んでこいつが!……なんだっけ?」
「アゾートの杖ですよ。ヒューゴ」
だいぶ酔いが回っているのか何の魔道具か忘れるヒューゴ。
それに素早くつっこみを入れるアルヴィンであるが、彼もよく見ると顔は普通だが耳が真っ赤である。
こちらも良い感じに酔っているようだ。
「そうそう、アゾートの杖だ! こいつはな……なんと使うと何かに変身できるんだよ。すげーだろ」
「おぉぉ……何かって何にです?」
変身出来ると聞いて俄然テンションのあがる八木であるが肝心な部分が分からない。
一体何に変身できるのかとたずねるとヒューゴの答えは実にあっさりしたものである。
「わかんねえ」
「えぇ……」
分からないと言われ落胆した表情をみせる八木。
ヒューゴはそれを見て少しばつが悪そうに頭をかくと言葉を続ける。
「しゃーねえだろ。そういう魔道具なんだからさ、使ってみるまでわかんねーのよ。鑑定依頼してもアゾートの杖としか出てこねえ」
「はぁ……そういうもんなんすか。使ってみないんですか?」
「街中で使えるわけねーだろ」
八木の言葉に呆れた様子を見せるヒューゴ。
ぐいと酒を煽りぷはあと酒臭い息をまきちらす。
「何になるかわかんねーんだ。街中でドラゴンにでもなってみろ大騒ぎなんてもんじゃねーぜ。しばらく戻れねーしよ」
「それもそうっすねえ」
納得した様子でこちらも酒をあおる八木。
つまみ変わりの夕食に手を伸ばそうとしたところでふいにガチャリと扉が開く音がし、そちらに視線を向ける。
「おう…盛り上がってんな」
「今戻りですか? 先に初めていますよ。ギュネイ」
ギュネイに続いてぞろぞろと入ってくるギュネイチームの面々。
だが、彼らの表情にはアルヴィンチームと違い笑みは浮かんでいなかった。
「あまり良い成果ではなかったようですね……それ私の卵です。ラヴィ」
「……スマヌ」
ギュネイ向け話しかけるアルヴィン。
ぎしりと音を立て沈みこむ様に椅子に腰かけるギュネイ。
「ああ、敵にほとんどありつけなくてなあ……」
「ほんと酷かったんだよ! 行く先ほぼすべてに先客いるんだもんっ」
ため息まじりに呟くように話すギュネイと頬をふくらませ怒った様子の非常に小柄な少女。
彼女はギュネイの相方で名はソシエと言う、小柄なのは種族柄であり決して子供だからではない。
その見た目から子供扱いされる事が多いが本人はそこまで気にしてはいないようだ。
むしろロリコン扱いされるギュネイの方が気にしているといえる。
「何度か道かえたんだけどさあ、ありゃ失敗だったかね。奥目指してまっすぐ行かないとだめかもねえ」
「そんなこともありますとも……ささ、ご飯でも頂いて明日に備えましょうぞ」
「さすがにあれだけ歩きまわると腹が減る……」
ハスキーな声で話す大柄な女性……ヒルデとチョビ髭が特徴のロレン。
そして長髪といつも被った帽子が特徴のカルロ。
彼らは席につくと早速注文をはじめたようだ。だが明日も潜るつもりなのだろう、酒はほとんど頼まず料理のみ頼んでいる。
アルヴィンらは好調であったが、反対側にいったギュネイらはあまり芳しくない。
ダンジョンと言うのは稼げるときと稼げない時の差が大きい……わりと運任せなところが大きいようである。
掛け声と共に歓声が沸き上がり、次いで大きく息を吐く音がひびく。
ダンジョンでの活動を終えたアルヴィンらのチームが打ち上げを行っているのだ。
「はい、皆さんお疲れさまでした~、これ、追加のお酒です」
「あ! 咲耶さんありがとうございます! あと料理の追加とお酒のお代わりもまたお願いしまっす!」
「ええ、かしこまりました~……」
運んだそばから次々と平らげられていく料理とお酒。
まだまだ足りないとばかりにガイが追加で注文を行い、笑顔をで注文を受けた咲耶だが気になることがあるのか、ちらりと彼らの様子を伺う。
「どうしました? 咲耶さん」
そんなさくやの様子に気がついたチェスターがフォーク片手に声をかける。
彼はお酒はほどほどにし料理を楽しむことにしているようで、先ほどから香草を使ったパスタをもくもくと食べている。
「……明日二日酔いにならなければいいんだけど」
「ああ」
パスタを飲み込みそう呟くと、布巾で軽く口を拭う。
名残惜しそうに空になった皿を眺めつつチェスターは言葉を続けた。
「明日は休みなので大丈夫ですよ。二日酔いになれば多少苦しむでしょうが、そんなのは自業自得ですので……あ、パスタお代わり頂けますか?」
「そういう事でしたか……厨房の方に伝えておきますね、少々お待ちくださいな」
チェスターの言葉を聞いて納得した様子の咲耶。皿を回収すると厨房へと向かっていく。
「ちわー……なんか盛り上がってるね」
皆良い感じに酒がまわり食堂がより賑やかになった頃、一人の人物が食堂の扉をあけ入ってきた。
良い感じで目が死んでいる仕事帰りの八木である。
「お、八木じゃん! おつかれえ!」
「こんばんはシェイラさん……何かあったんすか」
八木をみて何かがつぼにはいったのかけらけらと笑うシェイラ。
良い感じに酔っぱらっているようで笑ったまま八木の問いに答える様子はない
「お? 八木じゃねえか。今日も生気のねー目してんなあ……まあ、ちょっとここ座れよ、空いてっから。加賀ちゃん忙しいらしいから代わりに聞かせてやんよ」
「えぇぇ……了解っす」
素面で酔っ払いに相手をするのはめんどくさい。が断ったらそれはそれでもっとめんどくさそう、そう考えた八木はしぶしぶヒューゴの隣へと座るのであった。
「へー! これがそうなんで? 3つも出たのかあ……これ、どんな効果あるんです?」
ダンジョンでの出来事を語るヒューゴ達。話はダンジョンで手に入れた魔道具へとうつっていた。
魔道具と聞いて先ほどまで死んでいた八木の目は打って変わって輝きだす。
興味津々なその様子をみてヒューゴも気分よさげに語りだす。
「おう、こっちは守護の首飾りつって魔法を軽減する効果があるんだ。んでこれが火鼠の衣つって……まあ衣ってわりにはちっさいけどな、火にむっちゃ強くなる。こうやって……腕に巻いたり、盾に張ったりして使うんだ、結構重宝するんだぜ? んでこいつが!……なんだっけ?」
「アゾートの杖ですよ。ヒューゴ」
だいぶ酔いが回っているのか何の魔道具か忘れるヒューゴ。
それに素早くつっこみを入れるアルヴィンであるが、彼もよく見ると顔は普通だが耳が真っ赤である。
こちらも良い感じに酔っているようだ。
「そうそう、アゾートの杖だ! こいつはな……なんと使うと何かに変身できるんだよ。すげーだろ」
「おぉぉ……何かって何にです?」
変身出来ると聞いて俄然テンションのあがる八木であるが肝心な部分が分からない。
一体何に変身できるのかとたずねるとヒューゴの答えは実にあっさりしたものである。
「わかんねえ」
「えぇ……」
分からないと言われ落胆した表情をみせる八木。
ヒューゴはそれを見て少しばつが悪そうに頭をかくと言葉を続ける。
「しゃーねえだろ。そういう魔道具なんだからさ、使ってみるまでわかんねーのよ。鑑定依頼してもアゾートの杖としか出てこねえ」
「はぁ……そういうもんなんすか。使ってみないんですか?」
「街中で使えるわけねーだろ」
八木の言葉に呆れた様子を見せるヒューゴ。
ぐいと酒を煽りぷはあと酒臭い息をまきちらす。
「何になるかわかんねーんだ。街中でドラゴンにでもなってみろ大騒ぎなんてもんじゃねーぜ。しばらく戻れねーしよ」
「それもそうっすねえ」
納得した様子でこちらも酒をあおる八木。
つまみ変わりの夕食に手を伸ばそうとしたところでふいにガチャリと扉が開く音がし、そちらに視線を向ける。
「おう…盛り上がってんな」
「今戻りですか? 先に初めていますよ。ギュネイ」
ギュネイに続いてぞろぞろと入ってくるギュネイチームの面々。
だが、彼らの表情にはアルヴィンチームと違い笑みは浮かんでいなかった。
「あまり良い成果ではなかったようですね……それ私の卵です。ラヴィ」
「……スマヌ」
ギュネイ向け話しかけるアルヴィン。
ぎしりと音を立て沈みこむ様に椅子に腰かけるギュネイ。
「ああ、敵にほとんどありつけなくてなあ……」
「ほんと酷かったんだよ! 行く先ほぼすべてに先客いるんだもんっ」
ため息まじりに呟くように話すギュネイと頬をふくらませ怒った様子の非常に小柄な少女。
彼女はギュネイの相方で名はソシエと言う、小柄なのは種族柄であり決して子供だからではない。
その見た目から子供扱いされる事が多いが本人はそこまで気にしてはいないようだ。
むしろロリコン扱いされるギュネイの方が気にしているといえる。
「何度か道かえたんだけどさあ、ありゃ失敗だったかね。奥目指してまっすぐ行かないとだめかもねえ」
「そんなこともありますとも……ささ、ご飯でも頂いて明日に備えましょうぞ」
「さすがにあれだけ歩きまわると腹が減る……」
ハスキーな声で話す大柄な女性……ヒルデとチョビ髭が特徴のロレン。
そして長髪といつも被った帽子が特徴のカルロ。
彼らは席につくと早速注文をはじめたようだ。だが明日も潜るつもりなのだろう、酒はほとんど頼まず料理のみ頼んでいる。
アルヴィンらは好調であったが、反対側にいったギュネイらはあまり芳しくない。
ダンジョンと言うのは稼げるときと稼げない時の差が大きい……わりと運任せなところが大きいようである。
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