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テイラー伯爵からの使者
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それからアルフが帰った後、私は嫌々ながらリリーを返して欲しいという手紙を書きました。この文面ならテイラー伯爵もあまり返したくはないだろうという微妙な文面で。
そしてその手紙を送ろうとした時でした。
「あの、テイラー伯爵家からの使者が来ました」
うちのメイドが告げた言葉に、私たちの間に緊張が走ります。
向こうからの使者とは一体何を言ってくるのでしょうか。もしかしてパーシーを擁護するために今回の件に対して、私がリリーを虐めたのが悪かった、と難癖をつけてくるかもしれません。
「分かった、とりあえず通してくれ」
父上が緊張の面持ちで言い、私たちは応接間に集合します。
「失礼します」
私はてっきりただのお使いのような人物が手紙でも持ってくると思ったのですが、やってきたのは老齢できっちりした身なりの格が高そうな家臣の方です。
「私はテイラー伯爵家のエバンズと申します。まずはこのたびは我が家のパーシーが大変ご迷惑をおかけしました」
そう言って彼は深々と頭を下げます。
それを見て私たちは驚愕しました。確かに今回の件は全面的にパーシーが悪い(裏でリリーが糸を引いていたとしても)のですが、格上の家であるテイラー伯爵家がうちのような小さな家に頭を下げるとは思わなかったのです。
「あ、頭を上げてください、誰にも過ちはあるものだ」
よほど驚いたのか、父上はなぜかエバンズをフォローしています。
「そう言っていただけるとありがたいです。そこで相談なのですが、我らが全面的に悪かったのは認めますので、どうか今回の件をそのまま公にするのはやめていただけませんか」
「ほう」
なるほど、そういうことか、と私は納得します。
とはいえ、その方向で来るとしてももっと高圧的に来ると思ったのですが。
そこで私はふと思い至ります。パーシーはきっと「怪我しているのに魔法の勉強を頑張っている健気なリリーがいじめられていて可哀想だから連れてきた」などと説明したのでしょうが、今のリリーは魔法が使えません。それで私の精霊を勝手に使っていたことが発覚したのでしょう。
それが何かの拍子に発覚して、テイラー伯爵は今回の件が発覚すればパーシーは他家の娘を勝手に誘拐した上、本当は虐められていたどころか姉の精霊を使って魔法が使えるように振る舞っていたのに騙されていたことが露見し、二重の恥になると思ったのでしょう。
「もちろんパーシーの今回の振る舞いは言語道断、我が家でも後継者の地位を剥奪するなど内部で厳しい処分を下します。また、和解金も別途お支払いいたします」
そのせいか、エバンズは必死でした。
後継権剥奪というのはパーシーに対してはかなり重い処分と言ってもいいでしょう。それを自発的にしてもらえるのであれば、特に公にして裁いてもらう必要はないと言えます。
何より裕福ではない我が家からすれば和解金というのもありがたいものです。
「なるほど、確かにそこまで言われればそうかもしれぬ」
父上の言葉を聞いてエバンズはほっと息を吐きます。
「ありがたきお言葉。でしたらどうか今回の件は、リリー様が病気で倒れていたところをパーシーが連れ帰ったということにしていただけないでしょうか」
そもそもリリーはうちの屋敷から連れていかれたのですが、そこはテイラー家の名医に診せようとしたとか適当にこじつけられるかもしれません。
「異論はないか?」
「え、ええ、リリーが帰ってくるなら」
母上はリリーが連れ去られたことで落ち込んでいたためか、そう言って頷きます。
私もそれ自体には異論はありません。
「と言う訳だ」
「ありがとうございます。それからもう一つなんですが、リリー様の魔法の件はどうしましょう?」
エバンズの言葉に私たちの間の空気が凍ったような雰囲気がしました。
そしてその手紙を送ろうとした時でした。
「あの、テイラー伯爵家からの使者が来ました」
うちのメイドが告げた言葉に、私たちの間に緊張が走ります。
向こうからの使者とは一体何を言ってくるのでしょうか。もしかしてパーシーを擁護するために今回の件に対して、私がリリーを虐めたのが悪かった、と難癖をつけてくるかもしれません。
「分かった、とりあえず通してくれ」
父上が緊張の面持ちで言い、私たちは応接間に集合します。
「失礼します」
私はてっきりただのお使いのような人物が手紙でも持ってくると思ったのですが、やってきたのは老齢できっちりした身なりの格が高そうな家臣の方です。
「私はテイラー伯爵家のエバンズと申します。まずはこのたびは我が家のパーシーが大変ご迷惑をおかけしました」
そう言って彼は深々と頭を下げます。
それを見て私たちは驚愕しました。確かに今回の件は全面的にパーシーが悪い(裏でリリーが糸を引いていたとしても)のですが、格上の家であるテイラー伯爵家がうちのような小さな家に頭を下げるとは思わなかったのです。
「あ、頭を上げてください、誰にも過ちはあるものだ」
よほど驚いたのか、父上はなぜかエバンズをフォローしています。
「そう言っていただけるとありがたいです。そこで相談なのですが、我らが全面的に悪かったのは認めますので、どうか今回の件をそのまま公にするのはやめていただけませんか」
「ほう」
なるほど、そういうことか、と私は納得します。
とはいえ、その方向で来るとしてももっと高圧的に来ると思ったのですが。
そこで私はふと思い至ります。パーシーはきっと「怪我しているのに魔法の勉強を頑張っている健気なリリーがいじめられていて可哀想だから連れてきた」などと説明したのでしょうが、今のリリーは魔法が使えません。それで私の精霊を勝手に使っていたことが発覚したのでしょう。
それが何かの拍子に発覚して、テイラー伯爵は今回の件が発覚すればパーシーは他家の娘を勝手に誘拐した上、本当は虐められていたどころか姉の精霊を使って魔法が使えるように振る舞っていたのに騙されていたことが露見し、二重の恥になると思ったのでしょう。
「もちろんパーシーの今回の振る舞いは言語道断、我が家でも後継者の地位を剥奪するなど内部で厳しい処分を下します。また、和解金も別途お支払いいたします」
そのせいか、エバンズは必死でした。
後継権剥奪というのはパーシーに対してはかなり重い処分と言ってもいいでしょう。それを自発的にしてもらえるのであれば、特に公にして裁いてもらう必要はないと言えます。
何より裕福ではない我が家からすれば和解金というのもありがたいものです。
「なるほど、確かにそこまで言われればそうかもしれぬ」
父上の言葉を聞いてエバンズはほっと息を吐きます。
「ありがたきお言葉。でしたらどうか今回の件は、リリー様が病気で倒れていたところをパーシーが連れ帰ったということにしていただけないでしょうか」
そもそもリリーはうちの屋敷から連れていかれたのですが、そこはテイラー家の名医に診せようとしたとか適当にこじつけられるかもしれません。
「異論はないか?」
「え、ええ、リリーが帰ってくるなら」
母上はリリーが連れ去られたことで落ち込んでいたためか、そう言って頷きます。
私もそれ自体には異論はありません。
「と言う訳だ」
「ありがとうございます。それからもう一つなんですが、リリー様の魔法の件はどうしましょう?」
エバンズの言葉に私たちの間の空気が凍ったような雰囲気がしました。
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