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テイラー伯爵家へ
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「冷静に考えると、伯爵はパーシーの評判を少しでもマシにするためにリリーを悪者にしようとして、元々リリーがミアさんの精霊を盗んだという噂を流したのでは?」
「なるほど」
アルフの指摘に私は頷きました。
確かにそう考えれば辻褄は合います。テイラー伯爵は我が家と和解して穏便にことを解決するのが無理そうだと思い、このままだと家名に傷がつくと思ってリリーが全て悪かったことにしようとしたのでしょう。
まあ実際、私の精霊を十年以上使い続けて自分が魔法を使えるように振る舞っていたのはどうかと思いますが。
盗んだというのは若干事実とニュアンスが違いますが、間違っているというほどでもありません。
もし仮に今から私が事実を全て明かして説明したとしても、周囲の人からすれば「どっちでも大して変わらないじゃないか」という程度の認識になるでしょう。
それを考えると、アルフには悪いですが私にとっては悪くない状況なのではないか、と思えてしまいます。
「でも、アルフは大丈夫? こんなことになってしまって」
「色々とショックではありますが、何にしろ、こんなことを知ってしまった以上リリーとの婚約を続けることは出来ません。むしろ知らずに結婚してしまっていたらと思うと、それよりはましです」
確かに、アルフからしても魔法がうまいと思っていた女性と結婚したら実は借り物の力だと分かればたまったものではないでしょう。
それに対する安堵がショックを上回ったのかもしれません。
「それはそうかもしれないわ」
「はい。しかしこうなった以上はもう全てを認めてリリーだけは帰してもらってそれで痛み分けということにするしか……」
「確かに」
痛み分けと言っても傷を負うのはリリーとパーシーです。どちらの方がより傷が深くなるかは世間の反応次第なのでよく分かりませんが、私としては悪くない結果です。
そんなことを話していると、再び部屋のドアがノックされます。
「わしだ」
「父上!?」
「リリーの件で話がある」
「では悪いけど……」
「分かりました。では僕はもう出る幕がなさそうなのでいったん帰ります」
そう言ってアルフは席を立つのでした。
「心配してくれてありがとう」
そしてアルフと入れ替わりに険しい表情の父上が入ってきます。
先ほどの件でしょう。
「先ほどの話は聞いたか?」
「はい、聞きました」
「色々考えたが、とりあえずわしとしてはリリーを帰してもらうこと、そしてお前とパーシーの婚約を破棄することだけは絶対に譲れないと思うことにした。噂についてはそもそも広まってしまった以上どうしようもないしな」
「それは私も同感です」
テイラー伯爵がすごい言い訳をしてパーシーの行いが全く悪くないということになり、私とパーシーの婚約が続くことだけは我慢できません。
「そこでわしとしては伯爵の屋敷に出向こうと思う。本当ならこういうことに当人を呼ぶのは良くないが、やはりパーシーについて一番知っているのはミアだ。だからもし良ければ一緒に伯爵の屋敷に来てほしい」
確かに、もしテイラー伯爵が「パーシーは日頃から正義感溢れる青年だった」などと言った時に父上よりは私の方がうまく反論できるでしょう。
「分かりました、行きます」
「本当か? 誘いはしたが、さらに嫌な気持ちにならないか正直心配しているんだが」
父上は少し心配そうに言います。
「いえ、大丈夫です。それにもしパーシーがこの件について全く悪いということになればパーシーと私の婚約が続いたままになってしまいます。それだけは私は嫌です」
「それは確かにそうだ。よし、分かった」
私の決意に父上も頷いてくれます。
とはいえ、一つだけ懸念があります。
「ところで、母上は……」
「ああ、あれはリリーと一緒に領地の別荘でしばらく静養させようと思う」
父上は疲れた表情で言います。恐らく何度か話してみたもののダメだったのでしょう。その言葉と表情で私は全てを察しました。確かに、2人ともほとぼりが冷めるまでしばらく休んでもらった方がいいかもしれません。
「……分かりました」
こうして私は父上とともにテイラー伯爵家に赴くことが決まったのです。
「なるほど」
アルフの指摘に私は頷きました。
確かにそう考えれば辻褄は合います。テイラー伯爵は我が家と和解して穏便にことを解決するのが無理そうだと思い、このままだと家名に傷がつくと思ってリリーが全て悪かったことにしようとしたのでしょう。
まあ実際、私の精霊を十年以上使い続けて自分が魔法を使えるように振る舞っていたのはどうかと思いますが。
盗んだというのは若干事実とニュアンスが違いますが、間違っているというほどでもありません。
もし仮に今から私が事実を全て明かして説明したとしても、周囲の人からすれば「どっちでも大して変わらないじゃないか」という程度の認識になるでしょう。
それを考えると、アルフには悪いですが私にとっては悪くない状況なのではないか、と思えてしまいます。
「でも、アルフは大丈夫? こんなことになってしまって」
「色々とショックではありますが、何にしろ、こんなことを知ってしまった以上リリーとの婚約を続けることは出来ません。むしろ知らずに結婚してしまっていたらと思うと、それよりはましです」
確かに、アルフからしても魔法がうまいと思っていた女性と結婚したら実は借り物の力だと分かればたまったものではないでしょう。
それに対する安堵がショックを上回ったのかもしれません。
「それはそうかもしれないわ」
「はい。しかしこうなった以上はもう全てを認めてリリーだけは帰してもらってそれで痛み分けということにするしか……」
「確かに」
痛み分けと言っても傷を負うのはリリーとパーシーです。どちらの方がより傷が深くなるかは世間の反応次第なのでよく分かりませんが、私としては悪くない結果です。
そんなことを話していると、再び部屋のドアがノックされます。
「わしだ」
「父上!?」
「リリーの件で話がある」
「では悪いけど……」
「分かりました。では僕はもう出る幕がなさそうなのでいったん帰ります」
そう言ってアルフは席を立つのでした。
「心配してくれてありがとう」
そしてアルフと入れ替わりに険しい表情の父上が入ってきます。
先ほどの件でしょう。
「先ほどの話は聞いたか?」
「はい、聞きました」
「色々考えたが、とりあえずわしとしてはリリーを帰してもらうこと、そしてお前とパーシーの婚約を破棄することだけは絶対に譲れないと思うことにした。噂についてはそもそも広まってしまった以上どうしようもないしな」
「それは私も同感です」
テイラー伯爵がすごい言い訳をしてパーシーの行いが全く悪くないということになり、私とパーシーの婚約が続くことだけは我慢できません。
「そこでわしとしては伯爵の屋敷に出向こうと思う。本当ならこういうことに当人を呼ぶのは良くないが、やはりパーシーについて一番知っているのはミアだ。だからもし良ければ一緒に伯爵の屋敷に来てほしい」
確かに、もしテイラー伯爵が「パーシーは日頃から正義感溢れる青年だった」などと言った時に父上よりは私の方がうまく反論できるでしょう。
「分かりました、行きます」
「本当か? 誘いはしたが、さらに嫌な気持ちにならないか正直心配しているんだが」
父上は少し心配そうに言います。
「いえ、大丈夫です。それにもしパーシーがこの件について全く悪いということになればパーシーと私の婚約が続いたままになってしまいます。それだけは私は嫌です」
「それは確かにそうだ。よし、分かった」
私の決意に父上も頷いてくれます。
とはいえ、一つだけ懸念があります。
「ところで、母上は……」
「ああ、あれはリリーと一緒に領地の別荘でしばらく静養させようと思う」
父上は疲れた表情で言います。恐らく何度か話してみたもののダメだったのでしょう。その言葉と表情で私は全てを察しました。確かに、2人ともほとぼりが冷めるまでしばらく休んでもらった方がいいかもしれません。
「……分かりました」
こうして私は父上とともにテイラー伯爵家に赴くことが決まったのです。
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