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エピローグⅠ
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さて、こうして母上とリリー、そして御者やメイドなど数人のお供が屋敷を離れると屋敷の中はすっかり静かになったような気がします。
「……行ったか」
馬車が遠く離れた頃合いを見計らって父上は玄関にやってきました。
さすがに父上の露骨な態度には私も微妙な気持ちになります。
「あの、もう少し母上に対してきちんと向き合った方がいいのでは?」
「そうは言うものの、あの事故以来なかなか話が通じる様子ではなくなってしまってな……」
父上は弱りはてたように言います。
とはいえ、不満はありますがそれはもう過ぎたことです。
「分かりました。もうそれはいいです。それはそれとして、私の婚約者の件ですが」
「確かに、また考え直さなければならないな」
パーシーとは婚約破棄することに成功したので、当然新しい婚約者がそのうち決まることになります。とはいえ、私としてはまた父上が決めてきた相手がくるのを待つつもりはありませんでした。
「とはいえ、こんな騒動があってすぐという訳にはいくまい。ほとぼりが冷めてからまた考えようではないか」
「それなのですが、アルフはどうでしょうか?」
「アルフ? 確かに相手はいないが……」
アルフの名前を聞いて父上は首をかしげました。
とはいえ、私としては是非とも彼を婚約相手にしたいと思っています。彼は今回の件で常に気を遣ってくれました。先ほどは彼の私に対する気持ちも聞きました。
仮にそういう個人的な感情を差し引いてもアルフは常に自分が正しいと思う行動を利害に囚われることなく行える人間です。
誰とも知らない人物よりもそのような人物を婚約者にしたい。
私は強くそう思っていました。
「彼からすればリリーがあんなことをやらかした直後にその姉と婚約しろと言われても困るのではないか? わしが言うことでもないが、アルフの立場からすれば我が家全体への不信感があるような気がするが」
「それは大丈夫だと思います。私は何度かアルフと話しましたが、少なくとも彼は私には不信感を抱いている様子はありませんでした」
私がそう言うと、父上は少し考えて答えます。
「なるほど、確かにわしとしてもアルフであれば家柄も申し分ないし、他家の息子から新しく候補を探すよりも確実だとは思う」
「もちろんすぐに決めるというのは難しいでしょう。ですが出来るならばそうして欲しいです」
私がこれまでになく強い眼差しで父上を見たせいか、父上は少し驚きます。
これも今回の件で私を縛っていたものがなくなったおかげでしょう。
「わ、分かった。そういうことならどうにかしよう」
「はい、是非お願いします」
私が念を押すように言うと、父上は気圧されたように頷いたのでした。
「……行ったか」
馬車が遠く離れた頃合いを見計らって父上は玄関にやってきました。
さすがに父上の露骨な態度には私も微妙な気持ちになります。
「あの、もう少し母上に対してきちんと向き合った方がいいのでは?」
「そうは言うものの、あの事故以来なかなか話が通じる様子ではなくなってしまってな……」
父上は弱りはてたように言います。
とはいえ、不満はありますがそれはもう過ぎたことです。
「分かりました。もうそれはいいです。それはそれとして、私の婚約者の件ですが」
「確かに、また考え直さなければならないな」
パーシーとは婚約破棄することに成功したので、当然新しい婚約者がそのうち決まることになります。とはいえ、私としてはまた父上が決めてきた相手がくるのを待つつもりはありませんでした。
「とはいえ、こんな騒動があってすぐという訳にはいくまい。ほとぼりが冷めてからまた考えようではないか」
「それなのですが、アルフはどうでしょうか?」
「アルフ? 確かに相手はいないが……」
アルフの名前を聞いて父上は首をかしげました。
とはいえ、私としては是非とも彼を婚約相手にしたいと思っています。彼は今回の件で常に気を遣ってくれました。先ほどは彼の私に対する気持ちも聞きました。
仮にそういう個人的な感情を差し引いてもアルフは常に自分が正しいと思う行動を利害に囚われることなく行える人間です。
誰とも知らない人物よりもそのような人物を婚約者にしたい。
私は強くそう思っていました。
「彼からすればリリーがあんなことをやらかした直後にその姉と婚約しろと言われても困るのではないか? わしが言うことでもないが、アルフの立場からすれば我が家全体への不信感があるような気がするが」
「それは大丈夫だと思います。私は何度かアルフと話しましたが、少なくとも彼は私には不信感を抱いている様子はありませんでした」
私がそう言うと、父上は少し考えて答えます。
「なるほど、確かにわしとしてもアルフであれば家柄も申し分ないし、他家の息子から新しく候補を探すよりも確実だとは思う」
「もちろんすぐに決めるというのは難しいでしょう。ですが出来るならばそうして欲しいです」
私がこれまでになく強い眼差しで父上を見たせいか、父上は少し驚きます。
これも今回の件で私を縛っていたものがなくなったおかげでしょう。
「わ、分かった。そういうことならどうにかしよう」
「はい、是非お願いします」
私が念を押すように言うと、父上は気圧されたように頷いたのでした。
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