【完結】身分に見合う振る舞いをしていただけですが…ではもう止めますからどうか平穏に暮らさせて下さい。

7. 夕食

　やはりいろいろあって疲れたのか私はあれからすぐに寝入ってしまい、オルガが起こしに来てくれるまで気づかなかった。

　夕食の準備が出来たそうで、部屋で食べるか聞かれた。
でも、両親に説明をしないといけないから食事中に話せるならその方がいいと思ってオルガに手を貸してもらいながら食堂へ行った。

「オリーフィア。大丈夫か？何があった？」

　食堂へ行ってすぐに、すでに座って食事をしているお父様に説明を求められた。

「ええと…大ホールに入ってすぐにゲオルク様に声を掛けられ、婚約破棄だと言われました。」

「そうか…。」

　そう言ったきり、お父様は少し考え込みました。きっと、オルガもお父様に報告はしたのでしょうが、私から聞きたかったのでしょう。

「怪我は？痛むの？」

「ええ。少し。でもこれは自分でしてしまったので。」

「まぁ！オリーフィアそんな事！いいのよ、ここでははっきり言いなさい？ゲオルクが手を出したの？」

　お母様は、常日頃からゲオルクの態度が気に入らないらしく、この怪我もゲオルクの仕業だとすぐに分かったのでしょう。

「はい。肩を押されたので、転んでしまいました。その時に手と足を捻ったのか痛んでしまって。」

「あぁオリーフィア…！卒業まで休む？足が痛むのでしょう？」

「はい…。出来ればそうしたいです。それで、卒業したら修道院に行きたいです。」

「まぁ。それはどうして？慈善事業としてなら寄付は公爵家として当然な額をしているわよ。」

「いえ、そうではなくて。修道院で生活をしようと思います。」

「………どういう事かしら。オリーフィア？それは、理由を聞いても？」

　お父様も、思案されていた様子だったけれど、私の方を慌てて見た。

「はい。公爵令嬢として、皆の注目を浴びてしまいました。婚約破棄をされた私なんて貰い手もないと思います。ですので、今まで教えて頂いた知識を無駄にしない為にも、貧しい人々と触れ合い教えていこうと思ったからです。」

「ならん。」

「お父様？」

「そうねぇ…。あなたは正統なる公爵家の令嬢ですから、引く手あまたのはずです。たとえあのゲオルクに婚約破棄されたとしても、オリーフィアと結婚したい男性はそれこそ山のようにいるわよ。」

「お母様…まさかそんな。」

「あなたの今まで得た知識は確かに、埋もれさせておくのはもったいないわ。けれど、庶民にっていうのもまた違うと思うわよ。とにかく、修道院へ行くかどうかは保留ね。一週間、ゆっくり休みなさいな。ねぇあなた？」

「うむ。オリーフィア。殊勝な心掛けではあるが、それをすぐに許可も出来ん。とりあえず、ゲオルクには抗議しておく。あいつがどうせ全て悪いんだ。アーサーにも話しておくから。オリーフィアよ、俗世を離れようとしないでくれ。」

「でも…。」

「さぁこの話はおしまい！私も兄に抗議しておくわ！しっかり子育てしなさいって！全く、淑女に手を出す王太子が何処にいるっていうのよねぇ！本当野蛮で嫌だわ！！アーサーも、妹の婚約者をきちんと制御しておいてくれないと困るわよね？」

　お母様…不敬罪に問われないで下さいね…。