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14. 贈り物
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「オリーフィア様、お花が届きましたよ。」
ゲオルク様がやってきた日の夕方。
オルガが、そう言って私の部屋にやってきました。
オルガは両手に抱え切れないほどのとても綺麗な花束。
「ありがとう。どなたから?」
「ライナス様からです。」
「まぁ!」
それは、淡い青色を基調とした、数種類のカンパニュラの花束だった。
「懐かしいですわね。」
「オルガ、覚えているの?」
「はい。カンパニュラは、ライナス様の領地にたくさん自生されているのですよね?それで、オリーフィア様が小さい頃遊びに行った時に何度もいただいて。」
「そうよ。最後に、ライナス様が言って下さったの。公爵令嬢としてしっかりとした振る舞いをしていきなさいと。」
「ライナス様は、きっと覚えていらっしゃるのですね。昔の、オリーフィア様の無邪気だった頃の事も。」
「やめて。…でも、嬉しいわ。飾っておいてね。」
「もちろんです。カンパニュラの花言葉は、誠実な愛ですよ。」
「そ、そう…。ライナス様がご存じかなんて…」
「意味も無く贈り物をされるでしょうかね。ま、それでも嬉しい事には変わりませんね。では、生けて参りますね。」
オルガは部屋を去って行った。
本当、懐かしいわ。あの時…。
ーーーー
何度も行っているライナス様の領地。その日遊びに行くのは、前々から決まっていた。
でもその数日前に、私の婚約の話を聞かされて沈んだ気持ちのまま、向かった。
案の定、両親にもこの領地へ来るのはこれで最後だと言われた。
婚約者がいる身で、他の男性の領地へ泊まりがけで遊びに行くなんて例え家族ぐるみでも世間体が悪いですものね。
ライナス様は、私の婚約の話を知っていた。知っていて、私が一人でいる時に話しかけにきてくれた。
まぁ、正確には、拗ねて庭園から動かなかった私を探して、連れ戻しに来てくれたみたい。
「どうした?」
「私、王太子のゲオルク様と婚約するの。」
「なんだ。嫌なのか。」
「私、ライナス様が良かった。以前言ってくれたじゃない。笑いながら、お前俺と結婚するかって。約束したじゃない。それなのにゲオルク様と結婚なんて…。でも、仕方ないのよね…。」
「………。」
「分かっているの。自分が公爵令嬢であり、国を支えていかなければならない事も。でも…。」
「…そうだぞ!国を支えている、偉い連中が未来の王妃はオリーフィアであるべきだと決めたんだ。もっと自分を誇れ!」
「分かってるわ…。分かって…」
「公爵令嬢が人前で泣くな。公爵令嬢とはいついかなる時も毅然としていなければ模範とならない。ゲオルクもお前が支えてやるんだ。…俺も公爵家の一員だ。国を支えるべき立場にある。俺も、オリーフィアの力になれるよう、ゲオルクの側近になってやる。ほら、見てみろ。この花はカンパニュラというんだ。清楚で凛とした雰囲気はオリーフィアにそっくりだ。これをお前にやるから、泣きやめ。立場は違うが共に国を支えていこう。」
ーーーーー
そうね。あの時から私は、公爵令嬢として国を支えていこうと決めたんだったわ。
でも、もうそれもしなくていいって事だものね。
あぁ、このカンパニュラを見ているとライナス様のお屋敷の庭園を思い出すわ。
あの頃は良かった…。
何も考えず、お兄様とライナス様の後を追っかけて遊び回っていた日々。
私はどうすればいいのか。その花を見つめながら、自分の気持ちに正直になろうかどうしようか、いつまでも考えていた。
ゲオルク様がやってきた日の夕方。
オルガが、そう言って私の部屋にやってきました。
オルガは両手に抱え切れないほどのとても綺麗な花束。
「ありがとう。どなたから?」
「ライナス様からです。」
「まぁ!」
それは、淡い青色を基調とした、数種類のカンパニュラの花束だった。
「懐かしいですわね。」
「オルガ、覚えているの?」
「はい。カンパニュラは、ライナス様の領地にたくさん自生されているのですよね?それで、オリーフィア様が小さい頃遊びに行った時に何度もいただいて。」
「そうよ。最後に、ライナス様が言って下さったの。公爵令嬢としてしっかりとした振る舞いをしていきなさいと。」
「ライナス様は、きっと覚えていらっしゃるのですね。昔の、オリーフィア様の無邪気だった頃の事も。」
「やめて。…でも、嬉しいわ。飾っておいてね。」
「もちろんです。カンパニュラの花言葉は、誠実な愛ですよ。」
「そ、そう…。ライナス様がご存じかなんて…」
「意味も無く贈り物をされるでしょうかね。ま、それでも嬉しい事には変わりませんね。では、生けて参りますね。」
オルガは部屋を去って行った。
本当、懐かしいわ。あの時…。
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何度も行っているライナス様の領地。その日遊びに行くのは、前々から決まっていた。
でもその数日前に、私の婚約の話を聞かされて沈んだ気持ちのまま、向かった。
案の定、両親にもこの領地へ来るのはこれで最後だと言われた。
婚約者がいる身で、他の男性の領地へ泊まりがけで遊びに行くなんて例え家族ぐるみでも世間体が悪いですものね。
ライナス様は、私の婚約の話を知っていた。知っていて、私が一人でいる時に話しかけにきてくれた。
まぁ、正確には、拗ねて庭園から動かなかった私を探して、連れ戻しに来てくれたみたい。
「どうした?」
「私、王太子のゲオルク様と婚約するの。」
「なんだ。嫌なのか。」
「私、ライナス様が良かった。以前言ってくれたじゃない。笑いながら、お前俺と結婚するかって。約束したじゃない。それなのにゲオルク様と結婚なんて…。でも、仕方ないのよね…。」
「………。」
「分かっているの。自分が公爵令嬢であり、国を支えていかなければならない事も。でも…。」
「…そうだぞ!国を支えている、偉い連中が未来の王妃はオリーフィアであるべきだと決めたんだ。もっと自分を誇れ!」
「分かってるわ…。分かって…」
「公爵令嬢が人前で泣くな。公爵令嬢とはいついかなる時も毅然としていなければ模範とならない。ゲオルクもお前が支えてやるんだ。…俺も公爵家の一員だ。国を支えるべき立場にある。俺も、オリーフィアの力になれるよう、ゲオルクの側近になってやる。ほら、見てみろ。この花はカンパニュラというんだ。清楚で凛とした雰囲気はオリーフィアにそっくりだ。これをお前にやるから、泣きやめ。立場は違うが共に国を支えていこう。」
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そうね。あの時から私は、公爵令嬢として国を支えていこうと決めたんだったわ。
でも、もうそれもしなくていいって事だものね。
あぁ、このカンパニュラを見ているとライナス様のお屋敷の庭園を思い出すわ。
あの頃は良かった…。
何も考えず、お兄様とライナス様の後を追っかけて遊び回っていた日々。
私はどうすればいいのか。その花を見つめながら、自分の気持ちに正直になろうかどうしようか、いつまでも考えていた。
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