【完結】身分に見合う振る舞いをしていただけですが…ではもう止めますからどうか平穏に暮らさせて下さい。

まりぃべる

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16. 未来の王妃様!? 第三者視点

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「父上、この前話していたジャネットです!結婚します!」

「………ゲオルクよ。自分で何を言っているのか分かっておるのか?しかも、この場で。」

「分かっています!皆にもついでに紹介出来るので、この会議室に来ました!彼女はジャネット。皆、よろしく!」

「よろしくお願いしまーす!」



 ゲオルクは、異様な雰囲気だった執務室を出て、すぐに国王の執務室へ行った。すると、国王はいなく、国王の側近が隣の机で仕事をしていた。
側近は驚いていたが、『国王陛下は会議室で今は会えませんよ。』と言った。

 ゲオルクは、国王の側近に対しても無礼な態度を常日頃から取っている。
今も、側近に対して碌な返事もせずに出て行った。
その間、ずっとジャネットの手を繋いでいた。


 そして、会議室の扉の前に来た。

 扉の前に立っている衛兵が、『王太子殿下!?今は会議中の為、入れません。』と言う言葉を無視して、ジャネットと手を繋いだまま扉をノックもせずにそのまま開けて入って行った。

 国王陛下の席まで進むと、開口一番で先ほどの言葉を言ったのだ。

 もちろん、国王陛下の席まで行く間に、衛兵も一人追って来ていたし、周りに座っていた重鎮たちもさすがにゲオルクに声を掛けていた。席が近くの者となんだなんだと話している者もいた。


「ゲオルクよ、今は国の大事な会議中だ。その話は昼食の時にでも聞いてやる。」

「いいではありませんか。王太子殿下の結婚したい相手とあらば、我々国民にも関係ある話。ここで話す事もまたよろしいのでは?」

 国王陛下の言葉に続いて言ったのは、娘が婚約破棄された、ホーキンス公爵だった。

「そうですな。我々が八年前、幾度となく慎重に話し合いを重ね未来の王妃を決めたというのに、それを覆すほどの魅力的でかつ聡明な王妃を見つけたみたいですからな。」

 国王陛下のいとこであるティモシエンコ公爵もそう加勢した為、国王陛下は渋々、ゲオルクとジャネットの席を用意させた。

「して、王太子殿下。改めてその女性を紹介していただけるか。」

 国王が話すよりも前にティモシエンコ公爵がそう言うと、ゲオルクは少し緊張して、椅子から立ち上がって言った。

「はい!彼女は、ジャネット=ニューマンです。」

「なるほど。王太子妃となり、ゆくゆくは正妃とさせるのだな?その娘に。」

「いえ、側妃として…」

「ん?よく聞こえんな。他国ではままあるが我が国では、側妃なんぞ争いの元だから作らないのが慣例であったな。まさかそれを知らないとは言わせんぞ。国王になる為の勉強をしっかりとしておれば習うもの。わしの聞き間違いか。で、正妃とするんだな?」

 ティモシエンコ公爵は、国王陛下よりよほど威厳を保ちつつそう言った。
さすがに、ゲオルクも自分の親族とはいえそのように振る舞われたら、蛇に睨まれた蛙の如く縮こまり、次のように述べた。

「はい!言い間違えました!ジャネットを正妃にします!」

「そうか!ではジャネットとやら、今日からしっかりとゆくゆくは正妃となる為の教育を受けるんだぞ。なに、卒業式位は出席させてやる。ゆめゆめ怠るなよ。ゲオルクよ、お前も今までさぼっておった分しっかり国王に継承できるように学ぶんだぞ。でなければ、周りの人が離れてゆくぞ。」

「そうだな、殿下。素晴らしく成長されましたな。私の娘よりも、そちらの娘のが正妃に相応しいとよく見抜かれました。ジャネットとやら、しっかりと学ぶんだぞ。ここまで来たからにはもはや逃げる事は許されんからな。」

 ホーキンス公爵も、妻が国王陛下の妹なだけで国王陛下と直接血が繋がっているわけではない。が、代を遡れば王族の血が入っている。その為本気を出せばかなりの威厳があり、目を合わせた者は皆今にも射殺されそうだと震え上がる。

 ゲオルクもジャネットもさすがにこの二人に目を向けられ、震え上がり、返事も出来ずにコクコクと首を縦に動かすのみだった。

「では、今日で息子は、王宮では最後の仕事とさせてもらってよろしいかな?国王陛下。」

「いやいや、今日に今日この二人に教える為の先生が見つかるかどうか…。せめてあと数日は必要かもしれんぞティモシエンコ公爵。だがそれが出来れば私の息子も王宮での最後の仕事とさせてもらおう。よろしいですかな?国王陛下。」

「うむ…。」

「え、あ…あの!アーサーとライナスはなぜ最後の仕事なのですか?オレの側近ですよね!?」

「おや、知らんかったのか?息子らは殿下の側近というより、に殿下の傍にいて負担を減らしていただけの事。よって、娘が王妃にならないのなら殿下を支える必要もなかろう。側近も新たにご自分で探して…と言いたいが無理であろうからな。そこも息子らにあたらせよう。中途半端に投げ出すような奴ではないから安心しろ。だが…果たして適任がいるかどうか…。」

「そ…んな…。」

「そろそろ話はまとまったんではないか?殿下ののおかげで時間が過ぎたが、あと少し話し合わなきゃならん。会議を再開する為、これで退出願いたいのだが、殿下。よろしいか?」

 そうティモシエンコ公爵が言った為、ゲオルクは、会議室に入って来たときよりも明らかに勢いが無く、トボトボと歩いている。
ジャネットも遅れて立ち上がり、慌ててゲオルクについて小走りに出口へと向かって行った。
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