1 / 28
1. ん?
しおりを挟む
私、春日凛。二十四歳。
中小企業のしがない会社員。
大学に通う為に都会へ出てきてそのまま就職。
両親も距離の離れた都会に住んでるけれど、そんなに仲良いわけでもなく。
音沙汰ないのが元気の証、みたいな感じで連絡も特に取り合ってなかった。
今日も暗くなってからやっと仕事が終わって、明日からの三連休何をしようかと考えながらの帰り道。
信号を渡っていたらトラックが突っ込んできて、ヘッドライトの光がものすごく眩しかったという事までは覚えているんだけど…。
目を覚ましたら、私、ものすごく体が痛くて。
思わず『痛たた…』と声に出した。すると、
「目が覚めたか?ちょっと待っとれよ。」
声がした方に首を向けると、黒い髪の私より少し年上の恰幅のいい男性がいて、部屋の外に出て行った。
(あの人、顔の彫りが深くて外国人っぽかったな。ヨーロッパ系?…ん?あれ?病院じゃないのね。)
とそう思い、部屋を見渡した。
八畳ほどの部屋で、窓が一つある。そこの窓からは青い空と白い雲が見えた。
(私が意識を手放す前は夜だったから、時間がずいぶんと経ったのね。)
私が寝かされているベッドは、自分が寝ていたようなベッドとは違和感があった。
動くとモシャモシャと音がするのだ。
シーツは敷いてあるのだが、その下がきっとモシャモシャと音がする原因なのだろう。
病院ではないし、ベッドも私が普段見るベッドとは違う。天井も、蛍光灯がないし。
なぜ?
考えていると、先ほどの男性が、赤茶色の髪で腰に白いエプロンを付けた女性を連れて入ってきた。
この女性も、私より少し年上に見えた。顔の彫りが深いからこの人も外国人みたいだ。
「あんた、大丈夫かい?どっから来たのさ。店の前で倒れていたけど、行き倒れにしては身なりが変わっているけど破れたりしてないし。」
と女性は聞いて来た。
店の前?私、信号を渡っていたから道路だと思うんだけど…あ、道路って事かな。
でもまずは助けてくれたお礼を言わないとね。救急車を呼んでくれてもよかったのにわざわざ家に招いてくれたんだもの。
「助けていただいてありがとうございます。あの、トラックはどうなりました?逃げて行ったのかな。」
あのまま轢かれていたら、大怪我では済まないと思うから、トラックは避けて行ったのだろう。
クラクションも聞こえなくて、ブレーキ音とかも聞こえなかった気がするけれど、それは私の気のせいだったのね。
「トラック?なんの事だい?誰かと一緒にいたの?一人しかいなかったよ。さぁ、水をお飲み。食事がとれるなら、一緒にご飯にしようか。動けるかい?」
(う、うーん。話が通じなかったわ。まぁ、事故を目撃していなかったら分からないか。)
食事と言われ、一気にお腹がすいた気がしたので、申し訳ないけれど、食事をさせてもらう事にする。
体が痛かったからベッドから起き上がれるか不安だったけれど、思ったより苦ではなかった。
そして、ベッドを改めて見て少しびっくりした。シーツの下には薄く藁が敷き詰められているのが見えた。
(なにこれ!どんなベッドなの!?ま、まぁ…今は田舎暮らしとか増えてるみたいだし、こういうのが趣味なのかしらね。)
隣の部屋は、ダイニングのようだった。私でもDIY出来そうな、木で出来た長方形のダイニングテーブル一つと、一人掛け用のイスが四つ。
キッチンも壁際にあった。
でも、ガスコンロや水道も見当たらないわ。
かまどみたいなのはあったけれど、やっぱり田舎暮らし的な?
けれどそういうのって、もっと自然の多い山の方でやるものじゃないかしら?
それとも、都会で敢えてやっているの?
中小企業のしがない会社員。
大学に通う為に都会へ出てきてそのまま就職。
両親も距離の離れた都会に住んでるけれど、そんなに仲良いわけでもなく。
音沙汰ないのが元気の証、みたいな感じで連絡も特に取り合ってなかった。
今日も暗くなってからやっと仕事が終わって、明日からの三連休何をしようかと考えながらの帰り道。
信号を渡っていたらトラックが突っ込んできて、ヘッドライトの光がものすごく眩しかったという事までは覚えているんだけど…。
目を覚ましたら、私、ものすごく体が痛くて。
思わず『痛たた…』と声に出した。すると、
「目が覚めたか?ちょっと待っとれよ。」
声がした方に首を向けると、黒い髪の私より少し年上の恰幅のいい男性がいて、部屋の外に出て行った。
(あの人、顔の彫りが深くて外国人っぽかったな。ヨーロッパ系?…ん?あれ?病院じゃないのね。)
とそう思い、部屋を見渡した。
八畳ほどの部屋で、窓が一つある。そこの窓からは青い空と白い雲が見えた。
(私が意識を手放す前は夜だったから、時間がずいぶんと経ったのね。)
私が寝かされているベッドは、自分が寝ていたようなベッドとは違和感があった。
動くとモシャモシャと音がするのだ。
シーツは敷いてあるのだが、その下がきっとモシャモシャと音がする原因なのだろう。
病院ではないし、ベッドも私が普段見るベッドとは違う。天井も、蛍光灯がないし。
なぜ?
考えていると、先ほどの男性が、赤茶色の髪で腰に白いエプロンを付けた女性を連れて入ってきた。
この女性も、私より少し年上に見えた。顔の彫りが深いからこの人も外国人みたいだ。
「あんた、大丈夫かい?どっから来たのさ。店の前で倒れていたけど、行き倒れにしては身なりが変わっているけど破れたりしてないし。」
と女性は聞いて来た。
店の前?私、信号を渡っていたから道路だと思うんだけど…あ、道路って事かな。
でもまずは助けてくれたお礼を言わないとね。救急車を呼んでくれてもよかったのにわざわざ家に招いてくれたんだもの。
「助けていただいてありがとうございます。あの、トラックはどうなりました?逃げて行ったのかな。」
あのまま轢かれていたら、大怪我では済まないと思うから、トラックは避けて行ったのだろう。
クラクションも聞こえなくて、ブレーキ音とかも聞こえなかった気がするけれど、それは私の気のせいだったのね。
「トラック?なんの事だい?誰かと一緒にいたの?一人しかいなかったよ。さぁ、水をお飲み。食事がとれるなら、一緒にご飯にしようか。動けるかい?」
(う、うーん。話が通じなかったわ。まぁ、事故を目撃していなかったら分からないか。)
食事と言われ、一気にお腹がすいた気がしたので、申し訳ないけれど、食事をさせてもらう事にする。
体が痛かったからベッドから起き上がれるか不安だったけれど、思ったより苦ではなかった。
そして、ベッドを改めて見て少しびっくりした。シーツの下には薄く藁が敷き詰められているのが見えた。
(なにこれ!どんなベッドなの!?ま、まぁ…今は田舎暮らしとか増えてるみたいだし、こういうのが趣味なのかしらね。)
隣の部屋は、ダイニングのようだった。私でもDIY出来そうな、木で出来た長方形のダイニングテーブル一つと、一人掛け用のイスが四つ。
キッチンも壁際にあった。
でも、ガスコンロや水道も見当たらないわ。
かまどみたいなのはあったけれど、やっぱり田舎暮らし的な?
けれどそういうのって、もっと自然の多い山の方でやるものじゃないかしら?
それとも、都会で敢えてやっているの?
62
あなたにおすすめの小説
魔力ゼロと捨てられた私を、王子がなぜか離してくれません ――無自覚聖女の王宮生活――
ムラサメ
恋愛
伯爵家で使用人同然に扱われてきた少女、エリナ。
魔力も才能もないとされ、義妹アリシアの影で静かに生きていた。
ある日、王国第一王子カイルの視察で運命が動き出す。
誰も気づかなかった“違和感”に、彼だけが目を留めて――。
「不吉な黒」と捨てられた令嬢、漆黒の竜を「痛いの飛んでいけー!」で完治させてしまう
ムラサメ
恋愛
漆黒の髪と瞳。ただそれだけの理由で「不吉なゴミ」と虐げられてきた公爵令嬢ミア。
死の森に捨てられた彼女が出会ったのは、呪いに侵され、最期を待つ最強の黒竜と、その相棒である隣国の竜騎士ゼノだった。
しかし、ミアが無邪気に放った「おまじない」は、伝説の浄化魔法となって世界を塗り替える。
向こう見ずな天才騎士に拾われたミアは、隣国で「女神」として崇められ、徹底的に甘やかされることに。
一方、浄化の源を失った王国は、みるみるうちに泥沼へと沈んでいき……?
神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!
カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。
前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。
全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!
転生したら地味ダサ令嬢でしたが王子様に助けられて何故か執着されました
古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され
恋愛
皆様の応援のおかげでHOT女性向けランキング第7位獲得しました。
前世病弱だったニーナは転生したら周りから地味でダサいとバカにされる令嬢(もっとも平民)になっていた。「王女様とか公爵令嬢に転生したかった」と祖母に愚痴ったら叱られた。そんなニーナが祖母が死んで冒険者崩れに襲われた時に助けてくれたのが、ウィルと呼ばれる貴公子だった。
恋に落ちたニーナだが、平民の自分が二度と会うことはないだろうと思ったのも、束の間。魔法が使えることがバレて、晴れて貴族がいっぱいいる王立学園に入ることに!
しかし、そこにはウィルはいなかったけれど、何故か生徒会長ら高位貴族に絡まれて学園生活を送ることに……
見た目は地味ダサ、でも、行動力はピカ一の地味ダサ令嬢の巻き起こす波乱万丈学園恋愛物語の始まりです!?
小説家になろうでも公開しています。
第9回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作品
氷の騎士と陽だまりの薬師令嬢 ~呪われた最強騎士様を、没落貴族の私がこっそり全力で癒します!~
放浪人
恋愛
薬師として細々と暮らす没落貴族の令嬢リリア。ある夜、彼女は森で深手を負い倒れていた騎士団副団長アレクシスを偶然助ける。彼は「氷の騎士」と噂されるほど冷徹で近寄りがたい男だったが、リリアの作る薬とささやかな治癒魔法だけが、彼を蝕む古傷の痛みを和らげることができた。
「……お前の薬だけが、頼りだ」
秘密の治療を続けるうち、リリアはアレクシスの不器用な優しさや孤独に触れ、次第に惹かれていく。しかし、彼の立場を狙う政敵や、リリアの才能を妬む者の妨害が二人を襲う。身分違いの恋、迫りくる危機。リリアは愛する人を守るため、薬師としての知識と勇気を武器に立ち向かうことを決意する。
辺境に追放されたガリガリ令嬢ですが、助けた男が第三王子だったので人生逆転しました。~実家は危機ですが、助ける義理もありません~
香木陽灯
恋愛
「そんなに気に食わないなら、お前がこの家を出ていけ!」
実の父と義妹に虐げられ、着の身着のままで辺境のボロ家に追放された伯爵令嬢カタリーナ。食べるものもなく、泥水のようなスープですすり、ガリガリに痩せ細った彼女が庭で拾ったのは、金色の瞳を持つ美しい男・ギルだった。
「……見知らぬ人間を招き入れるなんて、馬鹿なのか?」
「一人で食べるのは味気ないわ。手当てのお礼に一緒に食べてくれると嬉しいんだけど」
二人の奇妙な共同生活が始まる。ギルが獲ってくる肉を食べ、共に笑い、カタリーナは本来の瑞々しい美しさを取り戻していく。しかしカタリーナは知らなかった。彼が王位継承争いから身を隠していた最強の第三王子であることを――。
※ふんわり設定です。
※他サイトにも掲載中です。
【完結】傷物令嬢は近衛騎士団長に同情されて……溺愛されすぎです。
朝日みらい
恋愛
王太子殿下との婚約から洩れてしまった伯爵令嬢のセーリーヌ。
宮廷の大広間で突然現れた賊に襲われた彼女は、殿下をかばって大けがを負ってしまう。
彼女に同情した近衛騎士団長のアドニス侯爵は熱心にお見舞いをしてくれるのだが、その熱意がセーリーヌの折れそうな心まで癒していく。
加えて、セーリーヌを振ったはずの王太子殿下が、親密な二人に絡んできて、ややこしい展開になり……。
果たして、セーリーヌとアドニス侯爵の関係はどうなるのでしょう?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる