【完結】田舎暮らしを都会でしているの?と思ったらここはどうやら異世界みたいです。

まりぃべる

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3. 何を言ってるの?

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「えと…?」

 私は、口をぽかんと開け、間抜けな顔をしていたに違いない。
ディヴィスさんとマルアさんも吹き出した。

「あんた…ええとカスガリンちゃん、なんて顔してんだい?可愛い顔が台無しだよ!異世界人ってのは、たまにこのシラグリン国にやって来るらしいんだ。私も初めて見たけどね。ディヴィスは見た事あった?」

 マルアさんはディヴィスに顔を向けて言った。
でも、ディヴィスさんは基本的に無口なのか、それともマルアさんがよく話すから黙っているのか。はたまたその両方か。
ディヴィスさんは首をフルフルと左右に振っただけだった。

 それに今、シラグリン国って言った?…どこ!?

「私も初めてだけどねぇ…。カスガリンって女の子にしては変わった名前だし、どうしたのって聞いた時に言った言葉も良く分からなかったし。服装もここらで見ない生地と見た目だし。カスガリンの見た目もね。髪の色はいろんな異世界人がいるって聞くけど、瞳の色はたいてい黒色らしいんだ。この国では、黒髪はいるけれど黒い瞳はいないからね。その窓から外を見てご覧よ。」

 そうなのね…。髪の色がいろいろって、日本では染める人が多いからかしら?
っていうか、本当に異世界なの?私を騙す…メリットはディヴィスさんとマルアさんには無いわね。

 じゃあ本当に…?
私は席を立って、窓から外を眺めた。

 そこにはーーーー

 石なのか、レンガなのか。

 そういう二階建ての建物が、道幅の広い街道沿いにずらりと並んでいた。

 目の前に広がる道は向かいの建物が見えづらい位にかなり広く、人が歩く石畳の道が建物沿いにこちら側とあちら側の建物沿いにもあり、その真ん中には馬車が通る道と分かれていた。

 また、歩いている人は髪色がカラフルで。

 私が昨日までいた日本とは違う国なのだと痛感したのだった。

「嘘でしょ…意味分かんない…。」

 知らず私は呟いた。私はやはりあの時、トラックに轢かれ死んでしまったのだろうか。

 すると、マルアさんが気安い口調とは裏腹に優しく諭すように言ってくれた。

「カスガリンちゃん。異世界人は、この国へ来たという登録をしないと行けないんだ。だけど、どうなるのか身の振り方が決まるまでうちにいなさいな。それで、手伝いでもしてくれると有難いな。」

「はい………ありがとうございます。でも、登録って?」

 役所とかで、住民登録とかそんな感じかな。

「さぁ。あたいも初めての事だから詳しくは分からなくてごめんよ。でも、何でも屋の騎士団の所に行けばきっと分かると思うんだ。悪いけど、自分で聞きに行ってくれるかい?私はちょっとこの通りの体だから長い距離は行けないし、ディヴィスも何かあった時にいて欲しいから…ディヴィス、ちょっと隣のケルンに道案内頼んでおくれよ。」

 と、マルアさんは言ってくれた。この体って?お腹が大きいからもしかして…。

「赤ちゃん?」

「あぁそうだよ。今臨月でね。いつ生まれるか分からないんだよ。」

「え!そんな時にすみません…。」

「何言ってんのさ!そんな時だからだよ。うちはパン屋だからね。店を開かないと生きていけないのさ!だけど私もさすがに辛くなってきてね。かと言ってあの無愛想のディヴィスに客商売はねぇ…。だから、カスガリン!私の代わりに店番やってくれやしないかい?そうなったら助かるんだよ。」

「いいのですか…?」

 何だかいろいろと申し訳ないけれど、
マルアさんの有難い言葉に、心がじんわりと温かくなった。
と同時に、私はカスガリンと言う名前をカスガ・リンだよと訂正しようか、少しどうでもいい事を考えていた。
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