9 / 18
王宮の夜会
しおりを挟む
この国の第二王子は、兄様と同じ歳です。
第二王子は、学院に通っておられなかったから私は知らないのですが、どうやら留学されていたそうです。
留学先を卒業したからと、王宮で第二王子のお披露目夜会をするそうです。
その夜会でお披露目をして初めて、政務を任されるそうです。
18歳で大人と見なされるという事ですわね。
兄様も、卒業したのでお父様の元、政務をされるのかと思ったのですけれど、先日はまだ分からないと言っておりましたものね。確かにまだまだお父様も現役でやれるのでしょうけれど、どうするおつもりなのかしら。
「アリールル、ちょっと地味過ぎない?いいの?それで。」
「まぁお母様!落ち着いた雰囲気だと言って頂きたいですわ。ねぇ姉様。どうです?」
「そうね。いつものドレスもとても素敵ですけれど、今日のもいつもとは違ってまた素晴らしいわ。ねぇお母様?」
「ま、まぁねぇ……。」
「お母様のドレスはいつもに増して、とても素敵ですわね。」
今日も真っ赤なドレスね。デコルテもかなり広がっているし…以前着ていたものとどこが違うのかしら?
…このようなドレス、私は選んだりはしないわね。
「ええそうでしょうとも!レフィアもその紫のドレス、大人っぽく見えて素敵ね。でも、あなたも赤色のが良かったのじゃなくて?」
め、滅相もない!!
「いいえお母様。赤にしてしまうとお母様と同じになってしまいますわ。比べられると切なくなりますもの。この色で十分ですわ。」
「そう?まぁ、そうね。……じゃぁ行きましょうか。」
お父様は今日はこの懇親会でお仕事があるそうで、残念ながらいらっしゃらないのです。
王宮は毎年懇親会という意味のダンスパーティーがある。ダンスをするのはパートナーがいる人達もしくはその場で誘い合った人達が踊るものなので、私はそういうのは苦手だったし相手もいない為それにはまだ参加していなかった。
けれど、前回は第一王子のお披露目夜会をした時に来たので、王宮は初めてではない。が、煌びやかな場所である事に変わりは無かった。
「いつ来ても綺麗ね!」
広いホールには人が多く、熱気がすごかった。天井にはシャンデリアがキラキラと輝いているし、まさに夢の世界のよう。
「あ、兄様だわ。」
アリールルが、入ってすぐ右奥の壁際の人だかりを指差して言った。
「本当ね。腕を組まれている隣の女性は誰かしら?」
と、お母様が眉をひそめて言った。
え、隣の女性?サーリン姉様じゃないの?
それに、女性が腕を組むのはそれなりの仲だと周りに思われてしまうから、お母様はいい顔をしていないわ。
「ちょっと!あなただれよ!!」
と、私達の後ろからその人だかりへカツカツとヒールを鳴らしながら勢いよく進んで行く女性がいた。
サーリン姉様!!
第二王子は、学院に通っておられなかったから私は知らないのですが、どうやら留学されていたそうです。
留学先を卒業したからと、王宮で第二王子のお披露目夜会をするそうです。
その夜会でお披露目をして初めて、政務を任されるそうです。
18歳で大人と見なされるという事ですわね。
兄様も、卒業したのでお父様の元、政務をされるのかと思ったのですけれど、先日はまだ分からないと言っておりましたものね。確かにまだまだお父様も現役でやれるのでしょうけれど、どうするおつもりなのかしら。
「アリールル、ちょっと地味過ぎない?いいの?それで。」
「まぁお母様!落ち着いた雰囲気だと言って頂きたいですわ。ねぇ姉様。どうです?」
「そうね。いつものドレスもとても素敵ですけれど、今日のもいつもとは違ってまた素晴らしいわ。ねぇお母様?」
「ま、まぁねぇ……。」
「お母様のドレスはいつもに増して、とても素敵ですわね。」
今日も真っ赤なドレスね。デコルテもかなり広がっているし…以前着ていたものとどこが違うのかしら?
…このようなドレス、私は選んだりはしないわね。
「ええそうでしょうとも!レフィアもその紫のドレス、大人っぽく見えて素敵ね。でも、あなたも赤色のが良かったのじゃなくて?」
め、滅相もない!!
「いいえお母様。赤にしてしまうとお母様と同じになってしまいますわ。比べられると切なくなりますもの。この色で十分ですわ。」
「そう?まぁ、そうね。……じゃぁ行きましょうか。」
お父様は今日はこの懇親会でお仕事があるそうで、残念ながらいらっしゃらないのです。
王宮は毎年懇親会という意味のダンスパーティーがある。ダンスをするのはパートナーがいる人達もしくはその場で誘い合った人達が踊るものなので、私はそういうのは苦手だったし相手もいない為それにはまだ参加していなかった。
けれど、前回は第一王子のお披露目夜会をした時に来たので、王宮は初めてではない。が、煌びやかな場所である事に変わりは無かった。
「いつ来ても綺麗ね!」
広いホールには人が多く、熱気がすごかった。天井にはシャンデリアがキラキラと輝いているし、まさに夢の世界のよう。
「あ、兄様だわ。」
アリールルが、入ってすぐ右奥の壁際の人だかりを指差して言った。
「本当ね。腕を組まれている隣の女性は誰かしら?」
と、お母様が眉をひそめて言った。
え、隣の女性?サーリン姉様じゃないの?
それに、女性が腕を組むのはそれなりの仲だと周りに思われてしまうから、お母様はいい顔をしていないわ。
「ちょっと!あなただれよ!!」
と、私達の後ろからその人だかりへカツカツとヒールを鳴らしながら勢いよく進んで行く女性がいた。
サーリン姉様!!
29
あなたにおすすめの小説
守護神の加護がもらえなかったので追放されたけど、実は寵愛持ちでした。神様が付いて来たけど、私にはどうにも出来ません。どうか皆様お幸せに!
蒼衣翼
恋愛
千璃(センリ)は、古い巫女の家系の娘で、国の守護神と共に生きる運命を言い聞かされて育った。
しかし、本来なら加護を授かるはずの十四の誕生日に、千璃には加護の兆候が現れず、一族から追放されてしまう。
だがそれは、千璃が幼い頃、そうとは知らぬまま、神の寵愛を約束されていたからだった。
国から追放された千璃に、守護神フォスフォラスは求愛し、へスペラスと改名した後に、人化して共に旅立つことに。
一方、守護神の消えた故国は、全ての加護を失い。衰退の一途を辿ることになるのだった。
※カクヨムさまにも投稿しています
【完結】溺愛される意味が分かりません!?
もわゆぬ
恋愛
正義感強め、口調も強め、見た目はクールな侯爵令嬢
ルルーシュア=メライーブス
王太子の婚約者でありながら、何故か何年も王太子には会えていない。
学園に通い、それが終われば王妃教育という淡々とした毎日。
趣味はといえば可愛らしい淑女を観察する事位だ。
有るきっかけと共に王太子が再び私の前に現れ、彼は私を「愛しいルルーシュア」と言う。
正直、意味が分からない。
さっぱり系令嬢と腹黒王太子は無事に結ばれる事が出来るのか?
☆カダール王国シリーズ 短編☆
攻略対象の王子様は放置されました
蛇娥リコ
恋愛
……前回と違う。
お茶会で公爵令嬢の不在に、前回と前世を思い出した王子様。
今回の公爵令嬢は、どうも婚約を避けたい様子だ。
小説家になろうにも投稿してます。
【完結】氷の王太子に嫁いだら、毎晩甘やかされすぎて困っています
22時完結
恋愛
王国一の冷血漢と噂される王太子レオナード殿下。
誰に対しても冷たく、感情を見せることがないことから、「氷の王太子」と恐れられている。
そんな彼との政略結婚が決まったのは、公爵家の地味な令嬢リリア。
(殿下は私に興味なんてないはず……)
結婚前はそう思っていたのに――
「リリア、寒くないか?」
「……え?」
「もっとこっちに寄れ。俺の腕の中なら、温かいだろう?」
冷酷なはずの殿下が、新婚初夜から優しすぎる!?
それどころか、毎晩のように甘やかされ、気づけば離してもらえなくなっていた。
「お前の笑顔は俺だけのものだ。他の男に見せるな」
「こんなに可愛いお前を、冷たく扱うわけがないだろう?」
(ちょ、待ってください! 殿下、本当に氷のように冷たい人なんですよね!?)
結婚してみたら、噂とは真逆で、私にだけ甘すぎる旦那様だったようです――!?
妹が「この世界って乙女ゲーじゃん!」とかわけのわからないことを言い出した
無色
恋愛
「この世界って乙女ゲーじゃん!」と言い出した、転生者を名乗る妹フェノンは、ゲーム知識を駆使してハーレムを作ろうとするが……彼女が狙った王子アクシオは、姉メイティアの婚約者だった。
静かな姉の中に眠る“狂気”に気付いたとき、フェノンは……
ヒロインが私の婚約者を攻略しようと狙ってきますが、彼は私を溺愛しているためフラグをことごとく叩き破ります
奏音 美都
恋愛
ナルノニア公爵の爵士であるライアン様は、幼い頃に契りを交わした私のご婚約者です。整った容姿で、利発で、勇ましくありながらもお優しいライアン様を、私はご婚約者として紹介されたその日から好きになり、ずっとお慕いし、彼の妻として恥ずかしくないよう精進してまいりました。
そんなライアン様に大切にされ、お隣を歩き、会話を交わす幸せに満ちた日々。
それが、転入生の登場により、嵐の予感がしたのでした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる