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5. トリマーという職業は
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しばらくレナも近くから周りを観察していた。
すると、エイダが言ったように野良のイヌやネコが道の隅を歩いたり、飲食店の店頭に寝そべったりしているのを見つけた。たまに、なぜだか細い路地へとものすごい勢いで走って行くイヌやネコもいた。
しかしどれも野良だからなのか手入れがされていないようで、どの動物も茶色というか黒っぽかった。きっと汚れているのだろうと、ますますレナは、洗ってあげたいと思った。
(洗ってあげている時、気持ち良さそうな顔をされるとたまらないのよね。洗ったあとは毛がフワフワになっていつまででも撫でていたくなるのよ。あぁ、触りたいなぁ!)
「ありがとうございました!」
その声を聞いたレナは、思考を止めエイダの方を向くと、エイダはほくほく顔でレナへと喜びを伝える。
「今日はレナがいたからかな?いつもより儲かったよ。少し早いけどお昼休みにしよう。」
そう言ったエイダは、荷物を素早くまとめて脇に抱えて歩き出した。
「あ、えっとどこへ行くのですか?」
「いつもはお弁当を持ってくるんだけどね。今日はそれどころじゃなかったから、パン屋にでも買いに行こう。もちろん、レナの分も買うから心配するんじゃないよ。」
「エイダさん…ごめんなさい。」
そう言ってくれたエイダに、レナは無性に申し訳なく思って謝った。
「なんだい?私、何かされたかい?」
「え、だって…私何もお手伝いしていないのに。」
「あぁ、なんだそんな事かい?私はレナが話し相手になってくれて嬉しいんだよ。それに、レナが隣にいたから珍しそうに靴磨きをされに来た客も結構いたんだよ。レナは気付いてなかったようだけど、チラチラ見られていたからね。充分お手伝いしてくれているよ。」
そうエイダがカラカラと笑って言って、
「だからお礼を言うのはこっちさ!さ、なんでも好きなもの選んでおくれ!」
と明るく言ってくれたので、レナは甘える事にした。
☆★
惣菜のパンを買って、また元の場所に戻って食べる事にしたエイダとレナ。
レナは、思い切ってエイダに話してみる事にした。
「エイダさん。ハサミってどこかに売ってませんか?」
「ハサミ!?そんなものどうするんだい?」
「私、トリマーだったので、ここでもやれるならやりたいのですけど、ハサミがあると」
「ちょ、ちょい待ち!とりまあ?なんだいそれ?」
(そっか…そんな言葉ないのか。)
「えっと、動物の手入れをする職業です。毛や爪を切ったり、洗ってあげたり。」
「ふーん…爪は違うけど、毛を切るなんて理髪師みたいだね。」
「…そんなようなものです。」
「そうかい。だったら、この先に店があるよ。でもねぇ、ハサミって刃物だろう?結構高いんだ。それに…さっきも言ったけど動物とはあまり仲良くしない方が身のためだよ。処罰されてしまうよ。」
「でも…」
「まぁ、あと何日か客寄せしてくれるかい?そうしたらきっとハサミも買えるだろうから。」
「え?」
「お給金みたいなもんだね。その日暮らしな感じで、今日の売り上げの十パーセントを商会に納めたらあとの残りは、食費や日用品に消えていくのさ。でも贅沢さえしなきゃ、ちゃんと残るからね、それを少しずつレナに渡すから。さ、食べたら並んでいる人の邪魔をしないように、また声掛けしてくれるかい?」
そう言われたレナはそこまで甘えていいのだろうかと悩んだ。
けれども確かに、どこかで働いたりでもしないとハサミも買えないし、そもそもトリマーのような職業をこの街で行えるのかも不安に思った。
だから、エイダのその提案に、少しでも力になれるよう、次は呼び掛けを頑張ろうと思った。
すると、エイダが言ったように野良のイヌやネコが道の隅を歩いたり、飲食店の店頭に寝そべったりしているのを見つけた。たまに、なぜだか細い路地へとものすごい勢いで走って行くイヌやネコもいた。
しかしどれも野良だからなのか手入れがされていないようで、どの動物も茶色というか黒っぽかった。きっと汚れているのだろうと、ますますレナは、洗ってあげたいと思った。
(洗ってあげている時、気持ち良さそうな顔をされるとたまらないのよね。洗ったあとは毛がフワフワになっていつまででも撫でていたくなるのよ。あぁ、触りたいなぁ!)
「ありがとうございました!」
その声を聞いたレナは、思考を止めエイダの方を向くと、エイダはほくほく顔でレナへと喜びを伝える。
「今日はレナがいたからかな?いつもより儲かったよ。少し早いけどお昼休みにしよう。」
そう言ったエイダは、荷物を素早くまとめて脇に抱えて歩き出した。
「あ、えっとどこへ行くのですか?」
「いつもはお弁当を持ってくるんだけどね。今日はそれどころじゃなかったから、パン屋にでも買いに行こう。もちろん、レナの分も買うから心配するんじゃないよ。」
「エイダさん…ごめんなさい。」
そう言ってくれたエイダに、レナは無性に申し訳なく思って謝った。
「なんだい?私、何かされたかい?」
「え、だって…私何もお手伝いしていないのに。」
「あぁ、なんだそんな事かい?私はレナが話し相手になってくれて嬉しいんだよ。それに、レナが隣にいたから珍しそうに靴磨きをされに来た客も結構いたんだよ。レナは気付いてなかったようだけど、チラチラ見られていたからね。充分お手伝いしてくれているよ。」
そうエイダがカラカラと笑って言って、
「だからお礼を言うのはこっちさ!さ、なんでも好きなもの選んでおくれ!」
と明るく言ってくれたので、レナは甘える事にした。
☆★
惣菜のパンを買って、また元の場所に戻って食べる事にしたエイダとレナ。
レナは、思い切ってエイダに話してみる事にした。
「エイダさん。ハサミってどこかに売ってませんか?」
「ハサミ!?そんなものどうするんだい?」
「私、トリマーだったので、ここでもやれるならやりたいのですけど、ハサミがあると」
「ちょ、ちょい待ち!とりまあ?なんだいそれ?」
(そっか…そんな言葉ないのか。)
「えっと、動物の手入れをする職業です。毛や爪を切ったり、洗ってあげたり。」
「ふーん…爪は違うけど、毛を切るなんて理髪師みたいだね。」
「…そんなようなものです。」
「そうかい。だったら、この先に店があるよ。でもねぇ、ハサミって刃物だろう?結構高いんだ。それに…さっきも言ったけど動物とはあまり仲良くしない方が身のためだよ。処罰されてしまうよ。」
「でも…」
「まぁ、あと何日か客寄せしてくれるかい?そうしたらきっとハサミも買えるだろうから。」
「え?」
「お給金みたいなもんだね。その日暮らしな感じで、今日の売り上げの十パーセントを商会に納めたらあとの残りは、食費や日用品に消えていくのさ。でも贅沢さえしなきゃ、ちゃんと残るからね、それを少しずつレナに渡すから。さ、食べたら並んでいる人の邪魔をしないように、また声掛けしてくれるかい?」
そう言われたレナはそこまで甘えていいのだろうかと悩んだ。
けれども確かに、どこかで働いたりでもしないとハサミも買えないし、そもそもトリマーのような職業をこの街で行えるのかも不安に思った。
だから、エイダのその提案に、少しでも力になれるよう、次は呼び掛けを頑張ろうと思った。
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