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7 ルーラントの衝撃
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俺はルーラント。バルツァーレク侯爵領の一人息子だ。
侯爵であった父オルジフと、母イルジナは高位貴族であるが夫婦仲は良く、俺も幼い頃からよく父と共に次期侯爵として領地をついて回っていた。
バルツァーレク領は、チェラトナ国の端にあり隣国とも接している。
その隣国が三十年ほど前に国内でいざこざがあったらしくこちら側に移民が流れて来た。
祖父の代で、その移民をあっさりと受け入れ父が受け継ぎ、そして今に至る。
移民を受け入れる事は賛否両論あるが、祖父がバルツァーレク侯爵だった時にそれを受け入れ、父もそれを受け継いだのは決して心が広いだけではないだろうと思う。彼らがいればもっと領地も繁栄するだろうと見越していたのだ。
そして彼らもまた元々の領民と争う事なく共に生活する道を選んだ末、バルツァーレク領も更に栄える事となったのだから、結果的に良かったのだろう。
幼い頃から移民が生活する場にも出入りしていた俺は、彼らが作る楽器を目を輝かせて見ていた。森に生えていた木から、見る間に命を吹き込まれて形作られ繊細な音を奏でられる楽器は、同じ人間かと疑うほどだった。
移民達は、隣国で祖先から受け継がれてきた手法を、受け入れてくれた御礼にと移り住んだバルツァーレク領で、惜しげもなく披露してくれたのだ。それが今ではバルツァーレク領の主力な工芸品となっている。
彼らが作る楽器を、試しにと弾かせてもらっていく内に作り方も教わっていった。
職人達との触れ合いは、思いのほか楽しかった。
初めて作った楽器に、見よう見まねで装飾も施してみた。
植物を模して彫るのは難しく、時折はみ出したりもしたが皆が褒めてくれた。
後に、褒めてくれるのは自分に才能があるわけではなく、侯爵令息だからという忖度があったのだと気づく訳だが、当時は自分に才能があるのだと、俺は何をやっても素晴らしいのだと少し尊大になっていたのだと思う。
毎日のように領地を父について歩き、職人達の所に幼い頃から通っていたのだから、領民が俺の事を知っていて当たり前だった。
それさえも気づかずに俺は偉いから皆が俺の事を知っているのだと思っていたなんて本当にバカだった。
後に、それを気づかせてくれた人物に認められるようにと俺は職人紛いの事だけでなく領地の細部にまで目を向け、それまでは教えられた事を教えられたように詰め込んでいた知識も、未来を見据えて意欲的に学ぼうと決意し努力するようになる。
そうする事で、早々と侯爵を名乗る事が出来たのは、俺にとっては副産物なだけであった。全ては、気づかせてくれた人物に、再び胸を張って会えるようにとの思いだったのだ。
☆★
しかしまだそんな事にも気付けていない、俺が十一歳だったある日。
父の知り合いが訪ねて来て、楽器を見たいと職人達の工房に来ていた。
その知り合いはカフリーク伯爵で、バイオリンを作っている職人達の手先を順に見ては凄いと驚嘆していた。こんなにじっくりと見ていく人は、商売人でない貴族ではあまり居ないと思う。
実際、父もカフリーク伯爵が帰ってからもしきりにそう言っていて、だからその点、彼とは馬が合うのだと言っていた。
不意に、壁に掛けてあるバイオリンを見て伯爵は言ったのだ。
「あれは?」
「あぁ、あれは…まぁ練習というかね。」
「ほう。それにしては珍しく装飾がいいね。味がある。あれを売ってくれないか?」
そう言われた時、近くにいた俺は心底驚いたし父がどうするのかとワクワクとした気持ちで見ていた。なぜって、あれは俺が初めて作った大作だ。だから誰の目にも見えるように飾っておいたんだ。
だが、次の瞬間、悔しいというべきかなんとも冷たい一言を言われたんだ。いつも、俺の作ったものを見せると頷いて褒めてくれる父に言われるとも思わなかった一言。
「あれはダメだ。売れない。」
売れない!?売れないほど酷いってか!?売れるだろ!?みんなに褒められたんだぜ?
そりゃ、俺の初めての作品で、装飾もまぁ他の職人達に言わせれば荒削り、らしいがそれなりの出来だろうに!
頭を、後ろから思いっ切り殴られたようなそんな衝撃で、自分でも分かるくらい俺は一気に不機嫌な顔になった。
「そう言わずに。なに、さっきも言ったが私の娘にプレゼントするんだ。きっとあれは気に入るだろうから。」
「ダメだ、売れないよ。」
「そうか…とても素晴らしいと思ったし、娘にピッタリだと思ったんだがなぁ…でも、オルジフが拒むのなら仕方ない。諦めよう。」
「…ルーラント、どうする?」
「え?」
イライラしていた俺に、いきなり父は話を振ってきたんだ。
「こう言ってくれているが、手放していいか?」
「…別に。その為に作ってるんだろ!」
客が居るのに、そんな口調良くないのは分かっていたが、まるで父が俺の腕を認めてくれていないように感じて、半ば投げやりにそう言ったんだ。
「…そうだな。
ヘルベルト、本当にあれがいいんだな?」
「いいのか?もちろんさ!」
「よし、じゃああとは屋敷で話そう。」
そう言った父は、俺が初めて作ったバイオリンを、商品となったからかまるで壊れ物を扱うかのようにそれはもう両手でゆっくりと丁寧に壁から取った。
それに合わせたケースは、俺は作っていなかった為に他の職人が作ったそれなりの物を用意していたように思うが、俺は先ほどまでの苛立ちが少しだけ薄れ、自分の作った物が買われていくのをくすぐったいような感覚で見ていた。
ーーーそして、何か月か経った頃。父が、カフリーク伯爵家に行くからお前も行くかと言われた。
カフリーク…そう聞いた時、初めて作ったバイオリンを買ってくれた家だと思い出す。
「行く!!」
俺は、俺のバイオリンをどう扱っているのかが気になり行く事にしたんだ。
確か、娘に贈ると言っていた。
俺が作ったバイオリンだ。きっとさぞかし上手く弾けるようになっているだろうと俺は期待に胸を膨らませていた。
こっそりと、自分が作った横笛をポケットに入れた。何か、共に演奏出来るかもと思ったからだ。
父は、カフリーク家の畑栽培について興味があるらしく、伯爵と伯爵夫人と共に工房へと向かっていった。俺には、適当にしてればいいと言い残して。
伯爵も伯爵夫人も、好きに領地を回っていいと許可をくれたがどうしたものかと一人フラフラしていると、どこからともなくなんとも形容しがたい音が聞こえてきた。不協和音、とでもいうべきか。どうしたらこんな音が出せるのだと思ったところで気になり、そちらへと足を向けた。
ブドウの樹の迷路の先に、その音の発生源を見つけたルーラント。
初めてとはいえ自分が丹精込めて作ったバイオリンが、そんな不協和音を奏でるとは露ほども思ってもいなかったルーラントは、この子がバイオリンを贈られた娘なのかと落胆しながら声を掛けた。
「ねぇ、なんとかならないの?その音。」
「だれ!?」
酷く驚かれたルーラントは、少しイラつかせながら言葉を繋ぐ。
今まで、自分を知らないと面と向かって言われた事は無かった。ルーラントが名前を知らないバルツァーレク領の民も、自分を見れば一目置き、誰もがルーラント様と声を掛けてくる。
それなのに目の前のこの少女は、誰だと言ったのだ。
「は?俺の事知らねぇの?」
呆れるようにそう問えば、そんなに有名なのと問われる。
ますます苛つき畳みかければ逆に失礼だと言われる始末。
だが、次の瞬間意表を突かれ、毒気を抜かれたのだ。
「これね、バイオリンっていうの。」
はぁ?知ってるって。てか、見るからに俺より年下だろ。年上の俺に教える事か?
なかなか上手く弾けないと哀しそうに言う表情に、なんだか酷く胸を打たれる。
「この装飾、素敵でしょう?弾かなくなっても大切にするわ!」
作品を作った者として、上手く弾いてもらうだけでなく、大切にしてもらう事も嬉しいのだと気づかせてくれた。
しかし、楽師に習わないと上手くならないのかと言う少女に、自分が負けた気がして凪いだ心が再び苛つき始め腕を見せつけてやろうと弾いてみる。
「上手!」
楽師に習わずとも、弾けるのだと教えたくて少し手ほどきすれば少女の音色は格段と良くなり。
「ねぇ、聞いた?」
先ほどまで浮かない顔をしていた少女が、自分が教えた事で笑顔に変わったのを見るや胸に温かな気持ちが芽生え始めた。
「これ、やるよ。」
その横笛もまた、ルーラントの手作りで、機会があればバイオリンと協奏出来るかと持って行ったもの。
だけれど、どうしても自分との繋がりを覚えていて欲しくて、押し付けがましいかと思いながらも手渡した。
俺は、別れ際の彼女の『頑張る』という言葉に、俺もな、と心の中で返した。
そんな少女に、また会いたいと思ったが今のままではいけないとなぜだか思った。
今まで気ままに職人のまねごとをしていたがそれからは領地の繁栄の為細部にまで目を向ける事にした。
だれって…俺は俺だ!有名ではないがバルツァーレク侯爵になるべく、そしてあの少女に尊敬されるような人物になってやるよ!
決意新たに、ルーラントは日々精進していく。
その結果、若くして侯爵と名乗る事を許されるまでとなった。
そして…
十年後。
わけあって、交流会というチャンス到来!機を逃してはいけないからな、でも慎重に…次は決してしくじらないよう気をつけないと!あの頃の俺は不遜だったよな…嫌われてないといいけど。
だがずっと見ていない彼女を見つけられるか?会った時は黄色の髪がキラキラと輝いていたよな。…いや、俺なら分かる!きっと見つけられる!会ったらまずはどんな言葉を掛けようか……。
そんな想いを胸に、交流会へと出向くルーラントだった。
侯爵であった父オルジフと、母イルジナは高位貴族であるが夫婦仲は良く、俺も幼い頃からよく父と共に次期侯爵として領地をついて回っていた。
バルツァーレク領は、チェラトナ国の端にあり隣国とも接している。
その隣国が三十年ほど前に国内でいざこざがあったらしくこちら側に移民が流れて来た。
祖父の代で、その移民をあっさりと受け入れ父が受け継ぎ、そして今に至る。
移民を受け入れる事は賛否両論あるが、祖父がバルツァーレク侯爵だった時にそれを受け入れ、父もそれを受け継いだのは決して心が広いだけではないだろうと思う。彼らがいればもっと領地も繁栄するだろうと見越していたのだ。
そして彼らもまた元々の領民と争う事なく共に生活する道を選んだ末、バルツァーレク領も更に栄える事となったのだから、結果的に良かったのだろう。
幼い頃から移民が生活する場にも出入りしていた俺は、彼らが作る楽器を目を輝かせて見ていた。森に生えていた木から、見る間に命を吹き込まれて形作られ繊細な音を奏でられる楽器は、同じ人間かと疑うほどだった。
移民達は、隣国で祖先から受け継がれてきた手法を、受け入れてくれた御礼にと移り住んだバルツァーレク領で、惜しげもなく披露してくれたのだ。それが今ではバルツァーレク領の主力な工芸品となっている。
彼らが作る楽器を、試しにと弾かせてもらっていく内に作り方も教わっていった。
職人達との触れ合いは、思いのほか楽しかった。
初めて作った楽器に、見よう見まねで装飾も施してみた。
植物を模して彫るのは難しく、時折はみ出したりもしたが皆が褒めてくれた。
後に、褒めてくれるのは自分に才能があるわけではなく、侯爵令息だからという忖度があったのだと気づく訳だが、当時は自分に才能があるのだと、俺は何をやっても素晴らしいのだと少し尊大になっていたのだと思う。
毎日のように領地を父について歩き、職人達の所に幼い頃から通っていたのだから、領民が俺の事を知っていて当たり前だった。
それさえも気づかずに俺は偉いから皆が俺の事を知っているのだと思っていたなんて本当にバカだった。
後に、それを気づかせてくれた人物に認められるようにと俺は職人紛いの事だけでなく領地の細部にまで目を向け、それまでは教えられた事を教えられたように詰め込んでいた知識も、未来を見据えて意欲的に学ぼうと決意し努力するようになる。
そうする事で、早々と侯爵を名乗る事が出来たのは、俺にとっては副産物なだけであった。全ては、気づかせてくれた人物に、再び胸を張って会えるようにとの思いだったのだ。
☆★
しかしまだそんな事にも気付けていない、俺が十一歳だったある日。
父の知り合いが訪ねて来て、楽器を見たいと職人達の工房に来ていた。
その知り合いはカフリーク伯爵で、バイオリンを作っている職人達の手先を順に見ては凄いと驚嘆していた。こんなにじっくりと見ていく人は、商売人でない貴族ではあまり居ないと思う。
実際、父もカフリーク伯爵が帰ってからもしきりにそう言っていて、だからその点、彼とは馬が合うのだと言っていた。
不意に、壁に掛けてあるバイオリンを見て伯爵は言ったのだ。
「あれは?」
「あぁ、あれは…まぁ練習というかね。」
「ほう。それにしては珍しく装飾がいいね。味がある。あれを売ってくれないか?」
そう言われた時、近くにいた俺は心底驚いたし父がどうするのかとワクワクとした気持ちで見ていた。なぜって、あれは俺が初めて作った大作だ。だから誰の目にも見えるように飾っておいたんだ。
だが、次の瞬間、悔しいというべきかなんとも冷たい一言を言われたんだ。いつも、俺の作ったものを見せると頷いて褒めてくれる父に言われるとも思わなかった一言。
「あれはダメだ。売れない。」
売れない!?売れないほど酷いってか!?売れるだろ!?みんなに褒められたんだぜ?
そりゃ、俺の初めての作品で、装飾もまぁ他の職人達に言わせれば荒削り、らしいがそれなりの出来だろうに!
頭を、後ろから思いっ切り殴られたようなそんな衝撃で、自分でも分かるくらい俺は一気に不機嫌な顔になった。
「そう言わずに。なに、さっきも言ったが私の娘にプレゼントするんだ。きっとあれは気に入るだろうから。」
「ダメだ、売れないよ。」
「そうか…とても素晴らしいと思ったし、娘にピッタリだと思ったんだがなぁ…でも、オルジフが拒むのなら仕方ない。諦めよう。」
「…ルーラント、どうする?」
「え?」
イライラしていた俺に、いきなり父は話を振ってきたんだ。
「こう言ってくれているが、手放していいか?」
「…別に。その為に作ってるんだろ!」
客が居るのに、そんな口調良くないのは分かっていたが、まるで父が俺の腕を認めてくれていないように感じて、半ば投げやりにそう言ったんだ。
「…そうだな。
ヘルベルト、本当にあれがいいんだな?」
「いいのか?もちろんさ!」
「よし、じゃああとは屋敷で話そう。」
そう言った父は、俺が初めて作ったバイオリンを、商品となったからかまるで壊れ物を扱うかのようにそれはもう両手でゆっくりと丁寧に壁から取った。
それに合わせたケースは、俺は作っていなかった為に他の職人が作ったそれなりの物を用意していたように思うが、俺は先ほどまでの苛立ちが少しだけ薄れ、自分の作った物が買われていくのをくすぐったいような感覚で見ていた。
ーーーそして、何か月か経った頃。父が、カフリーク伯爵家に行くからお前も行くかと言われた。
カフリーク…そう聞いた時、初めて作ったバイオリンを買ってくれた家だと思い出す。
「行く!!」
俺は、俺のバイオリンをどう扱っているのかが気になり行く事にしたんだ。
確か、娘に贈ると言っていた。
俺が作ったバイオリンだ。きっとさぞかし上手く弾けるようになっているだろうと俺は期待に胸を膨らませていた。
こっそりと、自分が作った横笛をポケットに入れた。何か、共に演奏出来るかもと思ったからだ。
父は、カフリーク家の畑栽培について興味があるらしく、伯爵と伯爵夫人と共に工房へと向かっていった。俺には、適当にしてればいいと言い残して。
伯爵も伯爵夫人も、好きに領地を回っていいと許可をくれたがどうしたものかと一人フラフラしていると、どこからともなくなんとも形容しがたい音が聞こえてきた。不協和音、とでもいうべきか。どうしたらこんな音が出せるのだと思ったところで気になり、そちらへと足を向けた。
ブドウの樹の迷路の先に、その音の発生源を見つけたルーラント。
初めてとはいえ自分が丹精込めて作ったバイオリンが、そんな不協和音を奏でるとは露ほども思ってもいなかったルーラントは、この子がバイオリンを贈られた娘なのかと落胆しながら声を掛けた。
「ねぇ、なんとかならないの?その音。」
「だれ!?」
酷く驚かれたルーラントは、少しイラつかせながら言葉を繋ぐ。
今まで、自分を知らないと面と向かって言われた事は無かった。ルーラントが名前を知らないバルツァーレク領の民も、自分を見れば一目置き、誰もがルーラント様と声を掛けてくる。
それなのに目の前のこの少女は、誰だと言ったのだ。
「は?俺の事知らねぇの?」
呆れるようにそう問えば、そんなに有名なのと問われる。
ますます苛つき畳みかければ逆に失礼だと言われる始末。
だが、次の瞬間意表を突かれ、毒気を抜かれたのだ。
「これね、バイオリンっていうの。」
はぁ?知ってるって。てか、見るからに俺より年下だろ。年上の俺に教える事か?
なかなか上手く弾けないと哀しそうに言う表情に、なんだか酷く胸を打たれる。
「この装飾、素敵でしょう?弾かなくなっても大切にするわ!」
作品を作った者として、上手く弾いてもらうだけでなく、大切にしてもらう事も嬉しいのだと気づかせてくれた。
しかし、楽師に習わないと上手くならないのかと言う少女に、自分が負けた気がして凪いだ心が再び苛つき始め腕を見せつけてやろうと弾いてみる。
「上手!」
楽師に習わずとも、弾けるのだと教えたくて少し手ほどきすれば少女の音色は格段と良くなり。
「ねぇ、聞いた?」
先ほどまで浮かない顔をしていた少女が、自分が教えた事で笑顔に変わったのを見るや胸に温かな気持ちが芽生え始めた。
「これ、やるよ。」
その横笛もまた、ルーラントの手作りで、機会があればバイオリンと協奏出来るかと持って行ったもの。
だけれど、どうしても自分との繋がりを覚えていて欲しくて、押し付けがましいかと思いながらも手渡した。
俺は、別れ際の彼女の『頑張る』という言葉に、俺もな、と心の中で返した。
そんな少女に、また会いたいと思ったが今のままではいけないとなぜだか思った。
今まで気ままに職人のまねごとをしていたがそれからは領地の繁栄の為細部にまで目を向ける事にした。
だれって…俺は俺だ!有名ではないがバルツァーレク侯爵になるべく、そしてあの少女に尊敬されるような人物になってやるよ!
決意新たに、ルーラントは日々精進していく。
その結果、若くして侯爵と名乗る事を許されるまでとなった。
そして…
十年後。
わけあって、交流会というチャンス到来!機を逃してはいけないからな、でも慎重に…次は決してしくじらないよう気をつけないと!あの頃の俺は不遜だったよな…嫌われてないといいけど。
だがずっと見ていない彼女を見つけられるか?会った時は黄色の髪がキラキラと輝いていたよな。…いや、俺なら分かる!きっと見つけられる!会ったらまずはどんな言葉を掛けようか……。
そんな想いを胸に、交流会へと出向くルーラントだった。
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