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9 一週間振り
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ルーラントがやって来て一週間後。
ルーラントが、今度は荷物を持ってルジェナの元を訪れた。
「やぁ。約束の物を持ってきたよ。…というのは口実で、ルジェナ、君に会いに来た。」
今日は天気も良く、それほど冷える事もないので応接室から突き出たテラスでルジェナはルーラントと会っていた。
「まぁ!本当にこんなに早く…?ありがとうございます!みんな、喜びます!」
ルーラントが荷物の中身を見せると、ルジェナは手を一つ叩いて声を上げる。
約束の物とは、横笛である。
大きさもさまざまで、細いもの、太いもの、長いものに少し短いものもあった。数も多く、ざっと見ても、十本以上はあるのではないかとルジェナは思った。
「あぁ。こちらとしても見習い達のいい練習になったよ。数は、とりあえず二十本。足りなければもっと持ってくるけどね。」
「そんなに!きっと充分よ。ダリミルに伝えるわ。本当にありがとう。」
「これくらいならいくらでも。
横笛は、少し練習すれば子供でも吹けるから大丈夫だとは思うけれど、音色を奏でる事が出来ないと、ルジェナが…こっちに来れないだろう?なんなら、今から教えようか?」
「まぁ!ウフフ、ありがとう。
でも今は、ダリミル達畑の見回りをしているから、どこにいるか分からないの。もう少ししたら休憩時間だろうから、その時に話してみましょう?」
ルジェナは、ルーラントが少しでも早くルジェナがバルツァーレク領に来れるように考えてくれているんだと嬉しくなり微笑む。だが、せっかく来てくれたルーラントともう少し話したいとも思ったルジェナは、そのように言った。尤も、ダリミルが領民を連れて畑を見回っているのは本当で、普段であればあと一時間もすれば休憩時間となり屋敷に戻ってくるので急がずともいいだろうと思ったのだ。
「そうか。じゃあそうしよう。せっかく来たのにルジェナと話せないのも淋しいからな。」
「…私も。
あ!でも、ルーラント様忙しい?侯爵様ですものね、早くした方がいいのなら…」
「いや。ルジェナといられるよう、時間は作ってきたから大丈夫。それにしても……」
「ルーラント様…?」
ルーラントはそう言ったきり、ルジェナから顔を背けてしまった。なのでルジェナは気づかないうちに気を悪くさせてしまったのかと名前を呼んだが、ルーラントは顔に手をやって表情を隠し、少しして咳払いするとまたルジェナの方へと顔を戻した。
「今のは心臓に悪い…動揺してしまった。」
「え?」
「あ、いや…ルジェナがあんまり可愛い事を言うから。」
そう言ってルジェナへと微笑むルーラントに、ルジェナは途端に恥ずかしくなり視線を外すと、視界に入ったテーブルに乗った飲み物と食べ物の説明をし始めた。
「あ…え、えっと!
これ、うちで穫れたブドウを使ったブドウパイとブドウクッキーよ。
それから、ルーラント様はワインの方がお好きかもしれないけれど、ブドウジュースなの。
あ、でもブドウ尽くしじゃあ飽きるかと思って、普通の紅茶もあるのよ。」
「…そうか、それは素晴らしいね。せっかくだからいただくよ。
…うん、思ったよりも甘過ぎなくて美味しいね。」
ルーラントは、俯きながらそう話すルジェナがまた可愛いと思いながら白ブドウを使ったパイに手を伸ばし、口に含むとそう言った。
「本当?良かった!
ルーラント様は、甘すぎるのは苦手?」
ルーラントの言葉に、自分が褒められたかのように喜び手を一つ叩いて顔を上げたルジェナ。
「いや、ものによるかな。でもこれは美味い。」
そう言って早くも一つ食べ終わりそうなルーラントに、ルジェナは微笑み自分もそれに手を伸ばす。
「ウフフ、良かった!私、大好きなの!」
「そうか。こっちはブドウクッキーと言ったね?珍しいね、見た目は普通なのに。」
「それも美味しいのよ?」
ブドウクッキーは見た目は普通のプレーンクッキーのようであったが、一口食べてみるとブドウの旨みが広がり、ルーラントは驚いた。
「ん!これはすごいね。しっかりとブドウを感じるよ。」
「でしょう?それは、絞ったブドウ汁を生地に練り込んであるの。」
「へー珍しいね。うん、こっちも美味い。
ルジェナがうちに来たら、ここから取り寄せないといけないね。」
「ありがとう!
でも日持ちしないから、なかなか難しいのよね。」
そう言いながら過ごしていると、庭から歩いてくる人影が見え、そちらに視線を向けるとダリミルだった。
「あら、ダリミル。休憩?」
「はい。今日はルーラント義兄さまが来るので少し早めたんです。
お邪魔したらいけないとは思いましたが、来てしまいました。」
「そうだなぁ、もう少しルジェナと居たかったが、ダリミルにも話があったから来てくれて助かったよ。
頼まれた横笛、持ってきたよ。」
「え、ありがとうございます!では、後ほどお邪魔します!
いい?ルジェナ姉さん。」
「いいわよ。身支度、整えてからね?」
「はい!」
ダリミルは、外で作業していたため服を替えに屋敷の入り口の方へと踵を返した。
「ルジェナ、ごめんね。」
「え?」
それを視線で追っていたルジェナに、ルーラントは謝罪の言葉を告げた。いきなりのその言葉に、何だろうとルジェナは首を傾げる。
「いや…一週間振りに会えて、もっと一緒にいたかったけれどダリミルの同席を許してしまっまから。」
「ううん、だってそれで来てくれたんだもの。」
そう。
畑のブドウに音楽を聴かせていたルジェナが結婚していなくなってしまったら、また昔のような淡白で薄い味わいのブドウに逆戻りしてしまう事を懸念したダリミルが、領民でも奏でる事が出来るような簡単な楽器を提供して欲しいと願い、それに答える形でルーラントはやって来た。
本来であれば、ルーラントは侯爵の仕事があるため自ら来なくても良かったのだが、ルーラントはルジェナに会いたかった為、仕事をどうにか片付けで時間を作り自ら届けに来たのだ。
「あぁ、早くルジェナと一緒になりたい!毎日一緒にいられれば、時間を惜しむ事もないのに。
その為に、今日これから領民達に教えてあげられるといいんだけどな、ダリミルはどう答えるだろうか。」
「ルーラント様…」
「いや、でも猶予を一ヶ月にしてくれたんだから、ありがたいと思わないといけないな!
ルジェナも…生まれ育った場所を離れるなんてきっと淋しいだろうし。」
「…確かに。私、領地からほとんど出た事ないわ。」
「あー…そうか、そうだよな…。」
「でも、ルーラントの元に行けるのだもの。ちょっぴり淋しいけど、楽しみの方が多いわ!」
「ルジェナ…!あぁ、そんな可愛い事をまたさらりと言って俺を試さないでくれ。」
「ええ!?試す??そんな事…」
「いや、そうだよな。ごめん、ルジェナはそんな試すような女じゃない事は分かってる。だからこそ可愛いし…くそ!
ルジェナ、早く一緒になれる日を楽しみにしててくれよ!」
「ふふ…もちろん!楽しみにしてるわ。」
「あぁ、それで俺に全て預けてくれればいいから!」
「預け…え?なにを?」
「あーいや、こっちの話だ。
はぁ、ルジェナ…どんな顔も可愛いなぁ……」
…この後、テラスに来たダリミルが、ルーラントの悶々とした顔と、ルジェナの疑問を浮かべた顔を見比べる事となったのは言うまでもない。
ルーラントが、今度は荷物を持ってルジェナの元を訪れた。
「やぁ。約束の物を持ってきたよ。…というのは口実で、ルジェナ、君に会いに来た。」
今日は天気も良く、それほど冷える事もないので応接室から突き出たテラスでルジェナはルーラントと会っていた。
「まぁ!本当にこんなに早く…?ありがとうございます!みんな、喜びます!」
ルーラントが荷物の中身を見せると、ルジェナは手を一つ叩いて声を上げる。
約束の物とは、横笛である。
大きさもさまざまで、細いもの、太いもの、長いものに少し短いものもあった。数も多く、ざっと見ても、十本以上はあるのではないかとルジェナは思った。
「あぁ。こちらとしても見習い達のいい練習になったよ。数は、とりあえず二十本。足りなければもっと持ってくるけどね。」
「そんなに!きっと充分よ。ダリミルに伝えるわ。本当にありがとう。」
「これくらいならいくらでも。
横笛は、少し練習すれば子供でも吹けるから大丈夫だとは思うけれど、音色を奏でる事が出来ないと、ルジェナが…こっちに来れないだろう?なんなら、今から教えようか?」
「まぁ!ウフフ、ありがとう。
でも今は、ダリミル達畑の見回りをしているから、どこにいるか分からないの。もう少ししたら休憩時間だろうから、その時に話してみましょう?」
ルジェナは、ルーラントが少しでも早くルジェナがバルツァーレク領に来れるように考えてくれているんだと嬉しくなり微笑む。だが、せっかく来てくれたルーラントともう少し話したいとも思ったルジェナは、そのように言った。尤も、ダリミルが領民を連れて畑を見回っているのは本当で、普段であればあと一時間もすれば休憩時間となり屋敷に戻ってくるので急がずともいいだろうと思ったのだ。
「そうか。じゃあそうしよう。せっかく来たのにルジェナと話せないのも淋しいからな。」
「…私も。
あ!でも、ルーラント様忙しい?侯爵様ですものね、早くした方がいいのなら…」
「いや。ルジェナといられるよう、時間は作ってきたから大丈夫。それにしても……」
「ルーラント様…?」
ルーラントはそう言ったきり、ルジェナから顔を背けてしまった。なのでルジェナは気づかないうちに気を悪くさせてしまったのかと名前を呼んだが、ルーラントは顔に手をやって表情を隠し、少しして咳払いするとまたルジェナの方へと顔を戻した。
「今のは心臓に悪い…動揺してしまった。」
「え?」
「あ、いや…ルジェナがあんまり可愛い事を言うから。」
そう言ってルジェナへと微笑むルーラントに、ルジェナは途端に恥ずかしくなり視線を外すと、視界に入ったテーブルに乗った飲み物と食べ物の説明をし始めた。
「あ…え、えっと!
これ、うちで穫れたブドウを使ったブドウパイとブドウクッキーよ。
それから、ルーラント様はワインの方がお好きかもしれないけれど、ブドウジュースなの。
あ、でもブドウ尽くしじゃあ飽きるかと思って、普通の紅茶もあるのよ。」
「…そうか、それは素晴らしいね。せっかくだからいただくよ。
…うん、思ったよりも甘過ぎなくて美味しいね。」
ルーラントは、俯きながらそう話すルジェナがまた可愛いと思いながら白ブドウを使ったパイに手を伸ばし、口に含むとそう言った。
「本当?良かった!
ルーラント様は、甘すぎるのは苦手?」
ルーラントの言葉に、自分が褒められたかのように喜び手を一つ叩いて顔を上げたルジェナ。
「いや、ものによるかな。でもこれは美味い。」
そう言って早くも一つ食べ終わりそうなルーラントに、ルジェナは微笑み自分もそれに手を伸ばす。
「ウフフ、良かった!私、大好きなの!」
「そうか。こっちはブドウクッキーと言ったね?珍しいね、見た目は普通なのに。」
「それも美味しいのよ?」
ブドウクッキーは見た目は普通のプレーンクッキーのようであったが、一口食べてみるとブドウの旨みが広がり、ルーラントは驚いた。
「ん!これはすごいね。しっかりとブドウを感じるよ。」
「でしょう?それは、絞ったブドウ汁を生地に練り込んであるの。」
「へー珍しいね。うん、こっちも美味い。
ルジェナがうちに来たら、ここから取り寄せないといけないね。」
「ありがとう!
でも日持ちしないから、なかなか難しいのよね。」
そう言いながら過ごしていると、庭から歩いてくる人影が見え、そちらに視線を向けるとダリミルだった。
「あら、ダリミル。休憩?」
「はい。今日はルーラント義兄さまが来るので少し早めたんです。
お邪魔したらいけないとは思いましたが、来てしまいました。」
「そうだなぁ、もう少しルジェナと居たかったが、ダリミルにも話があったから来てくれて助かったよ。
頼まれた横笛、持ってきたよ。」
「え、ありがとうございます!では、後ほどお邪魔します!
いい?ルジェナ姉さん。」
「いいわよ。身支度、整えてからね?」
「はい!」
ダリミルは、外で作業していたため服を替えに屋敷の入り口の方へと踵を返した。
「ルジェナ、ごめんね。」
「え?」
それを視線で追っていたルジェナに、ルーラントは謝罪の言葉を告げた。いきなりのその言葉に、何だろうとルジェナは首を傾げる。
「いや…一週間振りに会えて、もっと一緒にいたかったけれどダリミルの同席を許してしまっまから。」
「ううん、だってそれで来てくれたんだもの。」
そう。
畑のブドウに音楽を聴かせていたルジェナが結婚していなくなってしまったら、また昔のような淡白で薄い味わいのブドウに逆戻りしてしまう事を懸念したダリミルが、領民でも奏でる事が出来るような簡単な楽器を提供して欲しいと願い、それに答える形でルーラントはやって来た。
本来であれば、ルーラントは侯爵の仕事があるため自ら来なくても良かったのだが、ルーラントはルジェナに会いたかった為、仕事をどうにか片付けで時間を作り自ら届けに来たのだ。
「あぁ、早くルジェナと一緒になりたい!毎日一緒にいられれば、時間を惜しむ事もないのに。
その為に、今日これから領民達に教えてあげられるといいんだけどな、ダリミルはどう答えるだろうか。」
「ルーラント様…」
「いや、でも猶予を一ヶ月にしてくれたんだから、ありがたいと思わないといけないな!
ルジェナも…生まれ育った場所を離れるなんてきっと淋しいだろうし。」
「…確かに。私、領地からほとんど出た事ないわ。」
「あー…そうか、そうだよな…。」
「でも、ルーラントの元に行けるのだもの。ちょっぴり淋しいけど、楽しみの方が多いわ!」
「ルジェナ…!あぁ、そんな可愛い事をまたさらりと言って俺を試さないでくれ。」
「ええ!?試す??そんな事…」
「いや、そうだよな。ごめん、ルジェナはそんな試すような女じゃない事は分かってる。だからこそ可愛いし…くそ!
ルジェナ、早く一緒になれる日を楽しみにしててくれよ!」
「ふふ…もちろん!楽しみにしてるわ。」
「あぁ、それで俺に全て預けてくれればいいから!」
「預け…え?なにを?」
「あーいや、こっちの話だ。
はぁ、ルジェナ…どんな顔も可愛いなぁ……」
…この後、テラスに来たダリミルが、ルーラントの悶々とした顔と、ルジェナの疑問を浮かべた顔を見比べる事となったのは言うまでもない。
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