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11 ある一日
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「ふぅ…」
その日、ルジェナはいつものようにバイオリンを弾いていた。いつもより短い曲を弾いたところで、呼吸が荒くなり顎を外した。
「体調はいかがです?一旦こちらにお座って下さい。」
「ごめんね、レンカ。ありがとう。」
レンカとは、バルツァーレク領に来てルジェナに付いてくれた侍女である。ルジェナと年齢も近く、友達のいないルジェナにとって初めて出来た友達のような感覚でもあった。ルーラントも、そういう意図もあり敢えて畏まった言葉遣いをしなくてもいいとレンカには伝えてある。
「いえ!無理をしてはいけません。大事なお体なのですから。」
「ありがとう。…ふぅ。」
「レモン水飲まれます?」
「いいわね!ありがとう。」
庭の木陰のベンチに確認するようにゆっくりと座る。木製の簡易なベンチであったがルジェナ仕様にクッションを背中と尻に敷き、体が痛くないようにしてある。
レンカは、準備していたレモン水をルジェナに丁寧に渡して、小言を言う。
「胎教にいいと言われましても、無理はいけませんよ!」
「はーい。…んー美味しい!」
冷たく冷やされたレモン水は、ルジェナの苦しくなった体に染みわたり、体が解れていくようだった。一気に半分まで減ったグラスを両手で包むように持ち、目を瞑ってそよそよと吹いてくる風を感じるルジェナに、気遣うような声が掛かった。
「ルジェナ、大丈夫か?」
「ルーラント?」
今日は幾つか出来上がった楽器を商会に納品するのだと言っていなかったかと目を開くルーラントの後ろに、懐かしい顔ぶれがあった。
「大丈夫?ルジェナ。」
「アルビーナお姉様!?」
「僕の事も忘れてない?可愛い義妹のルジェナ。」
「ダミアン義兄様!
え、どうして!?」
少し背もたれに凭れていた体を慌てて起こしたルジェナは、手にしていたレモン水を溢しそうになる。それを思わず掴んだレンカは、レモン水の入ったグラスを受け取り、少し離れたところにあるテーブルの上に置いた。
「ルジェナ、いきなり動くと危ないよ。
今日は、二人共こちらに来てもらったんだ。」
「ルジェナの顔が見たくて、私もダミアンに言ってついてきたのよ。」
「子供たちまではちょっと連れてこれなかったけれどね、アルビーナと出掛けられて僕も嬉しい限りさ!
もちろん、義妹のルジェナが心配でもあったからね。ルーラントに言って、来させてもらったよ。」
気安い感じで話し、肩を突き合っている二人に首を傾げるとアルビーナは事も無げに言った。
「あら?言ってなかった?私達、学院で共に過ごしたのよ。私もダミアンも今年で二十一。ルーラントもだものね。」
「え!そうでしたの?」
「バルツァーレク領には懇意にしてもらってるよ。
素晴らしい楽器の作り手がたくさんいるからね、おかげて国内だけでなく国外にもファンがいて高値で売れるんだ。
楽器の音色も然る事ながら、楽器に繊細な装飾があるのってここだけだからね。やっぱり、移民を受け入れて手ほどきしてもらったバルツァーレク領のは他の楽器とは全然違うよ。」
そう、高々と告げるダミアンにアルビーナは加えて言う。
「ちなみに、実家で作る物もほとんどダミアンの商会で売ってるのよ?ワイン、ブドウジュース、ジャムとかね。
ルジェナがバイオリンや笛を吹いてくれたお陰で、味に個性が出て売り上げも昔よりものすごく上がったの。
今もね、弟のダリミルを筆頭に音楽家たちが日々精進してくれるお陰で、昨年とは違う味の飲みやすいワインやブドウジュースが出来上がって、売り上げも変わらずいいのよ?」
「そうだね、ジャムも爽やかになったと評判だよ。もちろん、今までの味のファンも変わらずいるけれど、農産物って生き物だから。毎年味が変わるのはままある事さ。」
「そうだな、カフリーク領の皆に、ルジェナを奪ったと恨まれなくて済んでよかった。売り上げが落ちて収入が減ってしまったら、ルジェナを返せ、って言われても俺は今さら手放せないからな。」
「もう!妹ののろけを私に言わないでって言ってるでしょう?
ま、幸せならそれでいいけれど!
ルジェナ、良かったわね。あなたとーっても愛されてるのよ。」
「…ええ、まぁ……。」
「あら!気づいてるのね?!
もう!私の可愛いルジェナを汚さないでよ、ルーラント!」
「まぁまぁ、幸せならいいんだろ?アルビーナ。自分の目で確かめるって聞かないんだから。
ルジェナのお腹にも命が宿ってるって事は、そういう事じゃないか。」
「ま、まぁ…そうね。ルーラント、あまりルジェナに無理させないでよ?」
「分かってる!…って言いたいけど、ごめん約束は出来ない。ルジェナが可愛過ぎて、気持ちが止まらないんだ。」
「ちょっとルーラント!もう、あまり言わないで?」
ーーールジェナは、一緒に住むようになってから初めは別々の部屋だったが、ルーラントが早く結婚したいと言うのでお披露目だけはドレスの手配もあり一ヶ月後としたが、書面の手続きはルジェナがバルツァーレク領に来てわずか一週間ほどで夫婦としてしまった。その事で部屋もその日から同じとし、毎晩ルーラントはルジェナと共に夜を明かす。
ルジェナはルーラントと同じベッドに入るのを初めこそ緊張したが、ベッドの中で手を繋ぎながらその日あった出来事の話をするのがとても楽しみとなった。
が。
日に日に目の下に隈が出来て窶れていくルーラントを見てルジェナは同じベッドだと熟睡が出来ないのではないのかと心配になり一週間もするとベッドを別々にしようと提案した。するとルーラントは固まったように動かなくなり再びルジェナが声を掛けると哀しそうに俺が嫌なのかと問う。そんな事は全くなくルーラントの体が心配なのだとルジェナが言えば途端に抱き締められ、耳元でルーラントに本当は手を繋ぐだけでは無くてもっと先まで進みたいけれど我慢をしているんだと胸の内を伝えられる。ルジェナは、ルーラントの憂いが無くなるならともっと先まで進んでみようと提案したが最後、今度は毎晩ルジェナが寝不足になりルーラントは毎日清々しいほど元気になったのだ。
お披露目会をする前の晩も二人は遅くまで事をいたしていたので、開催は昼過ぎからで良かったとルジェナだけでなく使用人達もホッと胸をなで下ろしていた。
本当は、社交を全くして来なかったルジェナの負担のならないように親族だけの結婚式だけをしようと思ったのだが、侯爵家の当主の妻のお披露目会であるからそれも叶わず、当主の妻を披露する大々的な場を設ける事となったのだ。
ルジェナは、眠い目で気だるさが残る体でルーラントの隣に立っていたのだが、大きな体躯のルーラントと対比されて可愛いらしい容姿が幸いしたのか伏し目がちでおっとりとした印象を参加者に与える事が出来、また祝いの言葉を述べに来る参加者の会話にも、言葉少なに微笑みながらルーラントとお互い見つめ合いながらする姿に、お似合いの二人だと皆、うっとりとして好意的だった。
そんなルジェナの健気な姿もまた、ルーラントはたまらないとその夜もずいぶんと遅くまでルジェナを求めたのだった。
そんな二人であったから、ルジェナのお腹に命が宿るのも時間の問題であり、実際それからすぐにルジェナの体調不良が発覚する。
一日中眠かったり、また食欲がぐんと減り、ベッドから起き上がれないルジェナを見ると、ルーラントは病気ではないかとひどく心配し、仕事が手に付かないほどであった。
イルジナの、赤ちゃんが出来たのでしょうとコロコロと笑いながら言われても尚、ルーラントはルジェナの体調の変化に本当に大丈夫なのかと不安がり部屋に共に籠もるようになった。
しかしルジェナにしてみれば、ルーラントが仕事をしてくれなければ領民が困るし、一緒にいてくれたからって体調不良が良くなるわけでもない為、言葉を選んでルーラントに仕事部屋でしっかり仕事をするように促した。
ルジェナのその申し出に渋っていたルーラントも、普段怒ったりもしないイルジナに活を入れられ女々しい!と叱られれば、しぶしぶ了承し、執務室へと向かうようになった。
そして、それから約半年。
やっと落ち着いて、ルジェナは歩き回れるようになり、バイオリンや横笛を奏でるようになった。
しかし、妊娠以前よりもすぐに疲れてしまい、なかなか何曲も続けて奏でられなくなり、今日もすぐに休憩したのだ。
そんなルジェナを元気づける意味もあり、ルーラントは長女アルビーナとその夫ダミアンを呼んだのである。
「ははっ!そうだな!
それより、あまりここにいると体に障ってもいけない。屋敷に入ろうか。
アルビーナとダミアンもせっかく来てくれたんだ。ルジェナ、ゆっくりでいいから歩けるか?」
「ええ、大丈夫よ。」
「ルジェナ、ゆっくりでいいのよ。」
「そうだね、少し庭を見せてもらってから僕らも屋敷へ向かわせてもらうよ。」
ルーラントは、今日もルジェナを労るようにそう声を掛けると、流れるように手を差し出しルジェナの手を取ると、腰に手を当ててゆっくりとベンチから立たせて屋敷へと一歩一歩時間を掛けて向かった。
それに気を遣わせないよう、アルビーナとダミアンは少しゆっくりめに庭に咲いた花を愛でながら、屋敷へと向かう事としたのだった。
その日、ルジェナはいつものようにバイオリンを弾いていた。いつもより短い曲を弾いたところで、呼吸が荒くなり顎を外した。
「体調はいかがです?一旦こちらにお座って下さい。」
「ごめんね、レンカ。ありがとう。」
レンカとは、バルツァーレク領に来てルジェナに付いてくれた侍女である。ルジェナと年齢も近く、友達のいないルジェナにとって初めて出来た友達のような感覚でもあった。ルーラントも、そういう意図もあり敢えて畏まった言葉遣いをしなくてもいいとレンカには伝えてある。
「いえ!無理をしてはいけません。大事なお体なのですから。」
「ありがとう。…ふぅ。」
「レモン水飲まれます?」
「いいわね!ありがとう。」
庭の木陰のベンチに確認するようにゆっくりと座る。木製の簡易なベンチであったがルジェナ仕様にクッションを背中と尻に敷き、体が痛くないようにしてある。
レンカは、準備していたレモン水をルジェナに丁寧に渡して、小言を言う。
「胎教にいいと言われましても、無理はいけませんよ!」
「はーい。…んー美味しい!」
冷たく冷やされたレモン水は、ルジェナの苦しくなった体に染みわたり、体が解れていくようだった。一気に半分まで減ったグラスを両手で包むように持ち、目を瞑ってそよそよと吹いてくる風を感じるルジェナに、気遣うような声が掛かった。
「ルジェナ、大丈夫か?」
「ルーラント?」
今日は幾つか出来上がった楽器を商会に納品するのだと言っていなかったかと目を開くルーラントの後ろに、懐かしい顔ぶれがあった。
「大丈夫?ルジェナ。」
「アルビーナお姉様!?」
「僕の事も忘れてない?可愛い義妹のルジェナ。」
「ダミアン義兄様!
え、どうして!?」
少し背もたれに凭れていた体を慌てて起こしたルジェナは、手にしていたレモン水を溢しそうになる。それを思わず掴んだレンカは、レモン水の入ったグラスを受け取り、少し離れたところにあるテーブルの上に置いた。
「ルジェナ、いきなり動くと危ないよ。
今日は、二人共こちらに来てもらったんだ。」
「ルジェナの顔が見たくて、私もダミアンに言ってついてきたのよ。」
「子供たちまではちょっと連れてこれなかったけれどね、アルビーナと出掛けられて僕も嬉しい限りさ!
もちろん、義妹のルジェナが心配でもあったからね。ルーラントに言って、来させてもらったよ。」
気安い感じで話し、肩を突き合っている二人に首を傾げるとアルビーナは事も無げに言った。
「あら?言ってなかった?私達、学院で共に過ごしたのよ。私もダミアンも今年で二十一。ルーラントもだものね。」
「え!そうでしたの?」
「バルツァーレク領には懇意にしてもらってるよ。
素晴らしい楽器の作り手がたくさんいるからね、おかげて国内だけでなく国外にもファンがいて高値で売れるんだ。
楽器の音色も然る事ながら、楽器に繊細な装飾があるのってここだけだからね。やっぱり、移民を受け入れて手ほどきしてもらったバルツァーレク領のは他の楽器とは全然違うよ。」
そう、高々と告げるダミアンにアルビーナは加えて言う。
「ちなみに、実家で作る物もほとんどダミアンの商会で売ってるのよ?ワイン、ブドウジュース、ジャムとかね。
ルジェナがバイオリンや笛を吹いてくれたお陰で、味に個性が出て売り上げも昔よりものすごく上がったの。
今もね、弟のダリミルを筆頭に音楽家たちが日々精進してくれるお陰で、昨年とは違う味の飲みやすいワインやブドウジュースが出来上がって、売り上げも変わらずいいのよ?」
「そうだね、ジャムも爽やかになったと評判だよ。もちろん、今までの味のファンも変わらずいるけれど、農産物って生き物だから。毎年味が変わるのはままある事さ。」
「そうだな、カフリーク領の皆に、ルジェナを奪ったと恨まれなくて済んでよかった。売り上げが落ちて収入が減ってしまったら、ルジェナを返せ、って言われても俺は今さら手放せないからな。」
「もう!妹ののろけを私に言わないでって言ってるでしょう?
ま、幸せならそれでいいけれど!
ルジェナ、良かったわね。あなたとーっても愛されてるのよ。」
「…ええ、まぁ……。」
「あら!気づいてるのね?!
もう!私の可愛いルジェナを汚さないでよ、ルーラント!」
「まぁまぁ、幸せならいいんだろ?アルビーナ。自分の目で確かめるって聞かないんだから。
ルジェナのお腹にも命が宿ってるって事は、そういう事じゃないか。」
「ま、まぁ…そうね。ルーラント、あまりルジェナに無理させないでよ?」
「分かってる!…って言いたいけど、ごめん約束は出来ない。ルジェナが可愛過ぎて、気持ちが止まらないんだ。」
「ちょっとルーラント!もう、あまり言わないで?」
ーーールジェナは、一緒に住むようになってから初めは別々の部屋だったが、ルーラントが早く結婚したいと言うのでお披露目だけはドレスの手配もあり一ヶ月後としたが、書面の手続きはルジェナがバルツァーレク領に来てわずか一週間ほどで夫婦としてしまった。その事で部屋もその日から同じとし、毎晩ルーラントはルジェナと共に夜を明かす。
ルジェナはルーラントと同じベッドに入るのを初めこそ緊張したが、ベッドの中で手を繋ぎながらその日あった出来事の話をするのがとても楽しみとなった。
が。
日に日に目の下に隈が出来て窶れていくルーラントを見てルジェナは同じベッドだと熟睡が出来ないのではないのかと心配になり一週間もするとベッドを別々にしようと提案した。するとルーラントは固まったように動かなくなり再びルジェナが声を掛けると哀しそうに俺が嫌なのかと問う。そんな事は全くなくルーラントの体が心配なのだとルジェナが言えば途端に抱き締められ、耳元でルーラントに本当は手を繋ぐだけでは無くてもっと先まで進みたいけれど我慢をしているんだと胸の内を伝えられる。ルジェナは、ルーラントの憂いが無くなるならともっと先まで進んでみようと提案したが最後、今度は毎晩ルジェナが寝不足になりルーラントは毎日清々しいほど元気になったのだ。
お披露目会をする前の晩も二人は遅くまで事をいたしていたので、開催は昼過ぎからで良かったとルジェナだけでなく使用人達もホッと胸をなで下ろしていた。
本当は、社交を全くして来なかったルジェナの負担のならないように親族だけの結婚式だけをしようと思ったのだが、侯爵家の当主の妻のお披露目会であるからそれも叶わず、当主の妻を披露する大々的な場を設ける事となったのだ。
ルジェナは、眠い目で気だるさが残る体でルーラントの隣に立っていたのだが、大きな体躯のルーラントと対比されて可愛いらしい容姿が幸いしたのか伏し目がちでおっとりとした印象を参加者に与える事が出来、また祝いの言葉を述べに来る参加者の会話にも、言葉少なに微笑みながらルーラントとお互い見つめ合いながらする姿に、お似合いの二人だと皆、うっとりとして好意的だった。
そんなルジェナの健気な姿もまた、ルーラントはたまらないとその夜もずいぶんと遅くまでルジェナを求めたのだった。
そんな二人であったから、ルジェナのお腹に命が宿るのも時間の問題であり、実際それからすぐにルジェナの体調不良が発覚する。
一日中眠かったり、また食欲がぐんと減り、ベッドから起き上がれないルジェナを見ると、ルーラントは病気ではないかとひどく心配し、仕事が手に付かないほどであった。
イルジナの、赤ちゃんが出来たのでしょうとコロコロと笑いながら言われても尚、ルーラントはルジェナの体調の変化に本当に大丈夫なのかと不安がり部屋に共に籠もるようになった。
しかしルジェナにしてみれば、ルーラントが仕事をしてくれなければ領民が困るし、一緒にいてくれたからって体調不良が良くなるわけでもない為、言葉を選んでルーラントに仕事部屋でしっかり仕事をするように促した。
ルジェナのその申し出に渋っていたルーラントも、普段怒ったりもしないイルジナに活を入れられ女々しい!と叱られれば、しぶしぶ了承し、執務室へと向かうようになった。
そして、それから約半年。
やっと落ち着いて、ルジェナは歩き回れるようになり、バイオリンや横笛を奏でるようになった。
しかし、妊娠以前よりもすぐに疲れてしまい、なかなか何曲も続けて奏でられなくなり、今日もすぐに休憩したのだ。
そんなルジェナを元気づける意味もあり、ルーラントは長女アルビーナとその夫ダミアンを呼んだのである。
「ははっ!そうだな!
それより、あまりここにいると体に障ってもいけない。屋敷に入ろうか。
アルビーナとダミアンもせっかく来てくれたんだ。ルジェナ、ゆっくりでいいから歩けるか?」
「ええ、大丈夫よ。」
「ルジェナ、ゆっくりでいいのよ。」
「そうだね、少し庭を見せてもらってから僕らも屋敷へ向かわせてもらうよ。」
ルーラントは、今日もルジェナを労るようにそう声を掛けると、流れるように手を差し出しルジェナの手を取ると、腰に手を当ててゆっくりとベンチから立たせて屋敷へと一歩一歩時間を掛けて向かった。
それに気を遣わせないよう、アルビーナとダミアンは少しゆっくりめに庭に咲いた花を愛でながら、屋敷へと向かう事としたのだった。
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