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21. 従兄弟との出会い
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今日もスティーナは、イロナと共にアウグスタの屋敷へと赴いた。
「こんにちは。というか、初めまして。」
子供達と外に連れ出されて花壇の所にいたスティーナは、同じような年頃の少年に話し掛けられた。ニコリと笑った彼は、何処となく見たことのあるような、そんな雰囲気であるとスティーナは首を傾げる。
「あぁ、そんなに警戒しないで。僕は、君と従兄弟なんだから。」
「従兄弟…?」
「初めまして。僕はオリヤン。君の父親のモンス様は、僕の父メルケルの兄なんだ。」
そう言った彼は、先ほどまで花壇でスティーナから花の名前をきいていた子供達が嬉しそうに話しかけて屋敷へと手を引っ張って連れて行ってしまった。
スティーナも、それに倣ってついて行く。
(子供達は、オリヤンさんを見てとても嬉しそうな声を出して喜んでいたわ。名前も呼んでいたし、何度も来ているのかしら。
この方、屋敷にあるお父様の肖像画になんとなく似ているわ。でも従兄弟なんて居たのね。私、会った事もなかったわ。)
屋敷へ入ると、イロナがスティーナを待ち構えていて食堂へいこうと促す。
☆★
「オリヤンは、子供達に捕まってしまったわ。きっと後で来るから先に行きましょ。」
「彼は、というか彼のお父様のメルケル様が私達の考えに賛同してくれまして、小さな頃からよく手伝いに来てくれるのですよ。
オリヤンは十三歳でスティーナよりも一つ年上なので、学校に通っているのですがね、最近は授業を抜け出してよく来てくれるのです。」
イロナが椅子に座り、アウグスタが紅茶を準備しながらそのように説明してくれるのをスティーナは一つ頷き、聞いていた。
「従兄弟だと言っていました。でも、私は親戚に会った事がありませんでした。私にも従兄弟がいたのですね。」
「…スティーナの家は特殊だからかもしれないわ。
まぁ、花姫に遠慮して会いに来ない事もあるし、単純にモンスは仕事に忙しく家にいないしリンネアも体調が良くないから交流がないのかもしれないわ。
よその家の事は、私も深くは分からないから何とも言えないけれど。」
「父が遠慮したそうです。
失礼しますよ、ご一緒してよろしい、のですよね?」
イロナがそう教えてくれていると、そう言ってオリヤンは食堂へと入ってきた。
「オリヤン、今日も来てくれたの?授業は?」
「アウグスタ様、子供扱いしないで下さい!
僕はちゃんと授業は受けていますよ、これでもオーグレン家の血筋ではあるんですから。
あ、僕の事はオリヤンって呼んで。スティーナ、と呼んでもいい?それとも、敬意を持って花姫と?」
オリヤンはアウグスタにそう叫ぶと、スティーナへと視線を向けて快活にそう言った。
「スティーナとお呼び下さい。」
「ありがとう。
従兄弟でもあるからね、そんなに畏まらないで欲しいな。
急に実感は湧かないかもしれないけれど、僕はここにちょくちょく来るし、兄のように思ってくれれば嬉しいかな。」
「兄のように…?」
「だってスティーナは、僕にとったらせっかくの従姉妹でもあるし花姫でもあるからね、会いたかったよ。
けれど、僕らのような分家の者が本家に呼ばれてもいないのに遊びに行く事なんて出来ないと、父は頑なに行こうとはしなかったんだよ。スティーナの父のモンス様が、僕の父の兄だったから父は弟として遠慮していたのではないかな。
だから、スティーナがここに来てくれたのは嬉しいね!これからよろしく。」
「は、はい。よろしくお願いします。」
「ここに支援してくれる人は他にもいるけれど、オリヤンの家はね、ここに金銭的にも物理的にも支援をしてくれているからかなり助かっているのよ。」
「アウグスタ様、そう言って下さるとは父も喜びます。
僕は、オーグレン家の一員ではありますが、やはり国民の事も考えないといけないと思うのですよ。だから、授業がない日はここで、未来ある子供達と触れ合っているのです。」
オリヤンは、二年前、ここが出来てすぐに父親に連れられてやってきた。
メルケルは親戚筋とはいえオーグレン家の一員であるから宮殿で働いており、第一王子のラーシュの奔放さには目に余ると思っていた。メルケルは、アウグスタが当然の進言をした事も知っていて、それを国王が簡単に退けたのも知っている。その為、爵位を返上してしまったクリストフェルとアウグスタを気に掛けていたのだ。
メルケルに連れられてやってきたオリヤンもまた、その話はなんとなく聞いており、力になりたいと思ったのだ。
その為、今の自分に出来る事はと考え、子供達と一緒に遊んだり、力仕事を手伝ったりしてきたのだった。
「立派ね、オリヤン。
授業をサボってきているのかと思ったわ。」
「止めて下さい、イロナ様!
僕の通っている士官学校の授業は、選択制なのです。だから授業のない日に来ているのですよ。
きちんと学ぶ事は、学生の本分ですからね。怠ったりはしませんよ。」
「あら、それは悪かったわ!授業をサボる子を知っているのだもの、ねぇアウグスタ?」
「確かに。国の第一王子がサボるんだから、他の子供達だってサボるんじゃないかと思ってしまいますね。」
「アレと一緒にしないで下さい!あ…って、ここだけの話ですからね?」
「分かってますよ、ここはそういう人達の集まりですからね。」
そう言って、イロナとアウグスタは相づちを打ちながら笑った。
スティーナもそんな三人を見て、ここはいろいろな人達に支えられているのだと思い、窓の外で楽しそうに走り回っている子供達を見ていた。
「こんにちは。というか、初めまして。」
子供達と外に連れ出されて花壇の所にいたスティーナは、同じような年頃の少年に話し掛けられた。ニコリと笑った彼は、何処となく見たことのあるような、そんな雰囲気であるとスティーナは首を傾げる。
「あぁ、そんなに警戒しないで。僕は、君と従兄弟なんだから。」
「従兄弟…?」
「初めまして。僕はオリヤン。君の父親のモンス様は、僕の父メルケルの兄なんだ。」
そう言った彼は、先ほどまで花壇でスティーナから花の名前をきいていた子供達が嬉しそうに話しかけて屋敷へと手を引っ張って連れて行ってしまった。
スティーナも、それに倣ってついて行く。
(子供達は、オリヤンさんを見てとても嬉しそうな声を出して喜んでいたわ。名前も呼んでいたし、何度も来ているのかしら。
この方、屋敷にあるお父様の肖像画になんとなく似ているわ。でも従兄弟なんて居たのね。私、会った事もなかったわ。)
屋敷へ入ると、イロナがスティーナを待ち構えていて食堂へいこうと促す。
☆★
「オリヤンは、子供達に捕まってしまったわ。きっと後で来るから先に行きましょ。」
「彼は、というか彼のお父様のメルケル様が私達の考えに賛同してくれまして、小さな頃からよく手伝いに来てくれるのですよ。
オリヤンは十三歳でスティーナよりも一つ年上なので、学校に通っているのですがね、最近は授業を抜け出してよく来てくれるのです。」
イロナが椅子に座り、アウグスタが紅茶を準備しながらそのように説明してくれるのをスティーナは一つ頷き、聞いていた。
「従兄弟だと言っていました。でも、私は親戚に会った事がありませんでした。私にも従兄弟がいたのですね。」
「…スティーナの家は特殊だからかもしれないわ。
まぁ、花姫に遠慮して会いに来ない事もあるし、単純にモンスは仕事に忙しく家にいないしリンネアも体調が良くないから交流がないのかもしれないわ。
よその家の事は、私も深くは分からないから何とも言えないけれど。」
「父が遠慮したそうです。
失礼しますよ、ご一緒してよろしい、のですよね?」
イロナがそう教えてくれていると、そう言ってオリヤンは食堂へと入ってきた。
「オリヤン、今日も来てくれたの?授業は?」
「アウグスタ様、子供扱いしないで下さい!
僕はちゃんと授業は受けていますよ、これでもオーグレン家の血筋ではあるんですから。
あ、僕の事はオリヤンって呼んで。スティーナ、と呼んでもいい?それとも、敬意を持って花姫と?」
オリヤンはアウグスタにそう叫ぶと、スティーナへと視線を向けて快活にそう言った。
「スティーナとお呼び下さい。」
「ありがとう。
従兄弟でもあるからね、そんなに畏まらないで欲しいな。
急に実感は湧かないかもしれないけれど、僕はここにちょくちょく来るし、兄のように思ってくれれば嬉しいかな。」
「兄のように…?」
「だってスティーナは、僕にとったらせっかくの従姉妹でもあるし花姫でもあるからね、会いたかったよ。
けれど、僕らのような分家の者が本家に呼ばれてもいないのに遊びに行く事なんて出来ないと、父は頑なに行こうとはしなかったんだよ。スティーナの父のモンス様が、僕の父の兄だったから父は弟として遠慮していたのではないかな。
だから、スティーナがここに来てくれたのは嬉しいね!これからよろしく。」
「は、はい。よろしくお願いします。」
「ここに支援してくれる人は他にもいるけれど、オリヤンの家はね、ここに金銭的にも物理的にも支援をしてくれているからかなり助かっているのよ。」
「アウグスタ様、そう言って下さるとは父も喜びます。
僕は、オーグレン家の一員ではありますが、やはり国民の事も考えないといけないと思うのですよ。だから、授業がない日はここで、未来ある子供達と触れ合っているのです。」
オリヤンは、二年前、ここが出来てすぐに父親に連れられてやってきた。
メルケルは親戚筋とはいえオーグレン家の一員であるから宮殿で働いており、第一王子のラーシュの奔放さには目に余ると思っていた。メルケルは、アウグスタが当然の進言をした事も知っていて、それを国王が簡単に退けたのも知っている。その為、爵位を返上してしまったクリストフェルとアウグスタを気に掛けていたのだ。
メルケルに連れられてやってきたオリヤンもまた、その話はなんとなく聞いており、力になりたいと思ったのだ。
その為、今の自分に出来る事はと考え、子供達と一緒に遊んだり、力仕事を手伝ったりしてきたのだった。
「立派ね、オリヤン。
授業をサボってきているのかと思ったわ。」
「止めて下さい、イロナ様!
僕の通っている士官学校の授業は、選択制なのです。だから授業のない日に来ているのですよ。
きちんと学ぶ事は、学生の本分ですからね。怠ったりはしませんよ。」
「あら、それは悪かったわ!授業をサボる子を知っているのだもの、ねぇアウグスタ?」
「確かに。国の第一王子がサボるんだから、他の子供達だってサボるんじゃないかと思ってしまいますね。」
「アレと一緒にしないで下さい!あ…って、ここだけの話ですからね?」
「分かってますよ、ここはそういう人達の集まりですからね。」
そう言って、イロナとアウグスタは相づちを打ちながら笑った。
スティーナもそんな三人を見て、ここはいろいろな人達に支えられているのだと思い、窓の外で楽しそうに走り回っている子供達を見ていた。
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