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40. 番外編 異国の王子の行く末
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イェブレン国へと帰ったボトヴィッドは、同じく一団で共に帰ってきた父親であるハムザ国王の玉座の前で、跪いて頭を垂れ、下を向いたままに言葉を発する。
「国王の思いの通りに。」
「…よいのか、それで。」
「はい。どうせ、イェブレン国の王族のしきたりは性に合っておりませんでした。
…私はもう、生きる価値を見出せないですから。」
「…そんな事を申すな。お前は私に似て素晴らしい才能の持ち主であったのだぞ?だからこそ目をかけてやったのだ。
では、明日の朝、刑を執行する。それまでは、イェブレン国の王子として振る舞うように。」
「ありがとうございます。温情に感謝致します。
…父上、今までありがとうございました。」
「よせ。
…ではな、ボトヴィッド。」
ーーー
ーー
ー
翌日。
あまり寝られないままにボトヴィッドは侍従に連れられ、宮殿の出入り口である門へとたどり着いた。
(なぜ、門…?)
昨夜父親であるハムザから、刑を執行すると言われていた。この国では、国王が全てであり、国王が気に入らない事をした者は誰しもが極刑となり命でもって国王に報いていた。
ボトヴィッドもまた、王族としての責務を果たせなかったのだ。イェブレン国の王子として、身分のある女性と結婚し子供を授かり命を繋いでいく事こそがボトヴィッドの使命であったからだ。
このイェブレン国は、力こそ全てであり、女性に好意を持たれれば持たれるほど、それにも勝る。だから後宮にはたくさんの女性がいるし、国王の子供もまたたくさんいた。
その中でもボトヴィッドは特に武力は誰よりも勝っていたのだ。
(父上に目をかけていただいていたのは理解している。それでも…恋をしてしまった。彼女に。)
「お乗り下さい。」
「え?」
そこには、簡素な馬車があった。昨日までの旅路で使っていたものとは比べ物にならないほどの簡素なもの。
(馬車に乗ってどこへ行けというのだろうか。処刑場は、宮殿中にあったはずだが…。)
そう疑問を持ったボトヴィッドであったが、すでに無気力であった為に素直にそれに乗った。
ーーー二年前。
ボトヴィッドは、遠征に来た帰りに盗賊に襲われた。
…いや。
盗賊のふりをした、反対勢力の者が始末しろと破落戸に依頼したのだろうとボトヴィッドは思っている。
それほどまでに、ハムザは子供が多くいた。子供が多いという事は、それだけ次の国王になるのは誰か、という争いが起きる。それにより犠牲になるのもまた、ハムザの子供達であった。
ボトヴィッドはしかし、襲われてもおいそれとやられるような腕ではない。交わして逃げていたのだが、少し油断した隙に、トドラー渓谷という険しい山に囲まれた場所で、岩の割れ目に落ちてしまう。盗賊に見つからなかったのはいいが、どう這い上がろうかと考えたが、疲れと落ちた際に打ちつけた部分の痛みの為にそこで気絶してしまう。
「ん……」
「気が付いた?」
「え?あれ?」
「もう!あなたなんであんな所に居たの?驚いたわ!怪我もしているようだし。ま、幸い命に関わるようなものじゃなくて良かったわね。」
ボトヴィッドは、その助けてくれた女性が思いのほか美しく、見とれてしまった。だが、王族なだけあってさすがに綺麗な女性は見慣れている為に、すぐに正気に返り、言葉を返す。
「あ…ありがとう。助けてくれたのか。ここは…?」
「私の家よ。と言っても、渓谷に空いた穴を勝手に手直しして住んでいるだけだけれどね!」
そう言ってクスリと笑う女性の笑顔は眩しいと感じたボトヴィッドだったが、突如肩から背中にかけて痛みを感じて顔が引き攣ってしまう。
「うっ…!」
「あ、大丈夫!?地上から落ちたのかしらね?」
そう言って、女性はボトヴィッドの元へ駆け寄り跪いて顔を覗き込む。
ボトヴィッドは、柄にもなく顔が赤くなってしまう。
「え、ちょっと、本当に大丈夫!?熱でもあるんじゃない!?顔が真っ赤よ!
薬、持ってくるわ。」
そう言って立ち上がった女性の手をボトヴィッドは逃すまいと、素早く掴む。
「!?」
「あ、ごめん。…ねぇ、名前は?」
「私は……」
ーーー
ーー
ー
ボトヴィッドは鍛えていた為に体が丈夫である。そのくらいの怪我であれば、三日もすれば通常の生活程度であれば普通に過ごし、一週間もすれば訓練にも参加しているほどだ。
だが、あらかた治るまでボトヴィッドは、そこでゆっくりと世話になったのだった。
俗世から隠れるようにひっそりと暮らすケルットゥという名のその女性は、ボトヴィッドに何故ここで住んでいるのか、最後まで理由を教えてはくれなかったが、とても魅力的に感じたボトヴィッドであった。
☆★
どの位乗っていたのだろうか。ボトヴィッドは体を鍛えているとはいえ、この簡素な馬車に何時間も休憩なく乗っている事に限界を感じてきた頃、やっと馬車が止まる。
「お降り下さい。」
馬車の外から御者がボトヴィッドへと声を掛ける。
ボトヴィッドはその声に素直に応じ、足を踏み出すとすでに日は暮れかかっていた。
「では。」
御者は、ボトヴィッドを降ろすとすぐにまた元来た道を戻って行った。
(暗くなってきたのに、大丈夫なのか?)
ボトヴィッドは、すぐ近くに泊まれる街でもあるのか?と思ったが、まぁどうでもいいかとかぶりを振って、辺りを見渡す。
「!!?」
ボトヴィッドは執行人がいるかと思ったが、そこにいたのは、なんとあの、世話になった女性であった。
「バカね、王様からの使いから聞いたわよ。」
周りは、山に囲まれたトドラー渓谷。その女性ーーーケルットゥ以外は誰もいない。あの日と同じ、美しい女性がボトヴィッドの目の前にいる。
「何故……」
「それはこっちの台詞よ!
…離れる時に言ったでしょ、私は独り身がお似合いだって。なのに、私と一緒になる事を願ってしまったのでしょ?
ボトヴィッド、あなた身分のある人だと思っていたのに。私のせいで人生を棒に振って……!」
「いや、棒に振ってなどいない!
ボクは、あなた以外考えられなかった!ただそれだけだ。」
「…私、化け物なの。」
「は?」
「私、ボトヴィッドより年上よ?それもかなり。」
「あぁ、それならなんとなくは思っていた。でも、美しいよ。」
「それはそうよ、だって私、願ってしまったのだもの。そして、叶えられた。」
「?」
「私、年上なの。それも、十や二十じゃないのよ。何歳かなんてもう忘れたわ。だって、私への罰なんだもの。自然の摂理から逸脱した願望を願ってしまった大バカ者の私へのね。」
「さっきから何言って……もしかして、花姫に?」
「ええそう。良かったわね、ボトヴィッドはまだ、祈られる前に断られたのでしょ?その方が私、幸せだったのかもしれないわ。」
「………」
「さ!ボトヴィッドも、こんな化け物の私の為に人生を棒に振ってしまって後悔したでしょ。
王様からは、ボトヴィッドをよろしく、とだけ言われているの。だけど、この渓谷は広いのよ。迷子になる事だってあるわ。…さよなら、ボトヴィッド。」
「待てよ、ケルットゥ!」
ボトヴィッドは今まで呆然とケルットゥの話を聞いていたが、ケルットゥがさよならと言い、後ろを向いてしまった為に慌ててそう声を掛け、腕を掴む。
「ごめん、正直言って驚いた。でも、そんなに長く生きていたんなら、淋しかっただろう?一人でずっとここにいるなんて。
父上からは何も聞いてないんだけど、生きていいって事かな。これからはボクも一緒にいていいって事だよね?
いつか、長く生きてこられて良かったってケルットゥに思ってもらえるように、ボク尽くすから!さよならなんて言わないで!」
「…バカね。」
「ああ、何とでも言ってくれよ。愛しいケルットゥ!」
ここは、険しいトドラー渓谷。そこでの生活は、王族であったボトヴィッドにとって簡単ではないけれど、一度諦めた人生であった為に、どんな事でも耐えられると思ったボトヴィッドであった。
「国王の思いの通りに。」
「…よいのか、それで。」
「はい。どうせ、イェブレン国の王族のしきたりは性に合っておりませんでした。
…私はもう、生きる価値を見出せないですから。」
「…そんな事を申すな。お前は私に似て素晴らしい才能の持ち主であったのだぞ?だからこそ目をかけてやったのだ。
では、明日の朝、刑を執行する。それまでは、イェブレン国の王子として振る舞うように。」
「ありがとうございます。温情に感謝致します。
…父上、今までありがとうございました。」
「よせ。
…ではな、ボトヴィッド。」
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翌日。
あまり寝られないままにボトヴィッドは侍従に連れられ、宮殿の出入り口である門へとたどり着いた。
(なぜ、門…?)
昨夜父親であるハムザから、刑を執行すると言われていた。この国では、国王が全てであり、国王が気に入らない事をした者は誰しもが極刑となり命でもって国王に報いていた。
ボトヴィッドもまた、王族としての責務を果たせなかったのだ。イェブレン国の王子として、身分のある女性と結婚し子供を授かり命を繋いでいく事こそがボトヴィッドの使命であったからだ。
このイェブレン国は、力こそ全てであり、女性に好意を持たれれば持たれるほど、それにも勝る。だから後宮にはたくさんの女性がいるし、国王の子供もまたたくさんいた。
その中でもボトヴィッドは特に武力は誰よりも勝っていたのだ。
(父上に目をかけていただいていたのは理解している。それでも…恋をしてしまった。彼女に。)
「お乗り下さい。」
「え?」
そこには、簡素な馬車があった。昨日までの旅路で使っていたものとは比べ物にならないほどの簡素なもの。
(馬車に乗ってどこへ行けというのだろうか。処刑場は、宮殿中にあったはずだが…。)
そう疑問を持ったボトヴィッドであったが、すでに無気力であった為に素直にそれに乗った。
ーーー二年前。
ボトヴィッドは、遠征に来た帰りに盗賊に襲われた。
…いや。
盗賊のふりをした、反対勢力の者が始末しろと破落戸に依頼したのだろうとボトヴィッドは思っている。
それほどまでに、ハムザは子供が多くいた。子供が多いという事は、それだけ次の国王になるのは誰か、という争いが起きる。それにより犠牲になるのもまた、ハムザの子供達であった。
ボトヴィッドはしかし、襲われてもおいそれとやられるような腕ではない。交わして逃げていたのだが、少し油断した隙に、トドラー渓谷という険しい山に囲まれた場所で、岩の割れ目に落ちてしまう。盗賊に見つからなかったのはいいが、どう這い上がろうかと考えたが、疲れと落ちた際に打ちつけた部分の痛みの為にそこで気絶してしまう。
「ん……」
「気が付いた?」
「え?あれ?」
「もう!あなたなんであんな所に居たの?驚いたわ!怪我もしているようだし。ま、幸い命に関わるようなものじゃなくて良かったわね。」
ボトヴィッドは、その助けてくれた女性が思いのほか美しく、見とれてしまった。だが、王族なだけあってさすがに綺麗な女性は見慣れている為に、すぐに正気に返り、言葉を返す。
「あ…ありがとう。助けてくれたのか。ここは…?」
「私の家よ。と言っても、渓谷に空いた穴を勝手に手直しして住んでいるだけだけれどね!」
そう言ってクスリと笑う女性の笑顔は眩しいと感じたボトヴィッドだったが、突如肩から背中にかけて痛みを感じて顔が引き攣ってしまう。
「うっ…!」
「あ、大丈夫!?地上から落ちたのかしらね?」
そう言って、女性はボトヴィッドの元へ駆け寄り跪いて顔を覗き込む。
ボトヴィッドは、柄にもなく顔が赤くなってしまう。
「え、ちょっと、本当に大丈夫!?熱でもあるんじゃない!?顔が真っ赤よ!
薬、持ってくるわ。」
そう言って立ち上がった女性の手をボトヴィッドは逃すまいと、素早く掴む。
「!?」
「あ、ごめん。…ねぇ、名前は?」
「私は……」
ーーー
ーー
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ボトヴィッドは鍛えていた為に体が丈夫である。そのくらいの怪我であれば、三日もすれば通常の生活程度であれば普通に過ごし、一週間もすれば訓練にも参加しているほどだ。
だが、あらかた治るまでボトヴィッドは、そこでゆっくりと世話になったのだった。
俗世から隠れるようにひっそりと暮らすケルットゥという名のその女性は、ボトヴィッドに何故ここで住んでいるのか、最後まで理由を教えてはくれなかったが、とても魅力的に感じたボトヴィッドであった。
☆★
どの位乗っていたのだろうか。ボトヴィッドは体を鍛えているとはいえ、この簡素な馬車に何時間も休憩なく乗っている事に限界を感じてきた頃、やっと馬車が止まる。
「お降り下さい。」
馬車の外から御者がボトヴィッドへと声を掛ける。
ボトヴィッドはその声に素直に応じ、足を踏み出すとすでに日は暮れかかっていた。
「では。」
御者は、ボトヴィッドを降ろすとすぐにまた元来た道を戻って行った。
(暗くなってきたのに、大丈夫なのか?)
ボトヴィッドは、すぐ近くに泊まれる街でもあるのか?と思ったが、まぁどうでもいいかとかぶりを振って、辺りを見渡す。
「!!?」
ボトヴィッドは執行人がいるかと思ったが、そこにいたのは、なんとあの、世話になった女性であった。
「バカね、王様からの使いから聞いたわよ。」
周りは、山に囲まれたトドラー渓谷。その女性ーーーケルットゥ以外は誰もいない。あの日と同じ、美しい女性がボトヴィッドの目の前にいる。
「何故……」
「それはこっちの台詞よ!
…離れる時に言ったでしょ、私は独り身がお似合いだって。なのに、私と一緒になる事を願ってしまったのでしょ?
ボトヴィッド、あなた身分のある人だと思っていたのに。私のせいで人生を棒に振って……!」
「いや、棒に振ってなどいない!
ボクは、あなた以外考えられなかった!ただそれだけだ。」
「…私、化け物なの。」
「は?」
「私、ボトヴィッドより年上よ?それもかなり。」
「あぁ、それならなんとなくは思っていた。でも、美しいよ。」
「それはそうよ、だって私、願ってしまったのだもの。そして、叶えられた。」
「?」
「私、年上なの。それも、十や二十じゃないのよ。何歳かなんてもう忘れたわ。だって、私への罰なんだもの。自然の摂理から逸脱した願望を願ってしまった大バカ者の私へのね。」
「さっきから何言って……もしかして、花姫に?」
「ええそう。良かったわね、ボトヴィッドはまだ、祈られる前に断られたのでしょ?その方が私、幸せだったのかもしれないわ。」
「………」
「さ!ボトヴィッドも、こんな化け物の私の為に人生を棒に振ってしまって後悔したでしょ。
王様からは、ボトヴィッドをよろしく、とだけ言われているの。だけど、この渓谷は広いのよ。迷子になる事だってあるわ。…さよなら、ボトヴィッド。」
「待てよ、ケルットゥ!」
ボトヴィッドは今まで呆然とケルットゥの話を聞いていたが、ケルットゥがさよならと言い、後ろを向いてしまった為に慌ててそう声を掛け、腕を掴む。
「ごめん、正直言って驚いた。でも、そんなに長く生きていたんなら、淋しかっただろう?一人でずっとここにいるなんて。
父上からは何も聞いてないんだけど、生きていいって事かな。これからはボクも一緒にいていいって事だよね?
いつか、長く生きてこられて良かったってケルットゥに思ってもらえるように、ボク尽くすから!さよならなんて言わないで!」
「…バカね。」
「ああ、何とでも言ってくれよ。愛しいケルットゥ!」
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