9 / 25
9. 発見
しおりを挟む
食料が少ないとお父様に聞いて、また庭を散策する事にした。何か、長い夢の事を思い出すかなと思ったのと、庭には色とりどりの花が咲いていて心が和むから散策しようと思ったからだ。
サイモンがまた、最奥の方で作業をしていた。
「サイモン!今は何をしているの?」
「アイネル様ですか。今日は、この辺りを綺麗にしようと思いましてね。以前領主様と話していて、ほら例の、ロダトとローズをもっと増やすのにこの辺りでということになりまして。あまりお屋敷から見える所ですとお客様にも見えるといけませんからね。」
そうなんだ。なんだか一人でやってもらっていて申し訳ないわ。だって、ずいぶん放置されていたようで、見ると結構な蔓が溢れるように生えていた。ん…?これって…。
「ねぇ、サイモン。これって引っ張っていい?」
「いいですが、なかなか抜けませんよ。」
サイモンは少し笑いながら言った。
でも、私これ知っているわ。サツマイモの蔓じゃないのかしら?
「ねぇ、耕しましょ!だって地面にサツマイモが埋まっているわよ。」
「さつまいも?ってなんですか?」
「サツマイモよ、サツマイモ…あ!そうか…とりあえず掘るわよ!クワとかないの?」
さつまって確か、どこかの地方の名前だったような…?だからこちらではそう呼ばないのかしらね。
「クワですか…ここは畑とは違いますからね。私は庭師ですからスコップは持ってますけれど…。」
と、申し訳なさそうにサイモンは言った。
でもサイモン。ここは十分畑みたいよ。昔はここで、サツマイモ育てていたのかしら?
サイモンはお父様よりもっと年上の、五十代位なのよね。そのサイモンが知らないって事は、その前から放置されてたのかしら。
「いいわ。あ、シャベル借りるわよ。」
サイモンが持って来ていた、道具の中に小さい片手で扱えるほどのシャベルがあったからそれを手に取って地面にしゃがみ込んだ。
「何するんです?」
「ちょっと掘ってみるわ。サツマイモだったら食べれるのよ!」
そう言って私は、一カ所を掘ってみる。あまり蔓に近いと、サツマイモが傷付いてしまうから少し大きめに掘ってみた。
「わ!ちょっと!私がやります!アイネル様の手が汚れてしまいます!」
サイモンが慌てて私に言うけれど、もう遅いわよ。けれど、土の中からモゾモゾと這い出てきた虫もいて、私は苦手だったからサイモンに代わってもらった。
「よっと!ふー。アイネル様、やっと一つ取れましたよ。へー、こんなのが植わってたんですか?しかし一つ取るだけでも大変だな…。上の蔓だけ引っこ抜けば終わりかと思ったんですがね。」
そうなんだ…。でも確かに大変ね…んー、ちょっとこれはお父様に相談してみようかしら!
「サイモン、お疲れさま!ありがとう。ねぇ、ちょっとお父様に相談してくるから、ここはそのままにしておいてくれない?今日は違う所のお仕事をしてもらえるかしら。」
「え!ま、まぁアイネル様がそう言うなら。では今日はそのままにしますからね?あ、アイネル様、きちんと手は洗って下さいね。手が真っ黒で、旦那様が見たら卒倒しますから。」
「分かったわ。本当にありがとう。」
そう言って、私はサツマイモを持ってお父様に会いに行こうと屋敷へ戻った。
サイモンがまた、最奥の方で作業をしていた。
「サイモン!今は何をしているの?」
「アイネル様ですか。今日は、この辺りを綺麗にしようと思いましてね。以前領主様と話していて、ほら例の、ロダトとローズをもっと増やすのにこの辺りでということになりまして。あまりお屋敷から見える所ですとお客様にも見えるといけませんからね。」
そうなんだ。なんだか一人でやってもらっていて申し訳ないわ。だって、ずいぶん放置されていたようで、見ると結構な蔓が溢れるように生えていた。ん…?これって…。
「ねぇ、サイモン。これって引っ張っていい?」
「いいですが、なかなか抜けませんよ。」
サイモンは少し笑いながら言った。
でも、私これ知っているわ。サツマイモの蔓じゃないのかしら?
「ねぇ、耕しましょ!だって地面にサツマイモが埋まっているわよ。」
「さつまいも?ってなんですか?」
「サツマイモよ、サツマイモ…あ!そうか…とりあえず掘るわよ!クワとかないの?」
さつまって確か、どこかの地方の名前だったような…?だからこちらではそう呼ばないのかしらね。
「クワですか…ここは畑とは違いますからね。私は庭師ですからスコップは持ってますけれど…。」
と、申し訳なさそうにサイモンは言った。
でもサイモン。ここは十分畑みたいよ。昔はここで、サツマイモ育てていたのかしら?
サイモンはお父様よりもっと年上の、五十代位なのよね。そのサイモンが知らないって事は、その前から放置されてたのかしら。
「いいわ。あ、シャベル借りるわよ。」
サイモンが持って来ていた、道具の中に小さい片手で扱えるほどのシャベルがあったからそれを手に取って地面にしゃがみ込んだ。
「何するんです?」
「ちょっと掘ってみるわ。サツマイモだったら食べれるのよ!」
そう言って私は、一カ所を掘ってみる。あまり蔓に近いと、サツマイモが傷付いてしまうから少し大きめに掘ってみた。
「わ!ちょっと!私がやります!アイネル様の手が汚れてしまいます!」
サイモンが慌てて私に言うけれど、もう遅いわよ。けれど、土の中からモゾモゾと這い出てきた虫もいて、私は苦手だったからサイモンに代わってもらった。
「よっと!ふー。アイネル様、やっと一つ取れましたよ。へー、こんなのが植わってたんですか?しかし一つ取るだけでも大変だな…。上の蔓だけ引っこ抜けば終わりかと思ったんですがね。」
そうなんだ…。でも確かに大変ね…んー、ちょっとこれはお父様に相談してみようかしら!
「サイモン、お疲れさま!ありがとう。ねぇ、ちょっとお父様に相談してくるから、ここはそのままにしておいてくれない?今日は違う所のお仕事をしてもらえるかしら。」
「え!ま、まぁアイネル様がそう言うなら。では今日はそのままにしますからね?あ、アイネル様、きちんと手は洗って下さいね。手が真っ黒で、旦那様が見たら卒倒しますから。」
「分かったわ。本当にありがとう。」
そう言って、私はサツマイモを持ってお父様に会いに行こうと屋敷へ戻った。
50
あなたにおすすめの小説
婚約者に嫌われた伯爵令嬢は努力を怠らなかった
有川カナデ
恋愛
オリヴィア・ブレイジャー伯爵令嬢は、未来の公爵夫人を夢見て日々努力を重ねていた。その努力の方向が若干捻れていた頃、最愛の婚約者の口から拒絶の言葉を聞く。
何もかもが無駄だったと嘆く彼女の前に現れた、平民のルーカス。彼の助言のもと、彼女は変わる決意をする。
諸々ご都合主義、気軽に読んでください。数話で完結予定です。
公爵令嬢は運命の相手を間違える
あおくん
恋愛
エリーナ公爵令嬢は、幼い頃に決められた婚約者であるアルベルト王子殿下と仲睦まじく過ごしていた。
だが、学園へ通うようになるとアルベルト王子に一人の令嬢が近づくようになる。
アルベルト王子を誑し込もうとする令嬢と、そんな令嬢を許すアルベルト王子にエリーナは自分の心が離れていくのを感じた。
だがエリーナは既に次期王妃の座が確約している状態。
今更婚約を解消することなど出来るはずもなく、そんなエリーナは女に現を抜かすアルベルト王子の代わりに帝王学を学び始める。
そんなエリーナの前に一人の男性が現れた。
そんな感じのお話です。
なんでも思い通りにしないと気が済まない妹から逃げ出したい
木崎優
恋愛
「君には大変申し訳なく思っている」
私の婚約者はそう言って、心苦しそうに顔を歪めた。「私が悪いの」と言いながら瞳を潤ませている、私の妹アニエスの肩を抱きながら。
アニエスはいつだって私の前に立ちはだかった。
これまで何ひとつとして、私の思い通りになったことはない。すべてアニエスが決めて、両親はアニエスが言うことならと頷いた。
だからきっと、この婚約者の入れ替えも両親は快諾するのだろう。アニエスが決めたのなら間違いないからと。
もういい加減、妹から離れたい。
そう思った私は、魔術師の弟子ノエルに結婚を前提としたお付き合いを申し込んだ。互いに利のある契約として。
だけど弟子だと思ってたその人は実は魔術師で、しかも私を好きだったらしい。
婚約破棄ですか、では死にますね【完結】
砂礫レキ
恋愛
自分を物語の主役だと思い込んでいる夢見がちな妹、アンジェラの社交界デビューの日。
私伯爵令嬢エレオノーラはなぜか婚約者のギースに絶縁宣言をされていた。
場所は舞踏会場、周囲が困惑する中芝居がかった喋りでギースはどんどん墓穴を掘っていく。
氷の女である私より花の妖精のようなアンジェラと永遠の愛を誓いたいと。
そして肝心のアンジェラはうっとりと得意げな顔をしていた。まるで王子に愛を誓われる姫君のように。
私が冷たいのではなく二人の脳みそが茹っているだけでは?
婚約破棄は承ります。但し、今夜の主役は奪わせて貰うわよアンジェラ。
【完結】溺愛される意味が分かりません!?
もわゆぬ
恋愛
正義感強め、口調も強め、見た目はクールな侯爵令嬢
ルルーシュア=メライーブス
王太子の婚約者でありながら、何故か何年も王太子には会えていない。
学園に通い、それが終われば王妃教育という淡々とした毎日。
趣味はといえば可愛らしい淑女を観察する事位だ。
有るきっかけと共に王太子が再び私の前に現れ、彼は私を「愛しいルルーシュア」と言う。
正直、意味が分からない。
さっぱり系令嬢と腹黒王太子は無事に結ばれる事が出来るのか?
☆カダール王国シリーズ 短編☆
婚約者を義妹に奪われましたが貧しい方々への奉仕活動を怠らなかったおかげで、世界一大きな国の王子様と結婚できました
青空あかな
恋愛
アトリス王国の有名貴族ガーデニー家長女の私、ロミリアは亡きお母様の教えを守り、回復魔法で貧しい人を治療する日々を送っている。
しかしある日突然、この国の王子で婚約者のルドウェン様に婚約破棄された。
「ロミリア、君との婚約を破棄することにした。本当に申し訳ないと思っている」
そう言う(元)婚約者が新しく選んだ相手は、私の<義妹>ダーリー。さらには失意のどん底にいた私に、実家からの追放という仕打ちが襲い掛かる。
実家に別れを告げ、国境目指してトボトボ歩いていた私は、崖から足を踏み外してしまう。
落ちそうな私を助けてくれたのは、以前ケガを治した旅人で、彼はなんと世界一の超大国ハイデルベルク王国の王子だった。そのままの勢いで求婚され、私は彼と結婚することに。
一方、私がいなくなったガーデニー家やルドウェン様の評判はガタ落ちになる。そして、召使いがいなくなったガーデニー家に怪しい影が……。
※『小説家になろう』様と『カクヨム』様でも掲載しております
婚約破棄された令嬢が呆然としてる間に、周囲の人達が王子を論破してくれました
マーサ
恋愛
国王在位15年を祝うパーティの場で、第1王子であるアルベールから婚約破棄を宣告された侯爵令嬢オルタンス。
真意を問いただそうとした瞬間、隣国の王太子や第2王子、学友たちまでアルベールに反論し始め、オルタンスが一言も話さないまま事態は収束に向かっていく…。
生まれたことが間違いとまで言っておいて、今更擦り寄ろうなんて許される訳ないではありませんか。
木山楽斗
恋愛
伯父である子爵の元で、ルシェーラは苦しい生活を送っていた。
父親が不明の子ということもあって、彼女は伯母やいとこの令嬢から虐げられて、生きてきたのだ。
ルシェーラの唯一の味方は、子爵令息であるロナードだけだった。彼は家族の非道に心を痛めており、ルシェーラのことを気遣っていた。
そんな彼が子爵家を継ぐまで、自身の生活は変わらない。ルシェーラはずっとそう思っていた。
しかしある時、彼女が亡き王弟の娘であることが判明する。王位継承戦において負けて命を落とした彼は、ルシェーラを忘れ形見として残していたのだ。
王家の方針が当時とは変わったこともあって、ルシェーラは王族の一員として認められることになった。
すると彼女の周りで変化が起こった。今まで自分を虐げていた伯父や伯母やいとこの令嬢が、態度を一変させたのである。
それはルシェーラにとって、到底許せることではなかった。彼女は王家に子爵家であった今までのことを告げて、然るべき罰を与えるのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる