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4 これからの生活
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「では、食べようか。今日の恵みに感謝して…頂きます!」
食事の準備を終えたアンネッタは、三人を作業台を囲むように置かれた椅子にそれぞれ座らせると、そのように言って目の前のお皿に手を付ける。先ほどいたオリーヴィア、エルヴェツィオ、リッカルダもここを使う為、アンネッタは自分の椅子以外にも用意してあったのだ。
「ほら、ルクレツィア、早く食べるんだよ。ロミーナもアデルモも。
今日から三人、ここで住むんだからいろいろとやる事があるんだからね!」
「…その事ですけど…」
「ん?ルクレツィア、なんだい?」
「あの…家に帰れないのは何故ですか?」
「ルクレツィア、今は話し方堅苦しくなくていいんだよ?
そうだねぇ…今は帰れないみたいだ。さっき読んだ手紙にはね、しばらくここに置いて下さいって書いてあったんだよ。
私もさ、別にルクレツィアの両親と知り合いだったわけでもないから詳しくは知らないけどね、まぁ別に断る理由もないから引き受けたまでさ。」
「……」
「どうした?納得いかない顔だね。」
「だって…意味が分かりません。」
「意味か…意味が分かれば納得するのかい?」
「え?まぁ…」
「アンネッタ!止めてよ!」
「だめだ!」
料理の準備をする間にずいぶんと口調が砕けたロミーナとアデルモがすかさず口を挟んだが、アンネッタは顔を顰めて反論の異を唱える。
「ふん!ここは私の家だよ!置いてやるんだから私がルールなの!守れないなら出て行けばいいのよ!
…それに、ルクレツィアは理由が分かれば納得すると言ったんだ。ルクレツィアの気持ちを尊重するべきじゃないのかい?」
「「…」」
そう言われ、ロミーナとアデルモは顔を見合わせると口を閉じた。追い出されてしまえば、どこを頼ればいいのか分からなかったからだ。自分達だけならいい。けれども大切な領主の娘であるルクレツィアも追い出されたとなれば、生きていかれなければコラユータ伯爵の想いを踏みにじる事になってしまう。それならば仕方ないかと口を閉じたのだ。
しかし、先ほどから二人は疑問を感じていた。なぜ主は、このなんとも規格外なアンネッタに委ねようと思ったのだろうと。
「どうする?出て行くかい?
…異論は無いね?じゃあ話すよ。
けれどルクレツィア、確認だが本当に聞きたいんだね?」
「はい、お願いします!」
ルクレツィアは、勢いよく返事をする。それに気をよくしたアンネッタは頷くと、言葉を繋いだ。
「そうかい。じゃぁ言うがね、これを聞いたらしばらくはここで暮らす事。いいね?
……コラユータ伯爵は、元々兄弟で仲が良くなかったそうだが、弟が家に訪ねてくるそうで何が起こるか見当もつかない。だから、ルクレツィアが傍に居たら巻き込まれてもいけないからと、避難させたい。
そう手紙には書かれていたんだ。」
「え!避難…?」
「そうだよ。全く、誰に私の事を聞いたんだか……。
どうだい?これで納得したかい?」
「えっと…え、でもなぜアンネッタの所に…?知り合いじゃないってさっき……。」
「それはこっちが聞きたいね!
ま、大方私は俗世間とは切り離された生活をしているから、ここにルクレツィアがいるとは誰も思わない、とでも思ったんじゃないのかい?」
「なるほど…。あ、話してくれて、ありがとうござ…ありがとう。」
言われた内容に、スッキリと納得は出来なかったルクレツィア。それでもお礼を言おうと口を開き、堅苦しい言葉遣いを慌てて直したルクレツィアに、アンネッタは気を良くし、一つ頷く。
「ふん。
だからねルクレツィア、今は気が気じゃないかもしれないが、あんたの出来る事をするまでだよ。分かったかい?」
「うん。」
「よし、いい子だ!じゃあ仕切り直しだよ!せっかくの食事が冷めちまう。
…このサフランのお茶、初めて飲むけどいいね。癖になるよ。コラユータ領の特産品だっけ?高級品じゃないのかい?」
気分を変えるように、アンネッタはサフランのお茶を一口口に含むとそう努めて明るく言った。
「はい。サフランは一つの花からほんの一握りしか穫れないから、なかなか庶民にはお目に掛かれないんですよ。」
今まで口を閉じていたロミーナが、ルクレツィアの代わりに答える。
「へー!そんなのを味わう事が出来て私は幸せ者だよ!
ルクレツィアはいつも飲んでいたのかい?」
「うん。」
「そうかいそうかい。
さ、私が作ったスープも飲んでおくれ。口に合わなかったなら悪いけれど、ここでは慣れておくれ。」
アンネッタはそうやって、野菜くずと共に煮込んだトマトスープを勧める。
「…!美味しい!」
「本当に!」
「うまい!」
「そう?ま、そういう事にしとくよ。
…うん、パンも上出来だ。」
褒められたアンネッタは崩れた表情を見られないように横を向いて鼻を鳴らし、そのように言うとしばらく四人は食事を楽しんだのだった。
☆★
朝食が終わり、アンネッタは三人と共に外へと出て来ると、薪用にと大きさのだいたい揃った丸太が並べられた屋根付きの棚へと案内した。
「さぁ!ここでは普段は薪用に小さく割るよ。
でもそれよりも今日は、三人の椅子を作ろうね。自分達で。」
「「「ええ!?」」」
アンネッタは今日の天気は晴れだね、とでも言うように軽く言うと、ルクレツィアもロミーナもアデルモも、驚きを隠せなかった。
「簡単だよ、適当な長さに合わせて切って、トントンってやればすぐに出来るさ。自分で作れば、愛着も湧くだろう?
さ、そこから適当な木を切るんだ。まぁ、道具は人数分無いから順番に作ってもらう事になるけどね。」
「私、作った事ないわ。」
ルクレツィアは暗い顔をして言うと、アンネッタは首を縦に一つ動かして言葉を返す。
「そうだろうね、私もルクレツィアが作った事あるとは思ってないさ。でもこれは自分が使う物。誰に見せるでもないから下手くそで全然いいんだよ。だって初めてなんだから。」
そう言われたルクレツィアは納得し、やってみようと気合いを入れるとロミーナとアデルモの方を見て問う。
「ロミーナとアデルモは?作った事あるの?」
「ないですね。」
「私も…家具は職人が作るものですから。」
アンネッタはそれを聞き、頭に手をやると眉間にしわを寄せて口を開く。
「全く、これだから…
いいかい?ここでは欲しいものは作る!さっきいた子達が来たら数が足りないだろう?
金なんてないんだからね?」
「金なら少しは持って来たんだが。」
アデルモが、ずいっと一歩進み出ると、アンネッタははーっと大げさにため息を吐くと言った。
「アデルモ、そういう事じゃないんだよ!
いいから!椅子位見よう見まねでできるだろう?やってご覧!
ほら、じゃあ私が作ったやつ持ってくるから待ってな!」
「はぁ…。だったら持ってくるよ。」
アデルモはいまいち納得いかなかったがそう言われるならと踵を返す。
「そう?じゃあアデルモ、取ってきておくれ。さっき自分達が座ったやつだよ、どれでもいいからね。」
「分かったよ。」
それを聞いていたルクレツィアは驚きながら口を開く。
「え、椅子、全部アンネッタが作ったの?」
「全部じゃないよ。一人で暮らしている時にはそんなに必要なかったんだけど、だんだん人が来るようになったからね。前にあったのは壊れちまったのさ。」
そう言うと、アンネッタは鉈や鋸などの道具を近くに持ってくる。
「体を動かすとね、無駄な事は考えなくて済むもんさ!
…初めてだから結構難しいかもしれないが、時間はたっぷりあるんだ。間違えたらまた作ればいい。どうせなら楽しんだ方がいいだろう?好きな形に切ったり、とかね!」
アンネッタは片目を瞑って微笑みながらルクレツィアへと言葉を掛ける。
それを聞いたルクレツィアは、難しそうだが確かに楽しそうだと胸をわくわくとさせ、背中まで伸びた長い髪を耳に掛けて気合いを入れた。
食事の準備を終えたアンネッタは、三人を作業台を囲むように置かれた椅子にそれぞれ座らせると、そのように言って目の前のお皿に手を付ける。先ほどいたオリーヴィア、エルヴェツィオ、リッカルダもここを使う為、アンネッタは自分の椅子以外にも用意してあったのだ。
「ほら、ルクレツィア、早く食べるんだよ。ロミーナもアデルモも。
今日から三人、ここで住むんだからいろいろとやる事があるんだからね!」
「…その事ですけど…」
「ん?ルクレツィア、なんだい?」
「あの…家に帰れないのは何故ですか?」
「ルクレツィア、今は話し方堅苦しくなくていいんだよ?
そうだねぇ…今は帰れないみたいだ。さっき読んだ手紙にはね、しばらくここに置いて下さいって書いてあったんだよ。
私もさ、別にルクレツィアの両親と知り合いだったわけでもないから詳しくは知らないけどね、まぁ別に断る理由もないから引き受けたまでさ。」
「……」
「どうした?納得いかない顔だね。」
「だって…意味が分かりません。」
「意味か…意味が分かれば納得するのかい?」
「え?まぁ…」
「アンネッタ!止めてよ!」
「だめだ!」
料理の準備をする間にずいぶんと口調が砕けたロミーナとアデルモがすかさず口を挟んだが、アンネッタは顔を顰めて反論の異を唱える。
「ふん!ここは私の家だよ!置いてやるんだから私がルールなの!守れないなら出て行けばいいのよ!
…それに、ルクレツィアは理由が分かれば納得すると言ったんだ。ルクレツィアの気持ちを尊重するべきじゃないのかい?」
「「…」」
そう言われ、ロミーナとアデルモは顔を見合わせると口を閉じた。追い出されてしまえば、どこを頼ればいいのか分からなかったからだ。自分達だけならいい。けれども大切な領主の娘であるルクレツィアも追い出されたとなれば、生きていかれなければコラユータ伯爵の想いを踏みにじる事になってしまう。それならば仕方ないかと口を閉じたのだ。
しかし、先ほどから二人は疑問を感じていた。なぜ主は、このなんとも規格外なアンネッタに委ねようと思ったのだろうと。
「どうする?出て行くかい?
…異論は無いね?じゃあ話すよ。
けれどルクレツィア、確認だが本当に聞きたいんだね?」
「はい、お願いします!」
ルクレツィアは、勢いよく返事をする。それに気をよくしたアンネッタは頷くと、言葉を繋いだ。
「そうかい。じゃぁ言うがね、これを聞いたらしばらくはここで暮らす事。いいね?
……コラユータ伯爵は、元々兄弟で仲が良くなかったそうだが、弟が家に訪ねてくるそうで何が起こるか見当もつかない。だから、ルクレツィアが傍に居たら巻き込まれてもいけないからと、避難させたい。
そう手紙には書かれていたんだ。」
「え!避難…?」
「そうだよ。全く、誰に私の事を聞いたんだか……。
どうだい?これで納得したかい?」
「えっと…え、でもなぜアンネッタの所に…?知り合いじゃないってさっき……。」
「それはこっちが聞きたいね!
ま、大方私は俗世間とは切り離された生活をしているから、ここにルクレツィアがいるとは誰も思わない、とでも思ったんじゃないのかい?」
「なるほど…。あ、話してくれて、ありがとうござ…ありがとう。」
言われた内容に、スッキリと納得は出来なかったルクレツィア。それでもお礼を言おうと口を開き、堅苦しい言葉遣いを慌てて直したルクレツィアに、アンネッタは気を良くし、一つ頷く。
「ふん。
だからねルクレツィア、今は気が気じゃないかもしれないが、あんたの出来る事をするまでだよ。分かったかい?」
「うん。」
「よし、いい子だ!じゃあ仕切り直しだよ!せっかくの食事が冷めちまう。
…このサフランのお茶、初めて飲むけどいいね。癖になるよ。コラユータ領の特産品だっけ?高級品じゃないのかい?」
気分を変えるように、アンネッタはサフランのお茶を一口口に含むとそう努めて明るく言った。
「はい。サフランは一つの花からほんの一握りしか穫れないから、なかなか庶民にはお目に掛かれないんですよ。」
今まで口を閉じていたロミーナが、ルクレツィアの代わりに答える。
「へー!そんなのを味わう事が出来て私は幸せ者だよ!
ルクレツィアはいつも飲んでいたのかい?」
「うん。」
「そうかいそうかい。
さ、私が作ったスープも飲んでおくれ。口に合わなかったなら悪いけれど、ここでは慣れておくれ。」
アンネッタはそうやって、野菜くずと共に煮込んだトマトスープを勧める。
「…!美味しい!」
「本当に!」
「うまい!」
「そう?ま、そういう事にしとくよ。
…うん、パンも上出来だ。」
褒められたアンネッタは崩れた表情を見られないように横を向いて鼻を鳴らし、そのように言うとしばらく四人は食事を楽しんだのだった。
☆★
朝食が終わり、アンネッタは三人と共に外へと出て来ると、薪用にと大きさのだいたい揃った丸太が並べられた屋根付きの棚へと案内した。
「さぁ!ここでは普段は薪用に小さく割るよ。
でもそれよりも今日は、三人の椅子を作ろうね。自分達で。」
「「「ええ!?」」」
アンネッタは今日の天気は晴れだね、とでも言うように軽く言うと、ルクレツィアもロミーナもアデルモも、驚きを隠せなかった。
「簡単だよ、適当な長さに合わせて切って、トントンってやればすぐに出来るさ。自分で作れば、愛着も湧くだろう?
さ、そこから適当な木を切るんだ。まぁ、道具は人数分無いから順番に作ってもらう事になるけどね。」
「私、作った事ないわ。」
ルクレツィアは暗い顔をして言うと、アンネッタは首を縦に一つ動かして言葉を返す。
「そうだろうね、私もルクレツィアが作った事あるとは思ってないさ。でもこれは自分が使う物。誰に見せるでもないから下手くそで全然いいんだよ。だって初めてなんだから。」
そう言われたルクレツィアは納得し、やってみようと気合いを入れるとロミーナとアデルモの方を見て問う。
「ロミーナとアデルモは?作った事あるの?」
「ないですね。」
「私も…家具は職人が作るものですから。」
アンネッタはそれを聞き、頭に手をやると眉間にしわを寄せて口を開く。
「全く、これだから…
いいかい?ここでは欲しいものは作る!さっきいた子達が来たら数が足りないだろう?
金なんてないんだからね?」
「金なら少しは持って来たんだが。」
アデルモが、ずいっと一歩進み出ると、アンネッタははーっと大げさにため息を吐くと言った。
「アデルモ、そういう事じゃないんだよ!
いいから!椅子位見よう見まねでできるだろう?やってご覧!
ほら、じゃあ私が作ったやつ持ってくるから待ってな!」
「はぁ…。だったら持ってくるよ。」
アデルモはいまいち納得いかなかったがそう言われるならと踵を返す。
「そう?じゃあアデルモ、取ってきておくれ。さっき自分達が座ったやつだよ、どれでもいいからね。」
「分かったよ。」
それを聞いていたルクレツィアは驚きながら口を開く。
「え、椅子、全部アンネッタが作ったの?」
「全部じゃないよ。一人で暮らしている時にはそんなに必要なかったんだけど、だんだん人が来るようになったからね。前にあったのは壊れちまったのさ。」
そう言うと、アンネッタは鉈や鋸などの道具を近くに持ってくる。
「体を動かすとね、無駄な事は考えなくて済むもんさ!
…初めてだから結構難しいかもしれないが、時間はたっぷりあるんだ。間違えたらまた作ればいい。どうせなら楽しんだ方がいいだろう?好きな形に切ったり、とかね!」
アンネッタは片目を瞑って微笑みながらルクレツィアへと言葉を掛ける。
それを聞いたルクレツィアは、難しそうだが確かに楽しそうだと胸をわくわくとさせ、背中まで伸びた長い髪を耳に掛けて気合いを入れた。
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