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5. 教会の住人アンネッタ
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《アンネッタの心境》
(はぁ…どうしてこうなったのかしら…。)
アンネッタは大きく息を吐いた。
アンネッタは五十四歳。見た目はこの国では珍しく桃色の髪色をしており、昔よりは少し白髪も生えてきたけれど桃色と合わさり他には見かけない容姿だ。それに自ら動いて生活しているからか体も丈夫で若々しく、四十代…いや三十代と言われても頷けるほどである。
人生生きていれば楽しい事も辛い事もある。まさにアンネッタの人生は波瀾万丈であったーーー。
幼い頃、いつの間にか母親に置き去りにされた。
けれども優しい人々に助けられ育てられたのだが、成長するにつれ他には無い珍しさと美しさに磨きがかかってしまい、とうとうアンネッタの美貌が原因とも言える事件が起き、貴族社会から交流を断ちこの教会で暮らすようにとその時の国王から言われたのだ。
十四歳でこの教会に来た時には、初めこそ驚いたが時間がたっぷりとあったためか何でも自分で作る事は思いのほか愉快で、アンネッタの代わり映えのしない毎日に彩りを添えた。
水を川から汲んで何度も運ぶのは限度があると台車を作ったり、薪割りも少しの力で出来るような手製の薪割り機も自ら作った。
週に何度か、食料や、頼めば生活に必要なものをこの教会に持ってきてくれる人がおり、身の丈に合った材料や量ではあったが、アンネッタはそれで充分であった。
しかし何年もすると荷物を届けてくれる人だけではなく、身なりの素晴らしくいい少年が度々一人で現れるようになった。ほんの僅かな時間であったが、人と話すことの少なくなったアンネッタにとって、苦痛な時間であっといえば嘘になる。そう、実にいい気分転換であった。
いつも一人で来るその身なりのいい少年が、秘密の地下通路を通って来てるのだと知った時には驚いた。
「秘密の地下通路!?」
「あ、内緒だよ!絶対に内緒!!昔は、避難通路だったんだって。今は使われてないから、専用通路さ!」
(…だからこんなに身なりのいい少年が、お供も付けずにフラフラこんな所まで来れたのね。そこを通れば安全なのね、きっと。でも、そんなものがあったとは知らなかったわ。)
やがてその少年は青年となり、頻度も子供の時に比べてかなり少なくなると、父親の仕事を引き継ぐのだと言って来なくなった。
また、前のような生活に戻ると少しだけ寂しくはあったが、思えばアンネッタの人生、出会った人とは少しすると別れが付き纏っていた。
(ま、生まれ育った土地にずっと住んでいるわけでもないし、そんなものよね。)
アンネッタはそう割り切る事で、ここでの暮らしを続けていた。
話す回数も減り、訪ねてくる人なんてほとんどいない生活ともなれば、言葉遣いも粗野で適当になってくる。いつしか教わった丁寧な言葉遣いや所作なんかは、生活の妨げになると庶民のそれになっていく。
稀に、王都と、この先の山道の遥か先に他国へと繋がる港町とを繋ぐ道の途中にあるこの教会に旅人が迷い込んで来る事もあるが、それも二、三日相手をすれば去って行く。
…それが、また、何年も過ぎるとあの時の少年に面影のある子供達ーーオリーヴィア達ーーが、次々と訪れる事となった。
(なんでまた!?)
アンネッタはその度に首を捻るが、まぁいいかと相手をする。
(面倒だわ。…どうせまた、大きくなればその内来なくなるんでしょうに。)
そう悪態を付きながらも、またしばらくは賑やかな日々が続くのだと口角は上がる。
そして、今。
今度はしばらく共に住むという同居人が三人も増えたのだ。
(誰に私の事を聞いたのやら…でも、ま、そんな事どうでもいいか。)
アンネッタの顔は、綻んでいるのだった。
(はぁ…どうしてこうなったのかしら…。)
アンネッタは大きく息を吐いた。
アンネッタは五十四歳。見た目はこの国では珍しく桃色の髪色をしており、昔よりは少し白髪も生えてきたけれど桃色と合わさり他には見かけない容姿だ。それに自ら動いて生活しているからか体も丈夫で若々しく、四十代…いや三十代と言われても頷けるほどである。
人生生きていれば楽しい事も辛い事もある。まさにアンネッタの人生は波瀾万丈であったーーー。
幼い頃、いつの間にか母親に置き去りにされた。
けれども優しい人々に助けられ育てられたのだが、成長するにつれ他には無い珍しさと美しさに磨きがかかってしまい、とうとうアンネッタの美貌が原因とも言える事件が起き、貴族社会から交流を断ちこの教会で暮らすようにとその時の国王から言われたのだ。
十四歳でこの教会に来た時には、初めこそ驚いたが時間がたっぷりとあったためか何でも自分で作る事は思いのほか愉快で、アンネッタの代わり映えのしない毎日に彩りを添えた。
水を川から汲んで何度も運ぶのは限度があると台車を作ったり、薪割りも少しの力で出来るような手製の薪割り機も自ら作った。
週に何度か、食料や、頼めば生活に必要なものをこの教会に持ってきてくれる人がおり、身の丈に合った材料や量ではあったが、アンネッタはそれで充分であった。
しかし何年もすると荷物を届けてくれる人だけではなく、身なりの素晴らしくいい少年が度々一人で現れるようになった。ほんの僅かな時間であったが、人と話すことの少なくなったアンネッタにとって、苦痛な時間であっといえば嘘になる。そう、実にいい気分転換であった。
いつも一人で来るその身なりのいい少年が、秘密の地下通路を通って来てるのだと知った時には驚いた。
「秘密の地下通路!?」
「あ、内緒だよ!絶対に内緒!!昔は、避難通路だったんだって。今は使われてないから、専用通路さ!」
(…だからこんなに身なりのいい少年が、お供も付けずにフラフラこんな所まで来れたのね。そこを通れば安全なのね、きっと。でも、そんなものがあったとは知らなかったわ。)
やがてその少年は青年となり、頻度も子供の時に比べてかなり少なくなると、父親の仕事を引き継ぐのだと言って来なくなった。
また、前のような生活に戻ると少しだけ寂しくはあったが、思えばアンネッタの人生、出会った人とは少しすると別れが付き纏っていた。
(ま、生まれ育った土地にずっと住んでいるわけでもないし、そんなものよね。)
アンネッタはそう割り切る事で、ここでの暮らしを続けていた。
話す回数も減り、訪ねてくる人なんてほとんどいない生活ともなれば、言葉遣いも粗野で適当になってくる。いつしか教わった丁寧な言葉遣いや所作なんかは、生活の妨げになると庶民のそれになっていく。
稀に、王都と、この先の山道の遥か先に他国へと繋がる港町とを繋ぐ道の途中にあるこの教会に旅人が迷い込んで来る事もあるが、それも二、三日相手をすれば去って行く。
…それが、また、何年も過ぎるとあの時の少年に面影のある子供達ーーオリーヴィア達ーーが、次々と訪れる事となった。
(なんでまた!?)
アンネッタはその度に首を捻るが、まぁいいかと相手をする。
(面倒だわ。…どうせまた、大きくなればその内来なくなるんでしょうに。)
そう悪態を付きながらも、またしばらくは賑やかな日々が続くのだと口角は上がる。
そして、今。
今度はしばらく共に住むという同居人が三人も増えたのだ。
(誰に私の事を聞いたのやら…でも、ま、そんな事どうでもいいか。)
アンネッタの顔は、綻んでいるのだった。
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