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8 生活に必要な物は
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「ふぅ…こんな感じかしら?」
「そうですね、上手くなりましたね。」
教会へ来て三日が経った。
ルクレツィアとロミーナは、近くの川で洗濯をしてきてからそれを教会の近くで干し終わったところだ。
今の季節、少しずつ朝晩はひんやりした風が吹き始めているので、川の水は冷たく感じるがそれでも汚れが落ちていき、濡れた洗濯物を皺を伸ばして干すのはさっぱりして気持ちがいいと思うようになっていた。
今日は少し風も吹いていて洗濯物がパタパタと音を立てて靡いている。ルクレツィアの茶色の背中まで真っ直ぐ伸びた髪も、太陽の光を浴びて明るく煌めきながら靡いている。
「そう?ありがとう、ロミーナ。」
ルクレツィアはここへ来てしばらく住むと言われた時にはかなり驚いた。しかし今までと生活が全く違うため苦労はするが、反面知らない事の連続で楽しくもあった。また、幼い頃よりルクレツィアの傍で世話をしてくれているロミーナとアデルモが一緒にいてくれるので、両親に早く会いたいとは思うが、淋しくて枕を濡らすほどではなかった。体を動かしているため、疲れ果てて眠りについているからと言えるのかもしれないが。
ガラガラガラガラ
「?」
「なんの音でしょうか?」
不意に、遠くから音が聞こえてきた。
ルクレツィアはなんの音かと、顔の横髪を耳に掛けて音のする方を見遣る。
街道を、馬車が走る音だ。
ロミーナはそれに気付き、もしかしたらコラユータ伯爵家からの遣いかと期待したが、人を乗せた馬車ではなく白い幌がかかった荷物を載せた荷馬車であったため少し残念に思った。
「やぁ!見慣れないね。
アンネッタはいるかい?」
荷馬車を操っていた日焼けした肌の中年の男性が、御者席から声を掛けてきた。
「アンネッタなら川に水を運びに行ったわ。呼びに行きましょうか?」
その声に、ルクレツィアは返事を返す。
「お、助かるよ!
アンネッタは水を運んでるのか。大変なら手伝うっていつも僕言ってるのになぁ。」
そう言うと、その男は御者席から降りて何やら後ろから荷物を取り出し、馬に水を与え始めた。
「じゃあ私行ってくるわ!」
それを見てルクレツィアがローミナへと言葉を掛ける。
「呼びに行くなら私が…」
「いいわ、アデルモも一緒だし、すぐ終わってるかもしれないもの。」
洗濯物を入れていた籠をついでに持って行くからと、ルクレツィアは傍に置いてあった籠を持って行こうと手にした。
「なに!?アデルモって、男か!?」
「「え!?」」
馬に水を与えていた男がいきなり大声を出したので、走り出そうとしていたルクレツィアは立ち止まり振り返る。ロミーナもぎょっとした表情をしてその男を見つめる。
「なぁ、男なのか!?アンネッタは男といるのか!?」
馬を休ませるために水と、そして干し草も傍に置いて与えていた男は、ロミーナとルクレツィアの方へとズンズンと足音を踏み鳴らすようにして食い気味に向かって来る。
「ちょ、ちょっと!どうされたのです!?」
ロミーナは慌てて声を掛け、その男とルクレツィアとの間に立ちふさがろうとする。
「あ?あ、いやだから、アンネッタは一人じゃなく男といるのかって聞いたんだ。」
その守るような仕草に、少し冷静になった男はそう言って立ち止まって、もう一度同じ言葉を繰り返した。
「男って…まぁそうね。」
ルクレツィアがそう答えると、彼は頭を後ろから殴られたように目を見開いてから膝を抱えるようにしてしゃがみ込んだ。
「あー…そうか、アンネッタもとうとう…そりゃあんだけ可愛いもんな、そりゃ仕方ないけどよぉ…僕なんて姿さえ拝めればと長年やって来てんのに…」
その姿に、ルクレツィアはロミーナの顔を見合わせ、どうしたものかと首を傾げ、とりあえずはアンネッタを連れてこようと教会へと向かおうとすると、建物からアンネッタがやって来るのが見えた。
「あら、いらっしゃい。今日もありがとうね。」
からっとした声が掛かると、男は頭を上げ、途端に顔を綻ばせて元気を取り戻したかのように話し出す。
「アンネッタ!水を運ぶの大変だったろ?僕が一緒に運ぶってあれほど言っていたのに。それでその…誰と運んでたの?」
「いつもそう言ってくれてありがとう。でも今日は大丈夫。それに、私には台車があるし。
誰って、アデルモよ。
あ、そうだ!ここにそこの二人と含めて三人いるの、誰にも言ったらダメよ?いい?」
「え?うん分かった!大丈夫、アンネッタの頼みであれば絶対に誰にも言わないよ!
…で、アデルモって…」
「アデルモは、今風呂掃除をしてくれてるよ。
何?知り合い?会いたかったの?」
「あ、いやそうじゃないんだが…」
「そう?しばらくは三人、ここで暮らすから顔を合わせる事もあると思うから覚えといて。でも、本当に他の人には話したらダメだからね?まぁ念のためではあるけれどね。」
と、そうアンネッタは念を押した。
「分かってる!アンネッタのお願いなら何でも聞くから!!
…え?でも男と一緒に住むのか?」
「だからそう言ってるでしょ!男とじゃなくて、三人増えたの。分かる?」
アンネッタは若干面倒になり、そのように語気を強める。
「や、分かるけど…」
「それより、荷物運んでくれる?」
「あ、あぁ…そうだな。うん、運ぶよ。」
その遣り取りをみたルクレツィアとロミーナは不思議がった。彼は誰なのだろうと思ったのだ。そして、アンネッタが男といると思うやいなや、食ってかかるように聞き出そうとしていた。
まだ小さなルクレツィアは分からなかったが、十五歳のロミーナはなんとなく感じ取る。この男は、アンネッタを好きなのではないかと。
「あぁ、彼は…生活に必要な物を届けてくれるんだよ。週に何回かね。
足りない物があったら、大抵は言えば届けてくれるのさ。」
ルクレツィアとローミナの顔を見てそう紹介し、アンネッタはまた教会の建物へと戻っていった。
「僕はオネストと言うよ、よろしく。」
オネストと言った彼はアンネッタの後ろ姿をしばらく見つめていたが、思い出したように口を開く。
「私はルクレツィアよ。」
「私はロミーナです。」
そうお互いに簡単な自己紹介した所で、オネストは荷物を運ぼうと荷台へと向かう。
ルクレツィアとロミーナも、それに倣ってオネストへと近づく。
「オネストさん一人で?」
「いや…以前は数人で順番に来てたんだけどね、みな体調を崩したり体が辛くなったとかでもう今では毎回僕が持ってくるよ。ま、みんないい年齢になってしまったからさ。」
「そうなのね…。あ、荷物運ぶの手伝うわ。」
「そうかい?じゃあ、これなら持てるかな?」
そう言って、オネストは軽そうな食材の入った麻袋を渡す。
「あ、はい。」
「ロミーナちゃんも?手伝いありがとうな、はい。」
「!?…どうも。」
中年の彼にしたら、ルクレツィアもロミーナも親鳥から離れてすぐのひよっこにしか見えなかったために気易くそう呼んだため、ルクレツィアの年齢の頃より働いていたロミーナは子供扱いされたように感じて戸惑ったが、ここでは年齢や役職なども気にしてはいけないと言っていたと思い出し、まぁいいかと思い直して返事をした。
☆★
「ふう。このくらいかな?」
ドサッと荷物を置いたオネストに、ルクレツィアは珍しそうに声を掛ける。
「結構たくさんなのね。」
「まぁね。そりゃ、生活に必要な量だからね。でもこれからは三人分増やさないといけないよね、伝えとくよ。」
「寄付を増やしてと伝えて大丈夫なのですか?でも…その、私達がここに住んでいる事は内密にお願いしたいのですが。」
ロミーナが、気遣わし気にけれども言いにくそうに言う。
「あー、そうだったね。でもまぁ上手く言うよ。寄付といえば寄付だけど、今までも王都の宿に泊まらない旅行者とかが連絡も無しにここに滞在する人達もいたし、大丈夫だよ。」
「?そうですか、でしたらお任せします。
でもどうしてアンネッタはここで一人なんでしょう?教会でしたら、普通は…」
教会であれば、シスターがいて見習いがいて、ともう少し人がいるのではないかと思ったロミーナ。
コラユータ領から山や平原を抜けて来たとはいえもう少し先を進めば王都へと続くこの教会は、廃れているとは言ってもシスターが一人なのはなぜかと疑問に思ったのだ。もっとも、シスターとは言い難いほどの一風変わったアンネッタであるから、他の神に仕えるシスターとは合わないのかもしれないとも思ったのだが。
「んーまぁ、普通がどうか知らないけど。ここはアンネッタの住処だから、でいいんじゃない?教会にアンネッタがいるんじゃなくて、アンネッタの住処に教会があるんだ。
…深くは考えなくてもいい事もあるんだよ。」
「…そうですね。」
「そういえばそう言ってたわね。」
初日に会ったオリーヴィアも、同じような事を言っていたとルクレツィアは思い出した。
「おや、もう仲良くなったのかい?」
話していると、アンネッタはアデルモを連れて食堂へと戻ってきた。
「アンネッタ!…と、そいつがアデルモか!ずいぶんとまた若いな…」
「?いかにも。僕がアデルモです。なにか?」
「あ、いや…なんでも…。
はは!そうかそうか!僕はオネスト。よろしくな!」
オネストは、アデルモが想像したよりもずっと若く、アンネッタと二人きりで作業をするなんてと嫉妬をしたのだがさすがにそれは杞憂だったのかと誤解した自分が少し恥ずかしくなり、それを隠すように大きな声で自己紹介をした。
「…ずいぶんと賑やかだね。まぁいいか。お茶でも飲むかい?」
アンネッタはそう言ってから、ロミーナとルクレツィアに手伝うように言葉を掛けた。
「そうですね、上手くなりましたね。」
教会へ来て三日が経った。
ルクレツィアとロミーナは、近くの川で洗濯をしてきてからそれを教会の近くで干し終わったところだ。
今の季節、少しずつ朝晩はひんやりした風が吹き始めているので、川の水は冷たく感じるがそれでも汚れが落ちていき、濡れた洗濯物を皺を伸ばして干すのはさっぱりして気持ちがいいと思うようになっていた。
今日は少し風も吹いていて洗濯物がパタパタと音を立てて靡いている。ルクレツィアの茶色の背中まで真っ直ぐ伸びた髪も、太陽の光を浴びて明るく煌めきながら靡いている。
「そう?ありがとう、ロミーナ。」
ルクレツィアはここへ来てしばらく住むと言われた時にはかなり驚いた。しかし今までと生活が全く違うため苦労はするが、反面知らない事の連続で楽しくもあった。また、幼い頃よりルクレツィアの傍で世話をしてくれているロミーナとアデルモが一緒にいてくれるので、両親に早く会いたいとは思うが、淋しくて枕を濡らすほどではなかった。体を動かしているため、疲れ果てて眠りについているからと言えるのかもしれないが。
ガラガラガラガラ
「?」
「なんの音でしょうか?」
不意に、遠くから音が聞こえてきた。
ルクレツィアはなんの音かと、顔の横髪を耳に掛けて音のする方を見遣る。
街道を、馬車が走る音だ。
ロミーナはそれに気付き、もしかしたらコラユータ伯爵家からの遣いかと期待したが、人を乗せた馬車ではなく白い幌がかかった荷物を載せた荷馬車であったため少し残念に思った。
「やぁ!見慣れないね。
アンネッタはいるかい?」
荷馬車を操っていた日焼けした肌の中年の男性が、御者席から声を掛けてきた。
「アンネッタなら川に水を運びに行ったわ。呼びに行きましょうか?」
その声に、ルクレツィアは返事を返す。
「お、助かるよ!
アンネッタは水を運んでるのか。大変なら手伝うっていつも僕言ってるのになぁ。」
そう言うと、その男は御者席から降りて何やら後ろから荷物を取り出し、馬に水を与え始めた。
「じゃあ私行ってくるわ!」
それを見てルクレツィアがローミナへと言葉を掛ける。
「呼びに行くなら私が…」
「いいわ、アデルモも一緒だし、すぐ終わってるかもしれないもの。」
洗濯物を入れていた籠をついでに持って行くからと、ルクレツィアは傍に置いてあった籠を持って行こうと手にした。
「なに!?アデルモって、男か!?」
「「え!?」」
馬に水を与えていた男がいきなり大声を出したので、走り出そうとしていたルクレツィアは立ち止まり振り返る。ロミーナもぎょっとした表情をしてその男を見つめる。
「なぁ、男なのか!?アンネッタは男といるのか!?」
馬を休ませるために水と、そして干し草も傍に置いて与えていた男は、ロミーナとルクレツィアの方へとズンズンと足音を踏み鳴らすようにして食い気味に向かって来る。
「ちょ、ちょっと!どうされたのです!?」
ロミーナは慌てて声を掛け、その男とルクレツィアとの間に立ちふさがろうとする。
「あ?あ、いやだから、アンネッタは一人じゃなく男といるのかって聞いたんだ。」
その守るような仕草に、少し冷静になった男はそう言って立ち止まって、もう一度同じ言葉を繰り返した。
「男って…まぁそうね。」
ルクレツィアがそう答えると、彼は頭を後ろから殴られたように目を見開いてから膝を抱えるようにしてしゃがみ込んだ。
「あー…そうか、アンネッタもとうとう…そりゃあんだけ可愛いもんな、そりゃ仕方ないけどよぉ…僕なんて姿さえ拝めればと長年やって来てんのに…」
その姿に、ルクレツィアはロミーナの顔を見合わせ、どうしたものかと首を傾げ、とりあえずはアンネッタを連れてこようと教会へと向かおうとすると、建物からアンネッタがやって来るのが見えた。
「あら、いらっしゃい。今日もありがとうね。」
からっとした声が掛かると、男は頭を上げ、途端に顔を綻ばせて元気を取り戻したかのように話し出す。
「アンネッタ!水を運ぶの大変だったろ?僕が一緒に運ぶってあれほど言っていたのに。それでその…誰と運んでたの?」
「いつもそう言ってくれてありがとう。でも今日は大丈夫。それに、私には台車があるし。
誰って、アデルモよ。
あ、そうだ!ここにそこの二人と含めて三人いるの、誰にも言ったらダメよ?いい?」
「え?うん分かった!大丈夫、アンネッタの頼みであれば絶対に誰にも言わないよ!
…で、アデルモって…」
「アデルモは、今風呂掃除をしてくれてるよ。
何?知り合い?会いたかったの?」
「あ、いやそうじゃないんだが…」
「そう?しばらくは三人、ここで暮らすから顔を合わせる事もあると思うから覚えといて。でも、本当に他の人には話したらダメだからね?まぁ念のためではあるけれどね。」
と、そうアンネッタは念を押した。
「分かってる!アンネッタのお願いなら何でも聞くから!!
…え?でも男と一緒に住むのか?」
「だからそう言ってるでしょ!男とじゃなくて、三人増えたの。分かる?」
アンネッタは若干面倒になり、そのように語気を強める。
「や、分かるけど…」
「それより、荷物運んでくれる?」
「あ、あぁ…そうだな。うん、運ぶよ。」
その遣り取りをみたルクレツィアとロミーナは不思議がった。彼は誰なのだろうと思ったのだ。そして、アンネッタが男といると思うやいなや、食ってかかるように聞き出そうとしていた。
まだ小さなルクレツィアは分からなかったが、十五歳のロミーナはなんとなく感じ取る。この男は、アンネッタを好きなのではないかと。
「あぁ、彼は…生活に必要な物を届けてくれるんだよ。週に何回かね。
足りない物があったら、大抵は言えば届けてくれるのさ。」
ルクレツィアとローミナの顔を見てそう紹介し、アンネッタはまた教会の建物へと戻っていった。
「僕はオネストと言うよ、よろしく。」
オネストと言った彼はアンネッタの後ろ姿をしばらく見つめていたが、思い出したように口を開く。
「私はルクレツィアよ。」
「私はロミーナです。」
そうお互いに簡単な自己紹介した所で、オネストは荷物を運ぼうと荷台へと向かう。
ルクレツィアとロミーナも、それに倣ってオネストへと近づく。
「オネストさん一人で?」
「いや…以前は数人で順番に来てたんだけどね、みな体調を崩したり体が辛くなったとかでもう今では毎回僕が持ってくるよ。ま、みんないい年齢になってしまったからさ。」
「そうなのね…。あ、荷物運ぶの手伝うわ。」
「そうかい?じゃあ、これなら持てるかな?」
そう言って、オネストは軽そうな食材の入った麻袋を渡す。
「あ、はい。」
「ロミーナちゃんも?手伝いありがとうな、はい。」
「!?…どうも。」
中年の彼にしたら、ルクレツィアもロミーナも親鳥から離れてすぐのひよっこにしか見えなかったために気易くそう呼んだため、ルクレツィアの年齢の頃より働いていたロミーナは子供扱いされたように感じて戸惑ったが、ここでは年齢や役職なども気にしてはいけないと言っていたと思い出し、まぁいいかと思い直して返事をした。
☆★
「ふう。このくらいかな?」
ドサッと荷物を置いたオネストに、ルクレツィアは珍しそうに声を掛ける。
「結構たくさんなのね。」
「まぁね。そりゃ、生活に必要な量だからね。でもこれからは三人分増やさないといけないよね、伝えとくよ。」
「寄付を増やしてと伝えて大丈夫なのですか?でも…その、私達がここに住んでいる事は内密にお願いしたいのですが。」
ロミーナが、気遣わし気にけれども言いにくそうに言う。
「あー、そうだったね。でもまぁ上手く言うよ。寄付といえば寄付だけど、今までも王都の宿に泊まらない旅行者とかが連絡も無しにここに滞在する人達もいたし、大丈夫だよ。」
「?そうですか、でしたらお任せします。
でもどうしてアンネッタはここで一人なんでしょう?教会でしたら、普通は…」
教会であれば、シスターがいて見習いがいて、ともう少し人がいるのではないかと思ったロミーナ。
コラユータ領から山や平原を抜けて来たとはいえもう少し先を進めば王都へと続くこの教会は、廃れているとは言ってもシスターが一人なのはなぜかと疑問に思ったのだ。もっとも、シスターとは言い難いほどの一風変わったアンネッタであるから、他の神に仕えるシスターとは合わないのかもしれないとも思ったのだが。
「んーまぁ、普通がどうか知らないけど。ここはアンネッタの住処だから、でいいんじゃない?教会にアンネッタがいるんじゃなくて、アンネッタの住処に教会があるんだ。
…深くは考えなくてもいい事もあるんだよ。」
「…そうですね。」
「そういえばそう言ってたわね。」
初日に会ったオリーヴィアも、同じような事を言っていたとルクレツィアは思い出した。
「おや、もう仲良くなったのかい?」
話していると、アンネッタはアデルモを連れて食堂へと戻ってきた。
「アンネッタ!…と、そいつがアデルモか!ずいぶんとまた若いな…」
「?いかにも。僕がアデルモです。なにか?」
「あ、いや…なんでも…。
はは!そうかそうか!僕はオネスト。よろしくな!」
オネストは、アデルモが想像したよりもずっと若く、アンネッタと二人きりで作業をするなんてと嫉妬をしたのだがさすがにそれは杞憂だったのかと誤解した自分が少し恥ずかしくなり、それを隠すように大きな声で自己紹介をした。
「…ずいぶんと賑やかだね。まぁいいか。お茶でも飲むかい?」
アンネッタはそう言ってから、ロミーナとルクレツィアに手伝うように言葉を掛けた。
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