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12 お見舞いに
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ルクレツィアがここで住み始めて十日ほどたった午後。
久し振りにエルヴェツィオの姿を見たルクレツィアは、彼を見るや以前より少し痩せ、顔色が悪くなったようだと驚いた。
そしてすぐ、口に合うのか少し迷ったが疲れを癒やすハーブティーを用意すると言って食堂へと連れて来た。
ルクレツィアが準備している間、エルヴェツィオははしたなくも両肘を机につき顔をそこに乗せる形で目を瞑り、呟くように『良い香りだ、なんか落ち着く…』と言った。
「そんなに疲れてるんなら、家で寝ればいいのにエルヴェツィオ。」
そこにちょうど、食堂に入ってきたアンネッタに言われたエルヴェツィオは、はっと目を覚まし、ルクレツィアの姿を目でおって目の前に出されたお茶を一口飲んでから言った。
「いいだろ、せっかく出来た時間なんだから俺がどう過ごしたって。
あーしまった!今日は手土産忘れちまった!
ごめんな、ルクレツィア…。
って、もう出来たのか?ありがとう。あぁ、美味しい!」
「ふん。それはそうだけどね、心配するだろ、なぁルクレツィア。」
「えぇ、心配です。手土産なんてそんな大丈夫ですけど…エルヴェツィオさんちょっと痩せました…?
でもそのローズマリーのお茶美味しかったなら良かった。エルヴェツィオさ…エルヴェツィオのためを思って淹れたの。」
「お!?そ、そうか…ありがとう。」
「ふん!ルクレツィアは体調を気遣って淹れただけでそれ以上もそれ以下もないよ。
…それより、本当に大丈夫なのかい?」
「そんな事言われなくても分かってるよ、アンネッタ!
…まぁ、正直言えば大変だ。でもそれを悠長に言ってはいられないからな、やるしかないんだから。」
「まぁ、そうだねぇ…だけど、無理だけはするんじゃないよ。」
そう言って、次の作業があるとアンネッタは食堂を出て行った。
「…大変、なの?」
それを聞き、戸惑いながらもルクレツィアは尋ねる。
「まぁね…父がさ、ちょっと体調が悪くなってね。時期を同じくして、母も調子を崩しちゃって。
今までやってくれていた仕事が俺やオリーヴィアに回ってきたから。でもそれをこなさないといけないんだろうけど、さすがにね。」
話すのに躊躇したエルヴェツィオだったが、やがて吐き出すように言葉を発した。
「そうなの…それはご両親が心配ね。」
「ん?あぁ…そう、だな…。」
エルヴェツィオは両親の心配をしていないわけではなかったが、やるべき仕事が次から次へと自分たちへ回ってくるためにそれをうまくこなせるかとその事を重きに考えていたと思い返し、ルクレツィアに言われてはっとした。
「早く治るといいね。風邪とか…?」
「いや…父は元々頭痛持ちだったんだけど、さらに酷くなったようでね。疲労も重なったのか今はほとんどベッドの上さ。母も……
…て、こんな暗い話をしに来たわけじゃないんだ!ごめん!忘れてくれ!!」
「暗くなんてないわ!大切な事よ?
あ、ねぇ頭痛なら、サフラン茶も結構いいのよ?飲みにくかったら野菜たっぷりのスープにしたり、砂糖と酒に漬けると食欲も増すみたいなの。」
「…ありがとう、ルクレツィア。
サフラン…あぁそういえばスパーノも言ってたな…。
だったらさぁちなみに、ぜんそくはどう?」
「え?
あ、ぜんそくも、サフランはもってこいよ!落ち着くと思うわ。
ぜんそくはお母様なの?朝晩冷えてくるこの季節は辛いらしいわよね。もしよかったら、気休めにでも飲ませてあげて?
確かまだここに…」
誰が言ってたのかは良く分からないと思ったが、ルクレツィアは聞かれた事に答えると壁に備えつけられた棚を見つつ並んだ小瓶の一つに手を伸ばす。
「あ、あった!これ、持って行って?」
それは、手のひらに乗るほどの小さい小瓶で、中には赤く細長い乾燥させたサフランが入っていた。
「ん?」
「ロミーナが、準備してくれてたみたいで家から持って来たのよ。」
「そんな貴重なもの、だめだよ!」
「いいのよ、他にもいくつか持ってきてあるし、それにエルヴェツィオのご両親、心配だもの。」
そう言って、ルクレツィアはエルヴェツィオの目の前に小瓶を置いた。
「味は、少しだけ癖があるかもしれないわ。でもうちのは本当にいいものなのよ?だから、一度試してみてちょうだい。」
「…ありがとう。」
「どういたしまして!あ、でもすぐ治るわけではないのよ、毎日少しずつ飲んでね。朝晩一杯ずつくらいかしら。多すぎてもダメなのよ?
ところで、オリーヴィアとエルヴェツィオとリッカルダって…」
ルクレツィアは前々から思っていた疑問を口にする。それぞれ三人とも金色の髪ではあるが、長さも髪質も違う。
オリーヴィアは腰までの長い髪で先の方が波打っており、エルヴェツィオは短く切られているがサラサラで、リッカルダも長さは腰ほどで真っ直ぐに伸びている。しかし、どことなく雰囲気がにていると感じていた。
「ん?あぁ、不本意ながらオリーヴィアが俺の姉だよ。で、リッカルダが妹。言ってなかったっけ?」
「そうだったのね!不本意ながらって…フフ。
うん、年齢は聞いていたけれど。でもなんとなく三人とも似てるから、そうかもって思ってたの。」
戯けたように顔をしかめて言うものだからそれを見たルクレツィアは笑いながら、答える。
「ええ!?似てる?まぁ…うーん、そうかな…でも嫌だな…。
あ、二人に、特にオリーヴィアには内緒だからな!あいつ、すぐ怒るから面倒なんだよ…」
そう言って、お茶をまた一口含む。
「ふふ。大丈夫、言わないわ!」
ルクレツィアは、少し元気になったように見えたエルヴェツィオを見ながら、自身もまたお茶を口に含んだ。
久し振りにエルヴェツィオの姿を見たルクレツィアは、彼を見るや以前より少し痩せ、顔色が悪くなったようだと驚いた。
そしてすぐ、口に合うのか少し迷ったが疲れを癒やすハーブティーを用意すると言って食堂へと連れて来た。
ルクレツィアが準備している間、エルヴェツィオははしたなくも両肘を机につき顔をそこに乗せる形で目を瞑り、呟くように『良い香りだ、なんか落ち着く…』と言った。
「そんなに疲れてるんなら、家で寝ればいいのにエルヴェツィオ。」
そこにちょうど、食堂に入ってきたアンネッタに言われたエルヴェツィオは、はっと目を覚まし、ルクレツィアの姿を目でおって目の前に出されたお茶を一口飲んでから言った。
「いいだろ、せっかく出来た時間なんだから俺がどう過ごしたって。
あーしまった!今日は手土産忘れちまった!
ごめんな、ルクレツィア…。
って、もう出来たのか?ありがとう。あぁ、美味しい!」
「ふん。それはそうだけどね、心配するだろ、なぁルクレツィア。」
「えぇ、心配です。手土産なんてそんな大丈夫ですけど…エルヴェツィオさんちょっと痩せました…?
でもそのローズマリーのお茶美味しかったなら良かった。エルヴェツィオさ…エルヴェツィオのためを思って淹れたの。」
「お!?そ、そうか…ありがとう。」
「ふん!ルクレツィアは体調を気遣って淹れただけでそれ以上もそれ以下もないよ。
…それより、本当に大丈夫なのかい?」
「そんな事言われなくても分かってるよ、アンネッタ!
…まぁ、正直言えば大変だ。でもそれを悠長に言ってはいられないからな、やるしかないんだから。」
「まぁ、そうだねぇ…だけど、無理だけはするんじゃないよ。」
そう言って、次の作業があるとアンネッタは食堂を出て行った。
「…大変、なの?」
それを聞き、戸惑いながらもルクレツィアは尋ねる。
「まぁね…父がさ、ちょっと体調が悪くなってね。時期を同じくして、母も調子を崩しちゃって。
今までやってくれていた仕事が俺やオリーヴィアに回ってきたから。でもそれをこなさないといけないんだろうけど、さすがにね。」
話すのに躊躇したエルヴェツィオだったが、やがて吐き出すように言葉を発した。
「そうなの…それはご両親が心配ね。」
「ん?あぁ…そう、だな…。」
エルヴェツィオは両親の心配をしていないわけではなかったが、やるべき仕事が次から次へと自分たちへ回ってくるためにそれをうまくこなせるかとその事を重きに考えていたと思い返し、ルクレツィアに言われてはっとした。
「早く治るといいね。風邪とか…?」
「いや…父は元々頭痛持ちだったんだけど、さらに酷くなったようでね。疲労も重なったのか今はほとんどベッドの上さ。母も……
…て、こんな暗い話をしに来たわけじゃないんだ!ごめん!忘れてくれ!!」
「暗くなんてないわ!大切な事よ?
あ、ねぇ頭痛なら、サフラン茶も結構いいのよ?飲みにくかったら野菜たっぷりのスープにしたり、砂糖と酒に漬けると食欲も増すみたいなの。」
「…ありがとう、ルクレツィア。
サフラン…あぁそういえばスパーノも言ってたな…。
だったらさぁちなみに、ぜんそくはどう?」
「え?
あ、ぜんそくも、サフランはもってこいよ!落ち着くと思うわ。
ぜんそくはお母様なの?朝晩冷えてくるこの季節は辛いらしいわよね。もしよかったら、気休めにでも飲ませてあげて?
確かまだここに…」
誰が言ってたのかは良く分からないと思ったが、ルクレツィアは聞かれた事に答えると壁に備えつけられた棚を見つつ並んだ小瓶の一つに手を伸ばす。
「あ、あった!これ、持って行って?」
それは、手のひらに乗るほどの小さい小瓶で、中には赤く細長い乾燥させたサフランが入っていた。
「ん?」
「ロミーナが、準備してくれてたみたいで家から持って来たのよ。」
「そんな貴重なもの、だめだよ!」
「いいのよ、他にもいくつか持ってきてあるし、それにエルヴェツィオのご両親、心配だもの。」
そう言って、ルクレツィアはエルヴェツィオの目の前に小瓶を置いた。
「味は、少しだけ癖があるかもしれないわ。でもうちのは本当にいいものなのよ?だから、一度試してみてちょうだい。」
「…ありがとう。」
「どういたしまして!あ、でもすぐ治るわけではないのよ、毎日少しずつ飲んでね。朝晩一杯ずつくらいかしら。多すぎてもダメなのよ?
ところで、オリーヴィアとエルヴェツィオとリッカルダって…」
ルクレツィアは前々から思っていた疑問を口にする。それぞれ三人とも金色の髪ではあるが、長さも髪質も違う。
オリーヴィアは腰までの長い髪で先の方が波打っており、エルヴェツィオは短く切られているがサラサラで、リッカルダも長さは腰ほどで真っ直ぐに伸びている。しかし、どことなく雰囲気がにていると感じていた。
「ん?あぁ、不本意ながらオリーヴィアが俺の姉だよ。で、リッカルダが妹。言ってなかったっけ?」
「そうだったのね!不本意ながらって…フフ。
うん、年齢は聞いていたけれど。でもなんとなく三人とも似てるから、そうかもって思ってたの。」
戯けたように顔をしかめて言うものだからそれを見たルクレツィアは笑いながら、答える。
「ええ!?似てる?まぁ…うーん、そうかな…でも嫌だな…。
あ、二人に、特にオリーヴィアには内緒だからな!あいつ、すぐ怒るから面倒なんだよ…」
そう言って、お茶をまた一口含む。
「ふふ。大丈夫、言わないわ!」
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