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21 これからの事
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気分を変えようとベルトランドは使用人にお茶を淹れさせた。その間に、外が俄に騒がしくなり、騎士団が到着したようだとエルヴェツィオは言った。
「バルトロがやってくれる。あいつに任せておこう。」
エルヴェツィオはそう言って、淹れてもらったお茶を飲んだ。それをみて、皆も一息入れようとお茶を口に含んでいると、バルトロが部屋に戻って来た。
「無事、引き渡しが終わりました。」
「バルトロ、ありがとう。」
「とんでもない、私の仕事でございます。
…で?まだ次の話題にはなっておりませんか?」
「…あぁ。今からだ。」
「そうでしたか、先走りまして。
…ああ、ありがとうございます。」
バルトロにもお茶が出され、喉を潤すと再びエルヴェツィオを見てどうぞ、と促すように手を添えた。
エルヴェツィオは咳払いを一つし、姿勢を正すと正面に座るベルトランドへと口を開いた。
「では。
ここからは、これからのコラユータ領の話となります。
ベルトランド伯爵…いえ、ベルトランド=コラユータ殿。私、エルヴェツィオはご息女であられるルクレツィア様を愛しております。どうか、私の妻とさせていただく事をお許し頂けませんか。」
「!」
ルクレツィアは隣で聞いていて、今さらながら驚いた。叔父の事が片付けば、次は自分の事であったのだと思い出したのだ。そして、エルヴェツィオの言葉を聞いて嬉しくもあり、だが父がどのように返答をするのか不安でもあった。
「頭をお上げ下さい!王太子…いえ、エルヴェツィオ様。
聞けば、我が娘のルクレツィアを、教会へ避難させた頃より支えて下さっていたと。本当に有り難く思っております。
避難生活が想像したよりもずっと長くなってしまい、不安ではありましたがルクレツィアは卑屈にもならず会いに行けば笑顔を見せてくれていたのは、教会の方だけでなく王家の皆様のおかげだと…」
「とんでもない!
こちらこそ、私の両親を助けて頂き、私や姉妹の心の支えにもなって頂き、ルクレツィアには感謝しております。」
「ありがとうございます。
ルクレツィア、どうだい?ルクレツィアの気持ちを聞かせてくれるか?」
優しく、そう問い掛けるベルトランドに、ルクレツィアは一度俯いてどう答えるべきか迷ったが、正直な気持ちを伝えようと顔を上げてベルトランドの目を見つめて答える。
「私…私もエルヴェツィオが好き。一緒にいたいの。」
「そうか。良かったな、ルクレツィア。ご迷惑かけるんじゃないよ。」
「そうね…良かったわね。」
ベルトランドの隣にいるテレーザも、目を潤ませて嬉しそうに声を掛ける。
「認めて下さり、ありがとうございます。迷惑なんて、掛かる事はありませんのでご安心下さい。
ではそうなりますと、その後のコラユータ領の話をさせて頂きたいのですが。」
「それですが、私が、伯爵代行としてこの地を正式に守らせて頂く手続きを進めさせて頂こうかと思っておりますが如何でしょうか。」
と、バルトロは手を挙げて口を挟む。
それにルクレツィアは、バルトロの方を向いて尋ねる。
「えっと、それ…」
「ルクレツィア様、勘違いしないで頂きたい。
私はセノフォンテ侯爵家の次男で、跡継ぎではありませんけれども、王宮に仕えている者としての誇りを持っております。故にコラユータ伯爵家を、乗っ取ろうとしているわけではございません。あくまで代行として、つなぎでございます。
どうしてそれが必要かと申しますと、エルヴェツィオ様の奥様つまり王太子妃、ゆくゆくは王妃になられるルクレツィア様は、コラユータ領を治めるには大変かと存じます。それ故、本来であればルクレツィア様が治めるべきこの地を、お生まれになられるお子様が大きくなるまでもしくは王妃を引退された時まで、私が代わりに治めるだけでございます。」
「そうなったのか、バルトロ。」
側近とともにさまざまな策を考えていたエルヴェツィオは、バルトロからその言葉を聞き、頷きながら話す。
そうであればいいとは思っていても、バルトロの人生を自分の我が儘で押し付けるようなものであり、最後まで悩んでいた事であったから、答えが出なければベルトランドとともに考えようと思っていた。
「はい。その方が新たに他に人を雇うよりも円滑であると思われますので。」
「そうか…ありがとう。」
ほっと息を吐くようにエルヴェツィオが言うと、深々と頭を下げるバルトロ。
それを見て、ベルトランドも言葉を繋ぐ。
「バルトロ殿が治めて下されば、八年ここで培ってきた人脈も生かせます。
だからねルクレツィア、コラユータ領の事は気にしないでいいんだよ。」
「ごめんなさいね、ルクレツィア。お父様は、疲れちゃったのですって。だから早めに引退したいそうなのよ。だからそれでもいいかしら?」
ベルトランドの隣から、微笑みながらテレーザが援護をする。
「いいの…?私のワガママじゃなくて…?」
「ルクレツィア様、それはワガママとは言いません。
皆で、様々な選択肢を踏まえた上で考えた結果なだけでございます。
正直に申し上げますと、ここのサフラン茶が妙に体に合いまして。離れがたいと思っております。ですので、お話を伺った際私から手を挙げさせて頂いたのですよ?」
バルトロは気安く片目を瞑ってルクレツィアにそう言って、両肩を上げる。
ルクレツィアが気に病まないよう、軽口を叩いてくれたのだとルクレツィアは顔を綻ばせて答える。
「ありがとうございます、バルトロ様。
お父様もお母様も、ありがとう。」
「良かった!ルクレツィア、納得してくれた?
ここは、しばらくバルトロに任せよう。何人生まれるか分からないが俺達の子供に任せるか、そのまま代行が続くかはまだ分からないけど、もしかしたらルクレツィアに兄弟が出来るかもしれないし?」
そうエルヴェツィオが伯爵夫妻へと視線を向ける。ルクレツィアはそれに驚きの声をあげ、両親を見ると確かに昔のまま仲は良さそうで。
「ええ!?」
「おほん!まぁ、あり得なくはない…か。」
「やだわ、ここでは言えません!」
先ほどとは違い、皆、穏やかな雰囲気でしばらく話を続けていた。
「バルトロがやってくれる。あいつに任せておこう。」
エルヴェツィオはそう言って、淹れてもらったお茶を飲んだ。それをみて、皆も一息入れようとお茶を口に含んでいると、バルトロが部屋に戻って来た。
「無事、引き渡しが終わりました。」
「バルトロ、ありがとう。」
「とんでもない、私の仕事でございます。
…で?まだ次の話題にはなっておりませんか?」
「…あぁ。今からだ。」
「そうでしたか、先走りまして。
…ああ、ありがとうございます。」
バルトロにもお茶が出され、喉を潤すと再びエルヴェツィオを見てどうぞ、と促すように手を添えた。
エルヴェツィオは咳払いを一つし、姿勢を正すと正面に座るベルトランドへと口を開いた。
「では。
ここからは、これからのコラユータ領の話となります。
ベルトランド伯爵…いえ、ベルトランド=コラユータ殿。私、エルヴェツィオはご息女であられるルクレツィア様を愛しております。どうか、私の妻とさせていただく事をお許し頂けませんか。」
「!」
ルクレツィアは隣で聞いていて、今さらながら驚いた。叔父の事が片付けば、次は自分の事であったのだと思い出したのだ。そして、エルヴェツィオの言葉を聞いて嬉しくもあり、だが父がどのように返答をするのか不安でもあった。
「頭をお上げ下さい!王太子…いえ、エルヴェツィオ様。
聞けば、我が娘のルクレツィアを、教会へ避難させた頃より支えて下さっていたと。本当に有り難く思っております。
避難生活が想像したよりもずっと長くなってしまい、不安ではありましたがルクレツィアは卑屈にもならず会いに行けば笑顔を見せてくれていたのは、教会の方だけでなく王家の皆様のおかげだと…」
「とんでもない!
こちらこそ、私の両親を助けて頂き、私や姉妹の心の支えにもなって頂き、ルクレツィアには感謝しております。」
「ありがとうございます。
ルクレツィア、どうだい?ルクレツィアの気持ちを聞かせてくれるか?」
優しく、そう問い掛けるベルトランドに、ルクレツィアは一度俯いてどう答えるべきか迷ったが、正直な気持ちを伝えようと顔を上げてベルトランドの目を見つめて答える。
「私…私もエルヴェツィオが好き。一緒にいたいの。」
「そうか。良かったな、ルクレツィア。ご迷惑かけるんじゃないよ。」
「そうね…良かったわね。」
ベルトランドの隣にいるテレーザも、目を潤ませて嬉しそうに声を掛ける。
「認めて下さり、ありがとうございます。迷惑なんて、掛かる事はありませんのでご安心下さい。
ではそうなりますと、その後のコラユータ領の話をさせて頂きたいのですが。」
「それですが、私が、伯爵代行としてこの地を正式に守らせて頂く手続きを進めさせて頂こうかと思っておりますが如何でしょうか。」
と、バルトロは手を挙げて口を挟む。
それにルクレツィアは、バルトロの方を向いて尋ねる。
「えっと、それ…」
「ルクレツィア様、勘違いしないで頂きたい。
私はセノフォンテ侯爵家の次男で、跡継ぎではありませんけれども、王宮に仕えている者としての誇りを持っております。故にコラユータ伯爵家を、乗っ取ろうとしているわけではございません。あくまで代行として、つなぎでございます。
どうしてそれが必要かと申しますと、エルヴェツィオ様の奥様つまり王太子妃、ゆくゆくは王妃になられるルクレツィア様は、コラユータ領を治めるには大変かと存じます。それ故、本来であればルクレツィア様が治めるべきこの地を、お生まれになられるお子様が大きくなるまでもしくは王妃を引退された時まで、私が代わりに治めるだけでございます。」
「そうなったのか、バルトロ。」
側近とともにさまざまな策を考えていたエルヴェツィオは、バルトロからその言葉を聞き、頷きながら話す。
そうであればいいとは思っていても、バルトロの人生を自分の我が儘で押し付けるようなものであり、最後まで悩んでいた事であったから、答えが出なければベルトランドとともに考えようと思っていた。
「はい。その方が新たに他に人を雇うよりも円滑であると思われますので。」
「そうか…ありがとう。」
ほっと息を吐くようにエルヴェツィオが言うと、深々と頭を下げるバルトロ。
それを見て、ベルトランドも言葉を繋ぐ。
「バルトロ殿が治めて下されば、八年ここで培ってきた人脈も生かせます。
だからねルクレツィア、コラユータ領の事は気にしないでいいんだよ。」
「ごめんなさいね、ルクレツィア。お父様は、疲れちゃったのですって。だから早めに引退したいそうなのよ。だからそれでもいいかしら?」
ベルトランドの隣から、微笑みながらテレーザが援護をする。
「いいの…?私のワガママじゃなくて…?」
「ルクレツィア様、それはワガママとは言いません。
皆で、様々な選択肢を踏まえた上で考えた結果なだけでございます。
正直に申し上げますと、ここのサフラン茶が妙に体に合いまして。離れがたいと思っております。ですので、お話を伺った際私から手を挙げさせて頂いたのですよ?」
バルトロは気安く片目を瞑ってルクレツィアにそう言って、両肩を上げる。
ルクレツィアが気に病まないよう、軽口を叩いてくれたのだとルクレツィアは顔を綻ばせて答える。
「ありがとうございます、バルトロ様。
お父様もお母様も、ありがとう。」
「良かった!ルクレツィア、納得してくれた?
ここは、しばらくバルトロに任せよう。何人生まれるか分からないが俺達の子供に任せるか、そのまま代行が続くかはまだ分からないけど、もしかしたらルクレツィアに兄弟が出来るかもしれないし?」
そうエルヴェツィオが伯爵夫妻へと視線を向ける。ルクレツィアはそれに驚きの声をあげ、両親を見ると確かに昔のまま仲は良さそうで。
「ええ!?」
「おほん!まぁ、あり得なくはない…か。」
「やだわ、ここでは言えません!」
先ほどとは違い、皆、穏やかな雰囲気でしばらく話を続けていた。
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