【完結】光の魔法って、最弱じゃなくて最強だったのですね!生きている価値があって良かった。

まりぃべる

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エルが襲われた時

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あれも思えば5歳の時。
エルが襲われたのです。エルとは、私より8歳年上の男の子。
お父様が連れて来た知り合いの子らしいです。私兵団にも所属しています。お兄様とも仲が良く、たまにお屋敷にも来ていました。小さな頃を知っているからか、エルは苦手ではありません。
そんなよく知っている人が目の前で襲われているのを見たので、少し怖かったです。でも大変!と思って無我夢中だったので、それどころではなく対応しましたけれど。


ーーー私は普段、森やその近くで、黒い煙を纏った獣に会うと、煙を消す事をしていました。黒い煙を纏った獣はいつも哀しそうな赤い目をしています。だから、辛くなくなるといいなと思うと、たいてい黒い煙が消えていきます。そうすると、哀しそうな目から、ありがとうと喜んでいるような目に変わっている気がするのです。

私はその日、いつものようにお屋敷の敷地内の庭で、野生動物たちと触れ合っておりました。
庭にいると、野生動物たちがソワソワとしだして、森の方に視線を向けていました。何かあったのかもと、そちらに向かうと、誰かが〝闇の獣〟と戦っているようです。危ないと思ったから、その人に声を掛け、黒い煙を消す事に集中しました。
すると、猪の黒い煙はすぐに消せたのでその誰かに視線を向けるとエルでした。助けられて、すごくホッとしたのを覚えています。エルが怪我してないといいなと願いました。

でも、もう一匹、多分これは大型化しているけど、何十匹がくっついているんじゃないかしらと思って、この黒い煙を消せなかったら酷い事になったら困ると思って、森へ追っかけてしまったわ。あまり奥へ入られたら困ると思ったけれど。その大型ウサギに声を掛けてどうにか煙を消せたけれど、ホッとした時に足を滑らせてしまってそこから覚えてないのよね。
でも、目を覚ますとお兄様とお父様が私のベッドを覗き込んでいました。その顔が二人ともものすごくげっそりとしていたので、ごめんなさいと謝りました。
あとでエルの事も聞いたけど、大したことなかったみたいで本当に良かったわ。


それからは…やはりこっそりと野生動物たちと触れ合いながら、黒い煙を纏った〝闇の獣〟たちの煙を消したりしておりました。あまり心配かけてもいけませんし、けれど動物たちが悪さをして殺されるのは可哀想です。私は私の出来る事をしておりました。図書館で、さまざまな書物を読んで、知識を蓄える事もしてました。知らなかった事を知るのはとても楽しかったです。



お兄様が辺境伯になってからは、領民の声を直接聞くために馬に乗って駆け回っていました。お兄様は、執務室でいつも書類とにらめっこしています。領民の生活が貧しくならないよう、一緒になって考えたりもしました。
そうこう過ごしていると、いつの間にか世間一般の貴族令嬢たちのデビューの年齢となってしまいました。

私は、このまま結婚なんてしなくてこの土地で生活していけたらなと思っております。けれどきっと、お兄様が結婚したら、私が邪魔となってしまうでしょう。そうしたら離れにお父様と一緒に住むか、領地のどこかにこじんまりとした家を建ててもらいましょうか。だって、知らない殿方と一緒に暮らすなんて考えられませんもの。
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