【完結】クビだと言われ、実家に帰らないといけないの?と思っていたけれどどうにかなりそうです。

まりぃべる

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4. 与えてくれる?

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 その木の上にいる人は、『与えてやろうか』と言っていたから私の話を聞いていたのだろう。

「そっちへ行ってもいいか?」

 と言われたので、確かに上を向いたままでは話し難かったので頷いた。

 するとその男性は『少し移動してくれ。』と言ってゆっくりと下りてきた。その間に私は立ち上がり、涙を手で素早く拭いた。

「ごめんよ。あ、座って。で、どうした?クビにでもされたか?あ、その髪の紐…」

 私が今まで座っていた所へなんの戸惑もなく座ってと促し、その人も一人分空けた所に腰を下ろした。
そして、なぜだか私の髪を縛った紐を見て何か呟いた。でも、あまり聞き取れなかったわ。
私の髪紐、何かあったかしら?確かに、もう十年以上も使っていて少し古いけれど。
誰にもらったのか忘れちゃったけど、なんだかその時とても楽しかった気がするし、綺麗な黒色の紐で使い易いから今までも使っているのだけれど。
ま、特にそれ以上言われなかったから気にしなくてもいいかしらね。

 その人は、肩まである茶色の髪を無造作に下ろしていた。でも、その髪が太陽に照らされて艶やかに輝いていた。思わず見入ってしまうほどに。

「…大丈夫か?」

 しまった!見入ってしまっていたわ。返事をしないからか、私は彼の方を見ていたのだけれど顔を覗き込まれてしまった。

「あ、ご、ごめんなさい。そうなの。私、オスカー様の侍女をしていたのだけれど、先ほどクビだと言われてしまって…。でも、私は悪い事なにもしていないのに、と思って。もう実家に帰らないと行けないのかと悲しくなって考えていたんです。」

 と、誰かも分からない人にそう打ちあけてしまった。それほどまでに、私は鬱屈とした思いを誰かに言いたかったのかもしれない。

「そう…またか……。もしよかったら、俺について来ない?新しい仕事、与えてあげるよ。」

 そう、彼は言ってくれた。
誰だろう。見た事はない人。仕事を与えると言ったから偉い立場の人なのかしら?

「そう言ってくれて、嬉しいです。でも、まずは侍女長に伝えてこないといけないので…。」

「でも、ここにいたよね?侍女長に伝えに行くのは、もっと後でもいいって思ってたんじゃないの?」

「そ、そうですけど、さぼっていたわけじゃないです!ちょっと気持ちを落ち着けてから行こうと思って…。侍女長は、今行ってもまだ仕事中でしょうし。お昼休みの前に行こうと…。」

「そんな風に思ってはいないから安心して。今日は…あぁ、そうだね。侍女長は確かに…。ふむ。じゃあ尚更だ。侍女長には後で伝えに行こう。せっかく時間があるのなら、あんな奴の為に涙を流すより、楽しい未来の為に動こう。おいで!」

 そう言った彼は立ち上がり、私に手を差し伸べた。
見ず知らずのこの男性についていっていいのかしら?そう思ったけれど、確かにオスカー様とノラの為に涙を流すのも時間の無駄かもしれないと思って、差し伸べられた手に私の手を重ねた。
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