【完結】クビだと言われ、実家に帰らないといけないの?と思っていたけれどどうにかなりそうです。

まりぃべる

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5. ここは?

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 庭で出会った彼に手を引かれ、着いた先は来た事のない建物だった。

 王宮を通り過ぎ、騎士団の棟を通り過ぎ、その奥の建物。

「ここ。来た事ある?」

「い、いえ。」


 ここに来るまでに王宮ではあまり人は会わなかったが、騎士団の棟を通り過ぎた時に、彼を見てびっくりしている騎士団の人がたくさんいた。
戸惑いながらも挨拶をする人、目を逸らして会釈だけしている人、あからさまに顔を逸らして知らない振りをする人など。
だから、やはり偉い人なのじゃないかと思ったの。話し方も、丁寧にした方がよかったかしら。
そして尚更、手を放してくれたらいいのにと思ってしまった。皆が手を繋いでいるのを見て驚いているのだと思ったから。
ただでさえ、手を繋いで歩くなんて家族ですらほとんどなかったのだから、こっちは恥ずかしいのよ!


 その建物に入り、正面の階段を上り、三階の一番奥の部屋に案内してくれた。

コンコンコン
「ロイスだ。入るよ。」

 返事を聞く間もなく部屋の扉をあけて入って行った。
中には、数人の女性が机に向かって座り、何か作業をしていた。その人達はみな、紺色のワンピースを着ていた。

 その中の一人がこちらを向いていった。

「あら、ロイス。どうしたの?あら?その子は?」

「この子は今日からここで働く。いいよね?あ、それから解毒剤と、あと念のためその辺りのやつを飲ませといてよ。」

「それだけじゃ分からないわよ。でも、その服を着ているから何となく分かるけど。あのボンクラがまたクビにしたのね?」

 その服とは、私の制服の事だろう。侍女は皆、このワンピースを支給されて着ているから。
でもボンクラって、オスカー様の事かしら…?
解毒剤…?

「もし、何か食わせられそうになったら遠慮しなよ。どうしても断れそうになかったら、食べてもいいようにアレを飲んで。」

 と、ロイスと呼ばれた彼は、私の方を向いてそう言って、話し掛けてきた女性が準備してくれている数本の瓶に目を向けて言った。

 …何となく、恐ろしいんだけど!?
先ほどの、解毒剤?

「ええと、それは…?」

「まぁ、飲むと身の安全を保証してくれるモノかな。」

「すみません…どうしてそれを飲まないと…?私、命を狙われているのでしょうか?そんな私、何も…。」

「君は何もしていなくても、オスカーの侍女だったんだよね?だったら、『何か重要な事を知られたかもしれない』とあいつは思い、『クビにした侍女を口封じしてしまえ。』そう思ってもおかしくないよね?」

「いえ…あの…」

 いや、充分おかしくない?

 
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