19 / 33
19. 持ち帰り
しおりを挟む
ノラは、自分の部屋がある使用人棟ではなく、王宮にある王族が住む棟に向かった。
「やっぱり、オスカー様の部屋に飾る…?」
私がそう言いながら歩いていると、ロイス様はだんだんと顔が険しくなりながら言った。
「これ以上は、ちょっと上と相談だな。とりあえず、あいつがどこへ行くかだけ確認しよう。」
上って?上司って事かしら?
ノラは、オスカー様の部屋へ入っていった。
「不味いな…まぁ、あれを袋から出してすぐにオスカーに何かするわけではないだろうが、本来であればここで捕縛すれば未然には防げる。しかし、何を目的としているのかが明確にわからなければ…。」
「そうですよね…あ!私入ってきましょうか?」
「何言ってるんだ!そんな危険な事はしなくていい!」
カチャ
私達が、廊下でそう話していると、オスカー様の部屋の扉が空いたのでどうしようと思っているとロイス様は隣の部屋の扉のドアを開け、私をグイッと引き寄せて扉をぎりぎりまで閉めた。
引き寄せられた時、私はロイス様の腕の中に入れられギュッと密着しそのまま腕を肩に置かれたままなので一気に緊張した。
「~~~!」
驚いて声も出ない私とは反対に、ロイス様は扉の隙間から外を覗いていたらしく呟いた。
「あいつだな…ん?手に、緑色の…先ほどのナルシサスの茎か?花だけもぎ取ったのか?ああすると野菜に見えなくもないな。」
ロイス様の呟きに、一人緊張していた私が馬鹿らしくなって体をよじり、私も扉の隙間から外を覗く。なんとなく少しはしたない気もするけれど、幼い頃領地でよくやったかくれんぼを思い出した。隠れていた隙間から鬼が来ないか覗いていたもの…あ!そうよ、衣装部屋へこっそりと入ってオスカー様とノラの会話を盗み聞くとかどうかしら?バレなければ、きっと何か掴めるかもしれないわ!
「私!良いこと思い付きました!」
「ん?なに?また危険な事じゃない?あとで聞くよ。とりあえず、後を追おう。ほら、おいで。」
そう言うと、ロイス様はまた私の手をさも当然のように繋いで部屋を出た。
私達はゆっくりこっそり、ノラに気づかれないように歩く。ノラが角を曲がったりすると急いでそこまで向かう。それを幾度か繰り返すと、厨房に辿り着いた。
急いで厨房室を廊下から覗くと、ノラが当然のように入っていって、『私達使用人用の料理はどこ?』と聞いていた。そしてその近くで調理していた人に、『これ、手に入ったの。入れてくれる?』と言っていた。
王族に出す料理と、使用人に出す料理は分けられている。王宮で働いているとはいえ身分が違いすぎるからだ。
そして、使用人用の料理の材料にはしばしば誰かが持ち込んだものも使われる。家で実っていた果物、野菜なんかはよく皆がここへ持参してくる。
侍女見習いの時に、そのような皆が持参した野菜などを置いておく保管庫を整頓した時があったからそんな感じかと思った。
「そこまでだ!」
こっそり廊下から見ていたと思ったらロイス様がいきなり、厳しい声を上げた。
皆が一斉に振り向き、驚いている。
奥から責任者なのか、白い制服に白い帽子をかぶった五十代くらいの男性が焦ったようにやって来て言った。
「こ、こんな所までどうされました?何か、不備がございましたか?」
「いや。忙しい時間に済まない。とりあえず、お前、動くな!…なんのことはない。おい、そこのお前。持ってきたものはずいぶんと美味しそうな野菜だな。今から入れるのか?どれ、まずお前が一杯食べてみてくれ。」
「え!?」
「ひっ…!」
「どうした。ほら、早くしないと皆の邪魔になる。光栄じゃないか。味見が出来るんだぞ。あ、おい、逃げるな!捕まえろ!待て!」
ノラは、いきなり私達が来たからかなり驚いていた。そして、動くなと言われたのにも関わらず裏口へと行こうとしていた。
でも、ロイス様が『そこのお前!』と、ノラを指を差して言って、味見しろと言われると顔を青くして背中を向け、逃げ出そうとした。
けれど、ロイス様が捕まえろと言ったから料理人の幾人かは裏口に立ったり、足を引っ掛けようとしたり、包丁を持って向かっていく人もいた。
「やめて、放してよ!私を誰だと思っているのよ!オスカー様に言いつけてやるんだから!ちょっと!勝手に触れないで!」
ノラは、腕を掴まれ、罵っているわ。
「さぁ、どうしようかなー。」
ロイス様…顔が怖いですわよ。
「やっぱり、オスカー様の部屋に飾る…?」
私がそう言いながら歩いていると、ロイス様はだんだんと顔が険しくなりながら言った。
「これ以上は、ちょっと上と相談だな。とりあえず、あいつがどこへ行くかだけ確認しよう。」
上って?上司って事かしら?
ノラは、オスカー様の部屋へ入っていった。
「不味いな…まぁ、あれを袋から出してすぐにオスカーに何かするわけではないだろうが、本来であればここで捕縛すれば未然には防げる。しかし、何を目的としているのかが明確にわからなければ…。」
「そうですよね…あ!私入ってきましょうか?」
「何言ってるんだ!そんな危険な事はしなくていい!」
カチャ
私達が、廊下でそう話していると、オスカー様の部屋の扉が空いたのでどうしようと思っているとロイス様は隣の部屋の扉のドアを開け、私をグイッと引き寄せて扉をぎりぎりまで閉めた。
引き寄せられた時、私はロイス様の腕の中に入れられギュッと密着しそのまま腕を肩に置かれたままなので一気に緊張した。
「~~~!」
驚いて声も出ない私とは反対に、ロイス様は扉の隙間から外を覗いていたらしく呟いた。
「あいつだな…ん?手に、緑色の…先ほどのナルシサスの茎か?花だけもぎ取ったのか?ああすると野菜に見えなくもないな。」
ロイス様の呟きに、一人緊張していた私が馬鹿らしくなって体をよじり、私も扉の隙間から外を覗く。なんとなく少しはしたない気もするけれど、幼い頃領地でよくやったかくれんぼを思い出した。隠れていた隙間から鬼が来ないか覗いていたもの…あ!そうよ、衣装部屋へこっそりと入ってオスカー様とノラの会話を盗み聞くとかどうかしら?バレなければ、きっと何か掴めるかもしれないわ!
「私!良いこと思い付きました!」
「ん?なに?また危険な事じゃない?あとで聞くよ。とりあえず、後を追おう。ほら、おいで。」
そう言うと、ロイス様はまた私の手をさも当然のように繋いで部屋を出た。
私達はゆっくりこっそり、ノラに気づかれないように歩く。ノラが角を曲がったりすると急いでそこまで向かう。それを幾度か繰り返すと、厨房に辿り着いた。
急いで厨房室を廊下から覗くと、ノラが当然のように入っていって、『私達使用人用の料理はどこ?』と聞いていた。そしてその近くで調理していた人に、『これ、手に入ったの。入れてくれる?』と言っていた。
王族に出す料理と、使用人に出す料理は分けられている。王宮で働いているとはいえ身分が違いすぎるからだ。
そして、使用人用の料理の材料にはしばしば誰かが持ち込んだものも使われる。家で実っていた果物、野菜なんかはよく皆がここへ持参してくる。
侍女見習いの時に、そのような皆が持参した野菜などを置いておく保管庫を整頓した時があったからそんな感じかと思った。
「そこまでだ!」
こっそり廊下から見ていたと思ったらロイス様がいきなり、厳しい声を上げた。
皆が一斉に振り向き、驚いている。
奥から責任者なのか、白い制服に白い帽子をかぶった五十代くらいの男性が焦ったようにやって来て言った。
「こ、こんな所までどうされました?何か、不備がございましたか?」
「いや。忙しい時間に済まない。とりあえず、お前、動くな!…なんのことはない。おい、そこのお前。持ってきたものはずいぶんと美味しそうな野菜だな。今から入れるのか?どれ、まずお前が一杯食べてみてくれ。」
「え!?」
「ひっ…!」
「どうした。ほら、早くしないと皆の邪魔になる。光栄じゃないか。味見が出来るんだぞ。あ、おい、逃げるな!捕まえろ!待て!」
ノラは、いきなり私達が来たからかなり驚いていた。そして、動くなと言われたのにも関わらず裏口へと行こうとしていた。
でも、ロイス様が『そこのお前!』と、ノラを指を差して言って、味見しろと言われると顔を青くして背中を向け、逃げ出そうとした。
けれど、ロイス様が捕まえろと言ったから料理人の幾人かは裏口に立ったり、足を引っ掛けようとしたり、包丁を持って向かっていく人もいた。
「やめて、放してよ!私を誰だと思っているのよ!オスカー様に言いつけてやるんだから!ちょっと!勝手に触れないで!」
ノラは、腕を掴まれ、罵っているわ。
「さぁ、どうしようかなー。」
ロイス様…顔が怖いですわよ。
211
あなたにおすすめの小説
【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない
朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。
【本編完結】ただの平凡令嬢なので、姉に婚約者を取られました。
138ネコ@書籍化&コミカライズしました
ファンタジー
「誰にも出来ないような事は求めないから、せめて人並みになってくれ」
お父様にそう言われ、平凡になるためにたゆまぬ努力をしたつもりです。
賢者様が使ったとされる神級魔法を会得し、復活した魔王をかつての勇者様のように倒し、領民に慕われた名領主のように領地を治めました。
誰にも出来ないような事は、私には出来ません。私に出来るのは、誰かがやれる事を平凡に努めてきただけ。
そんな平凡な私だから、非凡な姉に婚約者を奪われてしまうのは、仕方がない事なのです。
諦めきれない私は、せめて平凡なりに仕返しをしてみようと思います。
転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ
karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。
しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。
義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。
石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。
実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。
そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。
血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。
この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。
扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。
侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました
下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。
ご都合主義のSS。
お父様、キャラチェンジが激しくないですか。
小説家になろう様でも投稿しています。
突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!
婚約破棄に乗り換え、上等です。私は名前を変えて隣国へ行きますね
ルーシャオ
恋愛
アンカーソン伯爵家令嬢メリッサはテイト公爵家後継のヒューバートから婚約破棄を言い渡される。幼い頃妹ライラをかばってできたあざを指して「失せろ、その顔が治ってから出直してこい」と言い放たれ、挙句にはヒューバートはライラと婚約することに。
失意のメリッサは王立寄宿学校の教師マギニスの言葉に支えられ、一人で生きていくことを決断。エミーと名前を変え、隣国アスタニア帝国に渡って書籍商になる。するとあるとき、ジーベルン子爵アレクシスと出会う。ひょんなことでアレクシスに顔のあざを見られ——。
私をいじめていた女と一緒に異世界召喚されたけど、無能扱いされた私は実は“本物の聖女”でした。
さら
恋愛
私――ミリアは、クラスで地味で取り柄もない“都合のいい子”だった。
そんな私が、いじめの張本人だった美少女・沙羅と一緒に異世界へ召喚された。
王城で“聖女”として迎えられたのは彼女だけ。
私は「魔力が測定不能の無能」と言われ、冷たく追い出された。
――でも、それは間違いだった。
辺境の村で出会った青年リオネルに助けられ、私は初めて自分の力を信じようと決意する。
やがて傷ついた人々を癒やすうちに、私の“無”と呼ばれた力が、誰にも真似できない“神の光”だと判明して――。
王都での再召喚、偽りの聖女との再会、かつての嘲笑が驚嘆に変わる瞬間。
無能と呼ばれた少女が、“本物の聖女”として世界を救う――優しさと再生のざまぁストーリー。
裏切りから始まる癒しの恋。
厳しくも温かい騎士リオネルとの出会いが、ミリアの運命を優しく変えていく。
悪役令息(冤罪)が婿に来た
花車莉咲
恋愛
前世の記憶を持つイヴァ・クレマー
結婚等そっちのけで仕事に明け暮れていると久しぶりに参加した王家主催のパーティーで王女が婚約破棄!?
王女が婚約破棄した相手は公爵令息?
王女と親しくしていた神の祝福を受けた平民に嫌がらせをした?
あれ?もしかして恋愛ゲームの悪役令嬢じゃなくて悪役令息って事!?しかも公爵家の元嫡男って…。
その時改めて婚約破棄されたヒューゴ・ガンダー令息を見た。
彼の顔を見た瞬間強い既視感を感じて前世の記憶を掘り起こし彼の事を思い出す。
そうオタク友達が話していた恋愛小説のキャラクターだった事を。
彼が嫌がらせしたなんて事実はないという事を。
その数日後王家から正式な手紙がくる。
ヒューゴ・ガンダー令息と婚約するようにと「こうなったらヒューゴ様は私が幸せする!!」
イヴァは彼を幸せにする為に奮闘する。
「君は…どうしてそこまでしてくれるんだ?」「貴方に幸せになってほしいからですわ!」
心に傷を負い悪役令息にされた男とそんな彼を幸せにしたい元オタク令嬢によるラブコメディ!
※ざまぁ要素はあると思います。
※何もかもファンタジーな世界観なのでふわっとしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる