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29. オペラ鑑賞
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「オペラ、見た事ない?」
ヴァルフレードと話していた時にそう言われたアルフォンシーナは、首を縦にして返事をした。
「ええ。お母様が誘ってくれたりもしたけれど、ああいう所っていろんな人に会うでしょう?笑ってはいけないと思っていたから、人に会うと面倒だと思っていたから。」
「……ごめん。それは、本当に申し訳ない。じゃあ、俺と一緒に行かないか?俺も実は子供の頃に両親と数回、行ったきりだったんだ。ウディネ領でちょうど今公演してるって聞いたんだ。」
ヴァルフレードは、自分が何気なく放った言葉のせいでアルフォンシーナを傷つけ、引き篭もらせてしまっていたのを悔いた。けれど、その事でアルフォンシーナが出掛ける初めての時に、自分がパートナーとして一緒にいられるのはとても嬉しく思った。
「実はさ、ベルトルドとカンディダからチケットをもらったんだ。」
聞けば、ベルトルドが今日仕事終わりに国防軍の所まで来たのだそう。そこで、自分達は行けないからアルフォンシーナと行っておいでとチケットをもらったと。
「そうなの…ええ。初めてだから緊張するけれど、じゃあ行ってみたいわ!フレード、エスコートお願い出来る?」
「ああ!嬉しいよ。ぜひとも俺にシーナのエスコートをさせて欲しい!」
アルフォンシーナはお願いをする時によく、仮装祭りで呼んでいた名前で呼ぶ事があった。それを言われたら、ヴァルフレードもそれに合わせてシーナと呼んでいた。二人とも、親しい者からはそのように呼ぶ人はいないとだから普段から呼べばいいのにお互いに少し恥ずかしいのだ。
それから二日。
昼の部のオペラを見に行く日となり、ルッチラに衣裳を着せてもらい、髪も緩く結いあげてもらったアルフォンシーナは、ヴァルフレードの待つ玄関へと降りて行った。
「あぁシーナ…とても美しいよ。ルッチラ、いい仕事をしたな。でもシーナをあまり綺麗に仕上げないでくれ。他の男達が振り返ってしまうよ。」
アルフォンシーナの後ろにいたルッチラは、反論した。
「そうは言いましても、アルフォンシーナ様は素材が素晴らしく綺麗なのですから、どうやっても素敵に仕上がってしまうのです。さぁ、私に文句を言う暇があるのでしたら、さっさとアルフォンシーナ様とお出かけになられて下さいませ。」
「それはそうだな。じゃあシーナ、行こうか。」
「ウフフ。はい、フレード。フレードもとても素敵よ、似合っているわ。」
「…!シーナにそう言ってもらえるなんて俺は幸せ者だな。」
そう言って、ヴァルフレードがアルフォンシーナの手を取り、馬車に乗ってウディネの文化ホールに向かった。
☆★
「すごいわ!人が多いのね。こんなに盛り上がるなんて知らなかったわ!」
アルフォンシーナは、会場に着くと溢れんばかりの人が文化ホールに入って行ったり、文化ホールの前の広場で集まっていたりしていた為に驚きの声を上げた。
「本当だね。迷子にならないようにね。でも、夜の方がもっと人が多いんだよ。仄かに明かりも灯されるから、昼とは違う雰囲気なんだよ。アルフォンシーナが気に入れば、夜もまた来よう。」
「そうなの?夜も来てみたいわ!
…ねぇ、シーナって呼んで欲しいの。」
「…!!
あぁ、どうしてそんなに可愛いんだ!シーナ!ごめんよ、俺も他の誰も呼んでいないから、シーナと呼びたくて…でもなかなか気恥ずかしくて言えなかったんだ。呼んでいいなら、俺の事もフレードと呼んでくれるかい?」
「ありがとう!ええ、嬉しい!あ、でもシーナって、フレードだけが呼んでいるのではないのだけれど。」
「何!?そ、そうだったのか…でも誰が呼んでいる?家族には呼ばれていないよな?」
「仮装祭りの時に、その名前をずっと使っていたからよ。仮面を被っている時だから、私とは分かって呼んでいないのでしょうけれどね。」
「なんだ、そっか…!じゃあ良かった。それならシーナって呼ばせてもらうよ。」
「ええ!」
そのように仲良く話をしながら、ヴァルフレードがアルフォンシーナをエスコートしながら、文化ホールへと入る。
チケットは、サンドレッリ公爵家用の眺めのいいボックス席で、広めの席だった。
「まぁ!こんな形の会場なのね!」
会場の観覧席は馬の蹄のような形をしている。
一番下が舞台となっていて、一階は座席が舞台を囲うように並んでいる一般席で、二階から上は五階までがボックス席で、六人ほどが座れるようになっている。
「軽食がここで摂れるから、持ってきてもらうかい?」
「ええ!何もかもが新鮮だわ!」
「良かった。これからも見に来るかい?」
「ええ、来たいわ!でもフレードはどうなの?」
「俺も、シーナが行く所にはどこへだって一緒に行くよ!喜んでくれるなら尚の事ね。」
「嬉しい!!」
「あ、始まるみたいだね。」
ーーー
ーー
ー
パチパチパチパチ
上演が終わり、いつまでも拍手が鳴り止まないほどにいいオペラだった。
「どうだ…え?シーナ!涙を流して。そんなに感動したのかい?」
「ええ…だって、あの二人、とっても幸せそうだったもの!良かったわ、最後に氷が解けて、主人公が助かって。」
「そうだね。でも、俺、途中からなんか俺達のようだと思ってしまったよ。」
「え?」
「だって、女性主人公は好きな人に振られたと思って寒い北の国へ逃げ、魔法で凍らされていただろう?それを男の主人公が追いかけて行って、抱きしめて愛でその氷を溶かすなんてさ。
なんだかまぁ自分で言うのも何だけどさ、笑わなかったシーナの可愛い笑顔が見えるようになったから。」
「まぁ!そうねぇ。フレードのせいで笑えなくなったけれど、フレードのおかげで笑えるようになったものね!」
「いや、うーん、まぁ…。」
「もう!私は根にもっているわけではないわよ?大好きよ、フレード!」
「ああ…シーナ、俺も愛しているよ!」
まだまだ余韻に浸りながらも、二人仲良く話していた。
ヴァルフレードと話していた時にそう言われたアルフォンシーナは、首を縦にして返事をした。
「ええ。お母様が誘ってくれたりもしたけれど、ああいう所っていろんな人に会うでしょう?笑ってはいけないと思っていたから、人に会うと面倒だと思っていたから。」
「……ごめん。それは、本当に申し訳ない。じゃあ、俺と一緒に行かないか?俺も実は子供の頃に両親と数回、行ったきりだったんだ。ウディネ領でちょうど今公演してるって聞いたんだ。」
ヴァルフレードは、自分が何気なく放った言葉のせいでアルフォンシーナを傷つけ、引き篭もらせてしまっていたのを悔いた。けれど、その事でアルフォンシーナが出掛ける初めての時に、自分がパートナーとして一緒にいられるのはとても嬉しく思った。
「実はさ、ベルトルドとカンディダからチケットをもらったんだ。」
聞けば、ベルトルドが今日仕事終わりに国防軍の所まで来たのだそう。そこで、自分達は行けないからアルフォンシーナと行っておいでとチケットをもらったと。
「そうなの…ええ。初めてだから緊張するけれど、じゃあ行ってみたいわ!フレード、エスコートお願い出来る?」
「ああ!嬉しいよ。ぜひとも俺にシーナのエスコートをさせて欲しい!」
アルフォンシーナはお願いをする時によく、仮装祭りで呼んでいた名前で呼ぶ事があった。それを言われたら、ヴァルフレードもそれに合わせてシーナと呼んでいた。二人とも、親しい者からはそのように呼ぶ人はいないとだから普段から呼べばいいのにお互いに少し恥ずかしいのだ。
それから二日。
昼の部のオペラを見に行く日となり、ルッチラに衣裳を着せてもらい、髪も緩く結いあげてもらったアルフォンシーナは、ヴァルフレードの待つ玄関へと降りて行った。
「あぁシーナ…とても美しいよ。ルッチラ、いい仕事をしたな。でもシーナをあまり綺麗に仕上げないでくれ。他の男達が振り返ってしまうよ。」
アルフォンシーナの後ろにいたルッチラは、反論した。
「そうは言いましても、アルフォンシーナ様は素材が素晴らしく綺麗なのですから、どうやっても素敵に仕上がってしまうのです。さぁ、私に文句を言う暇があるのでしたら、さっさとアルフォンシーナ様とお出かけになられて下さいませ。」
「それはそうだな。じゃあシーナ、行こうか。」
「ウフフ。はい、フレード。フレードもとても素敵よ、似合っているわ。」
「…!シーナにそう言ってもらえるなんて俺は幸せ者だな。」
そう言って、ヴァルフレードがアルフォンシーナの手を取り、馬車に乗ってウディネの文化ホールに向かった。
☆★
「すごいわ!人が多いのね。こんなに盛り上がるなんて知らなかったわ!」
アルフォンシーナは、会場に着くと溢れんばかりの人が文化ホールに入って行ったり、文化ホールの前の広場で集まっていたりしていた為に驚きの声を上げた。
「本当だね。迷子にならないようにね。でも、夜の方がもっと人が多いんだよ。仄かに明かりも灯されるから、昼とは違う雰囲気なんだよ。アルフォンシーナが気に入れば、夜もまた来よう。」
「そうなの?夜も来てみたいわ!
…ねぇ、シーナって呼んで欲しいの。」
「…!!
あぁ、どうしてそんなに可愛いんだ!シーナ!ごめんよ、俺も他の誰も呼んでいないから、シーナと呼びたくて…でもなかなか気恥ずかしくて言えなかったんだ。呼んでいいなら、俺の事もフレードと呼んでくれるかい?」
「ありがとう!ええ、嬉しい!あ、でもシーナって、フレードだけが呼んでいるのではないのだけれど。」
「何!?そ、そうだったのか…でも誰が呼んでいる?家族には呼ばれていないよな?」
「仮装祭りの時に、その名前をずっと使っていたからよ。仮面を被っている時だから、私とは分かって呼んでいないのでしょうけれどね。」
「なんだ、そっか…!じゃあ良かった。それならシーナって呼ばせてもらうよ。」
「ええ!」
そのように仲良く話をしながら、ヴァルフレードがアルフォンシーナをエスコートしながら、文化ホールへと入る。
チケットは、サンドレッリ公爵家用の眺めのいいボックス席で、広めの席だった。
「まぁ!こんな形の会場なのね!」
会場の観覧席は馬の蹄のような形をしている。
一番下が舞台となっていて、一階は座席が舞台を囲うように並んでいる一般席で、二階から上は五階までがボックス席で、六人ほどが座れるようになっている。
「軽食がここで摂れるから、持ってきてもらうかい?」
「ええ!何もかもが新鮮だわ!」
「良かった。これからも見に来るかい?」
「ええ、来たいわ!でもフレードはどうなの?」
「俺も、シーナが行く所にはどこへだって一緒に行くよ!喜んでくれるなら尚の事ね。」
「嬉しい!!」
「あ、始まるみたいだね。」
ーーー
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パチパチパチパチ
上演が終わり、いつまでも拍手が鳴り止まないほどにいいオペラだった。
「どうだ…え?シーナ!涙を流して。そんなに感動したのかい?」
「ええ…だって、あの二人、とっても幸せそうだったもの!良かったわ、最後に氷が解けて、主人公が助かって。」
「そうだね。でも、俺、途中からなんか俺達のようだと思ってしまったよ。」
「え?」
「だって、女性主人公は好きな人に振られたと思って寒い北の国へ逃げ、魔法で凍らされていただろう?それを男の主人公が追いかけて行って、抱きしめて愛でその氷を溶かすなんてさ。
なんだかまぁ自分で言うのも何だけどさ、笑わなかったシーナの可愛い笑顔が見えるようになったから。」
「まぁ!そうねぇ。フレードのせいで笑えなくなったけれど、フレードのおかげで笑えるようになったものね!」
「いや、うーん、まぁ…。」
「もう!私は根にもっているわけではないわよ?大好きよ、フレード!」
「ああ…シーナ、俺も愛しているよ!」
まだまだ余韻に浸りながらも、二人仲良く話していた。
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