きもちいいあな

松田カエン

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王都防衛編

132.クンツの活躍

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 はっと目を覚ますと、なぜか水に濡れてしっとりとしたツェーザル様が私の顔を覗き込んでいた。御髪が水に濡れて乱れているのにそれを意に介することなく、じっと私を見つめながら頭を撫でている。重力に引きずられた前髪から、ぽたりと雫が私の頬に落ちた。
 ここまで私がツェーザル様のおそばにいたのはは初めてだ。私と似て……いや、私がツェーザル様に似ている部分があるのだろう。
 太めの眉と、眠そうに重たげな瞼。私よりも皺の刻まれた頬や額。
 その手は優しかった。体温がじんわりと移ってくる。額から髪を梳くように頭に指が滑った。唇は戦慄いたが、言葉にならなかった。母のことも覚えてはいない。それは私だけでなく、兄弟従兄弟たち皆そうだ。

「シュリンゲンジーフ殿、起きたぞ」

 私が何かを口にする前に、ツェーザル様は斜め後ろを振り返った。
 そこで、ようやく周囲の物音が耳に飛び込んできた。今まで2人きりのように感じられたほどの静寂は、私の脳が勝手に生み出したものだと気づく。
 忙しなく駆け回る足音に複数人の話し声。水音に人の気配。私が感じていた静寂はあっという間にかき消された。

「それなら次はこちらの子をお願いします。ベッカー!お渡しして。クンツ!起きたならこっち来て手伝って!」
「あ、ああ……」

 私から離れていくツェーザル様を、名残惜しく見送りながら身体を起こせば、私自身も全身がぐっしょり濡れていることに気付いた。
 不思議に思いながら視線を上げれば、威圧的なほどそびえ立っていたはずのダムの壁面が大きく破損し、風通しが良くなっていることに気付く。
 不思議と一部は、半円をくり抜いたかのように不自然な円を描いていた。ひび割れた壁の向こう側にはうっすらと水の壁がある。よくよく見れば、それは凍っていた。
 太陽の光を浴びてゆらりと氷が揺らめいている。少し離れているはずなのに、ひんやりとした冷気がここまで漂ってきていた。少しずつ氷が解けているのか、先ほどの滝のような轟音ではなく、ちょろちょろと断続的な水音がしていた。

 そこから視線を外して周囲を見やると、ほとんどの兄弟従兄弟たちがいた。
 半分が身を横たえ、もう半分が忙しなく動き回っている。。深い傷を負った者はエリーアス様とランド様が治療を施し、軽症の者は互いに手当てをしていた。私はといえば、群青色のまばゆいこの鎧のおかげなのか、傷一つない。
 傷一つないのは良いのだが、どうして全身濡れているのだろう。それに魔蜂も、王家の紋章もない。紋章ごと巣を吹き飛ばすという命をツェーザル様が下すはずがないのに、一体何があったのだ。

 戸惑いながらエリーアス様の元へ行くと、エリーアス様はずっと手元を見つめながら口を開いた。

「クンツ、壁作れる?リンデンベルガーはみんな、土魔法得意なんでしょ。気温も高いし、ドマニが使ってる水冷魔法解除するから、他の軽度の子たちと一緒にダムの壁の穴を塞いでほしいんだ」

 エリーアス様の手元には、穴だらけの鎧に、同じ数だけ身体にも複数の穴が空いた兄弟がいた。うめき声を漏らしている。場を仕切っていた、一番年齢の上の兄弟だ。
 明らかに途切れそうになる命を、エリーアス様がしっかりと握っていた。
 エリーアス様は高濃度の魔力を手のひらに集めて流し込んで、兄弟の新陳代謝を強制的に上げていく。私たちは消耗品なのだから、そんなことはしなくてもいい、と口を開こうとしたが、エリーアス様の真摯な眼差しの前では言葉が出なかった。

 普段、治療など頭にないはずの兄弟たちが、覚束ない手で応急処置をしている。
 エリーアス様は目の前の兄弟の治療だけではなく、うっすらと魔力の範囲を広げて、その場自体に治癒の膜を形成しているようだった。とてつもなく大それたことをエリーアス様がしていることがわかる。ランド様もだ。ダムの水を凍らせながら、エリーアス様と遜色ない治癒魔法を披露していた。

 ツェーザル様は、まだ意識を取り戻していない兄弟の頭近くに膝を付き、一心に頭を撫でている。

 そのまた向こう側では、大量のシーツを持ち出してきたベッカーが、破いて簡易包帯を量産していた。
 ……あれは多分群青騎士の馬車に乗っていたものではないか?群青騎士が使う特注の馬車には、大量の寝具があるのだが、そんな使い方してよいのだろうか。他にも奴隷が2人ほど忙しなく動いている。視線を動かして、私は首を傾げた。

 あれ、私の奴隷がいない?ユストゥスはどこに行ったのだ。

 聞こうにもみなそれぞれ忙しそうにしているし、エリーアス様に頼まれた通りダムの穴を塞がなくては、溶けかけている大量の水が押し寄せてくることだろう。水に飲まれれば、下流にある王都もただでは済まない。
 ユストゥスのことはひとまず置いておいて、気合を入れなおしてダム壁面に近寄る。すでに数人の兄弟が土魔法で塞ごうとしているが、ところどころ水が漏れだしてきていた。全く上手くいっていないようだ。

 魔法で錬成し、または周囲から魔法で集めた土は水に緩んで流れていく。土のままでは流される。だから固まらない。それは兄弟たちもわかっているのだろうが、私たちは土魔法が一番得意ではありつつも、それほど魔法の能力に長けているわけではないのだ。
 私も壁面によると、その残った瓦礫に手を添えた。

 今朝も、ちゃんとユストゥスから搾り取ってやった。魔力も満タンだし、結局任務が遂行されることなく私は自分を取り戻したのだろう、気力体力ともに漲っている。
 ふん、と鼻を鳴らした。

「『土よ。……硬くなれ』」

 岩だ。岩。先ほどのような滑らかな壁でなくてもいい。要は空いた分の穴を塞げればいい。なぜだか氷は壁の半分ほどの量しかなかった。残り半分はどこにいったのだろう。
 よもや消し飛んだとは思わず、私はせっせと壁を作り始めた。

「『土、』えと……『すごくすごく、硬くなれ。岩。岩を作る……ぎゅっぎゅっ』」

 柔らかい土の密度を、硬く岩になるぐらいまで手で押し固めるイメージだ。別に言葉がなくてもいいが、よりイメージしやすいので魔法が使える人族は言葉を使うものが多い。魔物などは咆哮などで魔法を使うこともあるし、視線だけで行使できる者もいる。

 割れ目を塞いで硬く岩に成れ。この壁いっぱい。全部岩に成れ。

 私のイメージは上手くいったのか、ダムの壁面は少しずつ塞がり始めた。それを見た兄弟が顔を見合わせ、私と同じようにひび割れた壁面に手を添えて、意識を集中させる。

「『ぎゅっぎゅ』」
「『ぎゅっぎゅ』」

 ……なんでそこを真似したっ!

 怒鳴りたいが、イメージが揺らぐと魔力の通りが悪くなる。動揺でせっかく固めた部分にヒビが入り、私は慌ててその溝にも岩を詰めて隙間を埋めるイメージを続けた。

「『ぎゅうぅううっ』」
「すごいな兄弟。見直しだぞ!」
「そうだな!」
「エリーアス様と同じ寮なんて烏滸がましい奴めと思っていたが、なかなか骨がある奴だ」
「『ぎゅ、ぎゅうぅ……ほ、褒めるな!やめろ!」

 褒められ慣れてないんだからな!失敗するだろうが!
 やんややんやとうるさい外野を怒鳴りつけ、私は魔力を込めた。

「『ぎう、ぎう』」

 いつの間にかどこからか出てきた群青騎士の兄弟も、壁にぺったりと手を当てて壁を形成している。足の悪い彼を肩車しているのは、ランド様に早口で迫っていた兄弟だ。
 身に着けていた鎧は大部分が欠けているが、その下の肌は瑞々しいまでに傷痕一つなかった。ボロボロ涙を零しながら何かを呟いている。肩車された群青騎士の兄弟は、そんな兄弟の頭を時折撫でていた。

「『ぎゅううううっ』」

 夢中で壁を作っていると、不意にめまいを感じた。手から放出していた魔力が、かすっと途切れる瞬間があるのを自覚する。壁の修復は、まだ三分の一程度だ。ダムの水自体減っているが、それでもまだ壁面を作り切ったとはいえない。

「っ……う、ぅ『ぎゅ……っ!』」

 体中の魔力を集めて土魔法を使う。ど、どこかにまだ残ってないか?
 私がこのまま力尽きたら、弱まった部分からまたすべて壊れていってしまう。それは避けなければならない。

 体内の魔力を探す。するとずくん、と下腹部が疼いた。高濃度の魔力結晶体である悪魔の実の『種』が、私の欲しかった魔力をくれるが、じんじんと身体が熱くなり……お、おまんこが疼く……。魔力が足りなくなった分、精液を欲していると自覚すると、もう止まらなかった。

「だ、大丈夫か兄弟?顔が赤いが……」
「無理でも魔力を絞り出せ!お前が私たちの中では一番強いんだぞ」
「がんばれ!」
「っふ、ぅ……『ぎゅぅう……っ』」

 周りにいる兄弟は増え、皆でダムを固めているがまだ終わらない。すでに魔力の切れた兄弟は、使い物にならずひっくり返っている。一人増えたと思ったらそれで、とうとう群青騎士の兄弟もごろんとひっくり返った。
 他はただ単に魔力切れで気を失っているだけだが、群青騎士の兄弟だけは真っ赤な顔でもじもじと膝頭を擦り合わせている。
 いくら壊れかけているとは言え、身内の前で疼く尻に手を伸ばすのは、理性が止めているらしい。すると、奴隷服を着た1人が駆け寄ってきて、群青騎士の兄弟を抱き上げ、そのままどこかに連れ去っていった。くうっ!羨ましい!

 私だってユストゥスが……ユストゥス、どこに、も、やだ、うぅ……っ。

 胎を太く熱い剛直で掻き回されたい。それが無理なら細くても小さくてもいい。なんでもいい、おちんぽっ、おちんぽ欲しい!
 どうして土魔法を使っているかすら忘れそうになりながら、私は熱い吐息を零した。
 壁に手を付いたまま、ずるずると力が抜けて膝を付く。鎧の中で勃起してしまったペニスが窮屈で痛い。
 壁を見上げていられず、ただ硬くなるよう一心に考えながら土魔法を使う。閉じることを忘れた唇から、つうっと唾液が溢れた。

「ふむ。確かに狼を追い回している時間はないようだ。任務失敗の咎はあの狼の首で贖いたかったが、致し方ない」

 淡々とした声が上から落ちてきた。
 狼?狼とは、ユストゥスのことか?あいつがどうした?
 気力を振り絞ってのろのろと顔を上げれば、近衛騎士団の白金の鎧を身に着けた、威風堂々とした兄弟が立っていた。感情の篭らない眼差しをダム壁面に向け、手を付く。

「『固まれ』」

 途端に不完全だったダム壁面が、一気に硬化した。ちょろちょろと聞こえていた水の零れる音も止まる。終わった、良かった……おちんぽっ!早くおちんぽっほしいっ!

 おちんぽを探しに行きたいのに、魔力が尽きた身体はひどく重く、少しも思い通りにならなかった。びゅうびゅう精液を吐き出してくれるおちんぽ、ぐちゅぐちゅにおまんこ掻き回してくれるおちんぽ……っ。
 呆けているだろう私に近衛騎士の兄弟はじいっと視線を向けてきた。

「……、……お前、どこかで会ったか?」
「ぁえ……?」

 脳内でたくさんの陰茎が躍っている私に、そんな質問してもわからないぞ?
 もうこうなったら兄弟でもいいか、と重厚な鎧に包まれた兄弟の下肢を透視出来ないか睨みつけたが、そんな能力、私にはなかった。
 ないなら脱がせばいい。手を伸ばしかけたところで、横から伸びてきた力強い腕が私の鎧を掴み、引き寄せた。ユストゥスかと思って見上げるが、そこにいたのは金のたてがみが眩しいベッカーおじさまで、警戒するように近衛騎士の兄弟を睨みつけていた。

「獣人の奴隷……群青騎士が連れている雑用係か。その兄弟は様子が変だが、お前が世話をするのか?」

 毛を逆立てたまま、ゆっくりとおじさまが頷く。ふわりと脳が痺れるような雄の体臭に、私の身体の雌が疼きを増した。

「おじっさ、んぐっぅ……!」

 邪魔な鎧を脱ぎ捨てて、早く雄の身体にむしゃぶりつきたい。身じろぎする私の身体を全力でおじさまが抱き締める。ぶわりと全身から汗が噴き出ていることに気付いた。
 理性を失ったまま私が暴れれば、獣人であるおじさまでも止められない。はくはくと喘ぎながら疼く身体を宥めるように丸めると、おじさまは私を縦抱きにしたままその場を離れ始めた。

 近衛騎士の兄弟は、フィンリーは、そんな私から興味を失くしたように視線を外し、ツェーザル様に近づく。間近まで迫られても、ツェーザル様はまだ意識を取り戻さない兄弟から目を離そうとしなかった。

「私が遅れたのも原因の一端ではあるが、此度の不始末をどうされるつもりか。ダムを破壊され、破壊した魔物をなぜ追わない」
「そん、な、もの、より、……子たち、が…………すべては家長である私の責任だ。咎は私が負う。今後は……」

 その先の会話は、残念なことに私には聞き取れなかった。

 ベッカーに連れられ、ダムから少し離れたところに止めてあった群青騎士の専用馬車に入ると、そこではすでにランド様と群青騎士の兄弟が奴隷たちとまぐわっていた。

「あ、あー、あ」
 魔法で広がった馬車内の壁に押し付けられるようにして、背後から突き上げられている群青騎士の兄弟。曲がった足は床に着かず、ぐっぽりとアナルでおちんぽを咥え込んでいる。気持ちよさそうだな……。

「っは、ぁっ、あん」
 そしてその手前では掠れた声を漏らしながら、気持ちよさそうに正常位で胎を穿たれ、うっすらとランド様が目を開いた。視線が馬車に入ってきた私たちに向けられる。
 おじさまは苦々しい表情で、ランド様の足を大きく開いて激しく突き上げる、見知らぬ奴隷の肩を叩いた。

<悪いが、変わってくれねえか。俺はその、クンツとは……>
「っん、……っふ、そうか、てめぇ、聞いたことがあるぞ。エリーの専属奴隷で、クンツ・リンデンベルガーとは、出来ないやつがいる、ってな、っふ、あ!」

 喘ぎ声を漏らしながら、びくびくとのけ反ってランド様が達する。むわりと広がる雄の匂いと熟れた雌の芳香に、私は神経が焼き切れそうだった。
 大事な鎧だというのに乱雑に留め金を外していく。視線はおじさまの下半身にくぎ付けだった。

「もぅ、いっぴき、はどこ、ン、行きやがった……っ?エリーも、魔物、追ってっちまうしよ」

 あの狼何だったんだ、とぼやくランド様の媚肉を、その奴隷はねっとりと掻き回して震える感触を楽しんでいるようだった。

「おじ、っさまぁ……っ」

 ユストゥスがいない。どこ行ったのか疑問に思う余裕すらない。私は甘えた声でベッカーおじさまを呼ぶ。立ち上がる気力さえないので、腰回りの鎧だけを外し、インナーを無理やり引きちぎり下半身を露出して、準備が整っていることをアピールし始めた。

「っは、やく!おじさまっおまんこしてっ!」

 蕩けてくぱくぱと卑猥な穴を見せつけながら誘う私に、ベッカーおじさまは小さく唸り声をあげ、視線を彷徨わせながらへんなりと獅子の耳を垂らした。


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