異世界バトルキッチン:最強料理人への道~美少女たちを添えて~

雪見クレープ

文字の大きさ
16 / 24

第16話 エルフと女子力対決

しおりを挟む
 ある日、王城に一報が届く。

 山間の町、ネオタナが料理皇帝ラズフォード・アルカディアの配下によって占領されたという知らせだった。

 ネオタナは、美味しい景色と、おいしい山の幸で知られた平和な町だったが、今はそのすべてが料理皇帝のもとに屈してしまっているという。

「料理皇帝が町を占領……」

 俺は唇を噛み、報告書を見つめた。

 彼の配下にいる料理人たちは、次々に町を制圧し、バトルキッチンに敗れた料理人たちは従うか、料理人の道を捨てるかの二択を迫られるらしい。

「リク、私たちでその町を取り戻そう。料理皇帝に負けるわけにはいかない」

 レイラの力強い声が耳に響く。

 彼女の瞳には、揺るぎない決意が浮かんでいた。

「そうだな。放っておけない。行こう、ネオタナへ」

 俺も力強く頷いた。

 これ以上、料理人たちが無念の涙を流す姿を見たくはない。

 俺たちはいつものメンバーでネオタナへと馬車を走らせた。

 レイラ、イリス、フィーナ、そしてガーネット。

 それぞれ落ち着いているようだが、明らかに全員が緊張を隠せなかった。

 料理皇帝の配下に勝つためには、これまで以上に全力を尽くさなければならない。

「報告にあった配下の女エルフって、なかなか厄介そうだな」

 ガーネットが重い口を開いた。

 イリスが頷き、みんなに確認するように言う。

「町の料理人全員がそのエルフに敗れたと書いてありました。彼女は魔法を使いながら料理を作るとか……」

「料理魔法使いってやつか……」

 口から自然と呟きが漏れる。

「あーっ、前にリクも戦ったことあるよね、料理魔法使い」

 フィーナが思い出したかのように声をかける。

「イリスと買い物に行ったときに戦ったダークエルフ……コーネリアだったか」

 以前戦ったダークエルフのことを思い出す。

 炎の魔法を使い、派手に肉を焼く。

 調理の段階から美しさで人を魅了するかなりの強敵だった。

 次の相手も料理魔法使いのエルフ……。

 俺は拳を握りしめ、やる気を奮い立たせていた。

 ネオタナに着いたとき、町は不気味なほど静かだった。

 まるで活気を失ってしまったかのように、人々は沈んだ表情で通りを歩いている。

「おかしい…この町、以前来たときはもっと賑やかだったはずだ」

 ガーネットが周囲を見渡しながら、眉をひそめた。

 そのとき、遠くから聞こえてくる歓声が耳に入った。

 どうやら中央広場で何かが行われているようだ。

 俺たちは声のする方へ向かい、広場にたどり着く。

 そして、その光景に驚愕した。

 広場にはバトルキッチンの設備が設置され、町の人たちが勝負を見守っている。

 見守っている先には、俺が一度戦ったことのあるダークエルフの料理人、コーネリア・ナイトウィンドがいた。

 しかし、彼女はその場で膝をついて倒れている。

 そして、その前に立っていたのは、美しいピンクブロンドの長髪をなびかせて、冷ややかな表情を浮かべた女エルフだった。

「コーネリアが……負けた?」

 一度戦っただけだが、彼女が実力者だということは、はっきり分かっていた。

「見なさい。これがラズフォード様の教えを受けた者の実力ですわ」

 女エルフは冷酷な声でそう言い、コーネリアに手を差し伸べた。

「契約通り、わたくしの女になりなさい、コーネリア」

 コーネリアはその手を握りたくないとでも言いたげな表情だったが、敗北を認めざるを得なかった。

 彼女の強靭なプライドを打ち砕いた敗北。

 それが目の前で起こっている。

「コーネリア……!」

 俺は思わず前に出た。

「リク!」

 レイラが俺の腕を引いたが、俺はその手を振り払った。

「なんですか、あなた……?」

「俺はリク・アマギ。料理人だ」

 エルフの前に立ち、どっしりと構える。

「まさか、わたくしにバトルキッチンを挑むおつもり?」

 俺は女エルフに挑戦的な視線を向け、それを返事とした。

「わたくしの名はシルヴィア・アースウィンド。料理皇帝ラズフォード様の右腕として、すべての料理人を屈服させる使命を帯びていますわ」

 彼女の瞳は鋭く、人を見下しているようだ。

「そうねぇ、あなた、いい女を連れてるじゃない?」

 こちらの女性陣を品定めするように眺める。

「あまりじろじろ見るなよ」

 レイラたちは気味の悪さにじりっと後ずさる。

 シルヴィアはニヤリと微笑みながら言う。

「バトルキッチンで、もしあなたがわたくしに勝てたなら、この町もコーネリアも自由にしてあげましょう。でも、負ければあなたの女は全て私のものにします」

「なっ……⁉」

 俺がその条件にたじろんでいると……

「その条件でいいわ、リク。町もコーネリアも助けられるならそれが一番よ」

 レイラが条件を飲んだ。

「そうそう、リクが勝てばいいんだよ! 前もあたしのこと助けてくれたじゃん!」

「今のあなたはこの国でも随一と言っていいほどの実力をつけています。自信を持ってください」

 フィーナとイリスも応援してくれる。

「ガーネットは、いいのか?」

「いいさ、君は勝つからね」

「ありがとう、ガーネット。それにみんなも……。みんなのこと、俺が預かる!」

 俺は拳を握りしめ、強く答える。

「その条件でいい。彼女たちも了承してくれた……。よし、勝負だ、シルヴィア!」

「なんて理解のある女たちですこと。絶対にほしいですわ」


彼女の声は柔らかく、しかしその言葉には確かな自信が込められていた。

「……と、その前にテーマを決めないといけませんわね」

「そうだな、テーマは『女性が喜ぶ料理』でどうだ?」

 シルヴィアが口元に手を当て、楽しげに笑う。

「そのテーマ、女であるわたくしが有利でなくって?」

「問題ない。俺は仲間たちにうまい料理を食べてもらいたいってだけだからな」

 彼女の目が一瞬きらりと光った。

 彼女は唇を軽く噛み、視線を再び俺に向けた。

「ふ、ふん、承知いたしましたわ! ちょっとカッコいいことおっしゃったところで、わたくしには勝てませんことよ!」

 ――――――――――

 シルヴィアとのバトルキッチンが始まると、広場の空気が一気に張り詰めた。

 審査員は先ほどのコーネリアの戦いに引き続き、ネオタナ随一のシェフ、オズモンドが務めることになった。

 彼は以前シルヴィアとのバトルキッチンで敗北し、現在は彼女の言いなりになっている。

 しかし、深い皺の刻まれた顔に疲労の色が見えるものの、その目はまだ料理人としての鋭さを失っていないようだった。

「審査員として選ばれた以上、公平に評価する」

 オズモンドは渋い声でそう言い、俺たちふたりを順に見つめた。

「もちろんだ、俺はこの勝負に全力を尽くすだけだ」

 俺は深く頷いた。

 一方、シルヴィアは冷静な表情で、オズモンドを一瞥した。

「わたくしも、公平な審査を求めるだけですわ。ただ、わたくしの料理がいかに優れているかを知らしめるだけ」

 バトルキッチンの宣言もまた先ほどの戦いに引き続き、この町に住んでいる魔法使いの男が務める。

「では、ルールの確認をします。テーマは『女性が喜ぶ料理』。それぞれが一品ずつ料理を作り、シェフ、オズモンドが評価します」

「シルヴィア・アースウィンドが勝てば、リク・アマギが連れている女性たちを得られ、リク・アマギが勝てば、コーネリア・ナイトウィンドとネオタナが解放されます」

「それではバトルキッチン開始!」

 俺は改めてシルヴィアを見つめた。

 彼女の目には冷たい自信が宿っている。

 しかし、俺はここで負けるわけにはいかない。

 仲間たちは絶対に守らなければならない。

「テーマは女性が喜ぶ料理。ここは、得意料理のアレで勝負する」

 俺は持ってきた“黄金の鍋”の前に立ち、すぐに準備を始めた。

 セレスティアルはもちろん、俺が作った各種調味料に、市場で探し回ったスパイスたちも持って来ている。

 一方、シルヴィアも準備を始めていた。

 彼女は材料に、じゃがいも、小麦粉、生クリーム、チーズ、ベーコンなどを選んでいる。

 なかなかカロリーが高そうなものを用意して、なにを作るのだろうか。

 それはそれとして、こちらも調理を始める。

 まずは玄米を炊く。

 安直だが、玄米や雑穀米は白米よりも女性ウケがよい。

 こちらの世界の女性にウケるかはわからないが……。

 次に、黄金の鍋にたっぷりのオリーブオイル、ローリエ、クローブ、黒コショウ、赤唐辛子(スパイスは全てホールのまま(すり潰さないまま))を入れ、火にかける。

 これは油にスパイスの香りを付けるためで、ローリエが変色したら、スパイスを取り除く。

 スパイスは取り除かなくてもいいのだが、食べるとき邪魔になる。

 次はベースとなるみじん切りにした玉ねぎを投入し、炒める。

 はじめは強火で炒めて水気が飛んだら、みじん切りにしたニンニクとショウガ、クミンシードを入れて、弱火にする。

 じっくりと飴色になるまで炒め、玉ねぎの甘みを引き出す。

 セレスティアルと黄金の鍋のおかげで、みじん切りは楽だし、飴色玉ねぎもかなりの時間を短縮して作ることができる。

 次に一口大に切った鶏肉を投入し、炒める。

 鶏肉の表面の色が変わったくらいで、クミンパウダー、コリアンダーパウダー、ターメリック、オレガノ、粉末唐辛子、塩を入れて、全体に絡めるように炒める。

 次第にスパイスの香りが鍋から立ち上り、心を熱くさせる。

 香ばしい香りが漂い、食欲をそそる。

 ――そう、俺が作っているのはカレーだ。

 この世界はスパイスを使った煮込み料理はあるが、カレーのようなスパイスがメインの料理はない。

 だったら、この世界の人たちにカレーが受け入れられるのか……?

 問題ない。

 これは俺の得意料理であり、味には絶対の自信がある。

 鶏肉がスパイスの香りに包まれて焼き色がつくころ、潰したトマトを投入。

 シナモンパウダー、カルダモンパウダー、ナツメグを入れてよく混ぜ、牛乳を入れる。

 スパイスの刺激に、牛乳の甘みが絡み、コクが生まれる。

 ひと煮立ちさせたら、肉に火が通ったことを確認して最終調整。

 カルダモン、クミンパウダー、ナツメグ、粉末唐辛子、“レッドドラゴンペッパー”で味を調節する。

 レッドドラゴンペッパーはこちらの世界に来たばかりのときに使ったスパイスで、ここぞというときに使おうと思っていた。

 あまり煮込みすぎるとせっかくの香りが飛んでしまうので、軽くひと煮立ちさせて完成。

 一方のシルヴィアはじゃがいもを丁寧に茹で、ふかふかに仕上げると、皮をむき始めた。

 本来なら熱くて素手でむくなんて出来ないが、魔法を使っているので、じゃがいもが熱いうちに皮をむける。

 裏ごしも早い。

 元の世界だったら、ぜひ店ほしい人材だ。

 裏ごししたじゃがいもに、小麦粉、塩、オリーブオイルを合わせてこねる。

「なるほど、ニョッキか……!」

 彼女は出来た生地をこねて小さな団子状に形を整える。

 すると、不思議なことにその団子は小さな小判状になり、4本ほどの溝が出来ている。

 ソースと絡みやすくするために、本来ならフォークで跡をつける。

 これがただ手で丸めるうちにニョッキとして理想的な形になっていく。

 彼女の技に夢中になっていると、こちらをちらりと見て、自慢げな顔を見せた。

 そう、魔法ではなく、料理に特化させた“料理魔法”の実力を目の当たりにした。

 次はソースに取り掛かる。

 まずはきのことベーコンを小さめに切る。

「あれは、テオドール王子も使っていたきのこ……」

 シルヴィアの調理をチラチラと眺めていると、目が合ってしまう。

「あら、こちらが気になるのかしら? このきのこは『ルナミスマッシュルーム』ですわ。月のように美しく、味もバターのようにリッチで、かすかな甘みが広がりますわ。クリームソースとの相性も抜群で、濃厚な旨味を加え、料理を引き立てますわあ」

「説明ありがとう……」

「そして、こちらのベーコン。『フォレストオークボア』のベーコンで、その肉は脂身が少なく、健康的でありながら旨味が凝縮されておりますわ。さらに上質な香木の煙で燻製され、自然の香りが豊かに染み込む素晴らしい逸品ですわ」

「どちらもここ、ネオタナの特産品で、この戦いが終わったら、ラズフォード様に献上しますわ」

「お、おう、勉強になったよ……」

 フライパンにバターを溶かし、そこにベーコンときのこをふんだんに入れて炒める。

 きのこの香りが立ち込めると、小麦粉を少量いれてなじませる。

 生クリーム少しずつ入れていく。

 さらに、塩、コショウ、香り高いチーズをたっぷりと削り入れ、クリーミーなソースを作り上げる。

「これで仕上げですわ」

 シルヴィアはニョッキをソースに絡め、最後にもう一度チーズを上からふりかける。

 ベーコン、きのこ、クリーム、チーズの香りが調和し、鼻を突き、まるで食欲を煽るようだ。

 淡いクリーム色が食欲をそそり、チーズが絡み合ったソースがなめらかに光って美しい。

 ニョッキはもちもちとした質感が目で分かる。

 たしかに料理皇帝の右腕を名乗るだけあって完成度の高い料理だ……。

 こちらも皿に玄米とカレーを盛る。

 スパイスの複雑なアロマが鼻腔をくすぐる。

 食欲をそそる香りだったらこちらも負けてはいない。

 ふたりの料理が完成し、オズモンドが審査席に座る。

 彼の前には、俺の『スパイスカレーライス』と、シルヴィアの『ニョッキ クリームソース』が並べられた。

「まずはシルヴィアさんのニョッキからいただこう」

 シルヴィアのニョッキを口に運ぶ。

 続けてきのこ、ベーコン、ソースをしっかりと味わう。

 すると彼の眉が一瞬、かすかに上がる。

 口の中で広がるクリームソースの豊かなコクと、ベーコンの程よい塩気が舌を包み込むのが分かる。

「ふむ、実に濃厚だ。クリームのリッチな味わいに、きのこの香りとベーコンの香ばしさがしっかりとマッチしている。そして、このたっぷりのチーズ……濃厚でありながら、決してしつこくない。これは女性が好む味だ」

「女性の気持ちを知り尽くした、わたくしが作った料理ですもの、当然ですわ」

「ただ食べやすいだけじゃない、しっかり食べたい、リッチなものを食べたい、というそんな気持ちを表現いたしましたわぁ!」

 シルヴィアはすでに勝ち誇った笑みを浮かべながら、自信満々に答えていた。

「お見事でした。では次にリク君の料理を……と、その前にこれはどういった料理なのかね?」

 見たことない料理に躊躇しているようだ。

「こちらはカレーという料理です。スパイスをふんだんに使い、様々な肉や魚、野菜を煮込む料理になります。パンやライスと一緒に食べます」

「今回は鶏肉とトマトをメインにしています」

「なるほど、ありがとう。ではいただく……」

 オズモンドはスプーンを手に取り、カレーを一口食べる。

「ふむこれは……スパイスがとても刺激的だ。しかし、牛乳が入れてあるおかげか、この甘みが絶妙に辛さを抑えてくれているようだ。トマトの酸味とスパイスの香りが食欲をそそる」

「それにライスとの相性も抜群だ。いや、このカレーこそが、ライスに最も合う料理ではないのか……!」

 そこからは評価そっちのけで食べ続ける。

 一言で言えば、彼は完全にカレーの虜だ。

 まるで言葉が追いつかないかのように、次々とスプーンを運んでいく様子に、俺は少し笑みを浮かべた。

 食べ終えたオズモンドはやがて顔を上げ、結論を出す。

「ふたりとも、素晴らしい料理だった。しかし……今回の勝負、リク・アマギ君の勝ちだ」

「よし、よくやったリク君!」

「やったね、リク!」

「さすがだよぉ!」

 みんなも安堵した表情だ。

 町の人たちも料理皇帝から解放され喜んでいる。

「ちょっと待ちなさい!」

 判定に待ったがかかった。

 もちろん、シルヴィア・アースウィンドからだ。

 彼女が勢いよくオズモンドに詰め寄る。

 その動きに、ドレスの裾が優雅に揺れた。

「たしかにその“カレー”という料理は香りもいいし、きっと味良いのでしょう。でも今回のテーマは『女性が喜ぶ料理』ですわ! こんな地味な色をした料理、いくら味が良くても女性ならわたくしの美しい料理を選ぶはずですわ」

 不服を申し立てるシルヴィアに俺から意見する。

「わかった、さっきは食材に関していろいろ説明をしてもらったから、今度は俺からお前に説明する」

「な、なによ……」

 シルヴィアが怪訝そうな顔をする。

「このカレーに使われているスパイスはそれぞれ様々な効能がある。血の巡りを良くし、消化を助け、食欲増進に疲労回復、殺菌作用もある。カレーというのは健康増進料理とも言えるんだ」

「そうか、先ほどからずっと身体が温かい。むしろ汗ばんでいるくらいだ。これなら身体の冷えやすい女性に向いている。それに玄米は白米よりも健康に良いと言われている。つまりリク君の料理は女性の身体を気遣った料理なんだ」

 カレーを食べたオズモンドさんは理解してくれたらしい。

 しかし、シルヴィアは悔しそうにこちらに迫ってくる。

「男のあなたに女のなにがわかるって言うのよ!」

 そう言ってスプーンを取り出し、鍋に残ったカレーを一口食べる。

「な、な、なんですのーぉ! このカレーという料理! 辛い、けど、すぐに次が食べたくなりますの! これはそういった魔法がかかって……」

 彼女の顔が一瞬にして紅潮した。

「魔法じゃない、それこそがカレーの魅力なんだ」

「そ、そんな……」

 敗北を認識し悔しそうな顔をしながらも、無言になり食べ続けるシルヴィア。

 俺は彼女の手を制する。

「おいおい、みんなの分まで食べないでくれよ」

「は、はい……リク様!」

「えっ……?」

「リク様、わたくし、わかりましたわ。わたくしはあなたと出会うために料理の道に進んだに違いありませんわ!」

「「「ええーーっ⁉」」」

 みんなも慌てふためく。

「ちょっと、待ってくれ! なんでそうなる!」

「なんでって、わたくしの心はもうあなたにガッチリと掴まれてしまったからですわ」

 おおう、なんてことだ……。

 仲間のみんなも俺がどう返すのか焦った表情で見守っている。

「確かに、運命的な出会いだったかもしれないが、まずはこのバトルキッチンで勝ったのは俺だ」

「だから君はコーネリアと町の解放をする。そして、今回の結果を料理皇帝に報告しに行かなければならないんじゃないのか?」

 ひとまず面倒そうなので先延ばしだ。

「確かにあなたの言うとおりですわ。それにラズフォード様への義も果たさなければなりませんし」

「わかってくれたか……」

「ふふ、今回は私の負け。でも、覚えておくことです。次はこうはいきませんことよ。おーほほほっ!」

 高笑いをして去っていく、シルヴィア・アースウインド。

 見事なお嬢様笑い……初めて見て少し感動した。

「ふぅ、なんとかなった……」

「改めて、おめでとう、リク」

「見事な勝負だったぞ」

 みんなが俺を囲む。

 そこに解放されたコーネリア・ナイトウィンドがやってくる。

「ありがとう、リク・アマギ。助かった」

「なんてことない、町の解放のついでだ……」

 ちょっと照れ隠しで返す。

「それでもありがとう。お前、いや、あなたには以前負けて料理人のプライドを預けている。そして、今回は我が身自身を助けられた」

「いちいち大袈裟だな」

「だから、その……この私、コーネリア・ナイトウィンドをあなたの従者に加えてほしい!」

「「「ええーーっ」」」

 みんなが驚きの声を響かせる。

 この流れ何度目だ!

「ちょっと考えさせてくれ、コーネリア」

「わかった、時間はあるから任せる。だから帰りの馬車には乗せていってほしい」

「あ、ああ……」

 完全に付いてくる流れだ。

 強力な料理魔法使いが仲間になるのはうれしいが、どんどん大所帯になっていくな……。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

文字変換の勇者 ~ステータス改竄して生き残ります~

カタナヅキ
ファンタジー
高校の受験を間近に迫った少年「霧崎レア」彼は学校の帰宅の最中、車の衝突事故に巻き込まれそうになる。そんな彼を救い出そうと通りがかった4人の高校生が駆けつけるが、唐突に彼等の足元に「魔法陣」が誕生し、謎の光に飲み込まれてしまう。 気付いたときには5人は見知らぬ中世風の城の中に存在し、彼等の目の前には老人の集団が居た。老人達の話によると現在の彼等が存在する場所は「異世界」であり、元の世界に戻るためには自分達に協力し、世界征服を狙う「魔人族」と呼ばれる存在を倒すように協力を願われる。 だが、世界を救う勇者として召喚されたはずの人間には特別な能力が授かっているはずなのだが、伝承では勇者の人数は「4人」のはずであり、1人だけ他の人間と比べると能力が低かったレアは召喚に巻き込まれた一般人だと判断されて城から追放されてしまう―― ――しかし、追い出されたレアの持っていた能力こそが彼等を上回る性能を誇り、彼は自分の力を利用してステータスを改竄し、名前を変化させる事で物体を変化させ、空想上の武器や物語のキャラクターを作り出せる事に気付く。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~

松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。 異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。 「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。 だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。 牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。 やがて彼は知らされる。 その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。 金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、 戦闘より掃除が多い異世界ライフ。 ──これは、汚れと戦いながら世界を救う、 笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

初期スキルが便利すぎて異世界生活が楽しすぎる!

霜月雹花
ファンタジー
 神の悪戯により死んでしまった主人公は、別の神の手により3つの便利なスキルを貰い異世界に転生する事になった。転生し、普通の人生を歩む筈が、又しても神の悪戯によってトラブルが起こり目が覚めると異世界で10歳の〝家無し名無し〟の状態になっていた。転生を勧めてくれた神からの手紙に代償として、希少な力を受け取った。  神によって人生を狂わされた主人公は、異世界で便利なスキルを使って生きて行くそんな物語。 書籍8巻11月24日発売します。 漫画版2巻まで発売中。

処理中です...