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本編
11.矛盾
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あの可愛い白馬が誰かに殺されたとしたら許せない。
もし何もかもが仕組まれた結果なら、ルーザリア嬢の接近や二人の熱愛さえもが『真実の愛がもたらしたバカな行動』ではなく『罠に嵌ったアホな結果』なわけだ。
それはそれで、クラウン殿下は私が思っている以上にダメな王子だと分かってしまい……国家のお荷物感がさらに増す。
ん?
ちょっと待って……。
もしかして、私が殿下を見放すように仕向けられているのでは?
そこに思い至って肝が冷える。
これは確かめないわけにはいかない。
「クラウン殿下は最近、公務を減らしていると言うのは本当?」
「いや。減らしただなんて聞いてないよ」
「でも、最近学園に毎日登校されてるって話は?」
「まさか、毎日来られたら俺の気が休まらな……」
ヴィクターはハッとして口を手で覆った。
周囲には聞こえなかったようで私もホッとする。
「……ちなみに昨日は?」
「えーっと、隣国の大使と会談だったな。まだ公にはできない案件だけど……」
「昨日中庭で、ルーザリア嬢にひざ枕してもらっていたって、私の友人が目撃して教えてくれたの……」
私たちは無言で見詰めあった。
「おかしいですわね」
「……オカシイネ」
幼なじみだからこそかもしれないけど、何か違和感はあった。
だけどヴィクターが教えてくれないなら、今ここでそこに時間を使うべきではない。
今はこの、こんがらがった話を元に戻すほうが先だ。
私の目配せでヴィクターは何をすれば良いのか察したらしく、彼は素早くフールに向き直り相手が身構える前に質問した。
「フール、キミはチャボットを見て、どう思った?」
「……どうって?」
「だから……大きいとか、走るのが早いとか、賢いとか、色々あると思うんだけどな」
「えーと……」
フールはヴィクターの問いにしばし考える。
「大きくは……なりましたけど、まだそれほどではないかと……」
「うん、ほかには?」
「賢い? 確かに人の言葉をまったく理解してない訳じゃありませんけど、なにぶん忘れっぽいですよね?」
「忘れっぽい?」
「あ、いや、その……悪口とかではなくですね、やっぱり所詮はニワトリですから、そこは仕方がないと思うんです!」
クラウン殿下がブンッと振り返る。
「ニワトリだと!?」
「はい!」
低重音で叫ばれ骨髄反射で答えたフールは真っ青だ。
しかし彼は自分の失態が何であるか分かっていない。
オロオロと挙動不審で立ち尽くしている。
「お前は何の話をしている? チャボットの話だぞ!」
「は、はい! 殿下のチャボット様は、ニワトリとは別物であります! 同列に語るなど……申し訳ありませんでした」
どう聞いても彼はチャボットがジドリーだと信じているらしい。
周囲を見回せば、さっきから話の内容がチグハグだと首を傾げる高位貴族の令息がチラホラ確認できた。
彼らはチャボットが何であるか分かっていなくとも、話の内容からジドリーの話としか思えないから混乱しているのだろう。
うーんと唸る私の隣で、ヴィクターが後ろを向いて肩を揺らしている。
これはどう決着をつけるべきか?
迷うところである。
もし何もかもが仕組まれた結果なら、ルーザリア嬢の接近や二人の熱愛さえもが『真実の愛がもたらしたバカな行動』ではなく『罠に嵌ったアホな結果』なわけだ。
それはそれで、クラウン殿下は私が思っている以上にダメな王子だと分かってしまい……国家のお荷物感がさらに増す。
ん?
ちょっと待って……。
もしかして、私が殿下を見放すように仕向けられているのでは?
そこに思い至って肝が冷える。
これは確かめないわけにはいかない。
「クラウン殿下は最近、公務を減らしていると言うのは本当?」
「いや。減らしただなんて聞いてないよ」
「でも、最近学園に毎日登校されてるって話は?」
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ヴィクターはハッとして口を手で覆った。
周囲には聞こえなかったようで私もホッとする。
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「昨日中庭で、ルーザリア嬢にひざ枕してもらっていたって、私の友人が目撃して教えてくれたの……」
私たちは無言で見詰めあった。
「おかしいですわね」
「……オカシイネ」
幼なじみだからこそかもしれないけど、何か違和感はあった。
だけどヴィクターが教えてくれないなら、今ここでそこに時間を使うべきではない。
今はこの、こんがらがった話を元に戻すほうが先だ。
私の目配せでヴィクターは何をすれば良いのか察したらしく、彼は素早くフールに向き直り相手が身構える前に質問した。
「フール、キミはチャボットを見て、どう思った?」
「……どうって?」
「だから……大きいとか、走るのが早いとか、賢いとか、色々あると思うんだけどな」
「えーと……」
フールはヴィクターの問いにしばし考える。
「大きくは……なりましたけど、まだそれほどではないかと……」
「うん、ほかには?」
「賢い? 確かに人の言葉をまったく理解してない訳じゃありませんけど、なにぶん忘れっぽいですよね?」
「忘れっぽい?」
「あ、いや、その……悪口とかではなくですね、やっぱり所詮はニワトリですから、そこは仕方がないと思うんです!」
クラウン殿下がブンッと振り返る。
「ニワトリだと!?」
「はい!」
低重音で叫ばれ骨髄反射で答えたフールは真っ青だ。
しかし彼は自分の失態が何であるか分かっていない。
オロオロと挙動不審で立ち尽くしている。
「お前は何の話をしている? チャボットの話だぞ!」
「は、はい! 殿下のチャボット様は、ニワトリとは別物であります! 同列に語るなど……申し訳ありませんでした」
どう聞いても彼はチャボットがジドリーだと信じているらしい。
周囲を見回せば、さっきから話の内容がチグハグだと首を傾げる高位貴族の令息がチラホラ確認できた。
彼らはチャボットが何であるか分かっていなくとも、話の内容からジドリーの話としか思えないから混乱しているのだろう。
うーんと唸る私の隣で、ヴィクターが後ろを向いて肩を揺らしている。
これはどう決着をつけるべきか?
迷うところである。
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