【完結】毒殺疑惑で断罪されるのはゴメンですが婚約破棄は即決でOKです

早奈恵

文字の大きさ
31 / 42
舞台裏

不思議な力〈ルーザリアside〉

しおりを挟む
 おっさん貴族の話がまったく分からなかったかって言うとそうでもない。

 要は『殿下を騙したんだから、罪を認めて裁きを受けろ』みたいな事を言ってるんだと思う。

 でもそれは違う。

 私は彼らが何をしたいのか、何をしているのか、薄々分かってたけど聞かなかったってだけ。

 彼らも何も言ってこなかった。

 それがすべてなの。

 だから堂々と言える。



「私、何も知らなかったんです。フールがグレイシア様を見たって言うし、私は毒なんて知らないし……だから、私じゃないって分かって欲しくて……」

「そんな言い訳が通用すると思っているのかね?」

「で、でも……何も聞かされてません。本当なんです。──信じてくださいクラウン様!」



 おじさん貴族に必死に言っても手応えは無く、最後は一歩後ろで聞いていた殿下に懇願した。

 そしたらクラウン殿下がピクリと動く。



 あ……もしかして、もう暗示が効いてる?



 私のたった一つの武器。

 それは代々女系で受け継がれて来た暗示の能力。

 相手の目を見て強く念じるだけの魔法とは違う特殊な力。

 私の思い通りに動かせるほどの力は無いけど、相手が信じたい事を真実だと思わせる事は簡単だ。

 ほかにも好印象や悪印象を持ったなら、それを増幅させて極端な感情を持たせる事ができる。

 好きなものを嫌いにとか反対の感情にはできないけど、第一印象さえ良かったら良いの。

 見た目がかわいい私だもの、好きにさせるのは難しくないわ。

 好きになればお願い聞いてもらえるし、嫌いになって欲しい人の悪口言えばイメージ悪くなってくれる。

 すごく便利な力で、魔力感知に引っかからない優れ物。

 持続時間はかなり長いから問題ないけど、心や体に強い衝撃や刺激があると解けてしまうのと、かける時に瞳が少し光っちゃうのが欠点かな?

 今まで対象人物がそんな強い衝撃や刺激を受けたことなど無かったから、その後どうなるのか知らない。

 だからクラウン殿下が今、どんな事になってるかぜんぜん分からないのが不安要素だ。



「クラウン様。私が騙されたせいでごめんなさい……私、こんな事になるなんて……本当にごめんなさい……」



 根性で涙を絞り出し、渾身の演技で許しを乞う。

 これが運命の分かれ道だと思ったら、良い感じに震えが来た。



 どうかこれで何とかなりますように!



「もう、許してやってくれ……。やっぱりルーザリアは騙されただけなんだ。分かっただろう?」

「あぁ、クラウン様……」



 クラウン殿下はもう一度私をしっかり抱きしめた。

 彼の腕の中でやっと少し安心して、詰めていた息を再開できた。



「殿下……信じてくれてありがとうございます。私嬉しい……」

「あ、おい、ルーザリア! ──誰か、医者を呼べ!」



 あぁ、これで私は助かるわ。

 良かった……。

 私は息も忘れるほどの極度の緊張が解け、素晴らしいタイミングで意識を飛ばす事に成功した。 
しおりを挟む
感想 18

あなたにおすすめの小説

勝手にサインしろと仰いましたので、廃嫡書類に国璽を押して差し上げました

鷹 綾
恋愛
「確認? 面倒だ。適当にサインして国璽を押しておけ」 そう言ったのは、王太子アレス。 そう言われたのは、公爵令嬢レイナ・アルヴェルト。 外交も財政も軍備も―― すべてを裏で処理してきたのは彼女だった。 けれど功績はすべて王太子のもの。 感謝も敬意も、ただの一度もない。 そして迎えた舞踏会の夜。 「便利だったが、飾りには向かん」 公開婚約破棄。 それならば、とレイナは微笑む。 「では業務も終了でよろしいですね?」 王太子が望んだ通り、 彼女は“確認”をやめた。 保証を外し、責任を返し、 そして最後に―― 「ご確認を」と差し出した書類に、 彼は何も読まずに署名した。 国は契約で成り立っている。 確認しない者に、王の資格はない。 働きたくない公爵令嬢と、 責任を理解しなかった王太子。 静かな契約ざまぁ劇、開幕。 ---

転生令嬢はのんびりしたい!〜その愛はお断りします〜

咲宮
恋愛
私はオルティアナ公爵家に生まれた長女、アイシアと申します。 実は前世持ちでいわゆる転生令嬢なんです。前世でもかなりいいところのお嬢様でした。今回でもお嬢様、これまたいいところの!前世はなんだかんだ忙しかったので、今回はのんびりライフを楽しもう!…そう思っていたのに。 どうして貴方まで同じ世界に転生してるの? しかも王子ってどういうこと!? お願いだから私ののんびりライフを邪魔しないで! その愛はお断りしますから! ※更新が不定期です。 ※誤字脱字の指摘や感想、よろしければお願いします。 ※完結から結構経ちましたが、番外編を始めます!

悪役令嬢に仕立て上げたいのならば、悪役令嬢になってあげましょう。ただし。

三谷朱花
恋愛
私、クリスティアーヌは、ゼビア王国の皇太子の婚約者だ。だけど、学院の卒業を祝うべきパーティーで、婚約者であるファビアンに悪事を突き付けられることになった。その横にはおびえた様子でファビアンに縋り付き私を見る男爵令嬢ノエリアがいる。うつむきわなわな震える私は、顔を二人に向けた。悪役令嬢になるために。

悪役令嬢に転生しましたが、行いを変えるつもりはありません

れぐまき
恋愛
公爵令嬢セシリアは皇太子との婚約発表舞踏会で、とある男爵令嬢を見かけたことをきっかけに、自分が『宝石の絆』という乙女ゲームのライバルキャラであることを知る。 「…私、間違ってませんわね」 曲がったことが大嫌いなオーバースペック公爵令嬢が自分の信念を貫き通す話 …だったはずが最近はどこか天然の主人公と勘違い王子のすれ違い(勘違い)恋愛話になってきている… 5/13 ちょっとお話が長くなってきたので一旦全話非公開にして纏めたり加筆したりと大幅に修正していきます 5/22 修正完了しました。明日から通常更新に戻ります 9/21 完結しました また気が向いたら番外編として二人のその後をアップしていきたいと思います

【完結】悪役令嬢は婚約者を差し上げたい

三谷朱花
恋愛
アリス・デッセ侯爵令嬢と婚約者であるハース・マーヴィン侯爵令息の出会いは最悪だった。 そして、学園の食堂で、アリスは、「ハース様を解放して欲しい」というメルル・アーディン侯爵令嬢の言葉に、頷こうとした。

断罪される前に市井で暮らそうとした悪役令嬢は幸せに酔いしれる

葉柚
恋愛
侯爵令嬢であるアマリアは、男爵家の養女であるアンナライラに婚約者のユースフェリア王子を盗られそうになる。 アンナライラに呪いをかけたのはアマリアだと言いアマリアを追い詰める。 アマリアは断罪される前に市井に溶け込み侯爵令嬢ではなく一市民として生きようとする。 市井ではどこかの王子が呪いにより猫になってしまったという噂がまことしやかに流れており……。

真実の愛とやらの結末を見せてほしい~婚約破棄された私は、愚か者たちの行く末を観察する~

キョウキョウ
恋愛
私は、イステリッジ家のエルミリア。ある日、貴族の集まる公の場で婚約を破棄された。 真実の愛とやらが存在すると言い出して、その相手は私ではないと告げる王太子。冗談なんかではなく、本気の目で。 他にも婚約を破棄する理由があると言い出して、王太子が愛している男爵令嬢をいじめたという罪を私に着せようとしてきた。そんなこと、していないのに。冤罪である。 聞くに堪えないような侮辱を受けた私は、それを理由に実家であるイステリッジ公爵家と一緒に王家を見限ることにしました。 その後、何の関係もなくなった王太子から私の元に沢山の手紙が送られてきました。しつこく、何度も。でも私は、愚かな王子と関わり合いになりたくありません。でも、興味はあります。真実の愛とやらは、どんなものなのか。 今後は遠く離れた別の国から、彼らの様子と行く末を眺めて楽しもうと思います。 そちらがどれだけ困ろうが、知ったことではありません。運命のお相手だという女性と存分に仲良くして、真実の愛の結末を、ぜひ私に見せてほしい。 ※本作品は、少し前に連載していた試作の完成版です。大まかな展開は、ほぼ変わりません。加筆修正して、新たに連載します。 ※カクヨムにも掲載中の作品です。

婚約破棄された令嬢は、幸せになると決めました~追放先で出会った冷徹公爵が、なぜか溺愛してくる件~

sika
恋愛
名家の令嬢・アイリスは、婚約者の王太子から「平凡すぎる」と婚約破棄を突きつけられる。全てを奪われ、家からも冷たく追放された彼女がたどり着いたのは、戦場帰りの冷徹公爵・レオンの領地だった。誰にも期待しないようにしていたアイリスだったが、無愛想な彼の優しさに少しずつ心を開いていく。 やがて、笑顔を取り戻した彼女の前に、あの王太子が後悔と共に現れて——。 「すまない、戻ってきてくれ」 「もう、あなたの令嬢ではありません」 ざまぁと溺愛が交錯する、幸福への再生ストーリー。

処理中です...