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舞台裏
依頼完了〈フールside〉
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「……ベイト殿下です」
「えっ! ……ベイト殿下って……第二王子? 嘘……」
「本当です。だから僕、毒のことやグレイシア様が犯人と言うのも信じたんです」
出てきたのが大物過ぎてパニクってやがる。
ほら、時間ないんだから早く正気に戻ってくれ。
「ルーザリア様……僕のこと信じて……くれないんですか?」
「え? うぅうん。信じる。大丈夫信じるわよ?」
我に返ってそう言うと俺の手を握った。
「……その事、まだ誰にも言ってなかったんでしょう?」
「はい。多分これ言ったら殺されてしまいそうで……怖くて言えなかったんです。でも、ルーザリア様なら信用できるから……」
「教えてくれてありがとう。あなたの事、絶対助けるからね?」
「ありがとうございます。絶対ルーザリア様にはこれを伝えなきゃって思って……だからもう良いんです」
「クラウン殿下なら、王妃殿下に言って何とかしてもらえる。ベイト殿下や側妃様の耳に入らないようにしてもらえるわよ。だからお願い、もう少し頑張ってちょうだい」
「……クラウン殿下と幸せになってください。僕はもう……」
「ダメよフール! 私が本当に愛してるのはあなただって……分かっているでしょう?」
「ルーザリア様……」
チョロいな。
そう思ってここで終了しようと思ったが……気が変わった。
王妃殿下の諜報員が見張ってるのは知ってたが、それとは別に面白いのが混じってる。
何だってクラウン殿下がこんなの見に来てるんだか知らないが、あれはどう見ても恋人の浮気現場に居合わせた間抜けな寝取られ男の顔だ。
仕事とはいえ体張って痛い思いもしてるし、ここはちょこっと揶揄っても良いだろう。
俺は迷わず演技を続行した。
「フール、あなたには生きていてもらいたいの。じゃないと私……」
「ルーザリア様……そこまで僕のことを?」
「そうよ。私、あなたが居てくれなくては何にもできないじゃない。これまで通り、私の側にいて欲しいの」
「僕……嬉しいです」
「私、あなたが好きなの……愛してるわ」
食い入るように見つめてくる、その瞳が怪しく光った。
妙に嬉しそうな笑顔が気に触る。
うぜぇ。
これで暗示に掛かると思ったんだろうな。
この先も俺を便利屋みたいに使いたいだけだろうけど、そうはいかない。
もうお遊びはお終いだ。
悪いけどお前の魔眼──今まで掛かったフリした事もあるけど……実は俺、効かない体質なんだよ。
俺は殿下が見てるのをわざわざ確認した。
最後の嫌がらせで、一番効果的に見える角度からルーザリアの唇を奪ってやる。
「んっ……んんっ……」
深い口付けが初めてだった彼女はびっくりしてたけど、そんなのは知ったこっちゃない。
俺は構わず続け、何度も角度を変えて繰り返す。
薄目を開けたら、視界の端でクラウン殿下がもの凄い形相で睨んでて笑いそうになって堪えるのが大変だった。
飽きたから解放すると足腰立たずフラフラ。
うっとりした目で物欲しそうにされても困る。
俺、お前みたいな節操なし、一番嫌いなタイプなんだ。
涙目で足早に去っていく殿下の後ろ姿は爆笑モノ。
もう俺は大満足。
体の痛みも和らいだ気がした。
さてさて、これでもうこんなところに用はない。
今夜あたりズラかる事に決め、俺はルーザリアを丁重に追い返した。
「えっ! ……ベイト殿下って……第二王子? 嘘……」
「本当です。だから僕、毒のことやグレイシア様が犯人と言うのも信じたんです」
出てきたのが大物過ぎてパニクってやがる。
ほら、時間ないんだから早く正気に戻ってくれ。
「ルーザリア様……僕のこと信じて……くれないんですか?」
「え? うぅうん。信じる。大丈夫信じるわよ?」
我に返ってそう言うと俺の手を握った。
「……その事、まだ誰にも言ってなかったんでしょう?」
「はい。多分これ言ったら殺されてしまいそうで……怖くて言えなかったんです。でも、ルーザリア様なら信用できるから……」
「教えてくれてありがとう。あなたの事、絶対助けるからね?」
「ありがとうございます。絶対ルーザリア様にはこれを伝えなきゃって思って……だからもう良いんです」
「クラウン殿下なら、王妃殿下に言って何とかしてもらえる。ベイト殿下や側妃様の耳に入らないようにしてもらえるわよ。だからお願い、もう少し頑張ってちょうだい」
「……クラウン殿下と幸せになってください。僕はもう……」
「ダメよフール! 私が本当に愛してるのはあなただって……分かっているでしょう?」
「ルーザリア様……」
チョロいな。
そう思ってここで終了しようと思ったが……気が変わった。
王妃殿下の諜報員が見張ってるのは知ってたが、それとは別に面白いのが混じってる。
何だってクラウン殿下がこんなの見に来てるんだか知らないが、あれはどう見ても恋人の浮気現場に居合わせた間抜けな寝取られ男の顔だ。
仕事とはいえ体張って痛い思いもしてるし、ここはちょこっと揶揄っても良いだろう。
俺は迷わず演技を続行した。
「フール、あなたには生きていてもらいたいの。じゃないと私……」
「ルーザリア様……そこまで僕のことを?」
「そうよ。私、あなたが居てくれなくては何にもできないじゃない。これまで通り、私の側にいて欲しいの」
「僕……嬉しいです」
「私、あなたが好きなの……愛してるわ」
食い入るように見つめてくる、その瞳が怪しく光った。
妙に嬉しそうな笑顔が気に触る。
うぜぇ。
これで暗示に掛かると思ったんだろうな。
この先も俺を便利屋みたいに使いたいだけだろうけど、そうはいかない。
もうお遊びはお終いだ。
悪いけどお前の魔眼──今まで掛かったフリした事もあるけど……実は俺、効かない体質なんだよ。
俺は殿下が見てるのをわざわざ確認した。
最後の嫌がらせで、一番効果的に見える角度からルーザリアの唇を奪ってやる。
「んっ……んんっ……」
深い口付けが初めてだった彼女はびっくりしてたけど、そんなのは知ったこっちゃない。
俺は構わず続け、何度も角度を変えて繰り返す。
薄目を開けたら、視界の端でクラウン殿下がもの凄い形相で睨んでて笑いそうになって堪えるのが大変だった。
飽きたから解放すると足腰立たずフラフラ。
うっとりした目で物欲しそうにされても困る。
俺、お前みたいな節操なし、一番嫌いなタイプなんだ。
涙目で足早に去っていく殿下の後ろ姿は爆笑モノ。
もう俺は大満足。
体の痛みも和らいだ気がした。
さてさて、これでもうこんなところに用はない。
今夜あたりズラかる事に決め、俺はルーザリアを丁重に追い返した。
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