42 / 176
第1章 偽りの騎士
第8話 緊急速報 2
しおりを挟む
アザレアの説明は、思わず耳を疑ってしまうものだった。
「端的に言うと、日進月歩の復興が進んでおります」
「……どういう意味だ?」
アデルの村を出汁に使うのは少々気が引けるが背に腹は代えられない。そう思って話を切り出したのに、予想外の単語が返って来てびっくりする。
日進月歩の復興って、何ですか。その単語は科学技術とか、医療技術とか、そういう日夜研究を続けているものに使われるんじゃなかろうか。復興は、言っちゃ悪いが復興であって発展ではない。生活できるように環境を整えるだけのはずなのだが、どうやら、そんな俺の考えの斜め上をいっているらしい。
「最後にご覧になられた時はまだ木造建築が並ぶただの村でしたが、今や街と呼んで良いレベルです」
木造の家々を建ててから数日で、何を馬鹿な。そう突っ込もうとしたけど、こいつらは1軒1分のペースで家を建立した猛者だったな。でもそもそもの話、何をもって村と街を区別するつもりなのか。現実世界なら確か人口で変わるらしいけど、たぶんそういう意味じゃないだろうし。こんな細かいことを、と思いながらも状況を聞こうとした時、アザレアの目がキラリと光った気がした。
「と言いますのも、僕の力は魔王様から授かったものですから。文明レベルでの日進月歩は当たり前ですよ」
「ぶ……文明? それはもう復興とは言わないんじゃ?」
「いいえ、あくまでも復興です。少々アレンジが加わっていますが」
文明って言われても咄嗟にはピンとこないが、そうだな、もしかして石器時代から蒸気機関車が走る時代にでも一足飛びに進化したのだろうか。それはないな。一足飛びというか、もう何千年単位でのタイムスリップレベルの話だし。
そんな冗談は置いておいて、とにかく、そんな感じの技術革新でも行っているのだろう。お願いしたのは復興なのにね。
「そうか……アレンジって、いい言葉だな」
「はい。あと一か月もあればロケットすら飛ばせるでしょう」
「いや、それはおかしい」
それこそ、石器時代から現代まで飛んだレベルの話じゃないか。この世界には魔法があるんだぞ。科学技術なんて発達していないんじゃないか。待てよ、首都に行けばそれなりの技術があるのだろうか。うぅん、わからない。もしかしたらあるのかもしれないけど、少なくとも前のアデルの村から察するに、余り科学技術は発達していなさそうな気はする。だからさ、街と呼べる外観になったのだとしても、ロケットとなると、また一段と文明レベルは跳ね上がるのは確実だ。
なんて、余計な思考を働かせながらこれは好機と意気込む。アザレアならば何かしらやらかしてくれて、おっと、失礼。何か凄いことをしでかすと思っていたが、まさかロケットという単語が飛び出すとは。これを利用しない手はない。この追い風、絶対にものにしてくれる。
「そんなに凄いなら見てみたいな」
「我が君、御自愛ください!」
「いけません、魔王様!」
余程駄目だと思っているのだろう。またまた強く止められた訳だが、まぁ、ここまでは想定内だ。問題はここから。ウロボロスたちが絶対に頷いてくれる秘策を持って、現状を打開しにいこうじゃないか。
「でもなぁ……ウロボロスだって、いつまでもこのままじゃいられないってわかっているだろう?」
「現在も調査中です。せめて絶対の安全が保障されるまでお待ちください。宜しければ、その間にご子息を作りますか?」
全力でウロボロスから目を背けながら、これからの提案をする上で絶対に欠かせない3つの条件を再確認する。
1つ、ウロボロスと一緒に出かけること。ウロボロスが皆から得ている信頼は絶対で、俺も同様に信じている。あらゆる危険を察知して防いでくれるだろう。
2つ、アデルの村限定として出発すること。特にこれといった特徴のない普通の村人たちが過ごしているはずの所だ。未知の土地よりは情報を得ている分、幾分か安全である。
そして3つ目。これが一番の肝で、その有効性を証明するのに時間がかかってしまった訳だが、とりあえず1つ目から順番にクリアしていこう。
「なぁ、ウロボロス。2人きりでアデルの村へ行ってみないか?」
「2人……きりで……そ、それはつまり、デートということですか、我が君っ!?」
想定通り、食いついた。知らない場所へ行くのではなく、アデルの村ならある程度は安全だとウロボロスもわかっているのもあって、この反応なのだろう。しかも勝手にデートと解釈してくれて、何もかも上手くいっている。ただ、ここまでで済むのならあの現象の次の日、何なら当日でも出発できただろう。
「お待ちください、魔王様。如何にアデルの村へウロボロスと共に行くのだとしても、絶対の安全は保障されていないのですよ?」
「そうだ、確認がある。ここにいれば安全、そう2人は主張しているだろ?」
そもそもの話から始めよう。まずは、絶対の安全なんてそもそも保障されているはずがないというところから。
「端的に言うと、日進月歩の復興が進んでおります」
「……どういう意味だ?」
アデルの村を出汁に使うのは少々気が引けるが背に腹は代えられない。そう思って話を切り出したのに、予想外の単語が返って来てびっくりする。
日進月歩の復興って、何ですか。その単語は科学技術とか、医療技術とか、そういう日夜研究を続けているものに使われるんじゃなかろうか。復興は、言っちゃ悪いが復興であって発展ではない。生活できるように環境を整えるだけのはずなのだが、どうやら、そんな俺の考えの斜め上をいっているらしい。
「最後にご覧になられた時はまだ木造建築が並ぶただの村でしたが、今や街と呼んで良いレベルです」
木造の家々を建ててから数日で、何を馬鹿な。そう突っ込もうとしたけど、こいつらは1軒1分のペースで家を建立した猛者だったな。でもそもそもの話、何をもって村と街を区別するつもりなのか。現実世界なら確か人口で変わるらしいけど、たぶんそういう意味じゃないだろうし。こんな細かいことを、と思いながらも状況を聞こうとした時、アザレアの目がキラリと光った気がした。
「と言いますのも、僕の力は魔王様から授かったものですから。文明レベルでの日進月歩は当たり前ですよ」
「ぶ……文明? それはもう復興とは言わないんじゃ?」
「いいえ、あくまでも復興です。少々アレンジが加わっていますが」
文明って言われても咄嗟にはピンとこないが、そうだな、もしかして石器時代から蒸気機関車が走る時代にでも一足飛びに進化したのだろうか。それはないな。一足飛びというか、もう何千年単位でのタイムスリップレベルの話だし。
そんな冗談は置いておいて、とにかく、そんな感じの技術革新でも行っているのだろう。お願いしたのは復興なのにね。
「そうか……アレンジって、いい言葉だな」
「はい。あと一か月もあればロケットすら飛ばせるでしょう」
「いや、それはおかしい」
それこそ、石器時代から現代まで飛んだレベルの話じゃないか。この世界には魔法があるんだぞ。科学技術なんて発達していないんじゃないか。待てよ、首都に行けばそれなりの技術があるのだろうか。うぅん、わからない。もしかしたらあるのかもしれないけど、少なくとも前のアデルの村から察するに、余り科学技術は発達していなさそうな気はする。だからさ、街と呼べる外観になったのだとしても、ロケットとなると、また一段と文明レベルは跳ね上がるのは確実だ。
なんて、余計な思考を働かせながらこれは好機と意気込む。アザレアならば何かしらやらかしてくれて、おっと、失礼。何か凄いことをしでかすと思っていたが、まさかロケットという単語が飛び出すとは。これを利用しない手はない。この追い風、絶対にものにしてくれる。
「そんなに凄いなら見てみたいな」
「我が君、御自愛ください!」
「いけません、魔王様!」
余程駄目だと思っているのだろう。またまた強く止められた訳だが、まぁ、ここまでは想定内だ。問題はここから。ウロボロスたちが絶対に頷いてくれる秘策を持って、現状を打開しにいこうじゃないか。
「でもなぁ……ウロボロスだって、いつまでもこのままじゃいられないってわかっているだろう?」
「現在も調査中です。せめて絶対の安全が保障されるまでお待ちください。宜しければ、その間にご子息を作りますか?」
全力でウロボロスから目を背けながら、これからの提案をする上で絶対に欠かせない3つの条件を再確認する。
1つ、ウロボロスと一緒に出かけること。ウロボロスが皆から得ている信頼は絶対で、俺も同様に信じている。あらゆる危険を察知して防いでくれるだろう。
2つ、アデルの村限定として出発すること。特にこれといった特徴のない普通の村人たちが過ごしているはずの所だ。未知の土地よりは情報を得ている分、幾分か安全である。
そして3つ目。これが一番の肝で、その有効性を証明するのに時間がかかってしまった訳だが、とりあえず1つ目から順番にクリアしていこう。
「なぁ、ウロボロス。2人きりでアデルの村へ行ってみないか?」
「2人……きりで……そ、それはつまり、デートということですか、我が君っ!?」
想定通り、食いついた。知らない場所へ行くのではなく、アデルの村ならある程度は安全だとウロボロスもわかっているのもあって、この反応なのだろう。しかも勝手にデートと解釈してくれて、何もかも上手くいっている。ただ、ここまでで済むのならあの現象の次の日、何なら当日でも出発できただろう。
「お待ちください、魔王様。如何にアデルの村へウロボロスと共に行くのだとしても、絶対の安全は保障されていないのですよ?」
「そうだ、確認がある。ここにいれば安全、そう2人は主張しているだろ?」
そもそもの話から始めよう。まずは、絶対の安全なんてそもそも保障されているはずがないというところから。
0
あなたにおすすめの小説
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
教養が足りない、ですって
たくわん
恋愛
侯爵令嬢エリーゼは、公爵家の長男アレクシスとの婚約披露宴で突然婚約破棄される。理由は「教養が足りず、公爵夫人として恥ずかしい」。社交界の人々の嘲笑の中、エリーゼは静かに会場を去る。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。
ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。
彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。
「誰も、お前なんか必要としていない」
最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。
だけどそれも、意味のないことだったのだ。
彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。
なぜ時が戻ったのかは分からない。
それでも、ひとつだけ確かなことがある。
あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。
私は、私の生きたいように生きます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる