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第2章 暁の竜神
第7話 紅竜同盟について情報収集 3
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大体、何ですかって、何だよ。コーヒーはコーヒーじゃないか。これが墨汁にでも見えるのか。それとも、まさか銘柄でも聞こうと言うのか。安心しろ、お前の抱える問題は銘柄以前の話だ。
そんなこちらの事情など知る由も無い。更に根が真面目なアデルは目を白黒させ、答えに詰まる。
「こんなにもしっかりと酸味、渋味を豆から抽出したこの味わいを、我が君は美味しいと評価しました! 一体何を仕込んだのですか!? それとも何か淹れ方にでも秘訣が!?」
「そ、そんなことを言われても……。うぅ、ルーチェ。そんなにいつもと違う?」
困った顔でアデルは助けを求めるも、ルーチェは少し悩んで見せた後、明らかに悪い笑みを浮かべた。おい、やめろよ。また爆弾を投下するのは駄目だぞ。死ぬからな。終いにはお前らの命の恩人が死んじゃうからな。その辺、きちんとわかった上で答えるんだぞ。
「あー……確かに、いつもより少し味が濃いかも。ひょっとして……魔王様に気に入られようと、気合い入れた?」
「なっ! る、ルーチェ、何を言って――」
「――聞き捨てなりません! その話、詳しく教えなさい!」
つくづく期待を裏切らない奴だよ、お前は。くそ、止めるべきだったと後悔したが、もう遅い。ウロボロスの暴走スイッチは綺麗に押し込められていた。きっと深々と陥没してしまって、もう元には戻らないかもしれない。それくらい苛烈に詰め寄っている。
「え、えっと……うぅ、ルーチェ! 何てことを言うの!?」
「ほら、よく言うじゃない? 愛情は最高の調味料、隠し切れない隠し味って」
「か、隠し切れない……愛情……!?」
こいつは、アデルのことすら餌にしてまで俺をからかうのか。お前の血は何色だ。
こうなったら戦闘は避けられないと思うべきか。防御魔法の詠唱を終えて、対象をアデルにセットしておく。無いとは思うが、念のために、な。ルーチェは自分でどうにかしやがれ。
いいように弄ばれたウロボロスはワナワナと震えながら、ぐるりと俺の方を向いた。そして目にも止まらぬ速さで俺のカップを鷲掴みにすると、一気に飲んでしまう。そしてそのまま握り潰しさえもした。
「わ、我が君に向けられた愛情は全てシャットアウト致しました!」
「あー……うん、わかった……」
どうやら満足してくれたらしい。ちょっとだけ惜しいな、久々に飲んだ美味しいコーヒーだったから。でも安いものだろう。あれだけ激高したウロボロスをコーヒーとカップ1つの命で鎮められたのだから。普段なら腕一本は必要だったぞ。そう考えればこれは良心的。奇跡的な対処。
でも、それはこちら側の言い分だ。チラリ、とアデルを見る。俯き、肩を震わせている。やってしまったな。あっちからすれば、カップを壊され、コーヒーを台無しにされて、あらぬ誤解を生むような形にまでされている。それもこれも、全てはそちらサイドにいるルーチェとかいう奴が諸悪の根源なんだけど、でも、悲しませたのは事実。
こんなに迷惑をかけて申し訳ない。そう言うとした時、なぜか、アデルは頬を真っ赤にして目をそらした。おや、これはひょっとして。
「わ、わた、私は本当に何でもないです! 何にもないですから!」
あぁ、冗談が通じないタイプか。俺に異性としてアピールしたということにされて、それを真に受けちゃったと。可愛いじゃないか。時と場所によっては大変に好みの部類なんだけど、ここは環境が劣悪というか、友達を選べば良かったのにというか。まぁ、言ってしまえば色々と損するだろうな。これからどう付き合っていくべきか、少し考えてしまうくらいには。
「ふーん、じゃあ、私が貰っちゃおうかなー」
引き際を知らないのか、この子は。たまたま偶然手元にカップがあったから助かっただけで、危機的状況には変わりないんだからね。そこら辺を本当によく理解して欲しい。そうだ、一度、ウロボロスの愛に燃える鉄拳を叩き込まれればいいんだ。そうすれば嫌でもわかるだろう。そのように誘導できないものか。一撃、一発でいいんだ。それこそ、パンチでなくてもいい。キックでも、いや、チョップやデコピンでもいい。それでも十分致命傷になる。
「な、なんでそこでルーチェが名乗りをあげるの!?」
「だって、私だっていい人だなって思っているし?」
あれこれ思案していると、ルーチェが先手を打ってきやがった。チラリとウロボロスに挑戦的な視線を送りながら、そんなことをのたまってくれやがった。これまでの遠回しな挑発ではなく、もうドストライクの主砲クラスを。こんなものを発射されては身の安全は保障できないぞ。見たくない。正直、見たくないけど、見ない訳にもいかない。震えてうまく動いてくれない首を強引に回して、ウロボロスさんの状態を確認する。
「――我が君は渡しません!」
泣きそうな顔が、もうすぐそこに迫っていた。回避、無理。防御、どうやって。圧倒的なステータスの前に、即席の魔法で対抗できると思うか。不可能だ。それだけは自信を持って言える。なにせ、そうなるように育てたのはこの俺だ。だから誰よりもよく把握している。ジ・エンドだと。
そんなこちらの事情など知る由も無い。更に根が真面目なアデルは目を白黒させ、答えに詰まる。
「こんなにもしっかりと酸味、渋味を豆から抽出したこの味わいを、我が君は美味しいと評価しました! 一体何を仕込んだのですか!? それとも何か淹れ方にでも秘訣が!?」
「そ、そんなことを言われても……。うぅ、ルーチェ。そんなにいつもと違う?」
困った顔でアデルは助けを求めるも、ルーチェは少し悩んで見せた後、明らかに悪い笑みを浮かべた。おい、やめろよ。また爆弾を投下するのは駄目だぞ。死ぬからな。終いにはお前らの命の恩人が死んじゃうからな。その辺、きちんとわかった上で答えるんだぞ。
「あー……確かに、いつもより少し味が濃いかも。ひょっとして……魔王様に気に入られようと、気合い入れた?」
「なっ! る、ルーチェ、何を言って――」
「――聞き捨てなりません! その話、詳しく教えなさい!」
つくづく期待を裏切らない奴だよ、お前は。くそ、止めるべきだったと後悔したが、もう遅い。ウロボロスの暴走スイッチは綺麗に押し込められていた。きっと深々と陥没してしまって、もう元には戻らないかもしれない。それくらい苛烈に詰め寄っている。
「え、えっと……うぅ、ルーチェ! 何てことを言うの!?」
「ほら、よく言うじゃない? 愛情は最高の調味料、隠し切れない隠し味って」
「か、隠し切れない……愛情……!?」
こいつは、アデルのことすら餌にしてまで俺をからかうのか。お前の血は何色だ。
こうなったら戦闘は避けられないと思うべきか。防御魔法の詠唱を終えて、対象をアデルにセットしておく。無いとは思うが、念のために、な。ルーチェは自分でどうにかしやがれ。
いいように弄ばれたウロボロスはワナワナと震えながら、ぐるりと俺の方を向いた。そして目にも止まらぬ速さで俺のカップを鷲掴みにすると、一気に飲んでしまう。そしてそのまま握り潰しさえもした。
「わ、我が君に向けられた愛情は全てシャットアウト致しました!」
「あー……うん、わかった……」
どうやら満足してくれたらしい。ちょっとだけ惜しいな、久々に飲んだ美味しいコーヒーだったから。でも安いものだろう。あれだけ激高したウロボロスをコーヒーとカップ1つの命で鎮められたのだから。普段なら腕一本は必要だったぞ。そう考えればこれは良心的。奇跡的な対処。
でも、それはこちら側の言い分だ。チラリ、とアデルを見る。俯き、肩を震わせている。やってしまったな。あっちからすれば、カップを壊され、コーヒーを台無しにされて、あらぬ誤解を生むような形にまでされている。それもこれも、全てはそちらサイドにいるルーチェとかいう奴が諸悪の根源なんだけど、でも、悲しませたのは事実。
こんなに迷惑をかけて申し訳ない。そう言うとした時、なぜか、アデルは頬を真っ赤にして目をそらした。おや、これはひょっとして。
「わ、わた、私は本当に何でもないです! 何にもないですから!」
あぁ、冗談が通じないタイプか。俺に異性としてアピールしたということにされて、それを真に受けちゃったと。可愛いじゃないか。時と場所によっては大変に好みの部類なんだけど、ここは環境が劣悪というか、友達を選べば良かったのにというか。まぁ、言ってしまえば色々と損するだろうな。これからどう付き合っていくべきか、少し考えてしまうくらいには。
「ふーん、じゃあ、私が貰っちゃおうかなー」
引き際を知らないのか、この子は。たまたま偶然手元にカップがあったから助かっただけで、危機的状況には変わりないんだからね。そこら辺を本当によく理解して欲しい。そうだ、一度、ウロボロスの愛に燃える鉄拳を叩き込まれればいいんだ。そうすれば嫌でもわかるだろう。そのように誘導できないものか。一撃、一発でいいんだ。それこそ、パンチでなくてもいい。キックでも、いや、チョップやデコピンでもいい。それでも十分致命傷になる。
「な、なんでそこでルーチェが名乗りをあげるの!?」
「だって、私だっていい人だなって思っているし?」
あれこれ思案していると、ルーチェが先手を打ってきやがった。チラリとウロボロスに挑戦的な視線を送りながら、そんなことをのたまってくれやがった。これまでの遠回しな挑発ではなく、もうドストライクの主砲クラスを。こんなものを発射されては身の安全は保障できないぞ。見たくない。正直、見たくないけど、見ない訳にもいかない。震えてうまく動いてくれない首を強引に回して、ウロボロスさんの状態を確認する。
「――我が君は渡しません!」
泣きそうな顔が、もうすぐそこに迫っていた。回避、無理。防御、どうやって。圧倒的なステータスの前に、即席の魔法で対抗できると思うか。不可能だ。それだけは自信を持って言える。なにせ、そうなるように育てたのはこの俺だ。だから誰よりもよく把握している。ジ・エンドだと。
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