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それでも、君を好きでいる
しおりを挟む気まぐれに呼び出されるだけなのは分かっていても、抗えない。行き交う人の中に似ている姿を見掛けると目で追ってしまう。
「髪少し伸ばした?」
後ろから声がした。ああ、君だ。待ち焦がれたこの声が直接聞きたくて僕は…。
手を後ろに組み、いたずらっぽい目で僕の顔を覗き込む。クスリと微笑む彼女が僕の髪に手を伸した。
「柔らかい。この髪好き」
「髪だけは好きでいてくれるんだね」
たまらず彼女の手を掴む僕にふふっと笑いかける。
「人混みの中ですっごく私を探してたね。楽しくてしばらく観察しちゃった」
僕の気持ちを弄ぶ残酷な彼女の手を強く頬に押し付けた。
「探して何が悪いの?どんなに会いたかったか。それでも君は僕のことなんて…」
彼女の目から僕への愛なんて消えてしまった。
「大好きだよ?でも雨も降ってきたし、用事あるからもう行くね」
「待ってよ!せめて次いつ会えるかだけでも…」
彼女は微笑んだまま僕の口に唇を近付け、ふっとそらす。
「教えてあげない」
耳元で囁かれ絶望に叩き付けられた僕から楽しげに離れると、彼女は手を振りながら雑踏に消えた。
「………それでも僕は…君を好きでいるのをやめられない…」
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