1 / 40
第1話 突然の婚約破棄宣告
しおりを挟む
第1話 突然の婚約破棄宣告
春の光が、大広間のステンドグラスをやわらかく透かしていた。
王城の謁見の間――本来ならば、祝宴か勲章授与の場として使われるそこに、今日は妙に重たい空気が漂っている。
長い赤絨毯の先、王座の一段下に設けられた席で、王太子アレクシス・ハーヴェルは腕を組んでいた。
金糸のような髪、宝石のような青い瞳。容姿だけなら「絵に描いたような王子様」だが、その表情は冷たく、どこか退屈そうだ。
その前に、深紅のドレスをまとった一人の令嬢が跪いていた。
リオネッタ・エルバンス。
王国有数の名門、エルバンス公爵家の一人娘にして、現・王太子婚約者。
(……さて、と。今日は何の“王妃教育の追加課題”かしら)
呼び出しの文には「王太子殿下より、今後のご関係について大切なお話がある」とだけ書かれていた。
それを見たとき、リオネッタは内心、盛大にため息を飲み込んだ。
(これ以上、何をどう完璧にしろって言うのよ……? 礼儀作法も、外国語も、財政も外交も、一通りこなしてるのに。まさか、寝る時間まで報告しろとか言わないわよね?)
そんな皮肉な心の声を隠しながら、彼女は完璧な微笑を浮かべる。
「お呼びに応じましてございます、アレクシス殿下」
澄んだ声が、静まり返った広間に響いた。その場に立ち会っているのは、国王と王妃、そして数名の重臣だけだ。
しかし、誰もがこれから告げられる「何か」を知っているらしく、妙な緊張を纏っている。
アレクシスは、ふん、と鼻を鳴らし、椅子から立ち上がった。
「リオネッタ・エルバンス。我が婚約者よ」
「はい、殿下」
「……お前との婚約を、ここに破棄する」
その言葉は、あまりにもあっさりと口から放たれた。
静寂。
時間が、一瞬だけ止まったような気がした。
次の瞬間、リオネッタの背筋に、ぞくりとしたものが走る。
(――あ)
心のどこかで、何かが弾けた。
(やっと、来た)
もちろん、顔には出さない。
長年積み上げた「完璧な公爵令嬢」の仮面は、そんな簡単には崩れない。
リオネッタは、あくまで静かに問い返した。
「……恐れながら、理由をお伺いしてもよろしいでしょうか」
アレクシスは、待ってましたと言わんばかりに顎を上げる。
「理由? 簡単なことだ。お前は――」
一拍置き、冷たく言い放つ。
「完璧すぎて、可愛げがない」
(……は?)
思わず素の声が出そうになり、リオネッタは内心で慌てて飲み込んだ。
「可愛げ……でございますか」
「ああ、そうだ。お前はいつも正しく、間違いを許さず、どんな場でも完璧な振る舞いをする。王妃としては申し分ない。だが、妻としては窮屈すぎる」
(それ、王妃としては満点って自分で言いましたわね、今)
突っ込みたい。全力で突っ込みたい。
だが、ここでやってはいけない。今はまだ“悲劇の令嬢”である必要があるのだ。
アレクシスはさらに続ける。
「それに、もう一つ理由がある。……私は真実の愛を、見つけてしまったのだ」
(あー、出たわ、“真実の愛”)
リオネッタは、心の中でそっと目頭を押さえた。違う意味で涙が出そうである。
「真実の……愛、ですか」
「そうだ」
アレクシスが手を伸ばす。その背後から、おずおずと一人の少女が姿を現した。
栗色の髪を二つに結び、簡素なワンピースを身にまとった、まだ若い娘。
身分証となるような装飾品はほとんど身につけていない。
――平民。ひと目でそうわかる。
「紹介しよう。リリィ・ハート。城下町で働く、心優しい娘だ」
「あの、あのっ……! リオネッタ様、その……!」
リリィと呼ばれた少女は、真っ青な顔でリオネッタを見つめていた。
その瞳は怯えと罪悪感で揺れ、今にも泣き出しそうだ。
(……この子は、悪くないわね)
視線が合った瞬間、リオネッタはそう確信した。
彼女はきっと巻き込まれただけだ。
「私は、平民。殿下の婚約者としてはふさわしくありません。でも……殿下は、それでも私を選んでくださって……っ」
リリィの震える声に、アレクシスは満足げにうなずく。
「身分など関係ない。私は彼女を愛している。……だから、形式だけの婚約者であるお前とは、ここで別れることにした」
その言葉に、王妃が眉をひそめた。
「アレクシス。その言い方は、少々――」
「母上。私は私の人生を生きたいだけです」
アレクシスは、わざとらしいほど堂々とした口調で言い切った。
「父上の用意した婚約者ではなく、自ら選んだ相手と共に歩みたい。それが、私の選択です」
国王は、重々しくため息をつく。
「……お前の望みは、わかった。だが、エルバンス公爵家との縁を切ることが、どれほどの意味を持つか、理解しているのだろうな?」
「もちろんです。ですが、私はリリィを手放すつもりはありません」
アレクシスの横で、リリィがさらに顔色を失くした。
(……ああ、この子、本気で状況を理解してない顔ね。誰か止めてあげなさいよ、ほんとに)
それでも、リオネッタは一歩前に進み出た。
ドレスの裾をつまみ、深く礼をする。
「陛下、並びにアレクシス殿下のご決定、確かに承りました」
顔を上げたとき、その瞳には涙が浮かんでいた――演技として。
(ここで涙の一粒も見せなかったら、“完璧すぎて冷血”って新しい悪評がつきそうですものね)
頬を伝う一筋の涙を、そっと指先でぬぐう。
王妃がハッと息を呑み、重臣たちが気まずそうに視線をそらした。
「このような形で、長年の婚約が終わることは……私としても残念でございます」
少しだけ声を震わせる。
胸の内では、別の感情が盛大に花火を打ち上げていた。
(――でも、正直に言えば)
(自由だ……!)
朝から晩まで続く王妃教育、政務の補佐、王太子の尻拭い。
そのすべてから、彼女は今日、この瞬間をもって解放されるのだ。
けれど、その喜びを表に出すことはしない。
リオネッタは、あくまで品位ある“捨てられた婚約者”を演じきる。
「アレクシス殿下。殿下の未来に、真実の愛の加護がありますよう、お祈り申し上げます」
アレクシスは、一瞬だけ言葉に詰まった。
自分が非難されると覚悟していたのだろう。その肩が、わずかに強張っている。
「……そうか。お前がそう言うのなら、助かる」
助かる、ではない。
最後の最後まで、彼は自分のことしか見ていない。
(ああ、本当に。どうして私は、今までこの人のために身を削ってきたのかしらね)
自嘲気味な思いをぐっと飲み込み、リオネッタは静かに一礼する。
「それでは、これにて失礼いたします」
踵を返し、赤い絨毯を一歩ずつ歩く。
その足取りは、外から見れば「悲しみを堪える健気な令嬢」に見えるだろう。
だが、内心は違う。
(今夜は、久しぶりに何も勉強しないで寝ていいわけよね……? いえ、寝る前にゆっくり本を読んで、お茶も淹れて……あ、そうだわ。ずっと試したかった新しいお菓子のレシピも――)
広間の扉が、静かに閉じる。
その瞬間、リオネッタの口元に、誰にも見られない微笑みが浮かんだ。
(――婚約破棄、ありがとうございます)
それは、誰にも聞こえない心の中での、ひそやかな歓声だった。
こうして、王太子婚約者リオネッタ・エルバンスの「捨てられた令嬢」人生は終わり――
自由を掴む、第二の人生が、ひっそりと幕を開けたのである。
春の光が、大広間のステンドグラスをやわらかく透かしていた。
王城の謁見の間――本来ならば、祝宴か勲章授与の場として使われるそこに、今日は妙に重たい空気が漂っている。
長い赤絨毯の先、王座の一段下に設けられた席で、王太子アレクシス・ハーヴェルは腕を組んでいた。
金糸のような髪、宝石のような青い瞳。容姿だけなら「絵に描いたような王子様」だが、その表情は冷たく、どこか退屈そうだ。
その前に、深紅のドレスをまとった一人の令嬢が跪いていた。
リオネッタ・エルバンス。
王国有数の名門、エルバンス公爵家の一人娘にして、現・王太子婚約者。
(……さて、と。今日は何の“王妃教育の追加課題”かしら)
呼び出しの文には「王太子殿下より、今後のご関係について大切なお話がある」とだけ書かれていた。
それを見たとき、リオネッタは内心、盛大にため息を飲み込んだ。
(これ以上、何をどう完璧にしろって言うのよ……? 礼儀作法も、外国語も、財政も外交も、一通りこなしてるのに。まさか、寝る時間まで報告しろとか言わないわよね?)
そんな皮肉な心の声を隠しながら、彼女は完璧な微笑を浮かべる。
「お呼びに応じましてございます、アレクシス殿下」
澄んだ声が、静まり返った広間に響いた。その場に立ち会っているのは、国王と王妃、そして数名の重臣だけだ。
しかし、誰もがこれから告げられる「何か」を知っているらしく、妙な緊張を纏っている。
アレクシスは、ふん、と鼻を鳴らし、椅子から立ち上がった。
「リオネッタ・エルバンス。我が婚約者よ」
「はい、殿下」
「……お前との婚約を、ここに破棄する」
その言葉は、あまりにもあっさりと口から放たれた。
静寂。
時間が、一瞬だけ止まったような気がした。
次の瞬間、リオネッタの背筋に、ぞくりとしたものが走る。
(――あ)
心のどこかで、何かが弾けた。
(やっと、来た)
もちろん、顔には出さない。
長年積み上げた「完璧な公爵令嬢」の仮面は、そんな簡単には崩れない。
リオネッタは、あくまで静かに問い返した。
「……恐れながら、理由をお伺いしてもよろしいでしょうか」
アレクシスは、待ってましたと言わんばかりに顎を上げる。
「理由? 簡単なことだ。お前は――」
一拍置き、冷たく言い放つ。
「完璧すぎて、可愛げがない」
(……は?)
思わず素の声が出そうになり、リオネッタは内心で慌てて飲み込んだ。
「可愛げ……でございますか」
「ああ、そうだ。お前はいつも正しく、間違いを許さず、どんな場でも完璧な振る舞いをする。王妃としては申し分ない。だが、妻としては窮屈すぎる」
(それ、王妃としては満点って自分で言いましたわね、今)
突っ込みたい。全力で突っ込みたい。
だが、ここでやってはいけない。今はまだ“悲劇の令嬢”である必要があるのだ。
アレクシスはさらに続ける。
「それに、もう一つ理由がある。……私は真実の愛を、見つけてしまったのだ」
(あー、出たわ、“真実の愛”)
リオネッタは、心の中でそっと目頭を押さえた。違う意味で涙が出そうである。
「真実の……愛、ですか」
「そうだ」
アレクシスが手を伸ばす。その背後から、おずおずと一人の少女が姿を現した。
栗色の髪を二つに結び、簡素なワンピースを身にまとった、まだ若い娘。
身分証となるような装飾品はほとんど身につけていない。
――平民。ひと目でそうわかる。
「紹介しよう。リリィ・ハート。城下町で働く、心優しい娘だ」
「あの、あのっ……! リオネッタ様、その……!」
リリィと呼ばれた少女は、真っ青な顔でリオネッタを見つめていた。
その瞳は怯えと罪悪感で揺れ、今にも泣き出しそうだ。
(……この子は、悪くないわね)
視線が合った瞬間、リオネッタはそう確信した。
彼女はきっと巻き込まれただけだ。
「私は、平民。殿下の婚約者としてはふさわしくありません。でも……殿下は、それでも私を選んでくださって……っ」
リリィの震える声に、アレクシスは満足げにうなずく。
「身分など関係ない。私は彼女を愛している。……だから、形式だけの婚約者であるお前とは、ここで別れることにした」
その言葉に、王妃が眉をひそめた。
「アレクシス。その言い方は、少々――」
「母上。私は私の人生を生きたいだけです」
アレクシスは、わざとらしいほど堂々とした口調で言い切った。
「父上の用意した婚約者ではなく、自ら選んだ相手と共に歩みたい。それが、私の選択です」
国王は、重々しくため息をつく。
「……お前の望みは、わかった。だが、エルバンス公爵家との縁を切ることが、どれほどの意味を持つか、理解しているのだろうな?」
「もちろんです。ですが、私はリリィを手放すつもりはありません」
アレクシスの横で、リリィがさらに顔色を失くした。
(……ああ、この子、本気で状況を理解してない顔ね。誰か止めてあげなさいよ、ほんとに)
それでも、リオネッタは一歩前に進み出た。
ドレスの裾をつまみ、深く礼をする。
「陛下、並びにアレクシス殿下のご決定、確かに承りました」
顔を上げたとき、その瞳には涙が浮かんでいた――演技として。
(ここで涙の一粒も見せなかったら、“完璧すぎて冷血”って新しい悪評がつきそうですものね)
頬を伝う一筋の涙を、そっと指先でぬぐう。
王妃がハッと息を呑み、重臣たちが気まずそうに視線をそらした。
「このような形で、長年の婚約が終わることは……私としても残念でございます」
少しだけ声を震わせる。
胸の内では、別の感情が盛大に花火を打ち上げていた。
(――でも、正直に言えば)
(自由だ……!)
朝から晩まで続く王妃教育、政務の補佐、王太子の尻拭い。
そのすべてから、彼女は今日、この瞬間をもって解放されるのだ。
けれど、その喜びを表に出すことはしない。
リオネッタは、あくまで品位ある“捨てられた婚約者”を演じきる。
「アレクシス殿下。殿下の未来に、真実の愛の加護がありますよう、お祈り申し上げます」
アレクシスは、一瞬だけ言葉に詰まった。
自分が非難されると覚悟していたのだろう。その肩が、わずかに強張っている。
「……そうか。お前がそう言うのなら、助かる」
助かる、ではない。
最後の最後まで、彼は自分のことしか見ていない。
(ああ、本当に。どうして私は、今までこの人のために身を削ってきたのかしらね)
自嘲気味な思いをぐっと飲み込み、リオネッタは静かに一礼する。
「それでは、これにて失礼いたします」
踵を返し、赤い絨毯を一歩ずつ歩く。
その足取りは、外から見れば「悲しみを堪える健気な令嬢」に見えるだろう。
だが、内心は違う。
(今夜は、久しぶりに何も勉強しないで寝ていいわけよね……? いえ、寝る前にゆっくり本を読んで、お茶も淹れて……あ、そうだわ。ずっと試したかった新しいお菓子のレシピも――)
広間の扉が、静かに閉じる。
その瞬間、リオネッタの口元に、誰にも見られない微笑みが浮かんだ。
(――婚約破棄、ありがとうございます)
それは、誰にも聞こえない心の中での、ひそやかな歓声だった。
こうして、王太子婚約者リオネッタ・エルバンスの「捨てられた令嬢」人生は終わり――
自由を掴む、第二の人生が、ひっそりと幕を開けたのである。
73
あなたにおすすめの小説
とある令嬢の優雅な別れ方 〜婚約破棄されたので、笑顔で地獄へお送りいたします〜
入多麗夜
恋愛
【完結まで執筆済!】
社交界を賑わせた婚約披露の茶会。
令嬢セリーヌ・リュミエールは、婚約者から突きつけられる。
「真実の愛を見つけたんだ」
それは、信じた誠実も、築いてきた未来も踏みにじる裏切りだった。だが、彼女は微笑んだ。
愛よりも冷たく、そして美しく。
笑顔で地獄へお送りいたします――
辺境の侯爵令嬢、婚約破棄された夜に最強薬師スキルでざまぁします。
コテット
恋愛
侯爵令嬢リーナは、王子からの婚約破棄と義妹の策略により、社交界での地位も誇りも奪われた。
だが、彼女には誰も知らない“前世の記憶”がある。現代薬剤師として培った知識と、辺境で拾った“魔草”の力。
それらを駆使して、貴族社会の裏を暴き、裏切った者たちに“真実の薬”を処方する。
ざまぁの宴の先に待つのは、異国の王子との出会い、平穏な薬草庵の日々、そして新たな愛。
これは、捨てられた令嬢が世界を変える、痛快で甘くてスカッとする逆転恋愛譚。
最低公爵との婚約破棄は、気ままな私の運命を変える最高の布石でした。~嫌がらせに屈しない私を、孤高の王子が見初めたようです~
紅葉山参
恋愛
わたくし、伯爵令嬢バージニア・フォン・アスターは、内心では冷めきっていました。私の婚約者であるユリシーズ公爵は、その地位こそ高貴ですが、中身は最低底辺。高慢ちきで女癖が悪く、私のことなど道具としか見ていないのですから。
「公爵様、わたくしとの婚約を破棄していただきたく存じます」
私の方から婚約破棄を申し出た時、公爵様はひどく動揺し、そして怒り狂いました。彼のプライドはズタズタになったのでしょう。しかし、ようやく自由になれる。私はそう安堵していました。
ところが、この最低な男は、私との婚約がなくなった腹いせに、想像を絶する陰湿な嫌がらせを仕掛けてきます。社交界での悪評、家への圧力、そして命の危険さえも。気ままに暮らしたいという私のささやかな望みは、一転して苦難の道へと変わりました。
絶望が目前に迫った時、私の前に現れたのが、第三王子スレイン殿下でした。彼は冷たい仮面の下に熱い正義を秘めた孤高の王子。公爵の不当な行いに真っ向から立ち向かい、私を庇ってくれるのです。
王子という光と、公爵という闇。 彼の庇護を受けるうち、わたくしは初めて知りました。本当の愛とは何かを。
最低な婚約者との決別は、愛を知らない私に、本物の運命の殿下(あなた)を引き寄せる最高の魔法だったのです。
これは、気高き伯爵令嬢が、最低の元婚約者の嫌がらせを乗り越え、孤高の王子と真実の愛を掴むまでの、波乱に満ちた物語です。
「誰もお前なんか愛さない」と笑われたけど、隣国の王が即プロポーズしてきました
ゆっこ
恋愛
「アンナ・リヴィエール、貴様との婚約は、今日をもって破棄する!」
王城の大広間に響いた声を、私は冷静に見つめていた。
誰よりも愛していた婚約者、レオンハルト王太子が、冷たい笑みを浮かべて私を断罪する。
「お前は地味で、つまらなくて、礼儀ばかりの女だ。華もない。……誰もお前なんか愛さないさ」
笑い声が響く。
取り巻きの令嬢たちが、まるで待っていたかのように口元を隠して嘲笑した。
胸が痛んだ。
けれど涙は出なかった。もう、心が乾いていたからだ。
婚約破棄されたけれど、どうぞ勝手に没落してくださいませ。私は辺境で第二の人生を満喫しますわ
鍛高譚
恋愛
「白い結婚でいい。
平凡で、静かな生活が送れれば――それだけで幸せでしたのに。」
婚約破棄され、行き場を失った伯爵令嬢アナスタシア。
彼女を救ったのは“冷徹”と噂される公爵・ルキウスだった。
二人の結婚は、互いに干渉しない 『白い結婚』――ただの契約のはずだった。
……はずなのに。
邸内で起きる不可解な襲撃。
操られた侍女が放つ言葉。
浮かび上がる“白の一族”の血――そしてアナスタシアの身体に眠る 浄化の魔力。
「白の娘よ。いずれ迎えに行く」
影の王から届いた脅迫状が、運命の刻を告げる。
守るために剣を握る公爵。
守られるだけで終わらせないと誓う令嬢。
契約から始まったはずの二人の関係は、
いつしか互いに手放せない 真実の愛 へと変わってゆく。
「君を奪わせはしない」
「わたくしも……あなたを守りたいのです」
これは――
白い結婚から始まり、影の王を巡る大いなる戦いへ踏み出す、
覚醒令嬢と冷徹公爵の“運命の恋と陰謀”の物語。
---
言いたいことはそれだけですか。では始めましょう
井藤 美樹
恋愛
常々、社交を苦手としていましたが、今回ばかりは仕方なく出席しておりましたの。婚約者と一緒にね。
その席で、突然始まった婚約破棄という名の茶番劇。
頭がお花畑の方々の発言が続きます。
すると、なぜが、私の名前が……
もちろん、火の粉はその場で消しましたよ。
ついでに、独立宣言もしちゃいました。
主人公、めちゃくちゃ口悪いです。
成り立てホヤホヤのミネリア王女殿下の溺愛&奮闘記。ちょっとだけ、冒険譚もあります。
【完結】婚約破棄はいいのですが、平凡(?)な私を巻き込まないでください!
白キツネ
恋愛
実力主義であるクリスティア王国で、学園の卒業パーティーに中、突然第一王子である、アレン・クリスティアから婚約破棄を言い渡される。
婚約者ではないのに、です。
それに、いじめた記憶も一切ありません。
私にはちゃんと婚約者がいるんです。巻き込まないでください。
第一王子に何故か振られた女が、本来の婚約者と幸せになるお話。
カクヨムにも掲載しております。
婚約破棄?はい、どうぞお好きに!悪役令嬢は忙しいんです
ほーみ
恋愛
王国アスティリア最大の劇場──もとい、王立学園の大講堂にて。
本日上演されるのは、わたくしリリアーナ・ヴァレンティアを断罪する、王太子殿下主催の茶番劇である。
壇上には、舞台の主役を気取った王太子アレクシス。その隣には、純白のドレスをひらつかせた侯爵令嬢エリーナ。
そして観客席には、好奇心で目を輝かせる学生たち。ざわめき、ひそひそ声、侮蔑の視線。
ふふ……完璧な舞台準備ね。
「リリアーナ・ヴァレンティア! そなたの悪行はすでに暴かれた!」
王太子の声が響く。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる