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第十四話 向けられる矛先
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第十四話 向けられる矛先
王都の広場。
昼下がりの市場は、以前より騒がしい。
だが活気ではない。
不満だ。
「また値上げだとよ」
「塩まで上がった」
「兵舎の親戚から聞いたが、補給も遅れてるらしい」
囁きは繋がる。
最初は商人に向いた。
だが商人は答える。
「公爵家の再審査だ。王家と話がついていない」
その言葉が、矛先をずらす。
王家。
王太子。
真実の愛。
人々の記憶は新しい。
あの日の宣言。
あの祝宴。
「恋にうつつを抜かしているからだ」
誰かが言う。
「国が揺れてるのに」
声は小さい。
だが共感が広がる。
王城。
文官が財務官に告げる。
「市井の声が、殿下に向いております」
「どの程度だ」
「明確な抗議ではありません。ただ……」
ただ。
「不安の原因として、殿下の決断が挙げられております」
財務官は目を閉じる。
恐れていた流れ。
王太子はそれを聞き、立ち上がる。
「愚民どもが」
平民娘が顔を強張らせる。
「私のせいでしょうか」
「違う」
王太子は即座に否定する。
「彼らは理解できぬだけだ」
理解。
だが理解を求めるには説明が必要だ。
王太子は説明をしていない。
公爵領。
ヒロインは報告を読む。
「王都民衆、不満の矛先が王太子へ」
「早いな」
公爵が言う。
「商会の動きが影響しました」
価格は目に見える。
原因は探される。
そして見つけやすいのは、あの宣言。
「まだ暴動ではありません」
「必要ない」
ヒロインは静かに答える。
暴力は反発を生む。
だが不満は、沈黙の圧力になる。
王都のパン屋。
客が言う。
「殿下はあの娘に夢中らしい」
「国より恋か」
店主は何も言わない。
だが顔が語る。
兵舎。
兵士が呟く。
「補給が遅れたのは、王太子の宮廷入りのせいだと」
「本当か」
「分からん。だが皆そう言ってる」
噂は真実より早い。
王城。
平民娘は廊下を歩く。
視線が刺さる。
昨日より冷たい。
侍女が囁く。
「民の間で、殿下の決断が原因だと……」
平民娘は拳を握る。
「私は……」
だが言葉が続かない。
彼女は王太子を支えたい。
だが王太子を弱らせている存在になりつつある。
王太子は怒りに任せて言う。
「公爵が裏で煽っている」
証拠はない。
だが怒りは理屈を求めない。
公爵領。
ヒロインは窓の外を見つめる。
「民はまだ理性的です」
「暴れぬか」
「暴れません」
価格が上がり、不安が増し、原因が語られる。
それだけで十分。
「次は文官です」
ヒロインは呟く。
民の声は、やがて記録に残る。
記録は、評議会で使われる。
王城の塔は高い。
だが足元で、不満が根を張り始めた。
まだ革命ではない。
だが、矛先は定まった。
王太子へ。
そしてその隣に立つ、平民娘へ。
二人はまだ中央にいる。
だが中央は、最も風が集まる場所だった。
王都の広場。
昼下がりの市場は、以前より騒がしい。
だが活気ではない。
不満だ。
「また値上げだとよ」
「塩まで上がった」
「兵舎の親戚から聞いたが、補給も遅れてるらしい」
囁きは繋がる。
最初は商人に向いた。
だが商人は答える。
「公爵家の再審査だ。王家と話がついていない」
その言葉が、矛先をずらす。
王家。
王太子。
真実の愛。
人々の記憶は新しい。
あの日の宣言。
あの祝宴。
「恋にうつつを抜かしているからだ」
誰かが言う。
「国が揺れてるのに」
声は小さい。
だが共感が広がる。
王城。
文官が財務官に告げる。
「市井の声が、殿下に向いております」
「どの程度だ」
「明確な抗議ではありません。ただ……」
ただ。
「不安の原因として、殿下の決断が挙げられております」
財務官は目を閉じる。
恐れていた流れ。
王太子はそれを聞き、立ち上がる。
「愚民どもが」
平民娘が顔を強張らせる。
「私のせいでしょうか」
「違う」
王太子は即座に否定する。
「彼らは理解できぬだけだ」
理解。
だが理解を求めるには説明が必要だ。
王太子は説明をしていない。
公爵領。
ヒロインは報告を読む。
「王都民衆、不満の矛先が王太子へ」
「早いな」
公爵が言う。
「商会の動きが影響しました」
価格は目に見える。
原因は探される。
そして見つけやすいのは、あの宣言。
「まだ暴動ではありません」
「必要ない」
ヒロインは静かに答える。
暴力は反発を生む。
だが不満は、沈黙の圧力になる。
王都のパン屋。
客が言う。
「殿下はあの娘に夢中らしい」
「国より恋か」
店主は何も言わない。
だが顔が語る。
兵舎。
兵士が呟く。
「補給が遅れたのは、王太子の宮廷入りのせいだと」
「本当か」
「分からん。だが皆そう言ってる」
噂は真実より早い。
王城。
平民娘は廊下を歩く。
視線が刺さる。
昨日より冷たい。
侍女が囁く。
「民の間で、殿下の決断が原因だと……」
平民娘は拳を握る。
「私は……」
だが言葉が続かない。
彼女は王太子を支えたい。
だが王太子を弱らせている存在になりつつある。
王太子は怒りに任せて言う。
「公爵が裏で煽っている」
証拠はない。
だが怒りは理屈を求めない。
公爵領。
ヒロインは窓の外を見つめる。
「民はまだ理性的です」
「暴れぬか」
「暴れません」
価格が上がり、不安が増し、原因が語られる。
それだけで十分。
「次は文官です」
ヒロインは呟く。
民の声は、やがて記録に残る。
記録は、評議会で使われる。
王城の塔は高い。
だが足元で、不満が根を張り始めた。
まだ革命ではない。
だが、矛先は定まった。
王太子へ。
そしてその隣に立つ、平民娘へ。
二人はまだ中央にいる。
だが中央は、最も風が集まる場所だった。
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