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第十八話 裁定の所在
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第十八話 裁定の所在
王都近郊で、商隊が襲われた。
被害は軽微。
だが護衛の一人が負傷した。
通常なら、王家軍が捜査し、裁定を下す。
だが今回、動いたのは公爵家騎士団だった。
理由は単純だ。
商隊の大半が公爵領経由の契約下にあったから。
公爵家騎士団は迅速に犯人を拘束し、証拠を押さえた。
翌日。
裁定の場に、王家軍の代表も現れる。
だが主導権は公爵家にあった。
「契約第十二条に基づき、当該商路は公爵家の保護下にあります」
公爵家騎士団長が告げる。
王家軍の隊長が口を開く。
「だが王都近郊だ。王家の管轄では」
「契約により、保護責任は我らにあります」
書面が示される。
王家軍は反論できない。
契約は有効。
商会代表も頷く。
「公爵家に裁定をお願いしたい」
場の空気が決まる。
王家軍は形式上立ち会う。
だが裁くのは公爵側。
数日後。
判決が下る。
迅速で、公正で、賠償も明確。
商会は満足する。
王都に噂が広がる。
「公爵家の方が頼りになる」
その言葉は小さい。
だが致命的。
王城。
軍務官が報告する。
「商路裁定、公爵家主導で完了」
王太子は激昂する。
「王家を無視したのか」
「形式は守られております」
「ならばなぜ我らが主導しない」
軍務官は沈黙する。
主導には、実力と信頼が要る。
今はどちらも薄い。
平民娘は不安げに言う。
「殿下……」
王太子は拳を握る。
「王家の権威を取り戻す」
だが権威は宣言では戻らない。
公爵領。
報告が届く。
「裁定、問題なく終了」
ヒロインは静かに言う。
「王家は立ち会いのみ」
「はい」
「記録は?」
「王家軍の署名あり」
完璧だ。
敵対ではない。
協力の形。
だが実質は公爵主導。
公爵が娘を見る。
「王家の顔を潰さず、権威を奪う」
ヒロインは微笑む。
「王家は立っていました」
「だが支えていたのは?」
「公爵家です」
王都。
兵士が呟く。
「裁定は公爵家だったらしい」
「王家は何をしている」
民は結果を見る。
迅速な裁定。
確実な補償。
安定。
それを与えたのは誰か。
王家ではない。
夜。
王城の塔から見下ろすと、王都は平穏だ。
だが重心は移った。
裁定の所在。
力の所在。
信頼の所在。
王家の権威はまだ形を保っている。
だが中身は、確実に削られている。
公爵家は剣を抜かない。
ただ、役目を果たす。
その積み重ねが、王家を空洞にしていく。
そして王太子は、まだ気づかない。
権威とは、声ではなく信頼で成り立つことを。
王都近郊で、商隊が襲われた。
被害は軽微。
だが護衛の一人が負傷した。
通常なら、王家軍が捜査し、裁定を下す。
だが今回、動いたのは公爵家騎士団だった。
理由は単純だ。
商隊の大半が公爵領経由の契約下にあったから。
公爵家騎士団は迅速に犯人を拘束し、証拠を押さえた。
翌日。
裁定の場に、王家軍の代表も現れる。
だが主導権は公爵家にあった。
「契約第十二条に基づき、当該商路は公爵家の保護下にあります」
公爵家騎士団長が告げる。
王家軍の隊長が口を開く。
「だが王都近郊だ。王家の管轄では」
「契約により、保護責任は我らにあります」
書面が示される。
王家軍は反論できない。
契約は有効。
商会代表も頷く。
「公爵家に裁定をお願いしたい」
場の空気が決まる。
王家軍は形式上立ち会う。
だが裁くのは公爵側。
数日後。
判決が下る。
迅速で、公正で、賠償も明確。
商会は満足する。
王都に噂が広がる。
「公爵家の方が頼りになる」
その言葉は小さい。
だが致命的。
王城。
軍務官が報告する。
「商路裁定、公爵家主導で完了」
王太子は激昂する。
「王家を無視したのか」
「形式は守られております」
「ならばなぜ我らが主導しない」
軍務官は沈黙する。
主導には、実力と信頼が要る。
今はどちらも薄い。
平民娘は不安げに言う。
「殿下……」
王太子は拳を握る。
「王家の権威を取り戻す」
だが権威は宣言では戻らない。
公爵領。
報告が届く。
「裁定、問題なく終了」
ヒロインは静かに言う。
「王家は立ち会いのみ」
「はい」
「記録は?」
「王家軍の署名あり」
完璧だ。
敵対ではない。
協力の形。
だが実質は公爵主導。
公爵が娘を見る。
「王家の顔を潰さず、権威を奪う」
ヒロインは微笑む。
「王家は立っていました」
「だが支えていたのは?」
「公爵家です」
王都。
兵士が呟く。
「裁定は公爵家だったらしい」
「王家は何をしている」
民は結果を見る。
迅速な裁定。
確実な補償。
安定。
それを与えたのは誰か。
王家ではない。
夜。
王城の塔から見下ろすと、王都は平穏だ。
だが重心は移った。
裁定の所在。
力の所在。
信頼の所在。
王家の権威はまだ形を保っている。
だが中身は、確実に削られている。
公爵家は剣を抜かない。
ただ、役目を果たす。
その積み重ねが、王家を空洞にしていく。
そして王太子は、まだ気づかない。
権威とは、声ではなく信頼で成り立つことを。
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