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エピローグ ――白い契約の果てに
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エピローグ ――白い契約の果てに
王都の喧騒が落ち着き、夜空に星が満ちていく。
その光の下で、セレナ・クロフォード――かつて追放された令嬢は、
今ようやく“自分の居場所”というものを実感していた。
アレクシスの私邸にある中庭。
静かな噴水の音が聞こえ、夜風は柔らかく花の香りを運んでいた。
白いドレス姿のセレナは、ベンチに腰掛けて月を見上げていた。
(……私、こんな日が来るなんて思わなかった)
婚約破棄。追放。偽聖女の断罪。
すべてが悪夢のようで――でもどこか、すべてが必然だったようにも思える。
「セレナ」
優しい声が背後からかけられる。
振り向くと、アレクシスが夜の外套を羽織って立っていた。
「こんなところにいたんだ。
探したよ」
「すみません……少し、落ち着きたくて」
アレクシスは隣に座り、そっとセレナの肩に外套を掛けた。
「冷えていないか?」
「……はい。でも、ありがとうございます」
静かに微笑み合う。
もう“契約夫婦”のぎこちない距離はどこにもなかった。
「王都の人たち、まだ騒がしいみたいですね」
「ああ。
宰相の正式任命式と、俺たちの夫婦の祝賀会で……
城も街も、まだ祭りみたいになってる」
「ふふっ……なんだか変な感じ。
ついこの前まで、私は追放令嬢だったのに」
「追放など……そもそも間違いだったんだ」
アレクシスはセレナの手をそっと握る。
「言わせてほしい。
セレナ……君がここにいなかったら、俺は──
きっと、ずっと孤独だった」
「アレクシス様……」
「君は、俺に光をくれた。
白い契約なんて……最初から、続けられるはずがなかったんだ」
それは、真っ直ぐで、温かくて。
セレナの胸を優しく震わせた。
「私も……アレクシス様に救われました。
あの日……追放されて、すべてを失ったと感じていたけれど……」
セレナはそっとアレクシスの肩に頭を寄せた。
「あなたの言葉に、どれだけ救われたか……。
“君の人生を奪わない”って、あの時言ってくださって……
初めて、誰かが私の自由を守ろうとしてくれたんです」
アレクシスの胸が小さく震えた。
「……あれは、本心からだった。
でも今は、違う気持ちもある」
「?」
アレクシスはセレナの手を優しく包み込む。
「これからは……
“君の自由を守りたい”と同時に──
“君と人生を重ねたい”……そう思っている」
セレナは目を見開き、
すぐに頬が朱色に染まった。
でも、逃げるように目をそらすことはしなかった。
「……はい。
私も……そう思っています」
アレクシスはホッとしたように微笑み、
セレナの髪にそっと触れた。
「これからの人生……
楽しいことも、苦しいこともあるだろう。
でも……一緒に乗り越えよう」
「ええ……アレクシス様となら」
そのとき、遠くで花火が上がった。
街の人々が、二人の門出を祝うかのように。
夜空に広がる光の花を見つめながら、
セレナは静かに、真っ直ぐに言った。
「……私、もう一度だけ誓います」
「誓い?」
「はい。
婚約破棄されたあの日に壊れてしまった“幸せ”を……
もう誰にも奪わせません。
私の人生は、私のもの。
そして……あなたと共に育てていくものです」
アレクシスの胸に、熱いものが込み上げた。
「……セレナ。
その言葉だけで、俺は明日からも戦える」
彼はそっとセレナの手を引き寄せ、
その額に優しくキスを落とした。
触れた場所がじんわりと熱を持ち、
胸の奥が心地よく震える。
「愛しているよ、セレナ」
「……私も、アレクシス様」
夜の庭で、二人は肩を寄せ合った。
契約で始まった二人の関係は、
もうどこにも“白さ”など残っていない。
そこにあるのは
真実の愛と、共に歩む未来だけだった。
星の光が、優しく二人を照らしていた。
---
王都の喧騒が落ち着き、夜空に星が満ちていく。
その光の下で、セレナ・クロフォード――かつて追放された令嬢は、
今ようやく“自分の居場所”というものを実感していた。
アレクシスの私邸にある中庭。
静かな噴水の音が聞こえ、夜風は柔らかく花の香りを運んでいた。
白いドレス姿のセレナは、ベンチに腰掛けて月を見上げていた。
(……私、こんな日が来るなんて思わなかった)
婚約破棄。追放。偽聖女の断罪。
すべてが悪夢のようで――でもどこか、すべてが必然だったようにも思える。
「セレナ」
優しい声が背後からかけられる。
振り向くと、アレクシスが夜の外套を羽織って立っていた。
「こんなところにいたんだ。
探したよ」
「すみません……少し、落ち着きたくて」
アレクシスは隣に座り、そっとセレナの肩に外套を掛けた。
「冷えていないか?」
「……はい。でも、ありがとうございます」
静かに微笑み合う。
もう“契約夫婦”のぎこちない距離はどこにもなかった。
「王都の人たち、まだ騒がしいみたいですね」
「ああ。
宰相の正式任命式と、俺たちの夫婦の祝賀会で……
城も街も、まだ祭りみたいになってる」
「ふふっ……なんだか変な感じ。
ついこの前まで、私は追放令嬢だったのに」
「追放など……そもそも間違いだったんだ」
アレクシスはセレナの手をそっと握る。
「言わせてほしい。
セレナ……君がここにいなかったら、俺は──
きっと、ずっと孤独だった」
「アレクシス様……」
「君は、俺に光をくれた。
白い契約なんて……最初から、続けられるはずがなかったんだ」
それは、真っ直ぐで、温かくて。
セレナの胸を優しく震わせた。
「私も……アレクシス様に救われました。
あの日……追放されて、すべてを失ったと感じていたけれど……」
セレナはそっとアレクシスの肩に頭を寄せた。
「あなたの言葉に、どれだけ救われたか……。
“君の人生を奪わない”って、あの時言ってくださって……
初めて、誰かが私の自由を守ろうとしてくれたんです」
アレクシスの胸が小さく震えた。
「……あれは、本心からだった。
でも今は、違う気持ちもある」
「?」
アレクシスはセレナの手を優しく包み込む。
「これからは……
“君の自由を守りたい”と同時に──
“君と人生を重ねたい”……そう思っている」
セレナは目を見開き、
すぐに頬が朱色に染まった。
でも、逃げるように目をそらすことはしなかった。
「……はい。
私も……そう思っています」
アレクシスはホッとしたように微笑み、
セレナの髪にそっと触れた。
「これからの人生……
楽しいことも、苦しいこともあるだろう。
でも……一緒に乗り越えよう」
「ええ……アレクシス様となら」
そのとき、遠くで花火が上がった。
街の人々が、二人の門出を祝うかのように。
夜空に広がる光の花を見つめながら、
セレナは静かに、真っ直ぐに言った。
「……私、もう一度だけ誓います」
「誓い?」
「はい。
婚約破棄されたあの日に壊れてしまった“幸せ”を……
もう誰にも奪わせません。
私の人生は、私のもの。
そして……あなたと共に育てていくものです」
アレクシスの胸に、熱いものが込み上げた。
「……セレナ。
その言葉だけで、俺は明日からも戦える」
彼はそっとセレナの手を引き寄せ、
その額に優しくキスを落とした。
触れた場所がじんわりと熱を持ち、
胸の奥が心地よく震える。
「愛しているよ、セレナ」
「……私も、アレクシス様」
夜の庭で、二人は肩を寄せ合った。
契約で始まった二人の関係は、
もうどこにも“白さ”など残っていない。
そこにあるのは
真実の愛と、共に歩む未来だけだった。
星の光が、優しく二人を照らしていた。
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