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第24話 決裂の宣言
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第24話 決裂の宣言
その通達は、強硬だった。
王都名義。
王印付き。
そして、内容は――命令に限りなく近い。
「……これは」
私は文書に目を通し、静かに息を吐いた。
『王国の安定のため、
エリーカ・フォン・グラーツは
王都の協議に即時出席せよ』
――招待ではない。
要請でもない。
圧力だ。
「悪手だな」
アンクレイブが、短く言った。
「ええ」
私も同意する。
「完全に、立場を誤解しています」
彼らはまだ、
“追放した令嬢を呼び戻す”感覚でいる。
だが今の私は、
隣国の公爵夫人であり、
改革責任者であり、
そして――
王都の指示を受ける立場ではない。
「どうする」
アンクレイブは、私に判断を委ねた。
私は少し考え、そして言った。
「正式に、決裂を宣言しましょう」
穏やかな声だった。
だが、その内容は重い。
「以後、王都からの直接的な干渉は受け付けないと」
アンクレイブは、即座に頷いた。
「文面は?」
「感情は排して。
事実と立場だけを、淡々と」
その日のうちに、返書は作成された。
『貴王国のご意向は承知いたしました。
しかしながら、私は現在、
グラーツ公国の公爵夫人として、
同国の改革業務に従事しております』
『よって、
貴王国の協議命令には応じかねます』
『今後、本件に関する直接的な通達は、
国家間の正式な外交ルートを通していただきたく存じます』
丁寧。
冷静。
そして、完全拒否。
王都に届いた瞬間、会議室は騒然となった。
「き、拒否だと!?」 「しかも外交ルート……?」
「これは……事実上の決裂宣言ではないか」
誰もが顔を見合わせる。
――そうだ。
彼女はもう、
“内部の人間”ではない。
「殿下!」
誰かが、レヴァンテを振り返る。
彼は、静かに目を閉じていた。
(……終わった)
呼び戻す余地は、完全に消えた。
自分たちは、
話し合いではなく、
力で従わせようとした。
その瞬間に。
「……なぜ」
小さく、かすれた声。
「なぜ、あんな選択を……」
だが、答える者はいない。
一方、グラーツ公国。
私は執務室の窓から、夕暮れの街を眺めていた。
「後悔は?」
アンクレイブが、再び問う。
「ありません」
私は、迷いなく答える。
「線を引くべきところは、
はっきりさせただけです」
彼は、少しだけ微笑んだ。
「……君は、実に冷静だ」
「感情で動くと、
取り返しのつかないことになりますから」
その言葉は、
誰に向けたものでもない。
だが、確実に。
王都との関係は、
ここで一度、完全に断ち切られた。
――そしてそれは、
ざまぁの始まりの合図でもあった。
その通達は、強硬だった。
王都名義。
王印付き。
そして、内容は――命令に限りなく近い。
「……これは」
私は文書に目を通し、静かに息を吐いた。
『王国の安定のため、
エリーカ・フォン・グラーツは
王都の協議に即時出席せよ』
――招待ではない。
要請でもない。
圧力だ。
「悪手だな」
アンクレイブが、短く言った。
「ええ」
私も同意する。
「完全に、立場を誤解しています」
彼らはまだ、
“追放した令嬢を呼び戻す”感覚でいる。
だが今の私は、
隣国の公爵夫人であり、
改革責任者であり、
そして――
王都の指示を受ける立場ではない。
「どうする」
アンクレイブは、私に判断を委ねた。
私は少し考え、そして言った。
「正式に、決裂を宣言しましょう」
穏やかな声だった。
だが、その内容は重い。
「以後、王都からの直接的な干渉は受け付けないと」
アンクレイブは、即座に頷いた。
「文面は?」
「感情は排して。
事実と立場だけを、淡々と」
その日のうちに、返書は作成された。
『貴王国のご意向は承知いたしました。
しかしながら、私は現在、
グラーツ公国の公爵夫人として、
同国の改革業務に従事しております』
『よって、
貴王国の協議命令には応じかねます』
『今後、本件に関する直接的な通達は、
国家間の正式な外交ルートを通していただきたく存じます』
丁寧。
冷静。
そして、完全拒否。
王都に届いた瞬間、会議室は騒然となった。
「き、拒否だと!?」 「しかも外交ルート……?」
「これは……事実上の決裂宣言ではないか」
誰もが顔を見合わせる。
――そうだ。
彼女はもう、
“内部の人間”ではない。
「殿下!」
誰かが、レヴァンテを振り返る。
彼は、静かに目を閉じていた。
(……終わった)
呼び戻す余地は、完全に消えた。
自分たちは、
話し合いではなく、
力で従わせようとした。
その瞬間に。
「……なぜ」
小さく、かすれた声。
「なぜ、あんな選択を……」
だが、答える者はいない。
一方、グラーツ公国。
私は執務室の窓から、夕暮れの街を眺めていた。
「後悔は?」
アンクレイブが、再び問う。
「ありません」
私は、迷いなく答える。
「線を引くべきところは、
はっきりさせただけです」
彼は、少しだけ微笑んだ。
「……君は、実に冷静だ」
「感情で動くと、
取り返しのつかないことになりますから」
その言葉は、
誰に向けたものでもない。
だが、確実に。
王都との関係は、
ここで一度、完全に断ち切られた。
――そしてそれは、
ざまぁの始まりの合図でもあった。
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