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2 シュラウドの魔力***
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「よし、拒否反応は出ていないな。いいか。よく聞くんだ。今から俺の魔力を少しづつ流して、お前の体に馴染ませる」
キスをしたのは拒否反応が出ないか確認するためだったのか?今はそんなことより息が苦しい。頭痛もひどくなってきた。体中が熱い。マグマがぐつぐつと煮だるようだ。今にもあふれ出してしまいそうになる。
「はっ……ぐぅ……頭が割れそう……はやく」
「舌を出せ、鼻で息をするのだぞ」
言われるままに舌を出すと吸い付かれ、舌を絡められる。絡められた舌の先から何かが流れ込んできた。ピリッとしたのは最初だけで、ゆっくりと馴染ますように流れ込んでくる。
「んぁ……はっ……ぁ」
角度を変え、何度も吸われるうちに、シュラウドの魔力がじんわりと広がっていくのがわかる。沸騰していたマグマが少しずつ収まっていくようだ。魔力を含んだ唾液を流され、上あごを刺激されるとまた違った感覚が沸き起こってきた。
「んっ……ふ……ぅん」
「少しは……楽になったか?」
つぅっと唾液が線を引きシュラウドの唇が離れていく。それがとてもさみしく思い、続きをねだるように返事をする。
「……まだ……くるし……い」
「わかった」
シュラウドに口づけをされると、ふわふわとした感覚になる。今度は自分から舌を絡めてみたが、上手くできない。なだめるように髪をなでられて大事にされているような錯覚に陥る。荒れ狂う熱は引いてくるが、手足の震えは止まらない。シュラウドがそれに気づいて、僕の手を取り指を絡めてくる。これって恋人つなぎじゃないのか?僕の頭の中で、この世界の事柄と前世の記憶がまじりあって動揺する。
「やはり、この程度では無理か」
「しゅ……らう……ど?」
「念のために聞いておくが、いくつになる?」
「19歳……です」
「成人はしているのだな。痩せているせいか、もっと幼いのかと思っていた」
そうだろうな。まともな食事も与えてもらえてなかった。ビタミン剤の錠剤や栄養ブロックをかじって過ごしていた。人間としての味覚がなくなっていきそうで、ときどき屋敷を抜け出しては、平民街に出かけていた。馴染みの親方の仕事を手伝えば食事をもらえたからだ。この世界の成人は15歳だ。早ければ婚約をし結婚をしている者もいるというのに。
「シュラウドは……いくつなの?」
「俺は27歳だ」
前世の僕と同じ年だったのか。それにしては威厳と貫禄がありすぎる。
「先に行っておく。俺は……男は経験ないのだ」
「え? ……なに?」
「心配するな。やり方は知っている」
うなじから鎖骨へとシュラウドの舌が這っていく。
え?ちょっと待って。やり方って?これって…そういうことなのか?僕はノンコードとして貴族社会からつまはじきにされていたから、ろくに恋愛なんてしたことがない。だからいまだに童貞なのだ。
「お前の魔力は甘いのだな……」
舌を這わせながらしゃべるから、直接、肌に吐息がかかり、ぞくぞくする。なにこれ!執拗に舐められて、一気に体温が上がる。でもこれは羞恥心だ!ドキドキが加速してきた。一旦引いていた熱がまたぐるぐると戻ってくる。ヤバい! 苦しいっ! 何かがせりあがってくる。ごふっと咳こむと血を吐いてしまった。
「あ、熱い……う……くるし……い」
「ルーン! 大丈夫か! くそ。急いがないと! 脱がせるぞ!」
体温が上がっているせいか、服を脱がされると、外気にふれて涼しく感じる。ぼんやりと見える視界にシュラウドの逞しい腹筋がうつる。凄い。やっぱりカッコいい。
ちゅっと濡れた音がして「ルーン」と呼びかけられた。こんな時なのに、頭の端で良い声だなと思う。うつぶせにされ、腰を高く持ち上げられた。後ろからシュラウドが覆いかぶさってくる。
「今から俺はひどいことをするが、出来るだけ力を抜いておいてくれ」
耳元で囁かれ脳内がバグる。立て続けに「エラー」画面がでてきそうだ。声が良すぎる。僕を助けようとしてすることなのに、自分が悪いみたいに言ってくれるなんて。なんていいやつなんだろう。
「わ、わかった……やってみる」
背後で何かをしているようだが、高まる熱のせいで頭がまわらない。濡れた音が聞こえるだけだ。
「潤滑と麻酔魔法はかけてあるが、慣らす時間がない。だが後の責任は俺が持つ」
言うが早いか、僕の後蕾に熱くてかたいモノがあたる。どくどくと熱をもつこれはシュラウドの…。
「ぁぐ!」
「っ……狭いな……息を吐け。力を抜けるか?」
「はっ……っ……はっ……」
「ルーン……」
熱い吐息が聞こえる。これはシュラウドのなのか?それとも僕のなのかさえわからない。もうろうとする意識の中、何かが体の奥ではじけた。
「【結合】……調整を始める」
──気持ちがいい──徐々に息がしやすくなってきた。
「あ……なんか僕……変……」
魔力が循環しあっているのを感じる。それだけではない。シュラウドと肌が重なり合うところからも魔力を感じとれる。初めて自分以外の魔力を体で感じた。まろやかで爽やかでいてスパイスが効いているようなシュラウドの魔力は、まるで麻薬みたいだ。もっと欲しいと思ってしまう。
「しゅらうど……」
「……ルーン? 痛いか?」
「もっと……して……」
「なっ! ……煽らないでくれ!」
焦るような声がしてシュラウドの動きが止まる。途端に腹の奥が疼いて、自分で尻を揺すってしまった。
キスをしたのは拒否反応が出ないか確認するためだったのか?今はそんなことより息が苦しい。頭痛もひどくなってきた。体中が熱い。マグマがぐつぐつと煮だるようだ。今にもあふれ出してしまいそうになる。
「はっ……ぐぅ……頭が割れそう……はやく」
「舌を出せ、鼻で息をするのだぞ」
言われるままに舌を出すと吸い付かれ、舌を絡められる。絡められた舌の先から何かが流れ込んできた。ピリッとしたのは最初だけで、ゆっくりと馴染ますように流れ込んでくる。
「んぁ……はっ……ぁ」
角度を変え、何度も吸われるうちに、シュラウドの魔力がじんわりと広がっていくのがわかる。沸騰していたマグマが少しずつ収まっていくようだ。魔力を含んだ唾液を流され、上あごを刺激されるとまた違った感覚が沸き起こってきた。
「んっ……ふ……ぅん」
「少しは……楽になったか?」
つぅっと唾液が線を引きシュラウドの唇が離れていく。それがとてもさみしく思い、続きをねだるように返事をする。
「……まだ……くるし……い」
「わかった」
シュラウドに口づけをされると、ふわふわとした感覚になる。今度は自分から舌を絡めてみたが、上手くできない。なだめるように髪をなでられて大事にされているような錯覚に陥る。荒れ狂う熱は引いてくるが、手足の震えは止まらない。シュラウドがそれに気づいて、僕の手を取り指を絡めてくる。これって恋人つなぎじゃないのか?僕の頭の中で、この世界の事柄と前世の記憶がまじりあって動揺する。
「やはり、この程度では無理か」
「しゅ……らう……ど?」
「念のために聞いておくが、いくつになる?」
「19歳……です」
「成人はしているのだな。痩せているせいか、もっと幼いのかと思っていた」
そうだろうな。まともな食事も与えてもらえてなかった。ビタミン剤の錠剤や栄養ブロックをかじって過ごしていた。人間としての味覚がなくなっていきそうで、ときどき屋敷を抜け出しては、平民街に出かけていた。馴染みの親方の仕事を手伝えば食事をもらえたからだ。この世界の成人は15歳だ。早ければ婚約をし結婚をしている者もいるというのに。
「シュラウドは……いくつなの?」
「俺は27歳だ」
前世の僕と同じ年だったのか。それにしては威厳と貫禄がありすぎる。
「先に行っておく。俺は……男は経験ないのだ」
「え? ……なに?」
「心配するな。やり方は知っている」
うなじから鎖骨へとシュラウドの舌が這っていく。
え?ちょっと待って。やり方って?これって…そういうことなのか?僕はノンコードとして貴族社会からつまはじきにされていたから、ろくに恋愛なんてしたことがない。だからいまだに童貞なのだ。
「お前の魔力は甘いのだな……」
舌を這わせながらしゃべるから、直接、肌に吐息がかかり、ぞくぞくする。なにこれ!執拗に舐められて、一気に体温が上がる。でもこれは羞恥心だ!ドキドキが加速してきた。一旦引いていた熱がまたぐるぐると戻ってくる。ヤバい! 苦しいっ! 何かがせりあがってくる。ごふっと咳こむと血を吐いてしまった。
「あ、熱い……う……くるし……い」
「ルーン! 大丈夫か! くそ。急いがないと! 脱がせるぞ!」
体温が上がっているせいか、服を脱がされると、外気にふれて涼しく感じる。ぼんやりと見える視界にシュラウドの逞しい腹筋がうつる。凄い。やっぱりカッコいい。
ちゅっと濡れた音がして「ルーン」と呼びかけられた。こんな時なのに、頭の端で良い声だなと思う。うつぶせにされ、腰を高く持ち上げられた。後ろからシュラウドが覆いかぶさってくる。
「今から俺はひどいことをするが、出来るだけ力を抜いておいてくれ」
耳元で囁かれ脳内がバグる。立て続けに「エラー」画面がでてきそうだ。声が良すぎる。僕を助けようとしてすることなのに、自分が悪いみたいに言ってくれるなんて。なんていいやつなんだろう。
「わ、わかった……やってみる」
背後で何かをしているようだが、高まる熱のせいで頭がまわらない。濡れた音が聞こえるだけだ。
「潤滑と麻酔魔法はかけてあるが、慣らす時間がない。だが後の責任は俺が持つ」
言うが早いか、僕の後蕾に熱くてかたいモノがあたる。どくどくと熱をもつこれはシュラウドの…。
「ぁぐ!」
「っ……狭いな……息を吐け。力を抜けるか?」
「はっ……っ……はっ……」
「ルーン……」
熱い吐息が聞こえる。これはシュラウドのなのか?それとも僕のなのかさえわからない。もうろうとする意識の中、何かが体の奥ではじけた。
「【結合】……調整を始める」
──気持ちがいい──徐々に息がしやすくなってきた。
「あ……なんか僕……変……」
魔力が循環しあっているのを感じる。それだけではない。シュラウドと肌が重なり合うところからも魔力を感じとれる。初めて自分以外の魔力を体で感じた。まろやかで爽やかでいてスパイスが効いているようなシュラウドの魔力は、まるで麻薬みたいだ。もっと欲しいと思ってしまう。
「しゅらうど……」
「……ルーン? 痛いか?」
「もっと……して……」
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