スルドの声(嚶鳴) terceira homenagem

桜のはなびら

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(柳沢 希)


「ライブイベント的って言いながら、結構ちゃんと構成組むんだね。実質ショーケースを複数こなす感じじゃない? 勝ち抜きのコンテストとかだと同日に複数のパフォーマンスすることもあるだろうから、決して無理ではないのだろうけど……」


 イベントの大雑把な内訳について話したところ、マレは実際にやることをイメージしながら思案をめぐらせてくれているようだった。

 
 ダンス部やダンスサークルならマレの言うような経験の持ち主はいるだろう。しかしバレエダンサーのマレにはそのような経験はあまりない。もちろん私も。
 加えて、部活やユニットならこれまでのストックがある。使いまわしたり応用したりと、潰しが効く。
 まったくの新規ユニットで、楽器の演奏も含まれているってのはなかなかハードモードなのはわかっている。
 マレは出ないがごちゃまぜユニットは特に鬼門だろう。
 
 それを、この圧倒的な短期間で仕上げなくてはならないのだ。
 
 主旨としてはノリ重視の気楽なイベントで、失敗も愛嬌となる。が、やっぱりどうせやるなら完成度は高めたい。
 
「というわけでね、メンバーのいのりの家にはスタジオが、ほづみの家にもダンスの練習ができるエリアがあるらしいから、そのふたつを使ってちょくちょく自主練することになってる」
 
 いのりの家はのんちゃんとマレの地元だ。るいぷるやニーナもそちら側寄りに住んでいる。ほづみの家は今の私の居住地から近い。ルイとアリスンも近くだ。
 日時や状況によっては、二手に分かれての練習も視野に入れながら、割と過密な練習スケジュールを組むことを考えていた。
 
 各ユニットで関わるいのりとほづみが中心になって計画や構成を組んでくれている。一演目しか被らないが年長者のるいぷるとにーなも大人の知見と経験を提供してくれていた。もちろん、私の想いや考えも随所に入ったものとなっているが、マレはどう思ってくれただろうか。
 
 イベント全体に関しては、今はほぼ主催者となってくれるDJとその音楽関係仲間に振っているが、協力として名を出す『ソルエス』からは、責任者として代表のハル、発案者として私といのりにほづみも加えた体制で窓口や調整役を担うことになっている。音響に関してはバンドメンバーが主催の音楽関係者とやり取りをしてくれている。
 
「大変そうだ……今まで、与えられた場で教えられたものを発揮することは多かったけど、自分で作るってやってきてなかったから…………うん、やってみる。やりたい! ほまれちゃんと踊れるの楽しみ!」
 
 
 良かった。喜んでもらえているっぽい。
 のんちゃんと一緒という点はどう捉えているだろう? 嬉しい? 嫌? 何とも思わない?
 
「近いうち、顔合わせも兼ねてどっちかの練習場に集まるからね。たぶんいのりの家になると思う。マレと同じ最寄り駅だよ。のんちゃんが行き方知ってると思う」
 
 マレは「のんに訊いとく。日程とお互いの都合次第だけど、ふたりとも家から行けるならついて行けば良いか」と何でもないことのように言った。
 少なくとも特段のわだかまりは無さそうで安心した。
 
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