スルドの声(嚶鳴) terceira homenagem

桜のはなびら

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【尚登り続ける者として。別の山へと挑む登攀者へ】

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 わたしができることは、バレエを頑張ることだけ。
 そこで何かを成し遂げれば、きっとほまれちゃんは喜んでくれるだろう。
 配信をほまれちゃんと一緒にという計画も、楽しんでくれると思う。
 
 でも、わたしが、ほまれちゃんのためにできることをと考えたとき、あまりに何もないことに気付いた。
 
 気付けたことが、この帰国を経てのわたしの成長だったならば。
 ここから先は、大丈夫だ。
 そう、ここから、始まるんだ。
 
 もらってばかりだったわたしが、ほまれちゃんに、のぞみやおばあちゃん、おじいちゃん、お父さんとお母さんにも、与えていけるわたしになるための、一歩が。


 たしかにほまれちゃんは、あの時バレエを辞めてしまったのかもしれない。
 それは、バレエしか知らないわたしからしたら、世界がなくなるほどの一大事だ。
 でもほまれちゃんは、その狭い世界から出ただけなのかもしれない。
 広い世界で、ほまれちゃんは「サンバ」という、新しい人生の取り組みに出会えていた。

 それはやり直しなんかではない。
 ひとつ目の挑戦が無駄になったわけでも、無意味だったわけでもない。

 バレエを経験し、身につけてきたもの。
 それは音感だったりリズム感だったり。
 努力する習慣だったり本番に臨む前のコンセントレーションの高め方だったり。

 そういったものを習得したほまれちゃんが、サンバの世界で活躍するんだ。


 バレエの世界で挑戦し続けるわたしを、きっとほまれちゃんはこれからも助けてくれる。

 それならば。

 わたしはサンバの世界で活躍するほまれちゃんを助けたい。


 そのためにも。
 ほまれちゃんと、たくさん交換をしよう。言葉を、考えを、想いを。
 一方通行じゃない。わたしのことを聴いてもらうだけじゃない。ほまれちゃんのことを、たくさん聴かせてもらおう。
 
 今はまだわからない。わたしがほまれちゃんのためにできることも、ほまれちゃんが何を求めているのかも。
 でも、交流のその先に、合致するものがきっとあるはずだ。


 
 踏破すべき頂はまだまだ霞の先だけれど。
 見えない先の情景は、今はいったん置いておいて。

 今、目の前にある景色を。充分楽しみながら、情報を得ていけば良いのだ。

 幸いツールはいくらでもあった。
 距離を越えてタイムリーにやり取りができる。
 恵まれた環境は存分に活用させてもらいながら、ちょっと改まったことは古いツールを活用するのも悪くないと思う。



 
 
 慣れない手紙を書き終えたわたしは、忘れないよう明日の荷物にしまい込んだ。



 
 
 伸びをして身体をほぐし、ベッドに乗って腰高窓を開けてみる。
 風が気持ち良い。

 
 この空気も、届けられたら良いのにな。
 
 
 わたしの想いを込めるだけ込めた手紙。
 リアルタイムでやり取りできるツールが増えたからこそ、手紙は未来と繋がるツールのように思えた。


 まだ出してすらいないのに、その手紙が繋いでくれる未来が、今から楽しみで仕方がなかった。
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