173 / 275
ササとの会話
しおりを挟む
『のんちは、與田くんへの想いについては、深く考えて答えだしたよね。渡辺くんのことは? どう思ってるの? ただの友だち?』
「うん、そう……」そのはずだ。
『ふぅん……そっか。まあお互いさまの話なんだけどさ、これは與田くんに対してもだと思うけど、今の時点で「こう」ってのがあったとして、それがいつまでもそのままではないもんね。與田くんに告白されたから、今答えだした、その今に於いては「こう」でも、それが未来永劫変わらないわけじゃない。変わったときに、過去一度判断しちゃったから、考えを変えられないわけじゃない。もちろん、相手にも時間の流れはあって、状況も感情も変わっている可能性はあるけど、その時点でのこととして、新たに想いを伝えあっても良いんだよね』
まさに今、過去を知ったカタちんと、過去を誤解している與田くんが、新たな思いをぶつけあうことになっている。(與田くんはまだ知る由もないが)
『だから、のんがこの後の関係性の中で、渡辺くんを、まあ與田くんでも良いけど、好きになったり、実は好きだったなんて思いに気づいたりすることはあっても良くて、その時に、わたしに遠慮なんてしないでほしい。わたしだってまだはっきりしてるわけじゃないし、早い者勝ちじゃないし、わたしものんに遠慮なんてしないし。予期しないところからカモエリとか参入してくるかもしれないし、それにも遠慮なんてしないんだし』
カモエリのくだりの部分は、茶化すように、笑いながら言うササ。どうしてもカモエリはオチ担当みたいになってしまうが、カタちんをイノシシ扱いしていたカモエリこそ、猪突猛進タイプだ。そして熱しやすいタイプでもある。そんなことも全然あり得るんだろうなぁと思った。
ササの言葉には驚いた。
與田くんとは距離感が近く見えたササだが、渡辺くんとはほかの男子とあまり変わらない感じだったから。
むしろ、気になっているからこそその素振りを見せないのかもしれない。わたしよりは恋愛巧者っぽいササだから、明らかに分かりやすい感じにはならないのだろう。
そのままベッドに潜ったわたしは、驚きも冷めやらぬなかで、わたし自身渡辺くんをどう想っているんだろうと少し考えてみたが、特段考えがまとまることもなくすぐに眠りに落ちた。
深く眠れたのは久しぶりかもしれない。
不眠とまでは言えないが、寝つきがあまりよくなかったここ数日間。
割と生まれて初めてと言える同世代の子どもの一大決心を負った気持ちとのぶつかりと、同格の気持ちを返すというやりとりは、知らず知らずのうちに精神的な負荷を強いていたのだろう。
今日はよく眠れたということは、負荷が解消されたのか、この経験を以てレベルが上がって、負荷を負荷と感じなくなったのか。
「うん、そう……」そのはずだ。
『ふぅん……そっか。まあお互いさまの話なんだけどさ、これは與田くんに対してもだと思うけど、今の時点で「こう」ってのがあったとして、それがいつまでもそのままではないもんね。與田くんに告白されたから、今答えだした、その今に於いては「こう」でも、それが未来永劫変わらないわけじゃない。変わったときに、過去一度判断しちゃったから、考えを変えられないわけじゃない。もちろん、相手にも時間の流れはあって、状況も感情も変わっている可能性はあるけど、その時点でのこととして、新たに想いを伝えあっても良いんだよね』
まさに今、過去を知ったカタちんと、過去を誤解している與田くんが、新たな思いをぶつけあうことになっている。(與田くんはまだ知る由もないが)
『だから、のんがこの後の関係性の中で、渡辺くんを、まあ與田くんでも良いけど、好きになったり、実は好きだったなんて思いに気づいたりすることはあっても良くて、その時に、わたしに遠慮なんてしないでほしい。わたしだってまだはっきりしてるわけじゃないし、早い者勝ちじゃないし、わたしものんに遠慮なんてしないし。予期しないところからカモエリとか参入してくるかもしれないし、それにも遠慮なんてしないんだし』
カモエリのくだりの部分は、茶化すように、笑いながら言うササ。どうしてもカモエリはオチ担当みたいになってしまうが、カタちんをイノシシ扱いしていたカモエリこそ、猪突猛進タイプだ。そして熱しやすいタイプでもある。そんなことも全然あり得るんだろうなぁと思った。
ササの言葉には驚いた。
與田くんとは距離感が近く見えたササだが、渡辺くんとはほかの男子とあまり変わらない感じだったから。
むしろ、気になっているからこそその素振りを見せないのかもしれない。わたしよりは恋愛巧者っぽいササだから、明らかに分かりやすい感じにはならないのだろう。
そのままベッドに潜ったわたしは、驚きも冷めやらぬなかで、わたし自身渡辺くんをどう想っているんだろうと少し考えてみたが、特段考えがまとまることもなくすぐに眠りに落ちた。
深く眠れたのは久しぶりかもしれない。
不眠とまでは言えないが、寝つきがあまりよくなかったここ数日間。
割と生まれて初めてと言える同世代の子どもの一大決心を負った気持ちとのぶつかりと、同格の気持ちを返すというやりとりは、知らず知らずのうちに精神的な負荷を強いていたのだろう。
今日はよく眠れたということは、負荷が解消されたのか、この経験を以てレベルが上がって、負荷を負荷と感じなくなったのか。
0
あなたにおすすめの小説
スルドの声(嚶鳴2) terceira homenagem
桜のはなびら
現代文学
何かを諦めて。
代わりに得たもの。
色部誉にとってそれは、『サンバ』という音楽で使用する打楽器、『スルド』だった。
大学進学を機に入ったサンバチーム『ソール・エ・エストレーラ』で、入会早々に大きな企画を成功させた誉。
かつて、心血を注ぎ、寝食を忘れて取り組んでいたバレエの世界では、一度たりとも届くことのなかった栄光。
どれだけの人に支えられていても。
コンクールの舞台上ではひとり。
ひとりで戦い、他者を押し退け、限られた席に座る。
そのような世界には適性のなかった誉は、サンバの世界で知ることになる。
誉は多くの人に支えられていることを。
多くの人が、誉のやろうとしている企画を助けに来てくれた。
成功を収めた企画の発起人という栄誉を手に入れた誉。
誉の周りには、新たに人が集まってくる。
それは、誉の世界を広げるはずだ。
広がる世界が、良いか悪いかはともかくとして。
スルドの声(共鳴) terceira esperança
桜のはなびら
現代文学
日々を楽しく生きる。
望にとって、それはなによりも大切なこと。
大げさな夢も、大それた目標も、無くたって人生の価値が下がるわけではない。
それでも、心の奥に燻る思いには気が付いていた。
向かうべき場所。
到着したい場所。
そこに向かって懸命に突き進んでいる者。
得るべきもの。
手に入れたいもの。
それに向かって必死に手を伸ばしている者。
全部自分の都合じゃん。
全部自分の欲得じゃん。
などと嘯いてはみても、やっぱりそういうひとたちの努力は美しかった。
そういう対象がある者が羨ましかった。
望みを持たない望が、望みを得ていく物語。
スルドの声(嚶鳴) terceira homenagem
桜のはなびら
現代文学
大学生となった誉。
慣れないひとり暮らしは想像以上に大変で。
想像もできなかったこともあったりして。
周囲に助けられながら、どうにか新生活が軌道に乗り始めて。
誉は受験以降休んでいたスルドを再開したいと思った。
スルド。
それはサンバで使用する打楽器のひとつ。
嘗て。
何も。その手には何も無いと思い知った時。
何もかもを諦め。
無為な日々を送っていた誉は、ある日偶然サンバパレードを目にした。
唯一でも随一でなくても。
主役なんかでなくても。
多数の中の一人に過ぎなかったとしても。
それでも、パレードの演者ひとりひとりが欠かせない存在に見えた。
気づけば誉は、サンバ隊の一員としてスルドという大太鼓を演奏していた。
スルドを再開しようと決めた誉は、近隣でスルドを演奏できる場を探していた。そこで、ひとりのスルド奏者の存在を知る。
配信動画の中でスルドを演奏していた彼女は、打楽器隊の中にあっては多数のパーツの中のひとつであるスルド奏者でありながら、脇役や添え物などとは思えない輝きを放っていた。
過去、身を置いていた世界にて、将来を嘱望されるトップランナーでありながら、終ぞ栄光を掴むことのなかった誉。
自分には必要ないと思っていた。
それは。届かないという現実をもう見たくないがための言い訳だったのかもしれない。
誉という名を持ちながら、縁のなかった栄光や栄誉。
もう一度。
今度はこの世界でもう一度。
誉はもう一度、栄光を追求する道に足を踏み入れる決意をする。
果てなく終わりのないスルドの道は、誉に何をもたらすのだろうか。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる