スルドの声(共鳴) terceira esperança

桜のはなびら

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自己紹介(るいぷる)

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(渡会 類)


 るいぷるの自己紹介は、聞いていてもいなくてもあまり影響のない内容で一瞬で終わった。意味は全くわからなかった。


 るいぷる。本名は渡会類わたらいるい

 彼女との初遭遇時のことはよく覚えている。
 初対面というよりも、あれはやっぱり遭遇という言葉が相応しい。



 わたしが『ソルエス』に入会してすぐ、話しかけてくれたダンサーが、るいぷるだった。

 練習はバテリアとダンサーに分かれて行われる。間でミーティングを挟み、後半は合同練習だ。
 別々の練習場では話す機会はあまりなく、ミーティングはたいていの場合発信や発表の必要のあるメンバーからの通達事項が主で、個々の会話は発生しない。合同練習は始まれば打楽器の大音量に音響機器を通したバンドの演奏の中ダンサーは踊る形式のため、もはや会話なんてできはしない。
 そんな環境下なので、ある程度意識をしないとバテリアとダンサーのメンバーが直接会話する状況は作れない。

 わたしが入会した日。
 初めてエンサイオに参加し、そのミーティングで紹介してもらった日。
 ミーティングの後合同練習に入る前の一瞬を突いて、るいぷるは話しかけに来てくれたのだ――。


 
「ねぇぇ、のんてぃってギャルなん?」
 
 急になに⁉︎ 随分なれなれしい人だなぁ。
 
「え、違う、と思いますけど……」
 
「ちょっとぉぉ! よそよそしい! もう仲間じゃーん。ファミリーじゃんそしてファミーリアじゃーん。敬語要らんよ。あでも親しき中にも礼儀ありとかいうっけ。年上姉さんのわたしが後れを取ってはならんね」
 
 ひとつの文章の中でテンションが行ったり来たりする。躁鬱状態とかじゃないよね?
 
「申し遅れました! わたくし、稀代の天才グラフィックデザイナーであり情熱のサンバダンサーでもあるるいぷると申します! 挨拶大事だよね。これでお互いを知れたからマブファミリーだねっ」
 
「あ、え、あっ、改めまして、のんです。あの、高校生です。打楽器未経験、です」
 
 気圧され、とりあえず改めて自己紹介はできたものの、天才だの情熱だのマブなんちゃらだののくだりは処理しきれなかった。
 
「ふぅ~、うちにまたじぇーけーが入ったかぁ! 良いねぇ、良いねぇ、いなせだねぇ!」
 
 いなせ?
 
「うち、結構層厚いんよ。でもギャル系はいなかったからうれしー。コレクションがはかどるわあ」
 
 この人ずっと何を言ってんの?
 
「るいぴはストイックいいんちょ系でしょ? あーりんは天使! えーんじぇー! みこぴんはハイセンス高嶺の花系で、ひらぼうは動物? けだもの? ……まあ、ワイルド系ってことにしてあげよう。んでがんでぃーは小動物系でしょ? みんなかーわい!」
 
 この人、ずっとなに言ってんの⁉︎
 あとわたしギャルじゃないし。
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